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2005.08.28

それは布団じゃないだろ

 ラジオ深夜便を聞いていたら、BBCのローカルニュースで布団(ふとん)を英国から日本に輸出しているという話があった。一瞬、あっ、あれか、と思った。続いてラジオの話では、親切にもそれがどんな「布団」であるかについて解説があった。そうだ。あれは布団じゃないだろ。ではどんなものか。
 見れば、あれね、と大半の人がわかる。Google Imageで見るといい。キーワードはローマ字で「futon」である(参照)。
 スターウォーズに甲冑(ダースベーダー)だの、チャンバラ(ライトセーバー)だの花魁(パドメ・アミダラ)だのが出てくるほど日本文化が世界に広まっているせいか、ずばり日本の布団みたいな画像も出てくるが、大半は、見た目は、こりゃソファー。単純に言おう。布に綿を詰めてできているのが「futon」なのである。大抵は、背もたれのところが倒れて、ベッドにもなる。
 なんだこれはの状況は、Google(英語版)を見るとさらによい(参照)。「futon」で英語のGoogleを検索すると、いったいぜんたいこれはなんの勘違いなのかといった趣きのリストが並ぶ。が、これがグローバルスタンダードの布団ってやつだ。
 Wikipediaの布団の項目をみると洒落もなく布団の項目がある(参照)。面白くもなくヒネリもないのだが、布団へのこだわりは感じられる。


こたつで使用される敷物および掛けるものは、寝具ではないが、同じような形状であるためこたつ布団と呼ばれる。

 定義者は布団の最大属性を寝具としているのである。
 ところで、このWikipediaの項目ページの左コラムには、同一の意味の各国語版のリンクがある。そこで、Englishをクリックするのだ。じゃーん。ジニーのようにFutonが登場。
 定義はきちんと日本の布団についての説明から始まるのだが、日本を除く先進民主主義国で利用されている西洋布団(Western futon)についての言及がある。

Western futons are different from Japanese futons in several ways. They are usually filled with foam as well as batting, often in several layers, and are almost always much thicker and larger than Japanese futons, resembling a traditional mattress in size.

 そしてなにより西洋布団についてずばりその本質を述べている。

Most Japanese people would not recognize a Western-style "futon" as a futon.

 日本人の大半は西洋風の布団を布団とは認識できなかろう、というのだ。まったくね。
cover
蒲団・重右衛門の最後
 日本と西洋の布団といえば、忘れてならないのは、あれだ。あれだよ。田山花袋の布団だ。ちがう。「蒲団」(参照)だ。ちょっと表記を変えてある。

 小石川の切支丹坂から極楽水に出る道のだらだら坂を下りようとして彼は考えた。「これで自分と彼女との関係は一段落を告げた。三十六にもなって、子供も三人あって、あんなことを考えたかと思うと、馬鹿々々しくなる。けれど……けれど……本当にこれが事実だろうか。あれだけの愛情を自身に注いだのは単に愛情としてのみで、恋ではなかったろうか」

 三十六歳の竹中時雄は恋にやぶれ、女の体臭の残る蒲団をくんくんしながら泣いたという明治の大文学である。現代でいうと、村上春樹の「羊をめぐる冒険」にある別れた妻が残した下着だろうか。文学的なリアリティとしては花袋の「女のなつかしい油の匂いと汗のにおいとが言いも知らず時雄の胸をときめかした」のほうが強い。あー、言い忘れたが、この女、芳子は十八歳ぐらいである。
cover
FUTON
 この手の話というのは、いつの時代にもあるし、意外に重要なのは、やはり布団である。英語ならfutonだということはすでに書いた。なので、中島京子の「FUTON」だ。
 そ、それでこの話のオチなのか。

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「雑記」カテゴリの記事

コメント

確かに futon はまったく布団とは呼べない代物ですけれど、どちらも寝具であることに変わりはないですからね。私は大目に見ています :-)

投稿: nh | 2005.08.28 11:24

布団が最初に欧米で紹介された頃は、スノコ板みたいなベースの上にマットみたいな硬いものを敷いてるだけ、というのを良く見ました。

その後普及するにつれてスノコ板を半分立ち上げてローソファ、フロアソファにも使えるようにしてるのを見るようになりました。

多分布団のオリジナルを見ないで使ってるうちにソファベッドスタイルがスタンダード化しちゃったんでしょうねぇ。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.08.28 15:13

>布団(ふとん)を英国から日本に輸出しているという話があった
おー、なんと物好きな。と言うより、そんな悲惨なと言うべきか。
一度寝てみると分かりますが、背中、腰を痛める代物です。日本の布団、西洋のベッドにも似つかないモノに人気が集まるなんて話題不足なんでしょうか。日本人がこんな物を本気で有難がるなんて思えないですね~。

これって単なるBBCのネタですよね。

投稿: | 2005.08.28 20:55

小泉を愛しぬきどこまでも付いて行く極東ブログ、郵政民営化大々賛成の極東ブログ、自由民主党と公明党を強く支持する極東ブログだということはよくわかりました。
しかしちゃんとした理屈で説明してしないと、単なる小泉マジックに乗せられた恥ずかしい中年ニートということになりませんか?

投稿: yuta | 2005.08.29 10:39

そもそも、室内は土足でバッチい生活をしている人たちが、
布団なんかで眠るわけがありません。

ウチにもその『フトン』あります。

簡単に言えば、『折り曲げられるマットレス』のことですね。
(普通のベッドのマットレスは折り曲がらない。当たり前か。)
小学校にあった薄手の体育館マットレスみたいなものです。
その折れる点が、ソファーベッド用に適している、それだ
けのことです。

投稿: buvery | 2005.08.30 10:13

the futon です。大阪府堺市の布団太鼓という祭りでは、ざぶとんと太鼓をかつぐのだそうですが。

投稿: | 2005.08.31 00:50

>小泉を愛しぬきどこまでも付いて行く極東ブログ、郵政民営化大々賛成の極東ブログ、・・・
yutaさんとやらはどこの地方支社に務める人だか特定局長さんだかしらないけど、futonの話とこのコメントと、何の関係があるのかな?

投稿: kurukuru | 2005.09.01 20:33

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以前の記事で述べましたが、スマトラ沖の津波・地震災害発生に際しては、米国メディアは一斉に「ツナミ」と報じました。現在も、米軍の支援が続いていることもあって、テレビから「ツナミ」という音が聞こえることがままあります。 「ツナミ」という言葉自体は、日本に興味のない米国人でも知っている普通の名詞で、おそらく元々日本語であることを知らない人も多いのでしょう。わざわざCNNでは語源の解説までしていました。 �... [続きを読む]

受信: 2005.08.28 12:49

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