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2005.07.27

OECD次期事務総長人事についてお笑いを一席

 ブログのネタ帳のようなものを見ていると、OECD(経済協力開発機構)次期事務総長人事について書いてなかったなと気が付く。書かなかった理由はあまりこの問題に気乗りしないこともだし、知識が足りないせいもある。メモ書き程度に触れておきたい。
 現ドナルド・J・ジョンストン事務総長は来年五月で任期を終える(参照)。人事選考の概要は、二〇日付のOECDのニュース"事務総長後継:Six candidates put forward for the post of OECD Secretary-General"(参照)がわかりやすい。候補は以下の通り。


  • ポーランド マレク・ベルカ(首相)
  • オーストラリア アラン・フェルス (オーストラリア競争・消費者委員会会長)
  • メキシコ アンヘル・グリア(前財務相)
  • 韓国 韓昇洙(元外交通商相)
  • フランス アラン・マドラン(自由民主党党首)
  • 日本 竹内佐和子(世界銀行エコノミスト)

 選考は、ヘドロが歌う「世界金持ちクラブ」を聞きながら、三〇か国による話し合いの合議で一二月一日までに決める。
 問題は誰に決まるかということ。候補者リストを見れば日本人なら誰もが違和感とまでも言えないまでも、韓国必死だなを読むと思うが、そのあたりは、”OECD次期事務総長、韓日の争いか”(参照)が笑える。

 これまでのところ、競合候補はポーランドのマレク・ベルカ首相、メキシコのアンヘル・グリア前財務相の2人で、ここに日本の候補がダークホースとして浮上している。
 外交通商部通商交渉本部の関係者は14日、「日本が候補を擁立する見通しで、韓国との激しい競争が予想される」と述べた。
 日本の候補としては川口順子前外相と世界銀行エコノミストの竹内佐和子氏ら女性の名前が挙がっている。さらに重量級の人物が出馬するとの見方も出ている。立候補の締め切りは15日。

 結局、日本は竹内佐和子を出した(参照)。というわけで、日本では、竹内佐和子祭でつか状態になっている。朝日新聞も舞い上がって、「ジョンストン事務総長は後任事務総長の出身国について、日本が有力で、女性が望ましいとの考えを示してきた。」(参照)とか言っている。そのあたりのノリがたまりませんの人は「FujiSankei Business i.BLOG|歳川隆雄のコンフィデンシャルi.」”“後出しジャンケン”で勝機!?”(参照)が面白いのだろうか。ちょっとこの感性に、私はついてけんが。
 さて、実際の世界の空気はどうよということなのだが、フィナンシャルタイムズあたりが指標になるかなと思ってワッチしていたところ、二〇日付”A think-tank revamp”(参照)が扱っていた。冒頭から、ハリポッターの校長先生のような説教がちんたら続くので読みづらいがそのあたりに英国流の皮肉な伏線があるのだろうとは感じる。というあたりで、日本へのほのめかしはねーなとも感じる。そして、だ、ここにも中国様のご威光がぁ。

As an organisation, then, the OECD is clearly still relevant and distinctive. But if it is to remain so, its membership and internal structures need to be reviewed. On an increasing number of issues, big emerging markets such as China and India can no longer be left out of credible discussions. Where such countries cannot be incorporated as members because they fail to meet one or both OECD criteria of pluralist democracy and a market economy, flexible additional participation may provide a way forward. China, for example, is set to join the OECD's influential Working Party No.3 in September.

 つまり、ぶっちゃけ言えば、OECDの未来っていうのは、中国問題(プラス・インド)だよ、と。
 そして、結局どうよ、フィナンシャルタイムズさんということだが、皮肉がきつい。

In order to tackle these reforms and address the fact that the OECD is currently under-utilised at the political level, the new secretary-general will require political clout as well as intellectual authority. Nationality should be irrelevant in choosing Mr Johnston's successor. Far-fetched as it may sound, OECD members must avoid settling for a second-rate candidate with the least objectionable passport.

 あー、つまりだな、頭がいいとかは全然関係ねーよ、と。求められるのは政治力だよ、と。
 どの国から出たなんてことは問題にするべきにあらずと言っておくということは、そこが問題だよ、あとからぐちゃぐちゃ言うなと。
 さて、これで、候補者六人のツラを見るに、誰ざんしょ。どう見ても、竹内佐和子は落ちでしょ。韓国やメキシコは論外でしょ。いや、中国様の線で韓国を拾う? 注目は著名なベルカでしょかという線だけど、ランカー様は乗り気でない、と。マドランが出るにはサルコジがまだまだか、と。で、消去法で残ったのは誰? アラン・フェルス、え? それって誰? しかし、フィナンシャルタイムズも"a second-rate candidate"を懸念していることだし、ジョンストンもカナダだったし、コモンウエルスっていうのは、対中国対EUには、よ・さ・げ、かと奥さん。
 というわけで、おちゃらけになった。ので、それほど予想というものでもない。

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コメント

>選考は、ヘドロが歌う「世界金持ちクラブ」を聞きながら

で、呵呵大笑。

投稿: synonymous | 2005.07.27 11:31

アンヘル・グリアぁぁぁ~~!?
これは懐かしい名前を見つけた。元気だったんだ。80年代初めから累積債務危機に直面したメキシコの財務省担当者として、国際金融団を向こうに回して丁々発止、八面六臂の活躍をした、その筋では超有名な人ですよ。

実にカラフルで魅力的なキャラだったなー(それにみんな騙される!?)。というわけでグリアに一票!!

投稿: やぶ猫 | 2005.07.27 12:48

土曜日、日焼けサロンイコウゼ。

投稿: しっと | 2005.07.27 22:32

候補よく吟味すべき。スパーフィシャルな美辞麗句の好きなヒスなおばさんが正体。10年前の書籍の経歴と今は表現が違う。コネで博士号を取得?もっとまともな人日本にはいないのかね?

投稿: 投稿者 | 2005.08.24 10:21

>スパーフィシャルな美辞麗句の好きなヒスなおばさんが正体。

個人的な付き合いでもあるんですか。

>10年前の書籍の経歴と今は表現が違う。
へー。どんなふうに。

投稿: 通りがかり | 2005.08.29 10:41

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