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2005.06.26

B映画チャイニーズ・フランケンシュタインの復活

 ふざけたタイトルですまん。マジなタイトルにできそうにもない。
 タルネタとも言い難いのにこの時点でエントリを起こすのもなんだが、情報を掘っていく手間に書くきっかけを失してしまうかもしれないし、この問題に詳しい方に情報を教えてもらうほうがよいのかもしれないので、粗いのだがざっとふれておきたい。
 エントリのきっかけは産経系”江沢民前主席、原潜「参観」 存在感アピール ”(参照)である。話は、江沢民・前中央軍事委主席が夏級原子力潜水艦を参観したとされる写真がインターネットに掲載されているというのだ。単純な話、それってどこ?と思うのだが、まだ私は追跡していない。中国語の情報の追跡は苦手でもある。
 産経のニュース発表は今朝のものだが、該当写真のネット掲載時期は四月二二日、つまり先日の反日デモのあたりのことらしい。産経の記事は、胡錦濤政権が反日デモを押さえ込んだ直後」と記すことで、胡錦濤対江沢民死んでないのかフランケンシュタインとの対立と読んでいる。それはありそうな話でもある。
 写真はこうらしい。


写真は夏級原潜(タイプ092型)の甲板上で、私服姿の江前主席が多数の軍人の中央で記念写真におさまっている。撮影時期、基地名は明記されていない。

 問題は、チャイニーズ・フランケンシュタイン復活の恐怖よりも、この原潜の恐怖のほうだ。産経はこう指摘している。

この原潜は今月16日に青島沖から新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を実施したとみられる艦艇であることもあって、江前主席を中心とする軍の勢力が国内外に向けて存在感をアピールする狙いが垣間見えている。

 一六日のSLBM発射実験だが、朝日新聞”中国が新型SLBMの発射実験に成功 大連沖から内陸へ”(参照)を事実確認として引用しておく。

 中国が、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功したことがわかった。政府関係者によると、16日夕に大連沖の黄海の潜水艦から発射、中国西部の砂漠地帯に着弾させたという。大陸間弾道ミサイルのDF(東風)31型を改造したJL2型とみられ、3000キロ余り飛んだとみられる。
 中国海軍は現有する夏型原子力潜水艦の後継艦を開発中で、新型SLBMは後継用らしい。中国は80年代に初めてSLBMの実験に成功。昨年、新型の実験をしたが失敗したとされる。

 関連の話は、「極東ブログ: 中国は弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN-Type094)を完成していた」(参照)でもふれたので関心のあるかたは参照してほしい。簡単に言えば、これだけは米国は洒落にしない。
 同記事ではさらっとこうふれているのだが、ここはけっこう問題でもある。

 政府関係者によると、数年後には、中国は新型のSLBM搭載原潜を西太平洋に配備するとみられ、米中の海軍同士の緊張が高まる可能性もある。政府関係者は「SLBMにおける技術向上を示したもの。急速な近代化を図る中国の軍事政策の一環」と分析している。

 朝日新聞はなぜ西太平洋なのかを華麗にネグっているが、単純な話、石油のシーレーンである。石油の自由主義市場という米国の逆鱗を中国様はそそっと撫でてくれるのである。余談だが不安定な弧というのは、案外中国問題のカモフラージュなのかもしれない。
 ちょっと読みが甘いし、あんまり読むとネットにありがちな陰謀論ができるだけだが、昨今の次の例えば二点のシフトも、上の文脈にあるのではないか。
 例えば、今日付の産経系”新型イージス艦、舞鶴配備 07年春に「日本海シフト」”(参照)。

 海上自衛隊が三菱重工業長崎造船所(長崎市)で建造している新型イージス艦(7,700トン)を2007年春、海自舞鶴基地(京都府舞鶴市)に配備することが26日、分かった。
 同基地には現在、イージス艦1隻を配備。佐世保基地(長崎県佐世保市)の2隻と合わせ計4隻が朝鮮半島危機に備えた「日本海シフト」を敷くことになる。当初、佐世保基地を候補にしていたが、日本海での任務が多い舞鶴基地を増強することにした。

 もいっちょ。ロイター”台湾、米国から早期警戒レーダーを購入へ”(参照)。米国防総省は二十三日、台湾に早期警戒・探査レーダーを提供すると発表した。受注はレイセオン社である。

レイセオンによると、このシステムで台湾の空軍機は、長短距離の弾道ミサイルや巡航ミサイル、敵の戦闘機・水上艦を「絶対的な」信頼性で探査・追跡できる。

 ただ、こうした緊張の構図はある意味でゾンビの江・フランケン・沢民がのこのこ出てくるあたりで、またですか、中国の内紛、ということでもある。軍が噛んでいるので洒落にならない事態にはなりうるのだが、それでも、胡錦濤政権との対立の構図があるなら、そのあたりは日本もきちんと読む必要はある。
 現状では、胡錦濤はいわゆる中国の平和的な台頭という路線からそれほど外していないようにも見える。場合によっては、日本も戦略的に折れてもいい局面はあるかもしれない。みそくそな言い方をするとそのあたりのタイミングは米国は出す可能性も高いと思う。

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コメント

>単純な話、石油のシーレーンである。
戦略原潜を通商破壊なんかの戦術任務にはつけませんよ、普通。魚雷搭載数も少なく、水中運動性能にも劣るものですし。
西太平洋に配備するのは、単純な話、射程が足りないだけではないでしょうか。
でなければ、アメリカの攻撃原潜はうようよする外洋に出すはずが無いです。ヘリや水上艦による護衛がしやすい、内海に配備したいはずですから。
中国の技術力では、先日の漢級原潜のように、外海に出た途端に捕捉されて、抑止力になりえません。

投稿: たろん | 2005.06.26 22:20

戦略原潜は、一つには前方に進出して弾道弾の射程を補うという狙いと、もう一つには、発射寸前まで位置を秘匿することで報復能力を担保する、という狙いがあります。前者については今回話題の西太平洋進出の意義そのままですが、後者については日米の監視網に突っ込むことになるので、そう簡単な話でもないでしょう。

確かに中国潜水艦の改良も著しいようですけど、中国が大量の潜水艦を安定して運用できるほどでもないのも相変わらずのようです。

技術官僚の胡錦濤は中国軍制の中ではどちらかといえば日陰者の潜水艦隊には技術屋(タービン)繋がりでコネがあると言われてます。先の領海侵犯も中南海の指示があったという論者はそこを理由にしてる人がいました。

かって軍を支配していた江沢民が胡錦濤の影響も少なくない潜水艦隊を参観したというのは、(1)胡錦濤への権力移譲は未だ成らず、と言いたいのか(2)実は二人の間には対立は少なくて二人ともに親しい潜水艦隊を使い、単に権力闘争を演出してるだけなのか。

何れにせよ「胡錦濤はいわゆる中国の平和的な台頭」というのは、どうでしょうね。経歴的(チベット処断)にも、当初は温和で平和的な人物を演出し、意図したものかどうかはともかくもやることは過激という結果に終わってますし。

投稿: ■□ Neon □■ | 2005.06.27 09:05

梶ピエール先生の所で知った

http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20050626#p1

この論考を思い出しました。
果たしてどのくらい妥当性のある分析なのかは即断できませんが、確かにそう考えると胡錦涛政権の「平和的台頭」と対日(というか対小泉)強硬策は何ら矛盾しない事になります。

投稿: Repulse | 2005.06.27 13:47

中国の戦略原潜に関しては、現状では、まったく危機となりえないというのが世界の軍事評論家の定説です。石油のときもそうですが、日本の評論家連中には中国が以下に非合理な行動をしてきたかに対しての理解がないようですね。清朝末期から中国の軍事行動はすべて実力の裏づけのない妄動であったのに、それに対してずっと日本は、ばかばかしい過剰反応をして結局は国益を損なってきたのです。

投稿: eternalwind | 2005.06.27 18:32

>Repulse様
それだと最近2chで出回っているコピペそのままかも…w

>「六韜」(りくとう)
> 交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が有能ならば何一つ与えず返せ。
> 交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が無能ならば大いに与え、歓待せよ。
> そうすれば、隣国では無能な者が重用され、有能な者が失脚する。そしてやがては滅ぶ

投稿: fusianasan | 2005.06.27 22:13

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» 中国海軍 新型SLBM発射実験に成功 新疆に着弾 [真silkroad?]
ったく!ノドン、テポドンのときは大騒ぎするくせに。まだニュースで見てない。 http://www.m [続きを読む]

受信: 2005.06.27 23:49

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