高度道路交通システム(ITS)の祭りは続くよどこまでも
少し旧聞になるが今年の日本のエープリルフール大賞というのがあれば、自動料金収受システム(ETC: Electronic Toll Collection System)だろう。2日の時点で、開閉バーに車両が接触したトラブルは2300件を越えた。毎日新聞記事”ETC障害:接触トラブルは2300件に”(参照)はしらっと道路公団の言い分だけを垂れ流している。
全国の高速道路の料金所でETC(自動料金収受システム)の開閉バーに車両が相次いで接触したトラブルは、2日午前0時現在で2300件に上ることが、日本道路公団のまとめで分かった。バーの損傷などの事故も3件になった。
道路公団によると、3月末で廃止された「別納割引制度」の利用者が、制度廃止を知らないまま1日午前0時以降も別納用のETCカードで料金所を通過しようとしたため、接触が多発した。
道路公団にしてみると今回のトラブルで悪いのは制度廃止を熟知しなかった利用者ということだが、既存ジャーナリズムっていうのかプロのジャーナリズムっていうのか知らないがそれ以上のツッコミはないように見える。ぇえぇえ?公団側の準備不足でしょとかの話もなしなし。そして済んだことだし、その後は大きなトラブルはない。めでたしめでたし。ということで、このトラブルについては過ぎてしまえば些事となった。ブログでざっとこのトラブルを見回したが、ちょっとしたエントリのネタにはなるが、なるほど大きなトラブルはないようだ。
ついでに、ETCはどう受け止められているのだろうかというと、ある程度予想どおりなのだが、割引きになっていいじゃん、というのと、引き落としだからいちいちその場の支払い気にしなくていいじゃん、という感じか。
割引き制度についてはカードよりも装置価格とのバランスが気になったのだが、ブログ「清史郎&清兎の部屋」”馬運車にETC車載機取りつけ・・・”(参照)が示唆的だった。
少し前まではETC車載機は贅沢品で結構高額でした。でも最近はどんどん安くなって、パナソニックなどの一流品のセパレート型でも25,000円以下で取りつけ可能です。
ダッシュボードの上に取り付ける一体型なら、カー用品店で10,000円以下で売っており、取りつけ料・セットUP料を含めても15,000円以下になりました。ETCを取り付けたら、料金割引が魅力です。
まずは基礎割引とでも言うのでしょうか、50,000円前払いだと58,000円分使用できます。これで約86%に割引。
というわけで、高速を使う人には装置が普及する印象はある。
カードの引き落としという点では、ブログ「たゆたふままに」”ETCって便利なの?”(参照)が面白かった。
ETという映画はなかなか感動ものでした。では、ETCはどうなんでしょう。夫はこれを登載したくてしょうがなかったのです~。そんなに高速を使うわけでもないのになぜなのでしょう???それは知らぬ間に家計費の口座から高速代が落ちていくからなんですね~^^;)
というわけで、こうした点で見るとETCにはメリットがあるよね、ということなのだが、ところで、ETCってなんのために存在してたんだっけ?という本筋の話はなんとなく、それは、ま、いちいち声高に言うのもなんだし…というごにょごにょになりつつある。でも、本当は高速道路の混雑解消だった。「たゆたふままに」では混雑のエピソードがある。
ところが、お財布を出さなくてらくちんだわ~もしかするとETCも感動ものかも?と思ったのは行きだけでした。。。。帰りは料金所で大渋滞!!!ETCだろうとなんだろうと一緒なのですよ~。びゅ~んと通り過ぎる前に、まずETC専用の車線に入るのに渋滞です。そして、ようやく出たかと思ったら、はて~???ん?十車線以上あった道路が、料金所を過ぎたとたんに二車線に???はー???これじゃぁ~だめじゃんー(>_<)
まだETCカード普及の初期段階なので、これで混雑解消はだめじゃーんとも言い切れない面もあるのだが、それでも、この本筋はワッチしていく必要はあるだろう。古い話になるが、「サイゾー」1月(2001年12月18日発売)”ETC(自動料金収受システム)導入で、高速道路はますます渋滞する”(参照)ではETCがこの本筋で役立たないかもと指摘されていた。
サイゾーの同記事では、ETCよりもITS(Intelligent Transport Systems)「高度道路交通システム」の問題が重視されていた。今では停滞日本では忘れかけているが、90年代後半の日本は国を挙げての「マルチメディアだわっしょい」というばか騒ぎをやっていた。正体は単純に言うけど道路利権の延長の情報利権だった。
建設省にとっては安全性の確保よりも、交通網におけるIT利権(=予算)を獲得した建設省族議員の政府、そして世界に対してのメンツのほうが大切だったのだ。
この他、立ち消えになったかのような運輸省「スマートプレート」も今読み返すと面白い。
いずれにせよ、本来なら、高速道路なんて資金回収したら無料にするか低価格にするかのはずのものを、永遠に料金取りまっせとするための公団の収受システムだったのが、その上にどかーんと国策レベルの省庁権益からみでITが乗っかってITSができた。現在ITSは9つの開発分野にまで膨れて(参照)、がんがんITコストを必要としている。
需要があっていいじゃんというのは道路行政的な発想だが、現実的にはどこでコストを回収すんの(償却費年間400億円らしい)、というか、経営面で見ると、結局ETCのメリットは割引きということで、どっかの国の大手自動車メーカーみたいなことを日本国レベルでやっているわけだ。
大丈夫?
詳細がよくわからないので、アバウトな話になるのだが、普天間基地移設問題と同じで、最初からヤメトケ問題が、今となってはこれも引き返せないということのだろうか。
余談だが、ブログ、情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ)の” ETC機器関連で、財団と大手2社の癒着疑惑”(参照)に微笑ましい話があった。ETCと限定されず、このあたりのIT受注の関係が気になるが、「ITS白書〈1998‐1999〉高度道路交通システムの行方と関連400社の戦略」とかも高額だし、このシステム受注で恩恵を受けている層もぶぶぶぶ厚いのだろうなと思うので、弱小ブログはこのあたりで沈黙する。
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コメント
料金所が混むからって理由で採用されたETC。
料金所が混む理由は、料金を支払うタメに一旦停止するから。
停止しなければ、料金所がなければ、混雑は起こらない。
確かに高速道路はタダになるハズだった。
ETCを取り入れたらカネがかかるから、またまたタダにならなくなる理由ができた。
故意にやってるとしか思えん日本の高速道路事情。確信犯だな。
しかし、北米のフリーウェイのようにタダでどんどん予算不足で老朽化(ほんとにヒドイよね)が進むのもナンだ。
ダレかピシっと折衷案出せないもんかねぇ。
投稿: Nagarazoku | 2005.04.13 11:50
こんにちは。
いつもなら「極東ブログ」と書かれる作者の名前がおかしくなっているようですが、これはcocologの不調なのでしょうか。
何か変更をされたのですか。
投稿: しみづ | 2005.04.13 14:16
直ったようです。失礼しました。
投稿: しみづ | 2005.04.13 16:24
有料道路制度とETCを巡るお役所のカラクリについては下記のサイトが具体的で参考になります。諸外国の例と比べると日本の制度が不合理だということがよく分かります。
http://www.tollroad.org/
投稿: だい | 2005.04.13 18:16
こんばんは。いつも勉強がてら読ませて頂いてます。
ちょうど4月1日にETCの記事をエイプリルフールに絡めてかいたので、トラックバックされて頂きました。
ひとこと、田中角栄の亡霊は不滅ということです。
投稿: akiller | 2005.04.13 19:59
また表示がおかしくなっているようです。
前回説明を間違えましたが、エントリ一覧の各エントリ末の「2005.04.10 in 時事 | 固定リンク 」と普通表示されるところが、今週分は「HASH(0xad5eb90)」となっているために巡回ソフトでリンクをたどることができませんでした。
もう一つ知っているココログではなっていないようなのですが、何が原因なのでしょう。また直るのかな……。
投稿: しみづ | 2005.04.17 03:47
既知の障害のようです。はやく直らないかな。
http://info.cocolog-nifty.com/info/cat510344/index.html
投稿: しみづ | 2005.04.17 05:15
議論が古いですね。
現時点ではまだ限定的ながら、ETCによる渋滞緩和の効果は既に観測されているようです。
http://www.jhnet.go.jp/press/rel/2005/01/05/
# ETC普及に伴う渋滞緩和効果
期間中のETC利用率は、ETCの普及により、24%(約118万台/日)と昨年同期(11%、約54万台/日)に比べて2.2倍になりました。東名高速道路東京本線料金所では交通状況の似通った昨年の同日(1月2日)で比較すると、ETC車の増加により渋滞長が、昨年25kmから今年14kmと44%減少し、渋滞時間も8時間から5時間に減少しました。ETC利用者のみならず、料金所を通過する全てのお客様にETC普及による渋滞緩和の効果がありました。
投稿: yuno | 2005.04.17 10:48