オゾン層の変化で台風(ハリケーン)経路が観測できる
小ネタの類なのでさらっと。話は二週間前、米国時間で八日付のNASA (National Aeronautics and Space Administration)のニュースに、”Ozone Levels Drop When Hurricanes Are Strengthening(ハリケーンが強化されるときオゾン・レベルが落ちる)”(参照)という話があった。標題は正確なのだがあまり一般に関心をひくものではない。同じネタでもサイエンス・ライターが書いた”Surprise New Technique Improves Hurricane Tracking”(参照)のほうが注目しやすいだろうし、話も読みやすい。こちらの標題を意訳すると、「意外な最新技術がハリケーン進路計測の精度を高める」になる。日本の状況で言うなら、ハリケーンは台風と言い換えてもいいだろう。発生する場所の違いだけの熱帯低気圧なのだし。
話は、宇宙から観測したオゾン濃度によって台風の進路計測が可能になりそうということだ。研究はフロリダ州立大学のXiaolei ZouとYonghui Wuという、名前から察するに中国人の学者が発表したものだ。一二個のハリケーンについてその目の移動とオゾン層の状況について見ていったところ、その経路に関係が見られたというのだ(参照・図)。特にハリケーンの目の位置ではオゾン濃度が高まりその周りの濃度は低下する。イメージでいうと、あれだ、シャブシャブ鍋みたいな感じ。
一般的な補足だが、台風やハリケーンというのは対流圏の現象だが、オゾン層は成層圏まである。なので、実際のハリケーン時に、特徴あるオゾンの濃度分布で見極めることが可能になるなら確かに衛星から観測しやすい。
さらに今回の研究では、ハリケーンの発生についてもオゾンに着目することで観測精度を高めることができるのでは、としている。従来なら雲が覆って見にくい状況でもオゾン濃度は計測できる。
今回の発見で台風観測の精度が向上すれば、それについで経路予想の精度の向上も期待できるだろう。
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コメント
初めまして、ロハスについてブログを書いているMと申します。
finalventさんの「台風の経路観測の精度が向上する可能性がある」という話題にリンクを張らさせて頂きました。(TBではなく、本文中)
もし何か問題がございましたら、お手数ではございますが、ご連絡ください。
事後承諾ですみません。
投稿: M | 2005.08.30 01:45