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2005.06.12

フィナンシャルタイムズもネタなのか

 これもネタかなぁ。ま、なんとなく気になる話でもあるので、気軽に書くのもブログっていうことで書いてみよう。話は、七日付フィナンシャルタイムズ”Now is not the time to tighten belts”(参照)。日本経済を話題にしているので読まれたかたも多いのではないか。標題からもわかるように、まだまだ日本経済は引き締め策に向かう時期ではない、ということ。
 そんなの常識でしょとも思うのだが、欧米は、そのあたりまた日本が愚策を取るのではないかとはらはらしているのかもしれない。だが、記事を読み進めていくと、しかし、あれ?という感じがした。そ、これってネタ? 昨日のエントリでBBCがネタ?とか思ったが、英国ってユーモアの伝統でネタが多いのか。
 話の背景は先日の「極東ブログ: 量的緩和政策は続行しますとも」(参照)と同じ。日本でも量的緩和政策は終了とか読む人も若干いたようだし、概ね観測気球かなくらいの受け止めかただったのだが、どうも海外ではそれほど洒落には見てないふうでもあり、そのあたりが今回のフィナンシャルタイムズの記事にもちょっと反映している。


The Bank of Japan last week allowed liquidity to fall below its target for the first time since it introduced its ultra-loose monetary policy four years ago. Although the BoJ denies any policy change, the move has been widely interpreted as a first step towards a return to controlling the economy by means of interest rates.

 大したことではないが、Althoughとか言う、この当たりの空気がちょっと違うのかなという印象は受ける。というのも、日本だと、なんとなく、まだまだ踊り場ダンスダンスダンスという雰囲気を醸したい人もいるみたいだが、フィナンシャルタイムズなどはあっさり、デフレでしょで終わっていると見ていることもあるのだろう。

Even more important, Japan is still in the grip of the deflation that has bedevilled it for the past eight years. The BoJ's loose monetary stance was designed explicitly to combat deflation. Until it is far clearer that the dragon has been slain, even to hint at a shift in policy is dangerously irresponsible.

 まとめると、日本ってひどいデフレのまんまじゃん、そんなときに変な金融政策しないでね、世界が迷惑するから…それわかる。その先、それほど財政の問題は急務でもないよと話もあるのが、それもいい。要するに税収減は不況のせいだよーんというのも小一時間のたぐい。
 あれれ?と思ったのは、ここだ。まず、日本経済の課題としていろいろ言われている雑音は雑音として、重要なのは継続的な成長だよ、と。成長する経済なら諸問題は従属的だ、とあって、The focus now should be on promoting...

Japan's biggest immediate challenge is not balancing the budget, still less regaining control over interest rates. It is creating sustainable growth. If the latter is achieved, the former will follow. The focus now should be on promoting that goal by intensifying structural reform. Only once it bears fruit should the priority shift to restoring fiscal and monetary orthodoxy.

 フィナンシャルタイムズは、日本政府に、経済問題の焦点を”intensifying structural reform(構造改革に重点を置け)”と言っているのだ。
 え、そうだったのか、フィナンシャルタイムズ。
 この先、若干筆禍の領域に突っ込むのだが、これまで極東ブログでは経済関連はフィナンシャルタイムズとOECD提言あたりを視座に見てきた。簡単な話、経済は私は言われるまでもなく素人なので普通の社会人的な関心しかもたない。ただ、欧米からどう見えるのかなというところでこの二点が妥当かなと思っていた。で、概ね、なるほど欧米というのは、いわゆるリフレ派と似ているのだなとは思った。ま、この話はそんな程度なのだが、なんとなくだが、フィナンシャルタイムズはいわゆるリフレ派の政策とは必ずしも一致せず、どうも陰翳のようなものを感じてはいた。
 今回はそのあたり、構造改革ですかぁ、みたいなものがフィナンシャルタイムズからひょっこし強く出てきたので、このあたりはちょっとどうなんだろうなと思った。
 ま、それだけの話なんですけどね。

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コメント

日本でもリフレ派は、構造改革には反対してませんよ。郵政民営化に反対してるリフレ派がいないようにね。構造改革と財政出動は対立するかもしれませんが、構造改革とリフレは対立する概念ではないですからね。エコノミストミシュランを参照していただければわかるかと・・・・
毎日新聞社説子のような経済のいろはも理解しない低脳構造改革派が勝手にリフレ派を敵視してるだけです。

投稿: eternalwind | 2005.06.12 14:04

リフレ派は、構造改革を成功させるには景気が良くなければならず、構造改革を阻害しない形で景気を良くするためにリフレ政策は必要だという考え方ですね。
だからリフレ政策をやらなければ構造改革は失敗するということになります。
岩田規久男の本を読むと、そこらの構造改革派よりも徹底した規制緩和、民営化の主張が打ち出されていて、びっくりすることもあります。

投稿: Baatarism | 2005.06.12 14:32

切り込み隊長とよく似た法螺吹き人間じゃね。

投稿: れれれ | 2005.06.13 05:50

OECDのEconomic Survey Japanあたりでも構造改革的なメニューが載っているわけですが、内閣府あたりの出向者がその作成にあたって重要な役割を担っていると考えれば、それは当然かと。加えて、以前のエントリーにあった若年層の非正規雇用の増加を抑えるには正規雇用の雇用保護規制を弱めることが重要との話(これ自体は、国別データからそのような相関関係が見られるわけですが)も、雇用戦略以来のOECDにおける雇用面のでの構造改革的マインドの延長ではないかと。いわゆるリフレ派の主張は政策の割り当てが重要というものなので、シバキ主義的な手法には反対するものの改革自体は、原則反対ではないのだと思います。OECDの方には、むしろシバキ主義的マインドを感じることもありますが。

投稿: rascal | 2005.06.14 00:00

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