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2005.07.12

普天間飛行場の嘉手納基地統合が動き出す

 この話題、あまり書くのもなんだが、ちょっと報道のバイアスというか雲行きが怪しいのでこのあたりで簡単にメモしておこう。普天間飛行場の移転の問題だ。
 結論から先に言うと、やはり、嘉手納統合で決まりそうだ。というか、それっきゃないことは十年前からわかっていたことでもあり、この話はもう一年近くも経つのかと感慨があるが、「極東ブログ: 沖縄県内代替基地なしの普天間飛行場返還は好ましい」(参照)や、「極東ブログ: 米軍機、市街地墜落の意味」(参照)でも触れた。
 今回の動きは、琉球新報”嘉手納統合は暫定 普天間飛行場”(参照)が詳しい。


在日米軍再編で、普天間飛行場の嘉手納飛行場への統合を10年程度の暫定とし、その後は県内の他の米軍基地内に移設する方向で政府が検討していることが9日までに分かった。複数の政府・与党関係者が明らかにした。代替施設予定地はキャンプ・シュワブ内陸上か嘉手納弾薬庫内が有力。嘉手納飛行場への統合の期間を区切ることで、地元の理解を得たいとする狙いがある。ただ嘉手納飛行場への統合は周辺自治体の反対が強く、政府内にはなお、慎重な見方もある。基地の所在する地元の動向が行方を占うことになりそうだ。

 話の手前、辺野古近くのシュワブ案がふかされているが、それはありえない。っていうか、ワロタ的なフカシ。
 くどくどした話はさておき、簡単に言えば、あとは米国側の決断だけの問題でもある。というのは、同記事にもあるが、嘉手納統合に決まってしまえば日本は口出しできない。

日米地位協定第三条は、基地内の「設定、運営、管理」は米軍の自由裁量と定めており、法的には日本政府も自治体も関与できない仕組みになっている。

 こうした流れになっているので、泡を吹いたように、嘉手納統合案否定の動きがぞろぞろと出てきた。すごくわかりやすいのは、ライブドアニュースも提携する赤旗”普天間基地返還要請へ/宜野湾市長・学生らが訪米/沖縄”(参照)である。

米海兵隊普天間基地の早期閉鎖・全面返還を米国政府などに要請するため、同基地を抱える沖縄県宜野湾市の伊波洋一市長は十日午前、那覇空港を出発し、関西空港経由で米国に向かいました。


 伊波市長は「日米協議の中で沖縄の声が反映されるよう現状を的確に伝えたい。『普天間』はこれ以上放置できず、県内移設では解決しないことを訴えたい」と強調。新膳さんは「(米軍ヘリの墜落現場で)そのとき、その場所で感じたことをストレートに訴え、若者の代表として基地はいらないものだということを伝えていきたい」と決意を語りました。

 本土左翼の手前、本土移転が言えないところが沖縄のつらいところで、そうなると誰もが納得する「米海兵隊普天間基地の早期閉鎖・全面返還」ということになる。が、これは、端的に言えば、米国内の実質の植民地や軍事同盟国への移転ということで、グアムやオーストラリアに移せということに過ぎない。それで問題が解決かよということろが、旧左翼的な反戦主義が実はナショナリズムに同値しているということでもあり、その先の話もあるが言うも野暮な状態だ。
 だめ押し的な引用だが共同系”宜野湾市長が訪米に出発 普天間の米本国移転を要請”(参照)より。

 沖縄県宜野湾市の伊波洋一市長は10日、同市の米軍普天間飛行場について、米本国移転によって早期返還するよう米政府などに要請するため、関西空港経由で米国に向かうため那覇空港を出発した。

 話を少し変えて、普天間飛行場はさっさと廃棄しないといけないのだが、訓練などは幾分か本土移転になるのではないかというか、そうしないといけないのだろうという思いは小泉首相にもあるらしい。そのあたりはけっこうまともな政治家の感性でもある。
 くどいが、嘉手納統合がベストだとは私もまるで思わない。嘉手納付近の住民に負担が増えるからだ。普天間飛行場を現状のままだらだら放置し、効果のない正論の声をあげて自己満足に陥るよりはマシだろうというくらいでしかない。そんなことをしている間にまたヘリ墜落のような大惨事の危険性が増すだけなのだ。
 この手の話は書くだけ無用な反発を招きかねないのでうっとおしくなりつつあるし、いわゆる右派とか軍事系みたいな人もけっこう外すことがある。米海兵隊が沖縄に駐屯しているのは象徴的な意味しかない。

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コメント

海兵隊が沖縄に居座るのは日本の駐留経費負担も理由ですね。アメリカの在外基地は原則として駐留先に経費を負担させるのが原則ですが、日本ほど負担してくれる国はない(負担率だけなら日本並みのところは他にもありますが)。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.07.13 13:29

駐留費負担って…そんなのは馬鹿でもわかっているだろう。だが、それが前提でもない。オセロの角(4つの角)みたいなものさ。金の問題じゃないよ。

投稿: すまいりー | 2005.07.14 11:43

将来の話ですが。返還なった後の普天間って、いろいろお土産を提げて返ってきそうです。右手に広大な滑走路跡地、左手に軍事廃棄物の山。政府部内でちらりとそのまま自衛隊に移管してしまえ、という声が出るのはそのへん(原状復帰と跡地再生)まで責任を負いきれないから、そのまま右から左に移して蓋をしてしまえ、といっているようにも聞こえます。防衛庁首脳はさらりと否定してましたが、その線が燻り続けないか、なんとなく心配です。日本政府が一番信用ならないのであります。

投稿: i-330 | 2005.07.14 22:02

>すまいりー

ところがどっこい、米は軍事費削減が大問題。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.07.15 09:21

つか、ここのでの論点は「海兵隊」駐留問題だというのを見落としてるのでは。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.07.15 09:35

自衛隊移管論は、米軍使用権維持の隠れ蓑です。米の方針として、基地の使用権を握って離さない、空き家の管理は当該国に移管、というのは世界的に共通してます。
福岡空港(旧板付基地)など返還後も米軍が利用してます。

投稿: ■□ Neon / himorogi □■ | 2005.07.15 09:44

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