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2005.09.27

石油高騰で強くなるロシア

 標題の割には雑メモに近い。この間の石油高騰でアフリカ諸国もだが、ロシアもかなりのカネが入っているようだ。それに従い、特にロシアが外交的にかなり強面に出てきたなという印象が強くなった。
 日本との関連でいえば、昨年くらいまでなら日本からの資本や技術でもう少し上手に親露政策が取れるのではないかと私は期待していたが、このところの北方領土へのロシアの態度を見ていると、それは無理かもしれないと思いつつある。
 ロシアと中国の関係で言えば、かつてのように中国からの資本を獲得したいという流れも弱くなっているようだ。むしろ、ロシアにしてみれば、武器売却先としての中国の旨味が増しているようで、先日の合同軍事練習だのはその路線なのだろう。このまま中国とロシアが軍事的に提携していくかどうかはよくわからないが、両者とも中央アジアのイスラム勢力を封じ込めるという共通利益があり、そのあたりで協調は深まるだろう。
 こうしてロシアにカネがじゃぶじゃぶ入っていくにつれ、中央アジア情勢はどうなっていくのだろうか気になるのだが、まだはっきりとした絵が浮かんでこない。
 オレンジ革命とかで沸いたウクライナも、昨今の動向を見ると、どうもEUシフトというわけにもいかず(EU自体がうまく行っていない)、元の親露政策に戻りつつあるように見える。
 同じ傾向は他の独立国家共同体(CIS)にもあるだろう。つまり、ロシアからの石油提供や資金援助によってかつてのソ連時代の再現のようになりそうだ。このままロシアがカネを得る構造が続けば、大筋では、私はそうなるのではないかと思うし、それはある意味で安定でもあるのだろう。
 とすると、昨今の中央アジアの不安定な動向は大局的には過渡期なものか、あるいは、他の国でもそうなりつつあるが、テロの常態化でもあるのだろう。
 しかし、そう見ない人もいる。例えば、先月三〇日付のワシントンポスト”War Without Remedy”(参照)では、私のこうした考えとは逆にCISなどの国家における不安定要因が増加するという指摘があった。確かに、このところの動向からするとそういう議論も成り立ちはする。


Though mostly unnoticed by the outside world, violence in the region has been escalating in recent weeks. Last week the prime minister of one republic, Ingushetia, was wounded in an assassination attempt, and a bombing derailed a train in Dagestan. In Chechnya near-daily clashes continue between Russian troops and insurgents; one ambush and bombing of a police vehicle several weeks ago killed 15.

 イングーシ共和国では首相が暗殺未遂になり、ダゲスタン共和国では線路爆破事件があった。チェチェン共和国では車両攻撃があった。

Russian and independent experts across the Caucasus are warning of the eruption of a major new war that, unlike the two fought in Chechnya during the past 11 years, would spread across the region and be waged more explicitly in the name of Islam.

 ワシントンポストが言うところの識者は、この地域での戦争の可能性を指摘している。
 私の考えでは、現状ではそれほどの規模の問題には至ってないし、先にも述べたように過渡期的な現象ではないかと思う。
 日本から見るとイスラム勢力というと中近東を連想するが、むしろこの地域のほうがイスラム化の動向が強く、経済的な興隆が民主化にはつながらない。ワシントンポストは先の記事をプーチン大統領の批判で締めているが、ウクライナの例を見てもそう単純な問題でもないだろう。

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コメント

 金があるから強気に出るというなら、それは大した問題じゃないでしょう。
 シベリアを大規模開発(資源採掘や使用済み核燃料処理施設を開発するなど)して国土そのものが利益を生み出せる体質にならないと。うわべの金を掻き集めただけのことなら、意味ない。
 自存ありきで経済的な余力を持った状態にならないと。アメリカがスーパーパワー足り得る前提は、まさにそこにあるわけで。

投稿: うんこ | 2005.09.27 22:32

お話の大筋からすればどうでもいいようなことなんですが,ワシントン・ポストの記事はCIS諸国についてのfinalventさんのお考えを否定するものではないように思いました.
記事が言っているのはロシア国内(南部の北カフカス地域)のことで,他のCIS諸国については触れてないのではないでしょうか.
つまり,チェチェンだけでなくイングーシやダゲスタンも含む北カフカス地域(すべてロシア国内)一帯で紛争になる恐れがあるというお話かなと.
いきなり失礼な書き込みすみませんでした.

投稿: phixie | 2005.09.28 00:49

次に戦争が起きるとしたら中央アジアだな

投稿: ブレジンスキー | 2005.09.28 21:11

軍隊の強化についてはどうでもいいんですが、
凄く気になるのはこの金が国民にどう回っているかということですね。
聞いた話ですが、石油で得た金は優先的に債務の返済に充てられているそうなんです。
しかし、インフラ、特に地方の社会基盤にまったく投資されてないため、国民は以前より厳しい生活を強いられていると聞いてます。
ロシアは典型的一極国家であるから、首都を離れればいまだに格差が広がったままです。
軍においても、シベリア方面の兵は未だに生活の改善もなされてないと聞きます。
今は強がっていても、そういう地盤の立て直しをあの大統領がしていないとすれば、長期的にはゴールドマンサックスが提唱したBricsのうち、RはIやCほどにはかつての勢いを回復しないでしょう。
名も鳴き人々が今どうしているか、そしてこれからどうしたいのかが明確にならない限り、むしろロシアの長期低落は避けられそうにないと思います。
この長期高騰こそ、歴史がロシアやサウジアラビアのような構造的欠陥を抱えた国家の立て直しを助ける、二度とこないかもしれない機会になりかねないと考えますから。

投稿: ちゃちゃた | 2005.10.03 02:41

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