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2005.06.04

韓国とその外の世界の認識ギャップ

 昨日の朝、ぼんやりとラジオを聞いていると、現在ソウルで経済関連の学会に出席している評論家田中直毅が韓国経済の話をしていた。聞いてみると、面白いというのと違うかもしれないがそれなりに面白かった。オチはこうだ。韓国としては、米国が北朝鮮に軍事的な圧力をかけると、韓国の情勢が不安定に思われ、投資に支障を来すから困る、というのだ。なんだそれ?
 田中の話は、韓国経済はスランプの状態にある、というところから始まった。スランプになった理由の一つは、輸出主導型の経済なのに輸出の伸びが悪いということだ。特に、エレクトロニクス関連がよくない。
 もう一つの理由は、家計の消費の調整が始まったということだ。単純に言えば、れいのクレジットカードの問題が強く足をひっぱりだしているらしい。五月発表の消費者物価指数では四月はマイナスとなった。
 この話は昨年極東ブログ「韓国のクレジットカード破綻と日本の内需」(参照)でもふれたことなので、私としては納得しやすい。
 幸い、このクレジットと家計の逼迫の問題は先にもふれたように、昨年は、輸出が好調なのでそれほどクローズアップはされなかった。
 田中の話に戻る。こうしたスランプ状態にあって、韓国のエコノミストたちは、家計の冷え込みを補うために韓国政府が、金利を下げる、税を下げる、政府支出を増やすなど、景気刺激策をとらなくてはならないだろう、と見ているようだ。
 それでも韓国の今年の経済成長率(3.5%)は日本(2%)よりも高いのでそれほど重要な問題なのか、私にはよくわからない。より前向きな見方としては、日韓経済協会”調査部の視点:『最近の韓国経済の視点(2005年4月)”(参照)が参考にはなる。
 さて、田中の話はこの先でオチに向かう。中央日報が行なった韓国に投資している海外会社169社にアンケートが紹介された。それによると、もし北朝鮮への経済制裁が実施されると投資に影響があるかとする問いに、63%が投資はできないし引き上げも検討するとのこと。さらに、北朝鮮に対して軍事行動があればどうかとする問いでは、これが73%に上る。
 韓国としては、米国が北朝鮮に強行に出ることの経済のリスクが高く避けたいとみているようだ。
 このあたりで私は苦笑してしまう。それじゃ、北朝鮮が核開発をさらに進めるままでいいのかと思うのだが…、つまりこのあたりに、韓国と日米間に大きな認識ギャップがありそうだ。
 田中の話から離れる。韓国がどう考えても、米国は米国でさっさと話を進めている現状がある。すでに米空軍のF-117ステルス戦闘機の一部が韓国に配備された(参照)。
 この件で日本はどうすることもできない。朝鮮日報”「信頼できない韓国」を直視せよ”(参照)によると、先日、日本外務省の谷内正太郎事務次官が、韓国で「北朝鮮の核問題に関連し、米国と日本が情報を共有しているが、米国が韓国を信頼しないため、日本が得られる北朝鮮の核関連情報を韓国と共有することに躊躇している」と発言したが、この口の軽さにもあきれるが、お小姓たる日本の本音だろう。
 しかし同紙社説は、そうした日本の軽口が問題ではないと、きちんと問題の核心を見ている。


 とはいえ、北朝鮮の核問題が差し迫った時点で、韓国が核関連情報を依存するほかない国によって「韓国は信頼できない」、「韓国に情報を提供できない」といわれる状況に対しては、政府が緊急の処方箋でも設けなければならない。
 北朝鮮の核問題を解決するなら、否応無しに米日との協力は不可欠だ。そのためには、米日との協力体制が現在どういう状況に置かれているかをありのまま直視する姿勢が必要だ。

 残念ながら、現実の韓国はそう進む気配はなさそうだ。
 昨今、日韓で珍妙な小競り合いが続く。こうした認識ギャップの向う側で韓国が日本や米国がどう見えているのかは、なかなか日本側には共感はできない。その分、さらに小競り合いが続くのだろう。が、どこかで引き返せない事態にならないよう、できるだけのことは日本もしなくてはならないようにも思えてきた。

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コメント

日米が懸念する事態も、韓国は同じ民族ですから「そこまでバカな選択はしませんよ」と考えているのでしょうか。
あと、「それじゃ、北朝鮮が核開発をさらに進めるままでいいのか」の部分は、日本人にとっても少し耳の痛いくだりで。道路公団・年金・国や地方・3セクの借金。破綻するのが見えていても改革先送りしてしまう国民性で…(^^;) 郵貯だって政府の保証がなければ実質破綻してるとか聞きますし、中韓との関係もなぁなぁで収めてるうちに余計にこじれてきて…。
ところで、韓国は中国に対してどのようなスタンスなのでしょうか。日本にとっての中国以上に、韓国にとっての中国というのは潜在的脅威だと思うのですが(経済的にも)。歴史を思い出してみても、朝鮮への出兵の回数は凄く多かったように思いますし、そのあたりの国民感情は悪くないのかな?、と。教科書での記述とか気になります…。

投稿: BBQ | 2005.06.04 18:07

韓国の経済成長率は今年に入ってだいぶ落ち込んでいるようですね。
「経済成長率、米3.4%・日本5.3%・韓国1.6%」
朝鮮日報のこの記事が面白いです。

投稿: nanoshi | 2005.06.04 21:05

先ほどの記事、リンクが貼れていませんでした。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/05/27/20050527000060.html
です。

投稿: nanoshi | 2005.06.04 21:07

>この口の軽さにもあきれるが、

韓国野党に対してこの発言はどうかとは思いますが、むしろ米が露骨にいえない(言っても通じない)ことを代弁してるわけで、口が軽いという問題でもないような。

つまり敢えて火中の栗を拾って外交ポイントをアメリカから稼いでるわけで、韓国に対しては最初から算盤弾いてないというか、単に千日手でイイや、くらいの投げやりなのでは。

投稿: ■□ Neon □■ | 2005.06.05 03:23

はじめまして、こんにちは。

非常に面白い内容で楽しめました。またこの田中氏の言うことに一理あると感じました。実際に海外投資家は北朝鮮に関して韓国とある程度の同一視を以前からしておる為、もしもアメリカの軍事行動が朝鮮半島でなされれば、あるいはそれに近いことがなされればますます韓国経済が打撃を受けるという事を韓国政府が危惧していたとしても何らおかしな物ではありません。

しかしだからといって太陽政策などと言うぬるま湯政策や北核支持で朝鮮半島やアジアの周辺諸国を危険に巻き込めば、経済だけでなくもっと危険なことも起こりかねないことには、韓国政府はあえて目をつぶっています。

その場凌ぎが苦手なくせに、しかしその場凌ぎが大好きな国、韓国。今月の各国首脳との会談の内容が楽しみで仕方ありません。

投稿: Christopher | 2005.06.05 10:26

こんにちは。
北朝鮮問題が政治や軍事でだけ語られるのに不満でした。やはり大人はカネの話が重要なわけで。
それにしても韓国は、
「北朝鮮が核兵器をもったっていいじゃないか。少しずつ統合してゆくから外国は口を出すな」
なんて理屈が通ると本気で思っているんだろうか?

投稿: きゃべじん | 2005.06.05 17:30

第二のアチソン声明ばんざーい。

投稿: a | 2005.06.05 20:25

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