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2005.06.03

北朝鮮での行方不明米兵(MIA)捜索停止

 先月三〇日は米国戦没将兵記念日(メモリアルデー)だったが、その五日前の二五日、米国防総省は、北朝鮮で行われてきた行方不明米兵(MIA: Missing In Action)の捜索活動を一時的に停止したと発表した。
 MIAは、戦争任務遂行中に行方不明になった兵のことで、朝鮮戦争(1950-53)で米兵8177人(他の参戦国兵18人)と時代を感じさせる。ちなみに、ベトナム戦争(1960-75)のMIAは2267人である。
 1996年から開始された北朝鮮でのMIA捜索活動も今年で十年目となる。カーターの置き土産と言っていいかもしれないが、正式には、1994年10月のジュネーブにおける米朝合意に基づくもの。
 行方不明とはいっても事実上戦死者を意味する。これまでの事業では、約220柱の遺骨を収集し、内約30柱の身元が確認されている。
 今回の米国防総省側のMIA捜索停止の理由は、北朝鮮が作り出した不確実な環境によって現地の米国人の安全が確保できなくなったとのことで、場合によってはこれらの米人が人質にされかねないということでもあるらしい。
 私が最初この報道を聞いたときの印象は、あまり成果が上がらないという見通しがあったかなというものだったが、この四月の時点では今年も従来通り継続されるはずだったこともあり、この印象は違うのだろう。
 ニュースなどでは、この件について、北朝鮮への外交的な圧力の一環として説明されることが多い。とりあえずはそういうことだろうし、これを受けて北朝鮮も反発している。中央日報”北「北朝鮮の米兵遺骨捜索団を解体」”(参照)によれば、北朝鮮軍板門店代表部スポークスマンは今月二日、「朝鮮人民軍は、米兵遺骨共同捜索作業のため組織された人民軍側の調査・捜索団を解体する」との談話を出しているとのこと。
 考えてみれば、この十年間、MIA捜索は北朝鮮にとってもおいしいビジネスではあったのだろう。過去の報道をさっと眺めてみると、米国は、作業員や施設提供といった名目で、この十年間に約二二億円の現金を北朝鮮に支払っている。これだけのキャッシュが動くなら、北朝鮮も国内組織が十分にあったことだろう、と、こうした文脈で、ふと思ったのだが、けっこう北朝鮮という国は遺骨の扱いが上手なのかもしれない。
 米国側も単なるMIA探索だけとも思えない。昨今の状況では、北朝鮮の核施設が集中する寧辺など内陸部へ直に立ち入る貴重な機会提供にもなっていた。なるほど、人質懸念というのもありなのかもしれない。
 関連していろいろ思うこともあるが、うまくまとまらない。また機会に考察を深めたい。

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