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2005.05.01

日本の排他的経済水域に関連して

 東シナ海の、日本と中国の排他的経済水域(EEZ)境界線付近で、中国が勝手に天然ガス田開発に着手している問題で、日本政府も対抗措置として、日本国内企業に試掘権を与える方針を決めた。これを受けた形で、28日石油開発大手帝国石油が試掘権の設定を九州経済産業局に申請した。とりあえず、そういうことなのだが、少し詳細を追ってみたら、なかなか奇妙な印象を受ける情報の連鎖があった。深く考察しているわけではないが、簡単にメモしておきたい。
 当の帝国石油だが、日本経済新聞に”帝国石油、九州経済産業局に東シナ海の試掘権設定願を提出”(参照)というプレスリリースが掲載さていた。


 帝国石油株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:椙岡雅俊)は、4月28日、九州経済産業局に対して、当社の試掘権設定の出願42,000km2のうち、3エリア(約400km2)について、試掘権設定の願いを提出しました。(別紙参照)

 この別紙は同サイトではリンクもない。なので、調べたらすぐにわかった。”プレスリリース「(05/04/28) 東シナ海における試掘権設定の願いについて」:帝国石油”(参照)がそれだ。
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関連水域
  海域の地図が掲載されていて、なるほどEEZ境界線で日中が向き合うことなるのかと。と、それはいいのだが、その上にどかんとある日韓共同開発区域ってなんだ? 地図の詳細は「日韓大陸棚協定による大陸棚境界線及び共同開発区域」(参照)を見るとさらに唖然とする。
 韓国と関係なさそうに見える九州沖の水域がなぜ日韓共同開発区域なのか。というわけでちょっと調べてみたら、なるほど。解説は「JOGMEC 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構」にある”日韓大陸棚協定”(参照)が詳しい。区域は北部南部に分かれている。

以上の両協定締結の契機となったのは,韓国が日韓中間線を超えて南側の東シナ海の大陸棚及び沖縄舟状海盆の一部に鉱区を設定したことにある(1972年5月)。このため大陸棚の境界画定に関して両国間に紛争が生じたが,交渉の結果(南部協定にあるような)共同開発協定として妥協したものである。


このような曲折をたどったのには多くの原因があるが,大きなものは二つあり,一つは南部協定の共同開発区域が完全に日韓中間線以南の“日本側”大陸棚に設定されていること,他の一つは中国(当時未承認国)の自国大陸棚への侵犯とする激しい抗議であった。

 こんな区域を勝手に韓国が鉱区に設定して日本があわてふためき、とりあえず日本が譲って妥協したら中国からも文句が出たということのようだ。中国の言い分は「日韓大陸棚協定に対する中国外交部声明」(参照)にある。

中国政府は,大陸棚は大陸が自然に伸出したものであるという原則にもとづいて,東海大陸棚の画定は当然中国と関係諸国の話合いによって,きめられるべきであると考える。しかし,いま,日本政府と南朝鮮当局は中国にかくれて東海大陸棚にいわゆる日韓「共同開発区」を画定した。これは中国の主権を侵犯する行為である。中国政府はこれに絶対同意できない。もし日本政府と南朝鮮当局がこの区域で勝手に開発活動をおこなうなら,これによってひきおこされるすべての結果に全責任を負わなければならない。

 現在の日中間の問題もその延長にあるわけだ。
 関連した国会の記録がネットにある「第080回国会 外務委員会、公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 昭和五十二年四月二十七日(水曜日)」(参照)が興味深い。

○加地委員 そうしますと、ただいま私が手に持っておりますところの「第三次海洋法会議」というパンフレットの五十一ページに書いてあることは間違っておるといいますか、もう古いということを意味されるのでございましょうか。
 続いてお尋ねいたします。
 最近、アメリカの海洋問題専門家であり、海洋法会議の出席者でもありますところのボルゲーゼ夫人という人の話によりますと「韓国の自然延長論の主張はもう古くなっている。二百海里経済水域の設置は世界的な趨勢であって、中間線を越えて大陸だなの延長を主張することなどは無意味である。大陸だなの自然延長論というのはあるが、それは他国の二百海里経済水域がそこに存在しない場合のことである。しかし、それに対しても反対論は強く、もしあえて主権的権利を主張して開発する場合は、国際管理にしないまでも、海洋国際機関に十分な賦課金を支払うべきだという主張が第三世界に多い。少なくとも、来年は二百海里経済水域を決定する国が大多数となろう。」このような談話を発表しておりますけれども、外務省はこの談話についてはどのようにお考えになりますか。簡単に……。
○井口説明員 ボルゲーゼ女史が一つの学説を持っておられることは事実でありますが、大勢は、二百海里以遠の自然の延長については収入を後進国に分与するということが大勢でありまして、ただ、分与するのが地域的な開発協力の機関か、あるいは今後創設される国際深海海底の機関であるかというようなことについてまだ意見が分かれておりますし、どの程度のパーセンテージを後進国に分けるかという点でも意見が対立しているわけでございますが、二百海里以遠については国際機関を通して後進国に分けるという方向は大体固まってきております。

 大陸棚云々は難しいかもしれないが、基本的にこの時代までは中韓を後進国として日本が譲るという形だったのだろう。
 関連して気になったのは、国際司法についての認識だ。

○中江政府委員 二つの点がございます。一つはなぜ国際司法裁判所に提訴することが途中で消えたかということで、これは、日本側は、おっしゃいますように国際司法裁判所で法律的に決着をつけようということを提案したわけでございますけれども、御承知のように、韓国は国際司法裁判所規程の当事国ではありません。そしてまた、韓国は国際司法裁判所の義務的管轄権というものを受諾しておりませんので、したがって、日本と韓国で提訴するためには、そのための特別合意書というものを改めてつくらないと、当然には国際司法裁判所の管轄の中に入らない。そのためには巨額な経費と相当の年月がかかりますので、そういう道を選ぶべきか、それとも資源を有効利用すべきかという判断が政治的に下されたのが一九七三年のことであったわけでございます。

 現状についてよくわからないのだが、韓国は依然国際司法裁判所の管轄外ということなのだろうか。なので、竹島でもあんな不埒なことを続けている、と。だとすると、これは、ようするに韓国という国の国際的な民度というか品位の問題なので、ある国家が当然あるべきステータスに登れば、国際的な視点にさらされることになり、かなりおそらく、その時点で竹島問題なども終了するのではないか。
 中国についても政府側としては、そうしたことはある程度わきまえているのようにも思える。とすると、その先の問題は、中国がそうした国際世界で政治的な成熟を遂げるだけの余裕があるのかということになる。
 直感的に言えば、なさそうな気がする。

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コメント

私は国際法についてはあんまり詳しくないんですが、

http://pol.cside4.jp/kokusai/38.html

によると、国連加盟国は自動的にICJの加盟国になるようですから、韓国も国連に加盟した1991年からは当事国になるんじゃないでしょうか。

それから、義務的管轄権については、

http://www.icj-cij.org/icjwww/ibasicdocuments/ibasictext/ibasicdeclarations.htm

によると、韓国は未だ受諾宣言をしていないようですから、提訴されても応訴義務はないということのようです。

投稿: Iwase | 2005.05.01 14:48

確か国連が絡むと敵国条項との関係で
領土問題においては日本は様々に
不利な判定されるんじゃなかった
でしたっけ…?
旧敵国条項削除修正は国連において
いまだ批准されていない筈ですし…。
旧敵国条項によると日本が領土的に
国連加盟当事国を侵害したと
加盟当事国が判断した場合は当事国は
その判断に基き日本に軍事行動を
発動できる。これのせいで戦後相当に
領土問題では譲歩している筈です。

http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/kaisetsu/other/ku_tekikoku.html

…WW2のことがいまだに
国際政治カードにされているのは
本当に頭がくらくらしてきますね…orz

投稿: kagami | 2005.05.02 02:21

すみません、なぜか、URLが404で…。
敵国条項でぐぐると出てくる
最初のページです。

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E6%95%B5%E5%9B%BD%E6%9D%A1%E9%A0%85&lr=

投稿: kagami | 2005.05.02 02:24

しかしいかな状況になると隣接地域が日本に軍事発動ができるんだろう?自爆覚悟?

投稿: TRICKSTAR | 2005.05.05 01:05

私は志士の会という20名程度で行う討論会
を運営しているイチと申します。はじめまして。

本日志士の会では衆議院議員を1名お呼びして領土問題等、日本とアジア諸国というテーマで討論して来ます。 それからまたコメントさせてもらいます!!

投稿: イチ | 2005.06.11 14:29

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