« NHKクローズアップ現代「歴史教科書はこうして採択された」雑感 | トップページ | [書評]唯幻論物語(岸田秀) »

2005.09.22

北朝鮮をめぐる六カ国協議共同声明について無駄に考えてみる

 北朝鮮をめぐる六カ国協議で合意された共同声明だが、私はよくわからない。わからないのに書くのがブログのよいところである。基本的に北朝鮮はこんな合意文書など気にしないおおらかな国である。一九九二年の朝鮮半島の非核化共同宣言にも調印したが無意味だった。なので、共同声明とか議論の基礎になるわけもない。ま、なんでもありなのでブログで扱いやすい、ってな洒落はこのくらいにして先に進む。
 一応、今回の声明では、核兵器と核開発計画を放棄、核拡散防止条約(NPT)へ復帰、国際原子力機関(IAEA)査察の受け入れが決まったということだが、「プルトニウム問題はなしってことで、ひとつ」ということになっているし、すでに「軽水炉の提供まで核放棄に応じない」とすかさず毎度のゴネが出てくるし、金さん愉快だな、である。ま、軽水炉は日本も使っているし四の五の言うこともないでしょとも思うが、米国や中国にもいろいろ思惑ってものがあるのだろう、っていうか、問題は米中問題なのだろう。
 で、あらためて北朝鮮問題って何が問題なのか、わけあって病院の廊下でぼんやり考えながら、やはりなんもわからないので、良心型自販機で百三十円の毎日新聞を買って、某宗教団体の広告とその息のかかった投稿を爽やかに前向きな気持ちで読んだあと、”6カ国協議:中国、圧力かけ米国に署名迫る 米紙報道”(参照)という記事を読む。こんなことが書いてあった。


【ワシントン及川正也】北朝鮮の核開発問題を巡る19日の6カ国協議の共同声明について、声明案を提示した議長国・中国が「米国が署名しなければ、合意失敗の責任を米国に押しつける」との姿勢で臨み、米側に圧力をかけていたことが分かった。20日付の米紙ニューヨーク・タイムズが米高官らの証言を基に報じた。ブッシュ政権もイラク情勢、ハリケーン「カトリーナ」の被災対策、イランの核開発問題に忙殺され、声明案を受け入れることで北朝鮮との対決を当面、回避したという。合意は米側の譲歩だったことが浮き彫りになった。

 へぇ、ニューヨーク・タイムズにね。と、帰宅してオリジナルをネットで見直したがどれが該当記事かわからなかった(どれ?)。ま、いいか。これが本当なら米国は不本意で中国はさすがね、ということなのだろう。追記:コメント欄で教えてもらいました。NYT(09.20)”U.S.-Korean Deal on Arms Leaves Key Points Open”(参照)がそれです。
 そうなのか? 外交的に見れば、とりあえず北朝鮮を国際世界の枠組みに戻したというだけでも中国の成果とも言えるのだが、さて。
 考え込んだのは、この問題、北朝鮮の非核化という枠組みで見てきたのだが、考えなおしてみると、北朝鮮の核が恐いのは日本だけだ。中国は大丈夫。「極東ブログ: 中国のちょっとわけのわからないフカシについて」(参照)でもわかるけど、中国という国は核攻撃に対して口は軽いが腹は据わっている。韓国はまさか同胞が攻撃してくるわけないじゃないかあたりまえでしょ、うんうん。ロシアは極東の地図すらよくわかってない。なーんだ、怖がっているのは日本だけじゃん。
 本音のところで日本が北朝鮮の核が恐いかというと、そのあたりはさすがに例の問題ともにいくらブログでも言いづらいじゃないですか。というか、恐くないと科学的には無意味なMDに国費をどぼどぼ注ぎ込む理由もなくなってしまうし、というか、MDの狙いである中国問題をどうするかマジで直面するのも面倒臭いものだ。
 じゃ米中間で北朝鮮を巡る問題ってなんだろと考えなおすと、北朝鮮崩壊でおきる国境間の難民問題と、国家の境界線の変更という二点なのだろう。
 難民問題はとりあえず日本にはあまり関係なので立派なことを宣う中韓にオマカセだが、国家の境界線の変更ということは統一朝鮮がどういうふうに中国にぶら下がるかという問題だ。妥当な推測をすれば、中国様にべったりということだろう。半島っていうのはくっついているってことだし。ただ、そうなるとさすがに日本も沖縄より近いところに中国様がぬっと現れるということになる。
 残る問題は、それを米国が許すかだが、よくわからない。米中間は本音では仲が良いですよとかいう人多いし。それに統一朝鮮が親中化するなら、グラジュアルに日本も親中化すればいいじゃん、というのもありかもしれない。やっぱ、そうですよね。東アジアの国は仲良くしなくちゃ。平和と友好が大切。え?チベット問題? どこの国でも内部には問題があるもんですよ、気にしない。
 …うーむ。なんかどっかで思考の道順を間違えたような結論になった希ガス。さてどこで間違えたか。

|

« NHKクローズアップ現代「歴史教科書はこうして採択された」雑感 | トップページ | [書評]唯幻論物語(岸田秀) »

「時事」カテゴリの記事

コメント

NewYorkTimesの記事は次のものと思われます。ご参考まで。
http://www.nytimes.com/2005/09/20/international/asia/20korea.html?th&emc=th

投稿: 通りすがり | 2005.09.22 13:30

今回の共同声明はあまり難しく考える必要はないかと。要するに米朝双方ともとりあえず先延ばしって事でしょう。
あと、ニューヨーク・タイムズの記事については、なぜこういうリークが行われたかを考える方が重要かと。多分、この記事を一番本気でイヤがってるのは中国様だと思いますよ。

投稿: | 2005.09.22 20:59

朝鮮人が民族自決を辛うじて保つには、自分たちでまず北朝鮮を抱え込む覚悟を決める必要がある。
そうなれば、誰も別に全く手を貸さないということもないと思われる。
ウダウダ韓国人や北の消息筋が言ってる間に米国は半島に興味を失うだろう。
執行猶予が次の11月まで。

投稿: トリル | 2005.09.23 00:32

 北朝鮮の核問題は、単に国際的な核の流出問題に目が行きがちだが、これは完全に米中闘争でしょう、本質は。これは、自然と中台情勢と繋がってくる。
 つまり、もう既に台湾海峡における米中戦争は始まっていると思ったら良い。

 中国が何故、北朝鮮の体制を庇い続けるか?それは、台湾問題が大きくかかわっている。50年前の朝鮮戦争に巻き込まれたために、その間に台湾に手が回らずに、台湾を失う羽目になったと、中国人たちは考えているから。
 北朝鮮に金独裁体制があると、いろんな意味で中国のための防波堤になってくれる。世界の厳しい目も、北朝鮮に集中し、中国へは幾分緩和される。あらゆる悪事を北朝鮮にやらすことができ、中国自身が直接手を汚さなくても良い。
 また、金独裁体制が北朝鮮を押さえてくれるおかげで、中国は台湾などの南方海洋への進出に、力を集中させることが出来る。もし、金独裁体制が無くなれば、自動的に中国は中朝国境付近にも大きな力を振り分けねばいけなくなる。北朝鮮へアメリカの力が来るのを阻止せねばいけないし、北朝鮮からの難民を封じ込めねばいけなくなる。中朝の領土問題も当然、起こってくると考えられる。台湾や南方へ力を集中できなくなる。

 そういうわけで、今回の北核問題は、アメリカにとって対中国戦争の第1段階と捉えていると言っても良い。単に対テロ戦争、核の流出を防ぐためだけが目的ではないのである。

投稿: | 2005.09.23 10:34

なんで日本はロシアを味方に出来ないんでしょうね?
北朝鮮製の麻薬や偽札の横行で大きな迷惑を蒙っているのはロシアです。
その怒りっぷりは、軍高官が北朝鮮に対してロシアは専制核攻撃する権利があると公言するほどです。極東市民の目も北朝鮮には厳しい。(末端の出稼ぎ朝鮮人には関係ないはずなのに、ロシア人は彼らを毛嫌いして苛めてます。現地で目撃してきました。)
一応、中国が引き止めているとも考えられます。でも、中ロの上海同盟は日本がプーチンを袖にしたための代替策です。ロシア世論は余りにも日本よりだし、プーチンの個人的な親日ぶりも変わっていません。
しかも中ロ間に国境での巨大な人口圧力差がある限り、ロシアの最大仮想敵が中国であることは変えようがありません。

でも、日本外交の方が孤立してますね。これは、どういうことなんですか? もしかして表向きは負けたふりをして裏取引で勝つって戦略でしょうか?
なんでロシアを招きよせて、北朝鮮に厳しいことを言わせないんでしょう。小泉訪朝の成果だってプリマコフの事前の口添えがあったからなのに、不思議だ。不思議です。

投稿: vodka | 2005.09.23 20:32

中国は北朝鮮を怖れてると思います。それは北朝鮮が直接的に脅威たりうるるということではなくて、朝鮮半島の根っこうという(日)米中露の角付き合わせる微妙な位置にあり、しかも北京のすぐそばというところで綱渡りされるのは、中国にとってなんとも嫌らしいわけで。

vodka さん 基本的には領土問題ですね。ロシアは領土に関しては偏執的ですから。ロシアが困窮したときに無理やり領土回復したら後々恨むでしょうけど、豊かになったら益々付け上がるのもロシア人です。
日ロ関係はもうどうしようもないでしょう。日本としては中露を放置して共倒れを望むか、ロシア極東部の分離独立を仕掛けて満州国方式で親日国家を作るか。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.09.23 22:10

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 北朝鮮をめぐる六カ国協議共同声明について無駄に考えてみる:

» 6か国協議共同声明:舌の根も乾かぬうちに [外交のファンタジスタ]
 昨日まで行われていた6か国協議で採択された共同文書に早くも綻びが生じた。北朝鮮が核放棄する代わりに、軽水炉建設を議論すると明記された形で一応の決着を見たが、履行の順序をめぐってアメリカと北朝鮮に食い違いが見られる。  アメリカは軽水炉建設は核放棄の後だと..... [続きを読む]

受信: 2005.09.22 15:59

» 6カ国協議は中国が米国に圧力をかけたから合意できた。 [One And Only]
北朝鮮の核問題に関する6カ国協議の最終局面で、中国側が「米国が共同声明に署名しないなら、協議決裂の責任は米国にあると発表する」などと、脅しとも取れる強い圧力を米側にかけていたことが分かった。... [続きを読む]

受信: 2005.09.22 20:40

» 核不拡散におけるダブルスタンダード [びんごばんごBlog]
核兵器不拡散への取り組みを困難にしている大きな要因として、インド、パキスタン、イスラエルがNPTを締結していないという問題がある。この3カ国はCTBTについても、未署名(インド、パキスタン)/未批准(イスラエル)だ。この内、インドとパキスタンは1998年に相次いで核実験を行い、弾道ミサイルの発射実験も繰り返している。イスラエルは核実験こそ実行していないが、1986年に核技術者モルデハイ・バヌヌがディモナ原発で核開発が行われていると告発したことで、同国の核兵器保有が世界に広く知れ渡った。  NPT体... [続きを読む]

受信: 2005.09.23 13:27

» これぞ本当の交渉人、六カ国協議 [TIME ガイダンス-choibiki's BLOG-ホンモノで学ぶ、英語を学ぶきっかけ探し]
How to keep talking ・・・タイムの記事へ    「勝者は誰ですか」とマイクを向けられ、“win-win situation”と答えたのは米国務次官補のクリストファー氏(Christopher Hill、The U.S. Assistant Secretary of State)でした。長らく膠着した交渉(long-stalled negotiation)を継続させた手腕に注目が集まります。 北朝鮮への提案は、軽水炉の提供を電力用途に向けるもので、もし北朝鮮が核開発の... [続きを読む]

受信: 2005.10.11 00:11

« NHKクローズアップ現代「歴史教科書はこうして採択された」雑感 | トップページ | [書評]唯幻論物語(岸田秀) »