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2005.04.19

ホリエモン騒動終結、私的総括

 ホリエモン騒動が終結した。アドビがマクロメディアを買収したという新ネタに比べると、もはや興の乗る話題でもないが、このブログでも存外に踏み込んでしまったのでけじめというか自分なりのまとめというか感傷というか、そんなものを簡単に書いておきたい。それで自分でも終わりにしたい。
 フジテレビとライブドアとの最終的な合意についてのニュースの引用などは省略する。単純に言えば、フジ側はライブドアが取得したニッポン放送株を高値ですべて買い取り、さらにライブドアの株も引き受けて株主になるということ。また、フジとライブドアは「放送とインターネットの融合」とかの題目での提携のために、推進の委員会を設置する、と。後半の提携話はたぶん誰も期待していない。
 私の印象は、この結果は存外によかったんじゃないかということ。フジも随分大盤振る舞いをしたものだなということ。
 それと、自分とブログの関係と言えばそれだけのことだが、この二ヶ月間、メディアが煙幕吹き散らし、ブログも利害に絡んだ式神を飛ばしまくったなか、このブログもなんとか暴風に耐えたかな、ということ。つまり、このブログからすると、この決着は想定内の範囲だった。前回の極東ブログ「終わったのか、ホリエモン」(参照)で私はこう書いた。


単純な話、ホリエモンもカネを張って勝負に出て、それにフジ側も乗ってしまったのだから、ニッポン放送からお帰り願うとしても帰りの駄賃くらいは出さないとホリエモン側としてもお商売にはならない。

 恐らくこの間フジとライブドアでは、帰りの駄賃でもめていただけで、SBIとかの話も壮大な煙幕だった(参照)。なんとかあの煙幕でもこのブログは吹き飛ばないでいられたかなと。
 ホリエモンとしては、当初は、そうした「帰りの駄賃」には目もくれず、ニッポン放送の取得にこだわりつづけたわけだが、そこにそれほど固執しないのも、想定の範囲内ではあっただろう。だが、前回私は先の文章の前にこう書いていた。この時点で、ニッポン放送を手放すスジを読めていたわけではなかった。

確かに、ホリエモンがフジテレビを取得するかという点ではそういうことかなとは思うが、ニッポン放送については、たとえそれが資産価値としては空っぽでも、また多少難題はあるにしても、得ることはできただろう。その意味で、負けでもないし、AAで終了と大書する、ということでもないとも言える。ただ、ホリエモンもこの件で多額の金を動かしており、それがこの結果では、メリットが実質なし、だろう。それに、他事業から推測しても、ニッポン放送の経営の才覚もないだろう。

 つまり、私は、率直に言うと、ホリエモンはもっと愚かしくクラッシュするだろうと思っていた。結果はそうではなかった。そして、そうならなかったことはよかったことではあるのだろう。
 結局どっちが勝ったのかといえば、ホリエモンの勝ちだと私は思う。一千億円の元手で一千五百億円をゲットしたのだから、勝ちという以外はない。
 ただ、それが、ホリエモンにある種の理想を抱いた人にとっては、マネーゲームということにしか映らないだろうし、そこに不満も残るだろう。詳しくは知らないが、これまでホリエモンと一緒に仕事をしたけど彼から去っていく人も多いらしいと聞く。私も、どっちかというと、彼にもう多少なりとの期待を寄せることはないだろう。
 もうちょっと言う。他人の面相や風体にとやかく言うことはしないが、それでも、今回の和解で手を取り合っている面々の風体を見たとき、私は吐き気がした。「切込隊長BLOG(ブログ)」の”午後発表”エントリについた次のコメント(参照)をたまたま見て、そうだよ、と私も呟いた。

164.クロロ(2005-04-19T04:56:52+09:00)
今まで普通に育ってきて、これほど世の中操作されてるっていう気持ちの悪さを味わったのは初めてだ。大人になるってのは良心にグロを突きつけられて耐え続けるようなものだね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050418-02422379-jijp-bus_all.view-001

 うまい表現だ。
 しかし、私の嫌悪感について言えば、そんな純真な心情からではない。48歳にもなった男が純真でも○貞でもいられるものでもない。顧みて、人に唾棄されるようなこともけろっとやってのけてきたと思う。そして、それに反省すらしてない。「私は吐き気がしましたね」なんて言えるもんじゃ全然ないのだ。
 とここで太宰治回路でくるくる回ってもなんだが、世の中というのはこういうものだ。そして、こういうものが円満な解決というものだ。むしろ、こういう様を見て、おれも、働こうという通称ニートがいたら…、いや、いて欲しいものだと思う。
 個人的な思い出だけど、今では音信もないけど、米国籍で金髪、バイキングのような巨体で、なのに高校まで日本語しか話せなかったT君のことを思い出す。彼は「僕、就職するんですよ。おじさんの会社の社長になれって言われているんです」と言って、この季節、天を仰いでこの詩を呟いていた。

まことのことばはうしなはれ
雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

【関連極東ブログ記事】


  • 新年好! ホリエモン(参照
  • 負けたのか、ホリエモン(参照
  • ホリエモン・オペラ、間奏曲(参照
  • 釣り堀衛門? いえいえ算盤弾いて末世(参照
  • モーソーモーソーとホリエモンは言う(参照
  • 終わったのか、ホリエモン(参照

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「時事」カテゴリの記事

コメント

マイドオセワになっております。

不謹慎なハナシかも知れませんけど、結局「ありそうな落とし処」へ落とされたと言うべきでしょうか。ムリとは知りつつ、できればもう少し引っ掻き回して欲しかったような気も、個人的にはしてるのですが、風のウワサではホリエ君も少しは状況をわきまえるようになった気がします。少し寂しいような、まぁ、仕方がないような。

オカネには換算できませんが今回のコトで得られた最大の徳は、やはり国民の目がメディアや金融に少しでも向いたコトでしょうか。メディアの在り方しかり、日本の財しかり。
っと、思ってみたりしたのです。

投稿: Nagarazoku | 2005.04.19 10:52

>48歳にもなった男が

同い年でしたか(反応するのはそこじゃない?)。

私はホリエモンの功績は大きいと思います。

プロ野球だって彼が出て来なきゃ仕切り直しにならなかっただろうし
敵対買収対策もこの騒動がなければえーかげんなままだったろうし
彼は世の中の矛盾をうまく突いて、しかもドンキホーテ的失敗すらも
なんとなく受容されるムードを作ったんじゃないかなぁ。

もちろん当事者周辺の評価は厳しいでしょうが、こういう成金紳士も
世の中にいないと、社会が萎縮しちゃう気がします。

投稿: (■□ Neon □■) | 2005.04.19 11:45

>名前: | 2005年4月19日 午前 11時45分

名前が抜けてました。それとドンキホーテ的失敗ってのは、ディスカウントショップとは関係ないです。

投稿: ■□ Neon □■ | 2005.04.19 11:47

さくら散る春に佇むと、季節の流れを感じますね。

http://www.sun9.info/library/miyazawa_haru.html

投稿: 八葉 | 2005.04.19 13:40

こんにちは。

finalventさんが、宮沢賢治好きとは知りませんでした。ひょっとして、天沢さん
とか、真木悠介とかカスタネダの世代(なんてものがあれば)なんでしょうか?
そう言えば、びろうばの屋久島の御老人、なくなってしまいました。文章からだ
と、すげえヒッピーの親玉みたいなのですが、実際は、小柄なちんまりした人で
した。


投稿: shuji matsuda | 2005.04.19 20:13


私はこの件に関するブログをこの2ヶ月間いやというほど見てきましたが今回はfinalventさんと別の意味で失望しました。

一体、ブログ書きというのは何様なんです。
堀江氏を救世主か革命家のように崇めまつり、世の変革を待望するが自分では何も行動しようとはせず、単に口先ばかりで内容が伴っていない。

今回ほど今の世間というのが無責任な人間の集合体だということを見せ付けられたことが無かったですね。

”世の中に不満があるなら自分を変えろ。それがいやなら耳と目を閉じ口をつぐんで孤独に暮らせ。それもいやなら・・・”
 新井「少佐」素子(甲殻機動隊)

投稿: F.Nakajima | 2005.04.19 22:24

何ならば御不満な自分を変えてみては?

投稿: \e | 2005.04.20 00:34

日本放送、ネットラジオでも流して欲しかった、、。

あと、NHK第2も。

投稿: k | 2005.04.20 06:56

> 一体、ブログ書きというのは何様なんです。

中のヒトな場合もあるが、一般的には単なる「御客様」。
それ以上のものとして受け止めるのは、受け止めた側の自己責任。

> 堀江氏を救世主か革命家のように崇めまつり、

実際に彼のマネーゲームは社会慣習を革命的に荒らした。
「革命家」とは多くの場合「破壊者」であり、
彼への評価としては正しいのではないか。

> 世の変革を待望するが自分では何も行動しようとはせず、

日本は「老人が密室合議で決める」社会から、
「ルールに基づいて競う」社会へと変革しつつある。
この大きな社会の流れには、物言うブロガーも、
物言わぬ一般市民も否応なく関わっている。
何も行動しようとしないのは、
もしかすると貴方だけなのかも...。

投稿: at | 2005.04.20 12:06

結果的には、分割などによってバブルのように上がったライブドア自社株の価値を株主から会社に合法的に強制移転、さらにその資金を使った投資も大成功、ついでに宣伝効果も抜群、ということでしょうか。
まあ何かこういう無茶でもやらなければ、一時的に上昇しているだけの自社株を利用して大儲けするのは難しいだろうなとは思います。私は最初から全くのマネーゲームとしか見ていなかったのですが、しかしここまで成功したのは、単純な100%のマネーゲームではなく実業を兼ねた複雑なマネーゲームにマジの全力でつっこんだ堀江さんならではの成果なのでしょうね。

投稿: スープ | 2005.04.20 19:02

>何も行動しようとしないのは、
もしかすると貴方だけなのかも...。
私も仏陀ではないので欲求不満はあります。そして私はそれを解決しようとする場合にはまず自分でできることを探し、他者(または世の中)のせいにはしたくありません。それが私が自分に課したビジネスルールであり、信念です。でなければ自分で事業などできません。
それに対し、今回堀江氏を応援したほとんどのブログから、特に若い人たちの意見は「社会が悪い。世の中が悪い。ゆえに自分の思うようにいかない」と他者に原因を求め、「自分がもしかしたら間違っているのではないか。。。」とは考えない風潮しか私は読み取れませんでした。
ゆえに私はもう一度挑発いたします。
「それは世の中のせいではない。単にあなたがたの実力不足にすぎない」


投稿: F.Nakajima | 2005.04.20 21:39

>「革命家」とは多くの場合「破壊者」であり、
いいえ。革命家=破壊者ではありません。
革命家と破壊者を区別するもの。それは「ビジョン」があるかないかです。
「リヴァイアサン」しかり「共産党宣言」しかり「船中八策」しかり、ビジネスではスティーブ・ジョブスしかりリーナス・トーヴァルズしかり。
堀江氏はこの点においてついにビジョンを示せずに終わりました。ゆえに彼は革命家ではなく単なる「破壊者」です。

>実際に彼のマネーゲームは社会慣習を革命的に荒らした。
ここを今回堀江氏を応援したほとんどの人が誤解していると思います。彼らは「この世など変わってしまえばいい」とは考えていますが変わった後「どんな世の中になって欲しい」と思っているのか全く「ビジョン」が読みとれません。これでは単なる破壊願望に過ぎず、世に不平不満を持ちながら流されるだけです。

投稿: F.Nakajima | 2005.04.20 22:07

このエントリ、拝見して本当に哀しかったです。

>むしろ、こういう様を見て、おれも、働こうという通称ニートがいたら…、いや、いて欲しいものだと思う。

汚い世の中でも、思い切って呑み込め、ということでしょうか。呑み込んだ先に、見える世界があると。一番哀しかったのは以下のくだりです。

>顧みて、人に唾棄されるようなこともけろっとやってのけてきたと思う。そして、それに反省すらしてない。

反省、していないんですか…。
少しは、省みずとも、顧みては欲しかった…。
若造の、甘ったれた無い物ねだりでしょうか…??

投稿: stillantibus ocellis | 2005.04.21 06:18

横レス失礼。
>若造の、甘ったれた無い物ねだりでしょうか…??
人の気持ちを自分の思い通りにすることはできないという極々当たり前のことを理解されていないだけのように思われます。
というよりご自身でfinalventさんの「顧みて」という文章を引用しておきながら、「顧みては欲しかった…」とはこれ如何に。

投稿: t | 2005.04.21 11:57

> 革命家と破壊者を区別するもの。
> それは「ビジョン」があるかないかです。

それは、貴方がそのヒトのビジョンを読み取れて(読めたと感じて)、
そのビジョンに価値を認められたもの個人的に区別しただけです。

> 堀江氏はこの点においてついにビジョンを示せずに終わりました。
> ゆえに彼は革命家ではなく単なる「破壊者」です。

彼は経営レベルのビジョンを示しました。
しかし、野次馬達はもっと下のレイヤーのビジョンを要求し、
彼は「それは自分の仕事ではない」と知っていたので言葉を濁した。
それだけの話ですね。

> 変わった後「どんな世の中になって欲しい」と思っているのか全く「ビジョン」が読みとれません。

貴方の言葉を借りるならば、
単にあなたの実力不足にすぎない。
(あるいは、舞台を間違えているか。)

投稿: at | 2005.04.21 16:13

初めてコメント&TBさせていただきます。

>私も、どっちかというと、彼にもう多少なりとの期待を寄せることはないだろう。
 ホリエモン、勝つには勝ったけど、案外失ったものも大きいのではないかと思います。まあ、めげずにまた暴れるのだろうけど。

 それと、4/19日経朝刊で日本電産の永森社長が「今回のことで、TOBの手法が日本で一般化するのが5年は遅れてしまった」とコメントしてましたが、本人はよくても周囲はけっこう迷惑こうむったような気がします。

投稿: tsujita | 2005.04.21 19:25

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