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2005.06.14

中国の遺伝子組み換えコメ

 国内ではベタ扱いだったのが、中国の遺伝子組み換え(GMO:genetically-modified organisms)のコメについて気になる話がロイターで流れていた。”Illegal GMO rice spreads across China - Greenpeace”(参照)がそれだ。
 目新しい話でもない。当ブログでも一度扱おうとしてためらっていたことでもある。が、いろいろ複雑な問題があり控えた。この機に簡単に触れておきたい。
 邦文の記事は共同”違法組み換え米、なお流通 中国でと環境団体”(参照)で扱いは軽い。


国際環境保護団体のグリーンピースは13日、同団体が今年4月に中国での流通を指摘した違法な遺伝子組み換え米が、その後の調査の結果、湖北省や広東省で依然、流通していると発表した。

 グリーンピースと聞くだけでドン引きという向きもあるかもしれないが、それで苦笑して終わりともいかない。彼らの調査では、湖北省のコメにGMOコメが含まれており、当地の卸商によれば、「1日約60トンの湖北省産米を購入し、広州、中山、珠海など広東省内のレストランや工場に販売している」とのことで、本当なら洒落にならない量だ。しかも、このGMOコメは、武漢市の研究用組み換えのコメの種子が外部に流出したものらしい。
 中国的な発想だと何が問題だかわからなくなるかもしれない。少し古いが二月の新華社”GM rice promoted to boost supply”(参照)では、GMOコメに期待が膨らんでいた。

The Changsha Evening News quoted the head of the super hybrid rice scheme Yuan Longping as saying that GM rice would boost China's rice output by 30 billion kilograms a year. That's enough to feed 70 million more people.

According to supporters of GM rice, it will enable farmers to do away with the widespread use of dangerous pesticides, and result in better yields and higher quality grain that will spur farmers' incomes.


 現在中国が抱えている最大の問題は人民元なんかではなく農村部の貧困であり、GMOコメはこれへの対処の強力な要因と見なされている。短い報道ながら含蓄があり、要するにこれは病虫害への耐性を高めたGMOコメであることがわかる。
 このGMOコメの問題、特にその危険性については、四月一六日付けニューヨーク・タイムズ”China's Problem With 'Anti-Pest' Rice ”(参照)が詳しい。当然ながら、人間が食物とすることの危険性は確定していない。そもそも、まだ研究段階のものだからだ。問題は、それがずるっと流通しはじめている点にある。

Farmers and seed market officials here say the planting of biotech seeds is widespread in the region and has occurred for about two years. But they also say many farmers do not eat the rice they harvest. Some farmers think that anything that kills a field pest could also prove harmful to people.

But the farmer holding the fistful of rice in his home says he and his family eat all the anti-pest rice he produces.

"Why not?" he says with a broad smile. "I don't believe the government would poison its own people."


 ブラック・ジョークとしては最高と苦笑できないのは、ようするに農民にとってはすでに政府認可に見えているという実態だ。
 この問題について、日本国内でのリアクションは今回のベタ記事扱いでもわかるように、あまりないように見受けられるが、隣国韓国ではマジで考えると洒落にならない事態が進行しているのかもしれない。四月一八日付け朝鮮日報”中国で遺伝子組み換えコメの不法取引 国内も対策まとめが急務”(参照)では、先のニューヨーク・タイムズの記事を元に韓国内でのGMOコメの流通の可能性を指摘している。

 中国産コメは韓国のコメ市場の開放を受け、今年9月から本格的に国内に輸入され、スーパー等で市販される予定であり、遺伝子組み換えコメの流入を防止するための何らかの措置が必要だと指摘されていいる。
 これについて農林部は、「中国などから輸入されるコメに対しては、遺伝子組み換えかどうかを判別するために国際的なコメ検疫企業であるOMICに検査を依頼している」とし「韓国が輸入する中国産コメの主な生産地は東北3省であり、遺伝子組み換えコメは見た目からも区別できる」と述べた。

 この話にちょっとツッコミたい気がするがなんとなくブログ筆禍ゾーンの気配も感じるので控えておく。
 問題はGMOコメの管理もだが、もう一点気になるのは、このGMOコメがどうアジア経済に影響するかだ。あまり深く掘り下げる余裕もないので、簡単なメモに留めるのだが、三日付けロイター”INTERVIEW - Pressure on Prices as China Readies First GMO Rice ”(参照)では次のようにタイのコメ産業との関連を指摘していた。

As the leading exporter of rice, Thailand is bracing for a slump in global prices once China gives the go ahead to commercialise the world's first genetically modified rice.

 実際にGMOコメが新華社の夢のように実現したとき、中国農村部の貧困層がどう反応するのか。どんな絵柄が出てくるのかについては、ちょっとぞっとするものがあるかなという印象もある。

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「環境」カテゴリの記事

コメント

夢かもしれませんが、私はこれがブラックジョークのままであってくれたらと思います。中国は、たしか(血液型)B型国家でしたよね、って、どうでもいいのですが…。

投稿: ある乙女 | 2005.06.14 16:33

これが日本に入ってくるのは嫌だなぁって事ですね
何故か中国には甘いとこがあるからなぁ
ほんと中国政府は人民を実験台にするのが好きですね

投稿: さび | 2005.06.14 18:25

中国の核兵器に脅されて、日本は強制的に輸入させられるんだろうなー。やだなー。

投稿: 日本人民 | 2005.06.15 03:52

日本は中国の属国なので仕方がないのでは?

投稿: さび | 2005.06.17 10:21

中国には農薬すら抑制できない事情があるようです。言わずもがな“農村部の貧困”が主な起因ですが。
http://www9.ocn.ne.jp/~kinoko/koen/koen05.htm

投稿: UG35 | 2005.06.17 11:35

中国産米など「コシヒカリ」と表示、業者に改善命令
農水省は15日、中国産米などを「コシヒカリ100%」と表示し販売したとして、米卸売業者「ライズ」(本社・福井市、樋田信男社長)に対し、日本農林規格(JAS)法に基づく改善命令を出した。
読売新聞(その他各紙)2005.06.15

投稿: 氷山の一角 | 2005.06.17 21:27

最後の節、具体的にはどんな状況を危惧されているんでしょうか?

日本が大きな影響を受けることはすぐには考えにくいですし、アジア地域の生態系への影響を心配している?

投稿: anon | 2005.06.18 00:33

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メモ。中国での中国の遺伝子組み換えコメ流通について。知らずに食べているのも恐ろし... [続きを読む]

受信: 2005.06.16 17:32

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