衛星ラジオとiPodの未来
衛星ラジオが熱い…というノリはこのブログ向きではない。私はラジオ・オタクに近いが業界のワッチャーでもない。でも昨日ニューヨーク・タイムズに"Satellite Radio Takes Off, Altering the Airwaves"(参照)の記事には少し驚いた。標題を試訳すると「衛星ラジオがブレイク、放送の世界を変える」だろうか。米国での衛星ラジオの普及がメディアの状況を変えつつある。
The announcement on Friday by XM Satellite Radio - the bigger of the two satellite radio companies - that it added more than 540,000 subscribers from January through March pushed the industry's customer total past five million after fewer than three and a half years of operation.
この四半期だけで、二つの有料衛星ラジオに54万人が加入したというのだ。
Total subscribers at XM and its competitor, Sirius Satellite Radio, will probably surpass eight million by the end of year, making satellite radio one of the fastest-growing technologies ever - faster, for example, than cellphones.
今年末には加入者が八百万人を越えるだろうと。その普及率は、携帯電話の比ではないと。
衛星ラジオが普及している話は知っていたが、そこまですげーセクターになっているとは思っていなかった。さすがホリエモン先見の明がある…違う。彼は地上波を狙っているのだから、ラジオの作り手のノウハウという点以外は、話が違う、と。
衛星ラジオについて、IT系の日本のニュースでもそれなりに話題になっているで、技術面は日本語の国内ニュースのほうが読みやすいだろう。現状、今回の(ようやくの)衛星ラジオのブレークにはガジェット(小型機器)も関連しているので、そのあたりを込みにした「小池良次の米国通信インサイド :ITビジネス&ニュース」の”第5回 モバイル・ファッションの波に乗る――米国の衛星ラジオ放送”(参照)がわかりやすい。
この会員急拡大の原動力は、iPodと同じ個人モバイル市場を狙って「端末の小型化・モバイル化」を行ったことだ。もちろん、両社とも赤字を続けているが、会員急拡大で、衛星ラジオ・サービスの将来に明るい展望が見えてきた。
情報の流れという点でも興味深いのは、地域密着性だ。同記事でもその点を指摘している。
地上波ラジオは、地域に密着したニュースや交通情報を売り物にしているため、衛星ラジオは当初、全米で同じ番組を聴けることをセールス・ポイントとしていた。しかし、ドライバーにとって、イベントや交通情報、天気、ニュースなどの地域情報は欠かせない。そこで地域情報を拡充する一方、遠い出先でも自分の応援しているスポーツ・チームの実況放送が聞けたり、株式情報をリアルタイムで表示すると言った多様化を進めていった。
この点はニューヨーク・タイムズでも強調されている。
On Sunday, XM began offering every locally broadcast regular-season and playoff Major League Baseball game to a national audience, having acquired the rights in a deal that could be worth up to $650 million over 11 years.
おそらく日本でも企画屋さんたちは地域球団とラジオとかぶちあげているのだろう。
ラジオ・オタクの私としてみると、この地域密着性はラジオのよさである。FEN(AFN)米軍放送などを聞いていても地域コミュニティのイベントの話などがけっこうある。また、沖縄にいたころFMのタウンラジオ(コザとか糸満)に関心をもったが、面白いものだった。
ラジオとITと言えば、もう一方で話題のiPod、つまりPodcasting(ポッドキャスティング)だが、そのあたりの関係が微妙だ。ニューヨーク・タイムズでもそのあたりは微妙に触れている。
Commercial radio, which also is combating the growth of digital music players like iPods, is making investments in technologies like Internet and digital radio as well as podcasts, audio programs that can be downloaded to computers or portable devices.
Podcastingは日本ではまだまだの状態だが、意外にも米国ではすでにかなりの普及しているようだ。日本語で読める話としては、「ITmediaニュース」の”米国で勢いを増すPodCasting”(参照)が詳しい。
MP3フォーマットで収録された自家製ラジオ放送をiPodなどの携帯プレーヤーで聞くという「PodCasting」の体験者は米国のMP3プレーヤー所有者のほぼ3割に達する。米国のPew Internet & American Life Projectが、2月21日から1カ月間実施した調査結果を4月3日、発表した。
数値でいうと、六百万人ということになる。日本は米国人口の半分だから同様の普及があれば三百万人ということなるが、いくらなんでもという感じはしないでもない。
衛星ラジオとiPodの関連は、ニューヨーク・タイムズの先の引用箇所でもさらっと過ごしていたが、オモテの記事ではあまり触れにくいのだろうとも思うが、HDD(ハードディスク)録音の問題がある。衛星ラジオのガジェットには録音機能がある。現状これとiPodをどう結びつけるかという話はちょっとタブーかかっている。衛星ラジオのほうについても、まだ微妙だ。Wired日本版”衛星ラジオ放送のデジタル録音、RIAAは静観”(参照)が比較的詳しい。総じていえば、著作権問題は根っこと収益のシステムが押さえられればなんとかなるのだろう。日本は?ま、それを問うなって。
とま、以上、ざらざらとラジオの動向というか可能性の話をメモったのだが、個人的には、ラジオ深夜便やその過去ライブラリーをエルダー世代?っていうか高齢者向けに提供するといいと思うのだが、二つのハードルでダメだろう。一つはNHKのリソースは子会社孫会社の利益になっているという醜悪な構造、もう一つは再生機のインタフェースがだめだめ。
若い人にはどう普及するかなのだが、日本の場合、若い人たちはAV傾向なんでこれもどうなんだろうとは思う。
Podcastingを含めて可能性があるとすれば、タレントのトークだろう。個人的にはマルタ人をおじいさんにもつという英玲奈さん(参照?迷惑かけんようにやめとく)のトークがあったら聞きたいよ(サンディ・アイさんもDJやって欲しい)。あとは、対談だろうな。宮台真司と神保哲生みたい講義調はごめんこうむりたいが。
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コメント
スターン騒動が加速させたんでしょうか。
いつまで無法地帯でいられるのか、わかりませんけど。
投稿: おすぎ | 2005.04.06 09:42
Peercastが好きです。
投稿: 極東ブログの極東ブログ的ココロ | 2005.04.06 15:43
そーかー、またエアチェックがブームなのかー(棒読み
投稿: ■□ Neon □■ | 2005.04.06 20:23
ふと思う。もし、日本においてiPodではなくPSPが個人端末の標準になったと仮定する。
するともしかして
>日本の場合、若い人たちはAV傾向なんでこれもどうなんだろうとは思う。
日本では衛星ラジオではなくTVになるかも。。。
投稿: F.Nakajima | 2005.04.06 23:03
英玲奈cのトークが聞けるなら、ホリエモンラジオでもナベツネラジオでも加入します。
遅コメントですみません。
投稿: おやおや | 2005.04.18 12:27
はじめまして。
XMサテライトラジオの携帯化は今後も見逃せませんね。
投稿: LAビジネスウォッチャーズ | 2006.07.14 15:29