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2005.09.14

国連改革ってアナンの辞任のことでもなさげ

 国連首脳会合が開幕した。ので、簡単に関連のネタである。昨年は日本のメディアはイラクの石油食糧交換プログラムにおける国連不正についてほとんど報道しなかった。ので、極東ブログはけっこうちくちく書いてきた。さすがに国連不正はもうバックレようもないので日本のメディアでも報道するようになったみたいだが、それでも少ない。なぜなんでしょうかね。私もこの問題への関心は薄れてきているので、昨今の状況について簡単にまとめておくだけにしたい。
 まず日本語で読めるあたりのニュースからだが、八日付の朝日新聞”アナン氏、辞任否定 各国に改革協力訴え 国連不正報告”(参照)が実に軽い。


 旧フセイン政権下のイラクへの国連人道支援をめぐる不正について独立調査委員会が「国連に指導力が欠けていた」などとする最終調査結果を報告したことを受け、アナン事務総長は7日、国連の改革に各国が協力するよう呼びかけた。自身の去就については、来年末までの任期を全うするほか、ほかの国連幹部も辞任する必要はないとの考えを示した。

 毎度ながら、なんだかよくわかんない記事だが、要するに「イラク関連で国連に不正はあったし国連はイラクに対してだめだめだった。だけど、国連幹部の不正追及もこの辺りで終わりにしたいし、アナンも責任はとらないよ~ん」ということ。いいのかそれで、って、朝日新聞は思わないのだろうか。たぶん、思わないのだろう、似たような体質だし。
 現在の国連はどうかというと、十四日付の産経新聞”きょう国連首脳会合開幕 成果文書、難航必至”(参照)がさらっと触れている。

 国連は、史上最大のスキャンダルといわれるイラク「石油・食糧交換プログラム」をめぐる不正事件で大きな打撃を受けており、アナン事務総長自身も調査対象となって、仲介などで指導力を発揮できる状況にない。
 成果文書の採択に失敗すれば、「国連に対する信頼がさらに低下するのは避けられない」(国連外交筋)状況である。

 冷静に考えると、国連は終わったと言っていいくらいかも、だが、物事冷静に考えるだけが面白いっていうものでもない。
 オモテに浮き出しているわかりやすい争点は何かというと、単純に「アナンさんヤメレ」という話である。十二日付の共同”国連事務総長「レームダックでない」・辞任を否定”(参照)が自ネタじゃなくてブログみたいな記事を書いているが、そーゆーこと。

アナン国連事務総長は12日付の英紙インディペンデントとのインタビューで「自分はレームダック(死に体)のように感じてはいない」と述べ、辞任の意思はないことを明らかにした。国連の対イラク人道支援事業「石油・食料交換計画」をめぐる不正事件で事務総長の責任を問う米国などから辞任要求が強まっていた。

 「米国などから」っていう他人事の表現がどうよだが、総じて共同は米国が国連を糾弾しているという枠で日本は関係ないかのごとくの報道を繰り返している。他にも九日付”アナン事務総長の辞任要求”(参照)はこんな感じ。

イラクへの人道支援事業「石油・食料交換計画」をめぐる不正を調べている米上院調査小委員会のコールマン委員長(共和党)は9日、国連本部で記者団に対し、不正を防止できなかった責任を問われているアナン国連事務総長について「トップとして不適格」と述べ、あらためて辞任要求を突き付けた。

 英国テレグラフもアナン辞めろの社説がこのところ続いた。十一日付”Kofi must be sacked”(参照)はこんな感じ。

The first of those reforms is to get rid of Kofi Annan, the UN's General Secretary. However genial he may be personally, he has proved himself incapable of ensuring that the UN runs in a minimally efficient and uncorrupt fashion.

 アナンは無罪かもしれないけど無能なんだからやめてくれというわけだ。九日付”If the UN is to prosper, Kofi Annan should quit”(参照)ではもう少しディテールに踏み、ボルトン新米国連大使の活動に触れていた。アナンが辞任すればいいというものでもないという話でもあった。

Meanwhile, John Bolton, the new American ambassador to the UN, has set the cat among the pigeons by suggesting numerous amendments to plans for making the world body more effective. The plans are based on recommendations from a high-level panel established, like the oil-for-food inquiry, by Kofi Annan, the Secretary-General.

 ワシントンポストはむしろアナンに焦点を当てるのを避けているよう見える。”Reforming the U.N.”(参照)より。

Again, it would be nice to believe that replacing Mr. Annan with a stellar manager would change this. But the United Nations' incompetence is hard-wired into the institution's DNA: the rules created by its member states that make it impossible for the secretary general and his top staff to hire good people, fire bad ones and move resources from unneeded programs to priority ones.

 問題はアナンじゃなくて、不正と無能は国連のDNAなのだというのだ。それもすげー表現だが。
 この前段になるが、ワシントンポストは事実上ヴォルカーも無能だと断じているに等しい。さすがにそうかもしれないなと思う。

To forge such a consensus, it's important first of all to understand what the Volcker report did not find. Despite a budget that ran into the millions, the inquiry did not nail large numbers of U.N. officials for personal corruption in administering the oil-for-food program. If it had done that, life would be easier; firing the wrongdoers might fix the problem. Instead, the inquiry found evidence of corruption on the part of just two officials, both of whom have since been forced out of their jobs. The real scandal that Mr. Volcker underlined is that the United Nations' culture is dysfunctional.

 確かに不正関与者は二人で終わりです、というわけにもいかないだろう。
 話を端折るが、国連改革というのはこのすさまじい糾弾の向こうにあるわけだが、ま、日本としてはどうなんでしょうかね。

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コメント

どうでもいいことで申し訳ありません。
引用記事中に記載されている
>レームダック(死に体)
は、「しにたい」と読むのですか? それとも「しにてい」?

どうぞよろしくお願いします。

投稿: 恥ずかしいので名前なし | 2005.09.14 18:56

そんくらいググれば?

投稿: | 2005.09.14 19:00

ググってみました。
「しにたい」と読むのですね。
おかげ様ですっきりしました。

ご親切にどうも。(^^)

投稿: 恥ずかしいので名前なし | 2005.09.14 21:43

コメント欄が寂しいと呟いてるようなので。

日本は、アメリカと国連の喧嘩は、国連への供出金負担の大きさから微妙にアメリカ寄りながら、あまり係わらないか中立という感じに思いますね。
本音はどちらも我が儘でツケの押し合いをしてるだけで、下手に係わると「今度もおまえが負担しろ」と言われかねないと思っている?

国連改革はできないというか、潰して新しく造るんじゃないかな、有志国群が。
新G4問題の顛末を見ていてそう思ったよ。
例えば日本も国連供出金出さなければ潰れるよ。

投稿: トリル | 2005.09.15 05:52

火中の栗を拾いたくないでしょ、誰も。
ましてウチら「敵国」ですし。

投稿: | 2005.09.15 12:04

ま、アナン潰し組みは今回のハリケーン責任サイドでもあるんで、回りまわってツケが回ってくるし。事務局長、責任はあってもギルティじゃないというところでしょう。彼を後送してボルトンでもあとにすえますか(悪い冗談ですみません)。
結局、彼を後送するメリットとデメリットを比較したら、デメリットの方が大きいのだと思いますよ。

投稿: 猫屋 | 2005.09.16 21:45

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