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2005.10.14

セウタとメリリャの不法移民問題

 モロッコ内にあるスペインの飛び地、セウタ(参照)とメリリャ(参照)を目指す不法難民が九月に入ってから急増している。日本語で読める情報としては六日付の毎日新聞”不法移民:「脱アフリカ」スペイン飛び地を目指せ 暴徒化、死者も--モロッコ”(参照)が比較的詳しい。


今月3、5日にはメリリャで、計1000人以上が侵入を試み、警備官を含む200人以上が重軽傷を負った。殺到したほぼ半数が不法入国に「成功」したとみられる。EU調査団は不法移民の状況や、発砲の経緯などを調べる。一方、スペインは近く、警備隊を約500人増派する方針だ。

 不法移民がこの時期増加した直積的な理由は、「極東ブログ: スペインのご事情、EU憲法とレグラリサシオン(2005.02.27)」(参照)で触れたレグラリサシオン、つまり、不法移民への大赦によるものだ。毎日新聞記事にはなぜか言及がないが、このレグラリサシオンは当初三か月を持って終えるはずだったが、八月に再開した。これが直接的な原因と見られる。
 もちろん、遠因はアフリカ、特にサハラ以南諸国の「貧しさ」にある。ロイター”Migrants leave Morocco”(参照)やBBC”Senegal migrants 'will try again' ”(参照)などから、そうした背景の物語の一端が伺える。
 興味深いのはロイター記事のなかにある、不法移民者が数年かけてモロッコにやってきたという話で、こうした逸話からはセウタとメリリャの問題は必ずしも、昨今の問題とも言えない。
 日経”スペイン、「飛び地」で不法移民の摘発強化”(参照)では次のように背景を説明している。

 飛び地の両都市はコートジボワールやコンゴ民主共和国などサハラ以南からスペインへの難民や不法移民の抜け道となっている。スペイン政府によると、2004年には5万5000人、今年に入ってからも約1万2000人がモロッコ領との境界にある柵を乗り越えようと試みたという。

 捕まった不法移民だが一旦収容所に入れれ本国送還されることになる。この作業を行うのは当然モロッコとはいえスペインの領土なのでスペイン国家が行うのだが、送還できるのはスペインと協定のある国家に限定されるため、そうした協定が少ない現状では結局スペインが事実上引き取るしかなかった。
 しかし、昨今の事態とEU側からの強い不満もあって、対応を変えつつある。どこの国の市民であれ、モロッコから入ってきたのだからモロッコに追い出せということで、この約束は従来は空文化されていたのだが、これを活用することになった。
cover
アンダルシア
スペインの魅力が
凝縮した土地
 ところで、そもそもなぜモロッコ内にスペインの飛び地などというものがあるのかというと、歴史の背景は面白いというかめんどくさい。気になるかたは取りあえずWikipediaのセウタ(参照)やメリリャ(参照)を読まれるといいだろう。当然ながら、日本語よりも英語の説明のほうが充実している。
 戦後日本人の感覚からすると、モロッコが「返還」を求めているのだから、スペインもこの住民を撤退させればいい、くらいのものかもしれない。

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日本語だと「Wikipedia」より「世界飛び地領土研究会」がセウタとメリリャのことを知るならオススメです。 セウタ,メリリャ(世界飛び地領土研究会) (極東ブログ) [続きを読む]

受信: 2005.10.15 02:51

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