[嘘記事]寝ない子が育つの新理論:不眠社会と現代人の動物化
追記: エイプリルフール・エントリでした。背景色部分が嘘。
日本国内では認可されていないが、米国では空港などでも時差ぼけ解消用サプリメントとしてメラトニンが販売されている。メラトニンは睡眠を誘導する脳内ホルモンだが、動物の脳などから抽出しなくても人工的に合成が容易であり、また特許の必要もないことから、米国ではごく安価な快眠用サプリメントとして幅広く利用されている。舌下錠(sublingual)の形態が吸収しやすいため、米国らしいノリでミントフレーバーなども出回っている。
驚異のメラトニン |
日本でも類似の傾向があるが、米国は不眠社会とも言えるほど不眠に悩む人が多い。29日のロイター記事"アメリカ人は寝不足で性生活に問題あり!?"(参照)では次のように伝えている。
米睡眠基金の調査によると、成人の75%に、夜何度も起きたり、いびきをかいたりという睡眠障害の兆候が頻繁に見られるそうだ。しかし、睡眠障害があるという自覚はなく、たいていは問題を無視してしまう。
よく眠れないと解答した人の3分の1が、寝不足のために配偶者との関係に悪い影響が出ていると答えた。よく眠れると答えた人ではたったの8%だった。
米国のこうした不眠社会に定着したメラトニンだが、先月新しい研究が発表され、従来明確には解明されていなかった重大な副作用の可能性が明らかになった。2月8日の共同通信記事"睡眠ホルモン生殖機能抑制 過剰摂取は注意、広島大"(参照)では、標題からもわかるようにメラトニンが生殖機能を抑制する副作用を持つ可能性を示唆している。
メラトニンは健康補助剤として米国などで広く市販されており、取りすぎると生殖機能障害が起きる可能性があると筒井教授らは指摘している。
幸い国内ではメラトニンはサプリメントとして販売が許可されていないで、この記事はそれほど日本では関心をひかなかったが、米国ではかなり注目された。MSNBC"Sleep hormone may affect sex organs: Melatonin commonly used by travelers to combat jet lag"(参照)では、その機序も伝えている。
This is important because GnIH has been found to have the opposite effect to the key hormone that primes the body for sex - gonadotropin releasing hormone or GnRH.
鍵となるのは、GnIHと呼ばれる脳内ホルモンの存在だ。
脳内ホルモンの存在については、30年ほど前だが、米国のロジャー・ギルマンとアンドリュー・シャリーがその促進系であるGnRHを発見し、1977年にノーベル医学生理学賞を受賞した。しかし、この機序のフィードバック系のホルモンについては長く不明だった。それがようやくGnIHであることが判明し、しかもそのGnIHの放出を制御しているのがメラトニンらしいということがわかってきた。
一つは、睡眠と人間の性行動の関連である。メラトニンはサプリメントで補なわなくても、人間の脳内で自然に分泌されるものだが、先の記事"アメリカ人は寝不足で性生活に問題あり!?"にも示唆があったように、睡眠サイクルの異常から不定期に放出過剰となることで、性機能に抑制的な変化が見られるようになる。
結婚もしくは恋愛中のカップルの4分の1近くが、眠いためにセックスの回数が減ったり、興味がなくなったと回答している。この逆の現象、つまり、覚醒時の持続による性機能の昂進もある。下品な日本語だがいわゆる「疲れマラ」なども同一の現象らしい。食い慣れていない高価な焼き肉を食って起きる現象ではないようだ。
こうした性機能サイクルだが、その生物学的な存在理由は、生物を性機能の負担から保護するものではないかとの見解が出ている。MSBNG"Sex inhibit hormon saves costy power"(参照)先のMSNBCの同記事でワシントン大学のGeorge Bentley博士はこう推測している。
Such a hormone would be important for many species, he said.
“Reproduction is energetically costly. It takes its toll,” Bentley said in a telephone interview.
“So that is why a lot of animals breed seasonally. They can only afford to do it at certain times of year.”
鳥類や哺乳類などは、四季の変化に合わせて睡眠を調節しているのだが、その延長として無駄なく性行動を誘導するということが、こうした機序の背景である可能性がある。
ネオテニーは、生物の幼形時の特徴がそのまま時間的に延長される現象である。この現象に関心が集まるのは、1920年代にL・ボルクが、人類を他の動物から区別する最大の特徴をネオテニーとした有力仮説があるからだ。この仮説がわかりやすいのは、簡単に言えば、チンパンジーなど類人猿の幼形(赤ちゃん)の特質が、人類に似ているためである。生物学者デズモンド・モリスは「裸のサル―動物学的人間像」と表現している。
人類ネオテニー説は、人間が性的に成熟するまでに長期間を要することをうまく説明する。人類以外の生物が比較的短期に大人の形態を取ることからもこの説は理解しやすい。この成長における性抑制機序の基軸がメラトニンの放出サイクルにあるらしい。
つまり、メラトニンからGnIH、GnIHによる性的成熟の遅滞、そしてネオテニーという連鎖が人類のネオテニーの発現を支えている。いわば、寝る子は育つ、というのが人類の人類らしい特徴を維持してきた。
逆に言えば、現代社会の睡眠サイクルの破壊から脳内のメラトニンを不足させることで、比喩的に言うのだが、より短期に子供が生殖器官の面で大人になる可能性も示唆される。
不眠社会によるネオテニーの不完全さは、人類をより短期的に性的に成熟を達成させてしまうことになる。当然、成長速度のバランスが崩れることで、人間の身体形態をも変化させることになる。それは一面では性的な成熟の速成の副次的な効果に過ぎないとも言えるのだが、これまで人類を人類たらしめたネオテニーを不完全化させるという意味で、不眠社会は特異な形態での人間の動物化を促進していることにもなる。
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コメント
わっかりにく!しかもわらえねーし、あのあなたあれでしょ。あれに決まってます。ええあれなのよね。 ほんとうにあれです。まあ言いませんが、今日は四月馬鹿でした。
投稿: あー | 2005.04.01 23:24
全部嘘より虚実取り混ぜた方がなるほどわかりにくいですね。
finalventさんは四月馬鹿やんないのかなあ、とか思ってたのでははは。
深読みできそうな記事お疲れでした。
投稿: わあ | 2005.04.02 01:04
メラトニンを一瓶もらったので興味深く読んでいたのですが(まだ使ってないけど)。
すみません、嘘の部分はどうでもいい内容だったので読み飛ばしてしまいましたっ!
投稿: hiyohiyo | 2005.04.02 10:48
わくわくするような内容なのになんでコメントついてないんだろう、と思ってました、うぅ。
みんな気付いてたんですねえ。
投稿: ねおき | 2005.04.02 13:29
やべっ、まじで騙されたっ!
投稿: 恥ずかしいので名前伏せ | 2005.04.02 15:25
完璧に騙されました。
投稿: うらたん | 2005.04.04 12:15