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2005.09.05

ペトロカザフスタンまわりの話

 深読みするといくらでも深読みできる話でもあるが、先月二十二日、中国の石油最大手、中国石油天然ガス集団(CNPC)がカザフスタン油田に権益を持つペトロカザフスタン(カナダ)の買収を発表した。買収額は、四十一億八千万ドル(四千六百億円)。ペトロカザフスタンの時価総額に二割ほど積んだのは、インドもここを狙っていたからとも言われている。
 もっとも、ペトロカザフスタンの原油生産量はカザフスタン全体の十二パーセント、日量十五万バレルとのことで、それ自体で原油ウハウハというものでもない。日経”中国石油、加ペトロカザフスタンを4600億円で買収”(参照)では、この買収で「原油が豊富に埋蔵されているカスピ海の油田開発事業へ参画する道が開ける」と指摘している。むしろそっちが本命なのだろう。
 同記事には、「カザフスタンから中国新疆ウイグル自治区を結ぶ石油パイプラインの建設を進めている実績も評価され、ペトロカザフの取締役会がCNPCの提案を受け入れた」とある。これに合わせて、産経系”独山子石油化工が中国最大級の製油所建設 ガソリン不足解消へ期待”(参照)といった話もある。当然ながら、中国にとっては、中国新疆ウイグル自治区が地政学的にさらに重要になってきた。
 地政学的なリスクからすれば、ナザルバエフ大統領(参照)が独裁しているカザフスタン自体のほうがはるかに高いようにも思われる。なので、中国としては着々と手を打っているつもりなのでもあろう。五月にはナザルバエフ大統領を北京にお持て成しなどもしていた(参照)。七月には逆にナザルバエフ大統領がカザフスタンに胡錦濤主席を迎えた。余談だが、カザフスタン新首都の設計は黒川紀章とかもあって(参照)日本ともなにかと関係が深い。
 結局、この動向って何? というのをフィナンシャルタイムズが先月二十四日扱っていて面白かった。標題もずばり"Beijing's Great Game"(参照)である。グレートゲームといったら、ディプロマシー・マニアも関心を持つのも当然かもである。
 二つの側面があるとフィナンシャルタイムズは言う。


First, China's eagerness to buy access to foreign oil and gas for its growing economy has not been in any way diminished by the failure of CNOOC's financially and politically more ambitious bid for Unocal of the US. Second, Washington has yet to come to terms with China's emergence as a big energy importer in competition with the US and other consumers.

 一つはユノカルはこけたものの中国様はめげないということと、もう一つは中国が米国を初めとして主要な原油輸入国の競争に参戦したということ。中央アジアを巡る争奪戦(グレートゲーム)が始まる。
 このゲームをフィナンシャルタイムズがどう見ているかというと妙に皮肉っぽい。

US officials are right to declare that Chinese policy on energy and foreign affairs should ideally be based on morality and justice. The vital business of oil procurement, however, is the last place to look for such a change of heart. And the west has barely begun to set a good example.

 米国は原油争奪について偉そうなことは言えないよというのだ。やけに中国様に肩入れするものだなとも思うが、普通の経済活動と見れば、原油争奪戦自体はどってことでもないのだろう。
 私はフィナンシャルタイムズの見方とは違い、米国は別の危機への布石をしているようにも思えるのだが、米国自身は表立ってあまりそうした素振りを見せてないようでもある。

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コメント

>私はフィナンシャルタイムズの見方とは違い、米国は別の危機への布石をしているようにも思える

??中央アジアにおける対イスラム原理主義圧力の強化?
中国の膨張による中ロ対立の再燃?
エネルギ-政策による中国の富の吸い出し?
中共の民主化、経済と政治のソフトランディング?
貧富の差による民衆動乱、中国解体時の世界への影響緩衝策?
極東地域の覇権の分与、米軍の撤収?

さぁ、何だろう?
これだけの文脈では何を暗示したいのか私には絞り込めないよ。

投稿: トリル | 2005.09.05 19:20

>宮崎正弘の国際ニュース・早読み
>「中国はアフガニスタンのアルカィーダ秘密基地で捕獲したウィグル人過激派の送還を執拗にワシントンに求めてきた。これらのイスラム過激派数十人は、すでにキューバのグアンタナモ基地から釈放されている。だが米国はかれらを中国に送還しなかった。理由は『中国で公平な裁判を望めない』からである」(同誌9月3日号)。

同誌ってのは、エコノミスト(毎日新聞のではない)。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.09.06 08:56

大紀元 --- 日本 http://www.epochtimes.jp/jp/2005/08/html/d11999.html
こんなところかと思ったりします。

投稿: nana | 2005.09.07 00:43

>中国銀行が北朝鮮に資金支援
http://column.chbox.jp/home/kiri/archives/blog/main/2005/09/09_230101.html

これ?

投稿: トリル | 2005.09.10 05:46

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