スポーツ選手にも喘息患者が多いらしい
一昨日に続いてまた喘息の話(参照)。喘息のことを考えているとつい喘息のニュースに目が行く。今日の話は、スポーツ選手の喘息についてだ。
ニュースはロイター”Elite athletes may have asthma and not know it”(参照)だ。標題をベタに訳すと「優秀なスポーツ選手は喘息をもっているかもしれず、しかもそれを知らないかもしれない」ということ。
身体が屈強なスポーツ選手なのに喘息なの?と不思議に思う人がいるかもしれないが、喘息持ちのスポーツ選手は、けっこういる。元になった専門誌”Thorax”の報告”Impact of changes in the International Olympic Committee Medical Commission criteria for asthma (国際オリンピック委員会による喘息の医学委員会基準変更の影響)”(参照)によると、オリンピック競技者の九パーセントから五五パーセントだという。ちょっと数字がアバウト過ぎかとも思うが、そうらしい。特に冬季競技と水泳に多いらしい。冬場と水泳というとなんとなく喘息と関係しそうな気もする。
ちょっとぐぐってみたら、喘息持ちの有名選手(”Famous Athletes with Asthma”)(参照)という記事もあった。私はスポーツ観戦にうといでの誰が有名だかわからないが、リストを見るといるもんだなという感じは受ける。
話をロイター記事に戻すと、こうした喘息持ちのスポーツ選手は、運動誘発性喘息の対処として、けっこうステロイドの吸入薬をほいほいと利用しているらしい。なお、運動誘発性喘息というのは、運動後におきる喘息発作でたいていはしばらくすると発作は収まる。ついでに、小児喘息の運動誘発性喘息については”アレルギー情報センター | ガイドライン | 小児気管支喘息”(参照)などを参考にするといいと思う。
ステロイドは当然ながらドーピングにも関連するため、オリンピックでは喘息持ちのスポーツ選手は予め医師の診断を添えて申告しておくことになっていたが、この判断基準が変更され、ドーピングに関係ない喘息の吸入薬についても規制対象になるらしい。
この背景調査で、喘息の吸入薬が安易に利用されていて問題だということに併せて、明確な本人の自覚はないものの喘息を持つ選手も少なくはないらしいというがわかったそうだ。
喘息を知らずにスポーツ選手になるという話に興味をおぼえる。
個人的な話だが、私も中学高校と陸上をやっていたが、その背景には、小児喘息で失われた幼年期時代の運動能力を回復したいというような思いがあった。小学生時代ずっと駆けっこは苦手だと思いこんでいたが、訓練していけば、中学時二年生のときには、クラスで二番くらいの俊足にはなった。一番のやつはもう遺伝的に違うんだろなと思うし、所詮自分の運動能力は偽物だと思ったのでライバルとかは思わない。でも、あのとき、一番の彼がいなかったら、自分はなんかスポーツとかに適性があると思いこんだだろうか。よくわからないが、喘息を持つ子供がスポーツ選手になるというのは共感することが多い。
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コメント
喘息とは無関係に運動が不得手で、無理やり水泳だの陸上競技だのさせられたので、ますます運動が嫌いになりました。
投稿: synonymous | 2005.09.02 16:08
喘息をもっている、ロック歌手も多いらしい。
ストリートミュージシャンの若い女の子が、
演奏が終ったら裏にかけこんで、
喘息症状をだしていたのを見て、
ぐっときたことがある。
体温がぐっと上がって発汗して、
急激に体温が下がっても発作につながるみたい。
あと、それがクセになる感じ。
投稿: 野猫 | 2005.09.02 16:46
ご存知かもしれませんが、タイトルを見てこれを連想してしまいました。
http://www.fsinet.or.jp/~aichan/topix/righttopics79.htm
投稿: | 2005.09.02 17:45
プロレスの高山選手も喘息ですよ。
いつも控え室で吸入器を使っています。
投稿: 名無し | 2005.09.02 21:29
呼吸器を鍛えて喘息を治すためにスイミングクラブに通い始める、という子は結構多いです。
で、その延長で選手になる子も多い、と。
投稿: 無し | 2005.09.03 01:56
>>喘息の吸入薬が安易に利用されていて問題だということに併せて、
これはちょっと違うのでは・・・。吸入β刺激剤の乱用問題と混同されているのではないでしょうか? もともと吸入ステロイドは継続使用するものですし、容量も症状に合わせてほぼ一定ですので。
>>It's quite possible that other national Olympic teams are fielding athletes with undiagnosed asthma as well as athletes using inhaled steroids who don't need them, Dickinson said.
の部分が出典だと思いますが、これは吸入薬が過剰に使用されているというよりも、吸入ステロイドが不要なレベルの軽症の喘息患者にまで投与されているというように読めます。
要するにこの記事は、選手の自覚症状だけに基づくあいまいな診断じゃなくて、理学的検査値を明示することによって診断基準を明確にして、選手の喘息についてしっかり調べようということなんでしょう。
もう少し突っ込むと、2001年以後は運動能力に影響しない筈のβ刺激剤まで厳密に規制されるようになったと書いてあるので、つまるところドーピング規制強化の意味が大きいのではないでしょうか。本当ににステロイド吸入薬が必要なレベルの喘息選手にかぎって投与を許可しようという意図なのだと思います。
投稿: hikaru (nankado) | 2005.09.04 09:53
スポーツ選手は体が丈夫、特に心肺機能が優秀だと思っていたので、とても意外でした。私のブログでご紹介させていただきました。
投稿: ドクターレポリス | 2005.09.13 09:27
はじめまして!突然のトラックバック失礼します。走れ在宅屋!(訪問リハビリ)のたらじろうです。次男(4歳)が喘息持ちでつい先日発作を起こしました。運動誘発喘息は我が子にも起きる可能性があるので興味深く拝見しました。うち子供が体育を休みがちになるんじゃないかとか、運動系の部活はむりなんじゃないかとか不安に思っていましたが、記事読んで少し救われました。またお邪魔します。
投稿: たらじろう | 2005.10.07 23:38
運動と喘息には一つの関連が在って起きています。
運動選手のように体力が有るか無いかは関係無く喘息は起きます。
運動しなくても喘息は起きます。
冬季スポーツと水泳選手に多くみられるのにも理由があります。
又、喘息治療目的で水泳をするのは逆効果です。
喘息に限らず病気そのものの原因は意外なものが原因となっています。
よって、この意外な原因を認識し理解しない限り永遠に完治しません。
投稿: 地球の声の伝道師 | 2007.07.04 07:57