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2005.06.28

ユノカル問題続報

 ユノカル問題続報。というか、ふーんな展開になりつつあるので、もうワン・ステップ接近しておこう。まず注目すべきことは米国議員四十一名がブッシュ政権にユノカル買収問題について国家安全保障の観点から調査するよう書簡を送ったこと。朝日新聞”中国海洋石油のユノカル買収案、米議員が政府に調査要請”(参照)より。


 41人の民主・共和両党の議員が書簡のなかで、中国国営企業が、米に拠点を置く企業のエネルギー資源を買い取ったり、また特許技術を手に入れる可能性を持つことによって、米安全保障が脅かされる可能性がある、との懸念を表明した。

 ポイントは、「民主・共和両党の議員」というところ。これは後でふれる予定。
 もう一点。

こうした動きの背景には、原油価格が過去最高水準に達し、また中国の対米貿易黒字が1600億ドルに上り、さらには中国の軍事力が増大している、という点がある。

 どってことない話のようだが、通貨の問題も絡んではいる。これも後で。
 これに対して、中国海洋石油(CNOOC)は問題を緩和すべく協力的な素振りを見せている。読売新聞”ユノカル買収提案の中国海洋石油、米審査に協力表明”(参照)より。

米石油会社ユノカルに対し買収を提案した中国国有の石油大手、中国海洋石油(CNOOC)は24日、米政府の主要省庁で組織する「対米外国投資委員会」(CFIUS)による安全保障上の審査に協力する方針を発表した。

 ブッシュ政権側だが、乗り気薄ともとれないし、すっかり乗り気というふうでもない。微妙なところだが、駒は進めるようだ。日経”中国海洋石油のユノカル買収提案、米報道官「注視している」”(参照)より。

マクレラン米大統領報道官は27日の記者会見で、中国海洋石油(CNOOC)による米石油大手ユノカルへの買収提案について「注視している」と述べ、ブッシュ政権が大きな関心を示していることを強調した。計画が前進すれば、米政府として買収が米国の安全保障に問題を引き起こさないかどうかを審査することになると指摘した。

 同記事に続くように、二十三日上院公聴会でスノー財務長官が証言してように、米包括通商法(1988)では、国家安全保障にかかわりそうな外国企業による米社買収は審査され、問題があれば、政府が差し止める権限を持っている。
 中国海洋石油(CNOOC)としては、ユノカルによる石油・ガス生産量は米国の石油・ガス消費量全体の1%に過ぎないので、米国のエネルギー市場には影響を与えないと主張している。確かに、その面での問題は当面なさそうだ。が、投機への影響は与えるし、日本についても同様とは言い難いことは「極東ブログ: 行け、行け、中国海洋石油!」(参照)でふれた。あまり国内報道ではユノカルと春暁ガス田群問題がリンケージされないように見えるのだが。
 中国海洋石油(CNOOC)は、日本人から見ると、どうしても中国ベタのように見えるが、対CFIUSでは同じくカネに物を言わせて米国のコネを抑えにかかっている。
 CFIUSの審査結果待ちという流れになるのだろうが、その場合、審査結果よりも、審査期間のディレイがシェブロン側に有利になるので、高度な決着が付く可能性もある。あまりいいソースではないがPost-gazett.com”After earlier fumbles, Cnooc played to win”(参照)ではげげげな話を伝えている。このあたり、暗げなニュースなんだけどあまり注目されてなさげ。

In Public Strategies, Cnooc is getting a firm with close ties to the Bush White House. One top executive, Mark McKinnon, ran President George W. Bush's media campaign in the 2004 election. Mr. McKinnon isn't working on Cnooc, however. The point person on the account is Mark Palmer, an expert in crisis communications. Before joining Public Strategies, Mr. Palmer ran communications for Enron Corp., the failed energy firm that became a symbol of corporate excess after its collapse in 2001.

 この話は筆禍ゾーンでもないのだろうけど、これまでにして、冒頭残した「民主・共和両党の議員」のことと通貨の関連だが、端的になぜ民主党? 中国バッシングは民主党のほうがというのはあるだろうが、あれっと思ったのは、昨日のクルーグマンのコラム”The Chinese Challenge”(参照)だった。役どころはちゃんと抑えてるとも言えるのだが、話の向きがちょっと違う印象を受けた。

Fifteen years ago, when Japanese companies were busily buying up chunks of corporate America, I was one of those urging Americans not to panic. You might therefore expect me to offer similar soothing words now that the Chinese are doing the same thing. But the Chinese challenge - highlighted by the bids for Maytag and Unocal - looks a lot more serious than the Japanese challenge ever did.

 メイタグについてはここではふれないが、こうした中国の攻勢について、かつての日本と対比し、そしてやや否定的な立場に立っている。
 理由は、二点ある。
 一つは、日本の米国買いは実際には無害だったが、中国の場合は、そういう生ちょっろいものではないということ。クルーグマンはこの点はさらっと撫でている程度なのだが、背景には企業経営という視点で中国共産党ってどうよという含みあるように思う。
 二点目は、中国には台頭の意識があるよ、ということ。このあたりはちょっと微妙なので引用したほうがいいかもしれない。

The more important difference from Japan's investment is that China, unlike Japan, really does seem to be emerging as America's strategic rival and a competitor for scarce resources - which makes last week's other big Chinese offer more than just a business proposition.


Unocal sounds, in other words, like exactly the kind of company the Chinese government might want to control if it envisions a sort of "great game" in which major economic powers scramble for access to far-flung oil and natural gas reserves.

 ただ、クルーグマン的にはそれほどは深刻になっていないし、毎度のことながら、政治センスはないよなのオチになっている。
 クルーグマンの話のスジはそういうことなのだが、意外に否定的なもんだなという印象は強い。
 議論としては脇道かもだが、案外こちらの指摘が重要なのかもしれない。

So it was predictable that, sooner or later, the Chinese would stop buying so many dollar bonds. Either they would stop buying American I.O.U.'s altogether, causing a plunge in the dollar, or they would stop being satisfied with the role of passive financiers, and demand the power that comes with ownership. And we should be relieved that at least for now the Chinese aren't dumping their dollars; they're using them to buy American companies.

 いずれアジア各国もドルを買い支えなくなるよってな与太話はよく聞くが、米国の赤字と人民元のはいわば共犯的な関係にある。
 マクロ的にはそのあたりで、米国の算盤に合うあたりで答えを出すのか、事態を「いやいやマジっすよ」と出すか。EUの武器輸出が頓挫した経緯を見ていると、陰謀論とかではなく、裏の認識はありそうなので、ワタシ的にはマジな答えが出そうな気がする。

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コメント

中国がドルを買い支えてるって話もありますからねぇ。資源と貿易と通貨がややこしく関わった結実って気がします。
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/05/by_7f35.html

投稿: あげ | 2005.06.28 11:48

ソースが大紀元なんですけど、これどうなんですかね
カナダ議会、外国投資法を改正、中国の投資活動に歯止め
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/06/html/d73108.html

投稿: わきげ | 2005.06.28 13:26

>端的になぜ民主党?

支持母体の違いを超えて中国が問題になってるに過ぎないのでは。

投稿: ■□ Neon □■ | 2005.06.29 02:25

政治的な問題の前に経済的に決着がつきそうです。

CNOOCは今回の買収では現金を用意しなければならないのに対しChevronは株式交換を行うためキャッシュフローに傷はつかない。しかもCNOOCとChevronの規模はおよそ1対5。

現在行われているシンガポールでのunocalとcnoocとの話し合いはchevronからさらに高いbidを引き出すための儀式にすぎません。chevronが買収価格を引き上げ、銀行融資で買収資金をまかわなければならないCNOOCはこれ以上の借金は格下げを招きかねないため手を引かざるを得ない。というのが筋書きでしょう。
ライブドアの場合と違って中国ではまだMSCBや株式交換ができない金融制度の後進国だというのが痛いですね。

投稿: F.Nakajima | 2005.06.29 22:13

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