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2005.08.27

財投機関債を巡って

 財投機関債を巡って、この間考えたことのメモをしておきたい。
 すでに他のエントリでも書き散らしているが、私は、郵政民営化の問題について財投機関債に着目していた。なぜかというと、ごく簡単に言えば、郵政民営化とは財投改革であって、郵便事業などはとりあえず論点から外してもいいだろうと考えるからだ。
 平成十三年度以降の財政投資融資制度によって、特殊法人(財投機関)が資金を必要するときは、まず自力で政府保証なしで財投機関債を発行し(市場からカネを借りるということ)、それが足りなければという限定で、政府保証の財投債(つまり国債:税金からカネを借りるということ)でまかなうとされた。財投機関債が主、財投債(国債)が従である。
 つまり、特殊法人は財投機関債によって経営するのが正しいありかたということになる。だから、特殊法人のありかたを考えるときは財投機関債の現状と今後のありかたから考えるのが正しい筋道になる。
 そこでこの間この問題を再考していた。
 財投機関債関係で気になっていたことは二つあった。一つはこれが本来は政府保証はないとされているのに市場での振る舞いは政府保証がついているとしか思えないということ。こんな鵺のようなものが跋扈していていたら財投改革なんかできない。この曖昧なものから潰して特殊法人を整理し、より大きな問題である財投全体の問題に着手すればいいのではないか。
 また、暗黙の政府保証を発生しにくくするには、小泉やその先生である加藤寛が言うように、元になる郵政のカネの入口を絞れるのは有効かと考えていた。
 だが、ブログ「マーケットの馬車馬」のエントリ”郵貯:改革の理由(番外編) 財投機関債のお話”(参照)では、財投機関債はそれほど問題でもないということらしい。


前提条件が180度違うので、finalvent氏とは結論も全く異なってくる。財投機関債に「暗黙の政府保証」の問題がない、又はほとんどないのであれば、むしろ機関債の発行は奨励されるべきだろう。また、今回いくつかの公団のHPを見に行ったが、まだ十分とはいえないまでも、情報公開はだいぶ進んできている。これも機関債へのシフトが理由である事は間違いないだろう。

 私はこれで納得したかというと、そうでもない。だが、それ以上切り込むにはよりテクニカルな知識が必要となり、私にはわからない。追記:ブログ「bewaad institute@kasumigaseki」のエントリ”それでも暗黙の政府保証は存在する、ほか”(参照)にこの関連の有益な示唆がある。
 財投機関債関連で気になっていたもう一つのことは、本来なら特殊法人は財投機関債によって経営されるはずなのに、そうじゃない財投債への依存が依然高い。なぜなのか。また、今後本来あるべき財投機関債へ移行する道筋がないようにも見える。そういった財投債との関連の問題だ。
 この問題については、そうは言っても、たぶんその道筋は早々になくなっているのだろうなと思ってもいた。だからこそこれも入口となる郵政のカネを絞り込むために今回の民営化が必要なのだろうとも思った。これは小泉と同じ理屈である。
 小泉は案外ただの勘で入口改革論に固執しているのかもしれないが(参照)こう主張している。

 特殊法人の事業資金には、国民の皆さんからあつめた郵便貯金、簡易保険や年金の資金が使われてきました。特殊法人が無駄な事業で赤字をだしたからといって、その負担を郵便貯金に預けた国民に求めるわけにはいきません。ですから、最後は税金で負担せざるを得なくなるんです。
 この構造を改革するためには、資金の「入口」の郵政事業、資金の「出口」の特殊法人、そしてこの間をつないで資金の配分をしている財政投融資制度。これを全体として改革し、資金の流れを「官から民へ」変える、そして、民間で資金を効率的、効果的に活用してもらおう、というのが、資金の「入口」である郵政民営化から「出口」の特殊法人改革までの大掛かりな改革の狙いなのです。
 すでに、財政投融資制度については、郵貯、年金の資金全額を国に預ける仕組みをやめました。そして、道路公団を民営化し、住宅金融公庫を廃止して住宅ローンは民間金融機関に提供してもらうようにするなど特殊法人の廃止・民営化の改革を進めています。
 残された一番大きな改革が、資金の「入口」である郵政民営化です。

 私としても、財投改革のカネの入口改革をためらうこともないだろうし、先進民主主義国において国営の銀行業・保険業があるというのも異常なことなので、民営化の基準でこうしたカネの流れを開示・吟味していくといいとは思う。
 こういう私の考えに対して、郵政民営化は財投改革とは別とか、財投改革にはカネの入口改革論は不要など、いろいろ議論があるようだ。そうしたなかで、小泉・加藤寛流のカネの入口改革論がより有効なのかといわれると、私には正直なところわからない。ただ、なぜそこまでして彼らが入口改革論を避けるのかは不思議に思う。入口改革論ではだめという理由は議論されてないように思える。
 話は以上なのだが、基本に戻って、なぜ財投改革にこだわるかというと、特殊法人の役人の天下りや無駄遣いというのがあるのだが、その結果といえば、当然、まいどおなじみの不良債権がある。それがさらにどうなるかは説明は不用だろう。
 ウォルフレンはその存在を想定しつつも額の想定はしてなかった。さて昨今どのくらいだろうか。財投残高三百三十三兆円のうち百兆円くらいは不良債権化しているだろう。実態はわからない。建前上は不良債権はないとされている。
 財投の不良債権問題が表面化する前にカネの元になっていた郵政民営化が重要かとと言えば、またそこでそれは別問題だといった議論も起こるのだろう。しかし、民営化しておいたほうが敗戦処理にはよいのではないか。

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「経済」カテゴリの記事

コメント

不良債権のおしりを拭かせた経緯より、
剰余金を還付するのが、特殊法人の出資者(国民?政府?)への落し前では・・・
と、読んでて一番に思った。

投稿: グミ | 2005.08.27 19:27

財投債の問題はマーケットの馬車車さんの「郵貯:改革の理由(2) 収益源のタイムリミット」にくわしいです。

投稿: 国民新党 | 2005.08.27 20:27

有名ブロガーを自認して憚らない方がこの程度の理屈だったんですか?orz
まあ既に賛成を表明してしまった以上、あとには引けないんでしょう。
しかし民営化で敗戦処理って言いますが、「民営化」で何が処理できるんでしょうか?

投稿: なにこれ? | 2005.08.28 06:57

finalventさんの財投債、財投機関債の話はよくわかりました。では、どうして民営化するとそれが改善されるのですか?
>だからこそこれも入口となる郵政のカネを絞り込むために今回の民営化が必要なのだろうとも思った。これは小泉と同じ理屈である。
これが毎度わかりません。
民営化しても、財投債、財投機関債に政府保証がつくのであれば入り口が閉まるのではなくて、入り口が変わるだけではないですか?今の日本経済のどこに?お金を必要としているのでしょうか?金利は低いけど、デフレは止まらない、そして民間の貸し出し額はどんどんと下がっています。新BIS規制が来年度から導入されますが、本当に民間にお金が流れるのでしょうか?この点百歩譲ったとして、利権構造がなくなる事がどう説明できるのでしょうか?
分かりやすいお答えを期待しております。

投稿: ぶらいあん | 2005.08.28 10:10

なんでこの話になると、必ずと言っていいほど感情論馬鹿が出てくるんだろう。

>ぶらいあんさん
横レスなんですか、多分民間に金が流れるかだとか財投の額が減るかとかそういう問題ではなくて、会計上の問題として国家補償が無いはずなのに事実上補償されてたりと、そういう意味での信頼性に疑義があるから改めなければならないというのがfinalventさんの言いたい所なんじゃないですかね?
債務は債務で、ちゃんと確定させときましょうよと。
そうしなきゃ信用は揺らぐし、財政措置もどの程度で行えばいいのか分からないでしょ、と。
私はそういうふうにfinalventさんの主張を理解しているんですけど、違いますかね?

投稿: くれふ | 2005.08.28 14:23

民営化しないと不良債権額を確定することは確かに出来ないって言うかしないだろうなー。
暗黙の政府保証って責任を取らない官僚組織にまかせておいたら不良債権が際限なく積み上がるだけだろうし。

投稿: ああ | 2005.08.28 18:28

くれふさん
横スレは結構ですが、だからどうして民営かなのですか?あなた何も答えていませんね。公社を民営化する意義や必要性は、誰もが考えている事ですよ。けれど、どうして改革の槍玉の一番手にそこが来るのか?どうしてそれを変えないと他が変えられないという議論に摩り替わるのかがわからないから、反対派はいるのではないでしょうか?
>債務は債務で、ちゃんと確定させときましょうよと。
反対派の論点とはまるで違いますよそこ。利権構造でおいしい汁を吸った人々にとっては、こういう理屈は結構な事です。利権構造を壊すための改革ですよね。霞ヶ関予備校の姿を見て、感情論を出すなとおっしゃっているのでしょうか。

投稿: ぶらいあん | 2005.08.29 00:40

ん?民営化して会計を明瞭にして損失があるならきちんと確定しましょうって話でしょう?普通に読むなら。その答えにあなたが納得するかどうかはまったく別次元の話であって。

投稿: | 2005.08.29 01:28

>ぶらいあんさん

酔ってるのなら構わないけど、シラフで言っているのなら、少し頭を冷やされたほうが良いですよ。
小泉さんの意見は小泉さんの意見、finalventさんの意見はfinalventさんの意見、私の意見は私の意見です。
それぞれがそれぞれ自分の理由を持った結論を述べているまでで、他者の理由を内包する訳はありません。
なので賛成派のあいつがこう言ってるから、賛成派のお前のこう言ってることはあいつの意見とは整合していないと言われても困ります。
これは反対派の意見に対しても然りです。
あなたか感情的に受け入れない事と、finalventさんの意見がfinalventさん流の判断として筋が通っているかという事と、私がfinalventさんの意見を要約した(あってるかどうかは分からないけど)こととは関係性がありませんので。
おそらくあなたの疑問はすでに答えられていることで、後はあなたが論理的な反対論と感情的な否定論を区別して、他人の意見を受け入れられるか否かという問題なのではと思います。

投稿: くれふ | 2005.08.29 02:22

くれふさん

人に頭を冷やせとか説教たれてもしょうがないと思いますけど。。

あなたは賛成の理由として、自分の意見を言ったに過ぎないと言っている訳ですね。それはいいですよ。尤もなのではないかと思います。ですが、私が指摘している論点はそこにないと言っているのです。論点がずれている結果、導き出す答えが違うものとなっているのですよ。ですが、物事の切り口、特に財務改革一つをとってもいろいろあるじゃないですか。よく読んでもらえれば分かりますが、財投債の記述はよくわかりましたと言っていますよね?民営化が敗戦処理化どうかは私には定かではありませんが。入り口論を話すのならば、こうした切り口はどう答えるのですか?と私は問いかけたまでです。これは国政ですから、一つの切り口だけを一生懸命に話されても、未来についてくる結果が短絡思考に帰結するわけではないのですよ。我々がシミュレーションする対象は非常に複雑な多変量解析なのですから。

感情論と人の意見を両断されていますが、その時点であなたが感情的なのではないですか。建設的な意見の提示ではないですものね。

それと財務改革と利権構造の改革はまさに表裏一体ですよ。それを同時にやる改革であるべきだというのが私見です。

投稿: ぶらいあん | 2005.08.29 06:05

おらの覚えでは、

カネボウ・・・出資者・債権者にダメージ
住専・・・・・・国民にダメージ

だから、民営化だと。
ちがうのか?

投稿: オンサ | 2005.08.29 13:40

>ぶらいあんさん

私は賛成論などこの場で一言とも述べていませんが。
頭を冷やしてくださいとは、そういうことです。
あなたにはあなたの信じる真実があるでしょうし、他人もそれ同様です。
そしてその判断基準の行き着く所は、それを信じられるかどうかという、単なる主観の世界にしか行き着きません。
あなたが何を信じるかはあなたの自由ですし、私が何を信じるかも私の自由です。
そこであなたの主観的信念を持ち出して議論されても、それはあなた以外の人間には同意しかねるものであるし、その議論はそこまでということです。
自己の主観的信念を持ち出して、自分のそれとは異なる人間は賛成派だと決めつけ、それに対して主観的判断による批判を行う事は、愚かでしかないという事です。
答えは出ています。
あとはあなたがまともな市民性を持ちえるかどうかという、あなた自身の倫理性の問題です。
財投改革に対する意見はすでに述べられています。
後はあなたがそれを信じるかどうかという話です。
信じないのならそれで結構、この判断に正しいも間違いもありません。
あなたに選挙権があるのであれば、もう少し自己中な論理形成をしないよう、自分を戒めてみてはいかがでしょうか。

投稿: くれふ | 2005.08.29 17:46

くれふさん

しばし水掛け論になっていますね。論点がかみ合わずにあなたと議論してもしょうがないので、これを最後のコメントにさせていただきます。

>私は賛成論などこの場で一言とも述べていませんが。
頭を冷やしてくださいとは、そういうことです。

あなたは首尾一貫性がないのでしょうか。郵政民営化問題:ワシントンポストとフィナンシャルタイムズであなたは、民営化論者だとはっきり言っています。勿論、私自身も民営化という方向性を否定した覚えはありませんが。

過去のコメントを見ていても、あなたは人はみな嘘ばかりを言っていると述べてますね。まるで自分が正しいかのように。そんな人間どこにもいやしませんよ。私は人に対して論理形成を戒めろだとか、人の倫理性を問題提起したりだとか、馬鹿だとか愚かだなんて事は言いませんよ。そんな議論したいわけではありませんからね。そこにどれほどの叡智があるのでしょうか。

あなたは自分を正しいと強く思っていられるようです。そして感情論にならないように勤めているように思えます。それは議論をするに有意義な事だと思いますよ。それがこのように、人の見ていない違う視点を、そうも否定するのは少しもったいない気がします。まぁ個人的感想ですが。

それからfinalventを含め一つ勘違いしているようなので、言っておきます。改革を進めるにあたって、賛成と反対というのは立場がまるで違うという事です。改革時というのは、必ず反対する人間がいるものです。そして改革者というのは、決して反対派の意見から耳を背けてはいけないのです。中にはくだらない言いがかりもあるでしょう。ですが、新しい事をやるというのはそういう事です。私は学問の世界に身を置いていますが、当然新しい事を定義すれば批判が出てきます。それを受け止め、一つずつ対応していくというのが改革なのです。それは学問の世界のみならず、国政でも同じ事でしょう。賛成論を一元化して話しているようでは、それこそ妄想ですよ。何かを変えようというならば、反対者が何を言っているか、どうしたら納得するか、それを考えるのが素晴らしい改革者です。そのシステムがリスクマネジメントを創造し、未来を対処するわけですから。突っ込まれる前に言っておきますが、これは私の思想的主観ではありませんよ。これは論理、理屈です。

それを踏まえたうえで、あなたがそこまで言うのならば、私の疑問の一つでも考えたらいかがでしょう。突っかかるのならば、そのくらいしてもいいと思いますよ。答えが出てるってどこに出ているのかわかりませんから。

>自己の主観的信念を持ち出して、自分のそれとは異なる人間は賛成派だと決めつけ、それに対して主観的判断による批判を行う事は、愚かでしかないという事です。

私とあなたの違いは、私は論理に対する疑問を呈しているにすぎませんが、あなたは私の人間性をずっと批判おられるのですよ。よくよく全体を読み返していただきたいと思います。

finalventさん長々と無駄口すみませんでした。終わります。

投稿: ぶらいあん | 2005.08.30 04:38

>finalventさんの財投債、財投機関債の話はよくわかりました。では、どうして民営化するとそれが改善されるのですか?

誰からも答えてもらってないようだから、代わりに(もちろん、finalvent氏と同じかどうかは知りませんよ)
まず、ある程度の社会経験のある社会人ならわかると思いますが、民間と公社を含めた公的部門とでは会計に対するシビアさは全くと言っていいほど違います。もちろん中の人間がどうという問題ではなく、システムの問題として、最後は国がケツを持ってくれるという意識はぬぐい去れないモノがあるのでしょう。ですから、同じ民間でも護送船団だったころのほとんど公社化していた銀行と今の銀行とで内部の行風が違うということは金融機関を知ってる人間なら多くが同意するところでしょう。今後、主に財投の不良債権問題などでシビアな財務処理が求められる中で入り口の多くを占める郵貯がお金にシビアにならざろう得ない民間がいいのか公社が良いのかは自ずと決まってくると思います。
もう一点、エントリーの暗黙の政府保証に関連すれば、暗黙の政府保証がないとする馬車馬氏の主張をまとめればこうです。民間の格付けを見る限り10年前は確かに暗黙の政府保証はあった。だが現在はまったくないとは言えないがほとんどない、そして将来的に郵貯が民営化されたらもっと無くなるだろうし、民営化された郵貯は自由にそれを買うべきだ。ではなぜ暗黙の政府保証は存在したのでしょう?それは大半の引受先の郵貯が公社であり、最後は国がケツを持ってくれると市場に判断されたからです。そしてこの十年で財投改革がありさらに小泉内閣になり郵政民営化の流れができたからこそ市場は以前のような政府保証は付かないと判断し、格付けは下がったのです。つまり郵貯が民営か公社かのどちらの方が不明瞭な暗黙の政府保証が大きくなり、公正な市場を阻害するのかはこれも自ずと決まってくる問題でしょう(そもそも金融市場に大きなウェートを占める郵貯が民営なのと公社なのとではどちらが不明瞭な市場を形作る事になるのか、と言い換えてもいいのですが)。

投稿: | 2005.08.30 09:54

答えていただけたのは嬉しく思います。ですが、それは私も承知の上の事です。勿論それらは述べていませんので私の口数足らずですが。finalventさんの新しいエントリも読みましたが、やはり私の疑問は払拭されません。

>今後、主に財投の不良債権問題などでシビアな財務処理が求められる中で入り口の多くを占める郵貯がお金にシビアにならざろう得ない民間がいいのか公社が良いのかは自ずと決まってくると思います。

これは敗戦処理論ですね。そりゃ民間でやった方が国としては楽でしょう。自分たちの手を汚さずですから。おっしゃるとおりの正論だと思います。

>そして将来的に郵貯が民営化されたらもっと無くなるだろうし、民営化された郵貯は自由にそれを買うべきだ。

それとは財投機関債の事ですね。特殊法人改革、財務省改革をせずに、どうして郵貯が自由に保障のつかない機関債を買うのでしょうか?機関債の買い手がつかなければ、結局国債が発行されるわけですよね?民営化したらよっぽど国債に頼るのではないですか?この点、馬車馬さんが「情報公開はだいぶ進んできている。これも機関債へのシフトが理由である事は間違いないだろう。」と述べていますが、郵貯が民営化しても同じ仮定が本当に成り立ちますか?そして「それに失敗した公団などは完全に政府組織に組み込む(それによって天下りだの退職金だのという鬱陶しくもどうでもいい話も消えるのではないか)、という方向でいいのだろうと思う。」とも言っておられるが、こうした失敗に対して余裕をかませるたぐいの話なのでしょうか?と私は思います。

結局、官僚利権には何のメスも入っていませんよ。わが国の借金体質に我々は何を学んだのでしょうか?それは財務改革と利権構造の改革はまさに表裏一体という事ではないですか?民営化して、効率化を唱える事は必要でしょう。財務体質の健全化は図られると思いますよ。ですが、改革というならば利権構造とのセットでないと効果半減どころか、デメリットが顔を覗かせかねませんよ。あえて個人的感情論を出しますが、創価学会の力を借りて利権構造をぶち壊すなんて言っても、信用できる代物ではないですし、本気だとはとても思えませんよ。

デメリットとは先に申し上げましたが、今の日本にとって郵貯の350兆円は過剰資本供給ではないかという事です。こんな事は一利もなく百害です。これを誰も取り上げませんが、この意見を定量的に否定できるのでしょうか?finalventさんの話は、ことこの民営化論に関して非常に定性的なものばかりです。ですが、マクロのキャッシュフローがそうした定性論で決まるならば、うだつのあがらない経済学者と一緒です。結局海外にお金が流れるのではないですか?運用は海外でやればいいなんて言うのでしょうが、それでは何の意味もない。

この郵貯の改革は大切な改革ですよ。皆さん言うように、どこの国がこんな大銀行を国家運営しているのか?と、資産を保証する分、国債を買うしか能のない巨大国営銀行の存在は確かに疑問符です。ですが、その原因とは何ですか?日本の外需依存体質がいつまでも改善せず、内需を抑制するようなこの官僚体質が腐敗の原因ではないですか。小さな政府だとか偉そうな事を首相は言いますが、最も大事な利権部分は手放さないじゃないですか。郵政が民営化して、本当にその資産が日本社会を活性化させる形作りが、今最も必要なのではないですか?それをしようとしないから、アメリカの要求を飲んでいるだけと言われるのです。どれだけ経常黒字を続けても、庶民生活が豊かにならないという矛盾に直結するわけですよ。

finalventさんの最新のエントリでは「だが、財務省のお先を見切ったと見てもいいのではないか。」なんて悠長な発言をされていますが、彼らは与党を目指して立候補しているのですよ。どうしたらこんな品のいい解釈ができるのかわかりませんよ。何度も言いますけれど、どうして視点が局在化していくのかわかりません。思考を放棄しているのか、それとも自分の得意なところでのみ話をしたいのか。興味がないところはシャレだとか雑談だとかで、議論のレベルを落としてしまう姿は残念です。まぁこう突っかかるのは、こんなにも力をいれて、休まず自分の意見を書き続けるのですから、迎合する人も多いわけです。ですが、finalventさんが口癖のように言われるように、これこそが民主主義の姿ですから、熱を入れたエントリにはそのぶん熱を入れてコメントさせていただきます。有意義な議論と、最大多数の意思が、論理を最も効率化させるという民主主義の大前提に則れば、議論の局在化と、人の主観は主観で、それは人の自由だと言った類の主張は、非建設的な方向でしかありません。当然ながら、これは相手をねじ伏せたいというよりも、私自身が理解を深めたいという気持ちの方がはるかに強いというのが、本音でありますのであしからず。

投稿: ぶらいあん | 2005.08.30 14:46

>郵政が民営化して、本当にその資産が日本社会を活性化させる形作りが、今最も必要なのではないですか?

これだけ豊かになた日本国で、政府が日本国民の試算を増やしてやる必要性はあるのでしょうか。

個人個人が自分の責任で資産運用をしていくことが、民主主義、資本主義の観点から妥当だと思います。

投稿: むにゅう! | 2005.08.30 16:09

>ぶらいあんさん

水掛け論なので私もこれまでにしておきますが、あのコメントをよく読んでみてください。
一部を抜き出して全体化されるのは迷惑です。
脳内補完でものを見ても、それはあなたの責任で歪むのです。
もう一度言います。
私は民営化賛成論を述べたことはありません。

投稿: くれふ | 2005.08.30 17:13

>どれだけ経常黒字を続けても、庶民生活が豊かにならないという矛盾に直結するわけですよ。

これは矛盾でもなんでもないですよ。デフレ不況で内需が低迷してるから輸入が減って黒字が増えるんです。国内に投資先資金需要が十分にないから対外投資=貿易黒字が大きくなるんです。今の状況で財政赤字(=内需)を減らせば貿易黒字はもっと大きくなるでしょう。

投稿: yokoyari | 2005.08.31 09:29

1財投機関債に暗黙の政府保証はあるよね派→財投機関債はつぶすべきだよ派
 1a財投機関債をつぶすために民営化しよう派(正面から財投機関はつぶせないから民営化で兵糧攻めだよ派) finalvent氏
 1b民営化しても財投機関債にあんまり影響はないよ派(財投機関をつぶすつぶさないは民営化とは別だよ派) bewaad氏
2財投機関債に暗黙の政府保証はないよ派→財投機関債に切り替えていくべき派 マーケット馬車馬氏

今はこんな感じでしょうか?

投稿: 国民新党 | 2005.08.31 10:57

 国民新党さん、ども。ええ、そんなチャートかなと思います。
 補足すると、私(finalvent)としては、経済に疎いので財投機関債の政府保証の有無についてつめた議論ができません。正直なところわからないなと思います。
 どっちかといと、財投機関債に政府保証はあるでしょうし、これが今後も困ったことだと思っています。というか、財投機関債もですが、それ以外の政府保証債など類似のものがあり、これらも類似の構造から出来ているのだろうと思います。ただし、これらの改革は原則を明確しつつも、緩慢に行わないと危険です。
 財投機関債も財投債もどちらもカネの流れで見るなら、入口は郵政ですから、入口改革論を支持します。そして、これは緩慢にですが有効でしょう。
 ただし、とても緩慢なので即効性はない点でそれほど有効ではないというのは自覚しています。また、この改革によって、三五〇兆円ものカネ(旧勘定)が民間に出るということはないというのも自覚しています。
 このあたりで、さらに、話がごちゃごちゃしていけないのですが、どうも入口改革論のポイントは、すでに、このカネの流れを断つというより、このカネを旧勘定に固定し、新銀行から手が出ないようにすることかなとは思いつつあります(これが狙われたらたまったものではありません)。
 この問題は深刻ですが、これを議論するためには、隠されている不良債権を前提にせざるをえず、しかも、この問題は表面的には存在していないことになっています。ここでも、私が経済に疎いため充分に議論できていません。
 余談ですが、堀内光雄衆議院議員が言うように、民営化こそ隠された不良債権を隠蔽するという主張もありえるかと思います。石油公団問題での活躍を見れば彼の発言には説得力があります。しかし、彼もこの問題において、不正追及もですが、国民富の保護も重視しているように、そこのバーターは現状となってはやもえないのではないかと思います。
 この点において異論はありうると思いますが、郵政民営化法案を廃案にすると、旧勘定の保護が外れ、旧来通りの国の保証だけで大丈夫かという不安もあります(これは勘違いかもですが)。
 bewaadさんを含め、リフレ派の意見については、理論的には正しいでしょうが、日本の経済における官民の峻別のほうを私は重視したいのです。その点からも、郵政を民営化し、官主導の産業セクター支配を弱くするには、今がチャンスではないかと考えます。

投稿: finalvent | 2005.08.31 11:52

finalventさん

非常によくわかる話です。そういう立場にたっての今までの議論だったのでしょうか?
>どうも入口改革論のポイントは、すでに、このカネの流れを断つというより、このカネを旧勘定に固定し、新銀行から手が出ないようにすることかなとは思いつつあります(これが狙われたらたまったものではありません)。
ここに焦点が集まるというのはよくわかります。理路整然としたものだと思います。
感情的に言えば、どうしてそれだけを考えるのかと思う節がありますけれどね。このお金、単純帰結するとやはりアメリカに流れていくのですよね?そのお金の流れが悪いと言っているわけではなくて、デフレ脱却はいつになるのでしょうかetc…、とかそういう話です。改革は一つずつという話もあるでしょうが、マクロ経済ってのは同時改革でないと、ある部分にしわ寄せがきたりするものではないでしょうか。そこのケアが欲しいと僕は思うのです。

>余談ですが、堀内光雄衆議院議員が言うように、民営化こそ隠された不良債権を隠蔽するという主張もありえるかと思います。
余談なんて言わなくてもいいと思いますが…。結局どちらの闇を取り除くかという話なのでしょうか。私としてはどちらともと言いたいのですが、それが物理的にできないというならば仕方のない事です。

>yokoyariさん

立派な矛盾ですよ。30年以上お金儲けを続けているのに、それを自分の懐温めずにそとに出してしまって、自分のところの経済冷え込んでいるのですから。そんな国が世界のどこに、歴史上のどこにあるのですかね?まぁこれまた感情論と言われそうですがね。でもここ、熱いところだと思いますが。あなたのように、クールな切り口でってのも、ありですけど。痛い目見ている人、夜逃げ自殺はもう見たくないですよ。

対外投資=貿易黒字とした一方、
財政赤字(=内需)->貿易黒字
っていうのも気に食わないですが。

投稿: ぶらいあん | 2005.09.02 01:09

むにゅう!さん

>これだけ豊かになた日本国で、政府が日本国民の試算を増やしてやる必要性はあるのでしょうか。

国民資産を増やす必要はありません。物質的な豊かさは、その円の購買力を持ってすればみな買えます。けれど、それと本質的な豊かさはまた別です。政府がやる事は、民間の資本還流の邪魔をせず、一方で税制と社会保障を中心とした、もう一つのループをしっかりと築く事ですよ。

>個人個人が自分の責任で資産運用をしていくことが、民主主義、資本主義の観点から妥当だと思います。

民主主義と資本主義は違いますよ。その考え方に資本主義であって、どこにも民主主義の観点は入っておりません。ちなみに資本主義が行き過ぎ、貧富の差によって社会が階級化するような社会では、民主主義なんてものが内在的に崩れるとさえ私は思っていますが。

投稿: ぶらいあん | 2005.09.02 01:23

米外債の購入は正直言うとポートフォリオとしては行き過ぎなんですけどね。
でも皆不安を持ちながらもアメリカのある程度身勝手?な政治力軍事力を信用してもいるし、日本の貿易黒字をどうするかという健全な計画も無いから、日本の貯蓄が直接間接にアメリカを支えてるような構図ができあがってるみたいですね。
日本の民間金融機関も大量の日米両国債を抱えてますよね。
やはりムードとして当局から引受要請はあるんだと思います。
暴落信用失墜はホルダーにも怖いですからね。
日本の金融政策や国際的政治力や展望の無さが各金融機関の運用力の無さと相まって閉鎖的な市場でアコギに稼ぐ以外はアングロサクソンやユダヤ資本に丸投げになるんじゃないかと思ってますよ。
で、郵貯ですが、それでもやはり民間と一緒の条件に並んで仕切直す方が良いと思うんです。


>1b民営化しても財投機関債にあんまり影響はないよ派(財投機関をつぶすつぶさないは民営化とは別だよ派) bewaad氏

が、結構事実だと思います。

>マクロ経済ってのは同時改革でないと、ある部分にしわ寄せがきたりするものではないでしょうか。そこのケアが欲しいと僕は思うのです。

多分これはまず起こりつつ次に手当をするということになると思います。
つまり社会問題になる程度には悪化する。
財政がこれだけ傷ついてると予め思い付くだけのセイフティーを用意しておくことはできないでしょう。
で、当然怨嗟の声が挙がるでしょう。
「どうしてここまで財政が悪化したのか?」
「何に使ったのか?」
「どれだけ残っていて帰ってくるのか?」
そういう声を背景にしないと既得権が入り組んでしまっていて改革ができないんじゃないかと思ってます。
ただ、利権というモノは役得みたいなものでポストに必ず付帯するモノだと思うので質量が変わっても無くならないと思いますけど。

投稿: トリル | 2005.09.03 04:26

トリルさん

>日本の民間金融機関も大量の日米両国債を抱えてますよね。
やはりムードとして当局から引受要請はあるんだと思います。
暴落信用失墜はホルダーにも怖いですからね。

これは信用で成り立っているというよりも、政治的なものだという意味で、いびつなバランスが世界経済を支えていると言えると思います。

>日本の金融政策や国際的政治力や展望の無さが各金融機関の運用力の無さと相まって閉鎖的な市場でアコギに稼ぐ以外はアングロサクソンやユダヤ資本に丸投げになるんじゃないかと思ってますよ。

ここが非常に重要だと思います。アメリカという国では、政治的シンクタンクが非常に幅を利かせております。そして国際戦略を常にアメリカ中心で逐次計算しております。では日本を見渡してどうかという言うと、私が知る限りですがまともに日本の政治や国家戦略を研究している様子はありません。ここらが官僚主導にならざるおえないといったところだと思います。という結果、あら不思議、キャッシュフローを見てしまうと、アメリカ経済を潤すように日本の政治がなっている、という事なのだと思います。年次改革書を見ても、影響力があるのかないのかは別にして、はっきりとした意思と戦略が感じられます。

現在、不動産投資がアメリカの経済を底ざさえしております。実体験でも、人の話でも、部屋を借りたり、買ったりというのが、都市部では大変な状態です。ではこれは何?と言ったときにやはりキャッシュフローで見てジャパンマネーが大量に入っているじゃないのという事です。

よくハゲタカが郵貯を狙っていると言いますが、言い方であったり、想像するのに抵抗があるのだと思います。一兆円規模のお金を国際金融資本グループが何故だかかき集めているというのは事実であります。そして金がどう流れていくかなんてのは、誰がどうそのお金を使ったり止めたりするかですから、闇雲に馬鹿げた話とまとめるのも、奪われると流布するのも何か違う気がします。

>そういう声を背景にしないと既得権が入り組んでしまっていて改革ができないんじゃないかと思ってます。

本当にそうなるという保証があるならばですけどね。そうなる事を祈っていますし、そうなった時に、皆が声を上げるための今であって欲しいと思います。今の自民党の戦略が果たしてその実現性に近いかといえば、落下傘候補やら民営化反対派の締め出す様子からは、短絡的に信用できない思いがあります。

投稿: ぶらいあん | 2005.09.03 07:15

いやー保証なんて無いですよ。
一応民主主義の国ですから、選挙によって是非が問われると言うことでしょう。
政権は大衆の支持がなければ遠からず墜ちます。

郵貯の預かり金は間接的には既に何処かに行ってると思った方が良いですよ。
民営化で、払い戻し預け替えに動く人もいるでしょうし、仕切直しには良いと思うんですけどね。

>短絡的に信用できない思いがあります。

ん。目先のことで手一杯って感じですね。
ま、花道としても郵政民営化をなんとか成し遂げたいと言うことでしょう。
小泉としては道筋は付けたから後は次の人がやってということだと思いますよ。

投稿: トリル | 2005.09.03 15:24

勉強になります。

民営化によって、財投を買わなくなる、という「入り口改革」に対して「国債を買うから同じ」というようなコメントがあったと思います。
民営化は、新会社の経営方針によって、それが左右されるので、国債を買わなくなるという選択肢も考えられると思います。
大口が国債から逃げれば、歳出削減などでは追いつかず、日銀券増刷・インフレというストーリーを思い浮かべますが、専門家の方の御意見があれば伺いたいものです。

投稿: 素人430 | 2005.09.04 11:08

ただの素人ですけど、既に協調購入を邦人金融機関は要請されてるようなモノなので、それだけでは状況が急激に変わるとは思いませんよ。
主たる金融機関が外資系になれば現在の条件ではほとんど長期購入しないでしょうね。
いずれにしろ歳出削減と幾らかのインフレ圧力を利用した財政建て直しはこれからのシナリオとして有望有力な一つですよね。

投稿: トリル | 2005.09.04 13:50

簡単に言いますと、三五〇兆円が国の金融機関によって集められ、国よって運用されているのは問題であると。たとえ民営化して三五〇兆円の運用先がビタ一文かわらなくても、それが民間の意思決定であれば、そうなったことに大きな意味があるという理解でよろしいのでしょうか。

投稿: 国民新党 | 2005.09.07 13:45

3-4年前に熱い論争がされていたのを今日知りました。民営化して運用先が変わらなかったでしょうか?民営化して分割しなければ郵便貯金の運用ミスか国策金利優遇を止める方法がなかった。そのまま行けば崖の下に落ちるのみだったというのが現在の解釈ではないかと、素人には思えるのですが、違いますでしょうか。

投稿: ハリー | 2009.01.26 20:10

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