おばあちゃん細胞が発見された
最新「ネイチャー」の記事が欧米の報道でけっこう話題になっていた。国内ではまだ見かけないようだが、いずれにせよ、遠からず日本版「ネイチャー」で読むことができるのだろうから、簡単に触れるだけにしたい。
報道バージョンはいろいろあるが、ロザンゼルス・タイムスに掲載された”Study Shows How the Brain Recalls What Turns It On”(参照)が読みやすいように思う。リードに”Small groups of cells are found to use abstract memories to recognize specific objects.”とあるが、拙い訳だが、「特定対象を識別する抽象的な記憶のために利用される少数の細胞が存在することがわかった」ということ。簡単に言うと、人間の記憶のメカニズムにはいろいろな仮説があったが、今回の研究では、特定記憶に特化された僅かな細胞が実体として存在することがわかった、というのだ。これは、この分野に関心を持つ人なら「おばあちゃん細胞(A Grandma Cell)」といった名称で知っている仮説でもあるのだが、その裏付けになる。やっかみだと思われてもなんだが、クオリアみたいなぼけぼけ概念は必要としないという話でもある。
ネイチャーの見出し(参照)ではこう書いてある。
神経科学:友達用とおばあちゃん用は別
How do neurons in the brain represent movie stars, famous buildings and other familiar objects? Rare recordings from single neurons in the human brain provide a fresh perspective on the question.
発見のきっかけは、映画俳優の写真を使った実験だったので、おもしろ半分な報道ではそこが強調されがちでもある。この傾向の出所はネイチャー自身でもあるだろう。”Jennifer Aniston strikes a nerve”(参照)というふざけた標題の記事がネーチャーのサイトにある。
というわけで、面白いには面白い話だし、背景を含めて関心のある人は、「人間がサルやコンピューターと違うホントの理由―脳・意識・知能の正体に科学が迫る」など読まれるといいだろう。
![]() 人間がサルやコンピューターと 違うホントの理由 脳・意識・知能の正体に 科学が迫る |
話はそれだけなのだが、報道バージョンのなかでは、今回の知見が所謂認知症の改善にも関わるようなトーンも受け止めた。そういえば、このところ、街中で、認知症の老人ではないかという人に出くわすことが多い。じわじわと身近なところで日本の光景が変わっているようにも思う。
そういえば、週刊文春や週刊新潮なども、なんだか、レトロな写真が多くなったが、年寄りにとってある種の記憶を強く喚起する映像メッセージはそれ自体で価値があるのだろうしその価値は今後より高まるのだろう。話がだらけきってしまったが、もしかすると、ヨン様ブームとか擬似的なレトロもそうした流れにあるのかもしれない。ま、考えようによっては、このあたり、ビッグビジネスの予感てやつかも。
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