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2005.07.03

国際決済銀行(BIS)報告雑感

 国際決済銀行(BIS:Bank for International Settlements)の七十五回目の年次報告について先日フィナンシャル・タイムズのコメントがあり、ちょっと違和感をもった。
 と、その前に、本来なら、日本との関連で、特に量的緩和政策についてのBISの示唆をどう理解してよいかを明言できればいいのだが、率直に言ってわからない。
 この件では、記事としては、二七日付日経”日銀の量的金融緩和政策、転機迎える・BIS年報”(参照)が典型的なものだろう。


日銀の量的金融緩和政策は転機を迎えていると分析。金融システムの正常化で民間金融機関は大量の資金を必要としなくなっており、量的緩和の「出口」に向けて日銀が市場とどう対話するかが重要になると強調した。
 年報は日銀が金融機関への資金供給のために実施する公開市場操作(オペ)で、応札額が目標額に届かない「札割れ」が頻発していると指摘した。資金の借り手のモラルハザード(倫理の欠如)や金融市場の機能低下、財政規律の緩みなど量的緩和の弊害も列挙した。

 後段の部分のトーンからすれば、量的緩和政策を終わりにせよ、というふうにこの記事は読めると思う。問題はむしろ、その「出口」の見つけかたということになる。が、むしろ、問題は、「金融システムの正常化で民間金融機関は大量の資金を必要としなくなっており」をどう受け止めるかだ。表面的にはそういうことではあるのだろう。ただ、そこが私にはよくわからない。
 今朝の毎日新聞社説”デフレ・いつまで呪縛にとらわれる”(参照)は論旨全体としては支離滅裂な印象をうけるのだが、そのことはさておき、量的緩和政策についてこうBISがお墨付きを与えたかのように書いている。

 たしかに、国民経済全体の物価変動率である国内総生産(GDP)デフレーターは今年1~3月期でも1%下落とその幅は大きいが、傾向としては縮小の方向にある。国際通貨基金(IMF)も日本のデフレが解消の方向にあることは、最近の対日年次協議などで認めている。国際決済銀行も年次報告で日本銀行の量的緩和政策が転機に来ていることを指摘した。

 毎日新聞社説のトーンからは、デフレは早晩終結する、だから、量的緩和政策が転機、つまり、終わりにせよと受け止めてよいのだろう。
 そういうことなのだろうか。
 BISの報告の原文、特に、該当部分”BIS 75th Annual Report - Chapter IV: Monetary policy in the advanced industrial economies ”(参照)からPDF文書でダウンロードできる。
 ざっと読んでいて基本的にはよく言われる議論だなという印象なのだが、以下の部分に奇妙な陰翳を感じた。

As seen elsewhere in the world, inflation targeting regimes can help to shift inflation expectations down and maintain them at a low level. The Bank of Japan’s challenge, however, would be somewhat different. It would be to achieve and maintain expectations of low inflation in a growing economy after a decade of deflation and sub-par economic performance. Perhaps the more important contribution made by setting an explicit inflation objective, once the economy and financial system were on a sounder footing, would be to reduce the likelihood of inflation expectations overshooting on the upside given the large reserve overhang. Such an overshoot could lead to an increase in borrowing costs and aggravate some lingering fragilities in the economy, not least problems associated with weak companies still battling for survival.

 ちょっとやぶ蛇な意図はないし、反リフレ派とかリフレ派とかいう毎度のご批判はご免こうむりたいのだが、BISのこのあたりの話に、理論通りな施策をしない日本には日本の事情があったんでしょうなといった奇妙な印象を受ける。というか、日本が正攻法を取れなかった、その本当の理由はなんだったのだろうか。
 当面の問題としては、BISとしては、現状での”量的緩和政策”だが、表面的には、目標残高自体の引き下げには慎重にせよということなので、単純に出口を探せというふうに読めるものなのか、そのあたりもわからない。
 と、書いてみると曖昧な前振りが長くなってしまったが、私としては、二九日付フィナンシャルタイムズ”A world economy, living dangerously”(参照)が気になった。端的に言えば、この標題どおり、世界経済が危機的な状況にある、ということなのだが…。

The impression it conveys is of a world economy pumped up on a high-octane mix of public and private debt in the industrialised economies, careering towards a brick wall.

 と、枕に英国風のユーモアを置いたあと、BIS報告を引用し、ユーモアをさらに英国風に研きかける。

The world's current account imbalances are a familiar - but ever bigger - part of the problem. "If what needs to be done to resolve external imbalances is reasonably clear, it seems clear that much of it is simply not going to happen in the near term," is the bank's jaundiced, but all too perceptive, view of how politicians will rise to the challenge.

 つまり、なんにも改善されないでょ、ということだ。
 フィナンシャルタイムズは、この先、でもそう悲観的になることはないよと続くのだが、オチはちょっとやけっぱちな印象を受ける。

The Gleneagles agenda shows how the Group of Eight, which excludes China, India, Brazil and other global players, no longer plays the strategic economic role for which it was set up. A new group is urgently needed that better reflects today's more complex global economy.

 現実的なところ、中国、インド、ブラジルがどんなプレイができるというのだろうか。そして、それは重要なプレイなのか。
 フィナンシャルタイムズもこんなふうに受け止めているあたり、なんか無責任な感じがする。というあたりが、現実の今の世界そのものなのだろうか。

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投稿: よぼらぼ | 2007.12.18 16:17

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