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2005.09.10

人間の脳は進化の途上

 私はちょっと勘違いしていたのだが、人間の脳はまだまだ進化の途上、というネタは日本で報道されていたっけ?
 勘違いというのはあれだ、なんとなくこっちの話とごっちゃにしていた。朝日新聞”チンパンジーのゲノム概要解読 ヒトの能力解明手がかり”(参照)とかAP”チンパンジーのゲノム解読、ヒトの遺伝的進化の解明へ”(参照)とか。
 こっちの話は、朝日の記事だとなんか要領を得ないが、APだとニュース的にはチンパンジーと人間は遺伝子的にはそれほど変わらない、というような話だ。この分野にある程度関心を持っていた人ならどれほどどってことでもないネタではある。ネタ元は一日付のネイチャーということになっている。APだとこんなふうにもある。


 シアトルにあるワシントン大学医学部のロバート・ウォーターストン博士は、次のように述べた。「一覧表が手に入ったので、次はこれを解明する必要がある。問題になるのは1つの遺伝子ではない。遺伝子の変化の積み重ねを解明することになるだろう」
 ウォーターストン博士は、『ネイチャー』誌の9月1日号や、同日付の『サイエンス』誌オンライン版に掲載されている関連論文の1つを中心になってまとめた人物だ。

 それほどこのニュースに関心はなかったのだが、東亜日報”ヒトとチンパンジー、案外遠い ”(参照)であれっと心にひっかかってはいた。ネタ元が同じなのに話が逆みたいでもあるからだ。

 チンパンジーは思ったよりヒトに近くないことが確認された。
 世界2大科学専門誌である米誌サイエンスと英誌ネイチャーが、1日の電子版でチンパンジーの遺伝子に関する最新の研究成果を同時に発表した。

 ただ、この記事は整理されてない印象もあった。というのは別ネタも混ぜているからだ。

 ネイチャー誌には米コネティカット大学のサリー・マクブレティ博士チームが、世界で初めてチンパンジーの化石を発掘したことも発表された。50万年前にできたケニアの堆積層からチンパンジーの歯の化石を3個発掘したのだ。
 発掘の場所からは、現生人類の化石も見つかっている。そのため、今回の発見は、チンパンジーと人類が500万~800万年前に共通の祖先から分かれ、別々に違う場所で生きてきたという従来の仮説に反するものだ。

 で、エントリ冒頭に戻って私の勘違いなのだが、この話と昨日付のニューヨークタイムズ”Brain May Still Be Evolving, Studies Hint”(参照)と同じネタ元の関連ネタかなとかちょっと思っていた。ま、それは違う、というわけだ。

Two genes involved in determining the size of the human brain have undergone substantial evolution in the last 60,000 years, researchers say, leading to the surprising suggestion that the brain is still undergoing rapid evolution.

The discovery adds weight to the view that human evolution is still a work in progress, since previous instances of recent genetic change have come to light in genes that defend against disease and confer the ability to digest milk in adulthood.

It had been widely assumed until recently that human evolution more or less stopped 50,000 years ago.


 つまり、定説だと人間の脳の進化は五万年くらい前に終了しているということだが、今回の研究だとそうじゃなくて、まだまだ進化の途上だというのだ。
 ネタの面白さという点では、RxPGニュース”Human Brain Is Still Evolving”(参照)が勝る。例えば、こっちの記事では研究者の興味深い発言をリードにしている。

"Our studies indicate that the trend that is the defining characteristic of human evolution - the growth of brain size and complexity - is likely still going on. If our species survives for another million years or so, I would imagine that the brain by then would show significant structural differences from the human brain of today."

 つまり、未来の人類の脳というのは現在の人類の脳とは異なるものだろう、というわけだ。
 基本的には脳構造、もっとざっくばらんに言えば、その外見ということでもあるのだろうが、それでもその機能差もあるだろうから、ちょいとSFチックではある。
 人類は今後も数万年単位での生存が可能だとすればどのような脳を獲得するのだろうか。その高次な能力とは、あれかなとかつらつら思うことはある。が、自分の脳の限界はこの程度だし、現存人類の知能が過渡的な状況にあるというのは、マジで考えつめていくとけっこう変な感じはする。

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「科学」カテゴリの記事

コメント

 恐竜の脳みそみたいに小さくても高性能路線(一部の固体)に走りそうな気も。
 脳でかい→頭いい路線は、そのうち破綻しそうな感じ。

投稿: うんこ | 2005.09.10 18:09

出産時の生存率がクリティカルなわけで、これが「5万年前」の実際の意味でしょう。ここをクリアできる文明人はより大きな脳の獲得が可能になる、ということでしょうか。数万年もいらんような。

元論文を読んでませんが。

投稿: Sundaland | 2005.09.10 18:13

hogeネタですね。

投稿: ちんこ | 2005.09.10 19:11

意識をコピーできる電脳化の方が
先に来そうな感じがします。
生体脳の中に電子器具を組みこんで、
だんだん電子器具の部分の方が
大きくなって、数万年と云わず、
数百年後にはみんな電脳に意識を
移し変えて生体も遺伝子改造しまくりで
今と全然違ったものにみたいな予感が…(^^;

多分、人類はもう自然の生体変化
の流れから断絶した領域に入っている
感じがします。

投稿: kagami | 2005.09.10 19:57

人間の外観の自然淘汰の要因はセックス・アピールだってジャレド・ダイアモンドがいってませんでしたっけ?それを考えると文明がある限り人間の脳は進化しないような気がするけどなぁ

投稿: 猿小玉 | 2005.09.10 23:35

ガイバーだよ。
我々は調整されて、何かになるの。
あるいは、ゼノギアス。
我々はいずれ統合されて、大いなる存在になる。
あ、それはエヴァか。
なんにしてもSFのモチーフね。

投稿: 通りすがり | 2005.09.10 23:40

進化した結果、何の性能が上がって何が下がるのか・・・・知る由は無いんでしょうね。

どうでもいいんですけど一行目、
「進化と途上」 → 「進化の途上」
のような気が。

投稿: bywordeth | 2005.09.11 01:06

進化は,その力や方向性が生物に「内在」しているものではなく,競争と淘汰の「結果」として生じるものです.
遺伝子の差異(個体が持って生まれた能力の差異)による淘汰よりも,生まれや経済力によって競争の結果が左右されることの方が多いでしょうから,人間が今後,ダーウィン的な意味での「進化」をすることは無いように思います.

投稿: | 2005.09.11 01:17

多分意見の異なる人もいるかと思うのですが、人間が作り出したすべての物をいわゆる”自然”と切り離して考えることは本質的に間違っていると思います。やはりそれも”生物”がつくりだした自然環境の一部なのです。そういう意味で現在の”生態系”では生物としてのヒトの身体的機能(肉体としての物理的な性能の向上)の変化はむしろ淘汰される方向にあり、この環境(社会)に適合して行く遺伝的な資質を備えた脳機能をもつ個体が(子孫を残すという意味において役に立てば)選抜され、その結果として”進化”していくということはあり得ると思います。ですから生まれや経済力は十分環境要因として成立するように思います。

投稿: kh0705 | 2005.09.11 05:16

いや経済力つったってここン百年の富裕層が進化してるとは考えられんでしょう。保守には長けてるのだろうけど。
新たな道具を作り出すことによりある種の空間認識能力が進化してると私なんかは思うんだよね。

投稿: Cyberbob:-) | 2005.09.11 06:31

うーん、にわかにはうなずけないけど、ここ1万年くらいの間でも脳に関わる遺伝子に変化があるのなら、文明下でも淘汰はあるってことですかね。

>>|さん
外見・コミュニケーション能力の進化はありうると思いますよ。「女は金についてくる」(by 堀江)と言っても限度ってもんがあるでしょうしw 病気に対する耐性も進化しそうだけど、医療の発達がカバーしちゃうからあまり淘汰の圧力にはならないかな。

投稿: 自由の敵 | 2005.09.11 08:16

 おはようございます。
(いよいよ選挙ですね。それはさておき)

「脳の進化」。環境の変化、といえば
やっぱり宇宙への進出でしょうね~

投稿: LISApapa | 2005.09.11 08:47

>「脳の進化」。環境の変化、といえば
やっぱり宇宙への進出でしょうね~

やはりニュータイプ登場ですか?

投稿: | 2005.09.11 08:54

 スタージョンの『人間以上』がすぐに思い浮かびましたが、あれはかなりグロテスクですね。外見的にというのではなく。
 アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』的な急激な入れ替わりがあると考える立場もありそうですが、完全に宗教思想の類になるだろうし、どうもそういう発想は好みません。ほぼ断絶しているような、畏怖すべき未知の高次の思考が、みたいなのは。

>人類は今後も数万年単位での生存が可能だとすればどのような脳を獲得するのだろうか。その高次な能力とは、あれかなとかつらつら思うことはある。

 あれですかね、共感能力。むか~しは人間でも別の民族や奴隷などはある意味別の種とみなされていたというか、「同じ人間」という発想がなかったというし。
 もちろん変に「人の気持ちを思いやれ!」というものではありませんが。ガイア的な感覚は検知されやすく、したがって言及されやすくなるでしょうけど、けしてそうはならない。
 あるいはその亜流として、一種のテレパシー的なものが別の方向に発達して、アシモフ『ファウンデーションと地球』のバンダー的な。

 まあそもそも数万年レベルで生存できるかわからないし、私のは元の文献も読まずにただの思考実験ということでSFホゲでした。
 しかし実際「現存人類の知能が過渡的な状況にあるというのは、マジで考えつめていくとけっこう変な感じはする」ええ、変な感じはします。

投稿: 左近 | 2005.09.11 12:18

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