日本人の平均年間性交回数46回、既婚者のセックスレスは30%
厚生労働科学研究班と日本家族計画協会が共同で実施した「第2回男女の生活と意識に関する調査」が最近発表された。なんとなく気になるテーマでもある。といって、オリジナルの報告書を読んだわけではなく、新聞報道からの二次情報なので以下の話は事実レベルで間違いがあるかもしれない。
読売新聞”既婚の10代―40代、3割セックスレス”(参照)ではこの調査結果を次のように総括している。
結婚している10代から40代の日本人男女の約3割が、最近1か月以上性交渉がなく、セックスレス傾向にあることが、厚生労働科学研究班などの調査でわかった。
十代と四十代を一緒にしてしまうのは大雑把過ぎるので、ネットを探すと毎日新聞の「Dr.北村 ただ今診察中」という連載の”第51話 セックスレス傾向が一段と進む”(参照)にやや詳しい話があった。ここでは、日常的にセックスが行われる環境にあると思われる人々を対象に、セックスレス群(31.2%)と、セックスレスではない群(54.9%)に分け、セックスレス群を次のように特徴付けている。括弧内前者がセックスレス群の比率、後者がセックスレスではない群の比率。
- 初めて付き合った異性と今も付き合っている(15.6%:22.6%)
- セックスに対して「とても関心がある」(6.8%:14.0%)
- 異性と関わることを面倒だと感じている(44.1%:30.9%)
- 初交時のセックスに対して「かなり重大なことだと感じていた」(54.8%:44.9%)
- 一年を超えるほどに長期間にわたってセックスから遠ざかっている(19.2%:0%)
- 避妊することや避妊法について相手とよく相談して決めている(30.5%:45.9%)
これを見てどう思うか? 私にはさっぱりわからない。単純な話、何かの要因が、セックスレス群とセックスレスではない群を分けているとしても、その要因となるべきものが皆目見当が付かない。この特徴とされているものは、それらの属性のように見える。
これについて、同記事ではこう総括しているのだが、これも納得もできない。
異性とのコミュニケーションを図ることに消極的であるとか、セックスに対して前向きな姿勢を持つことができないと、セックスレス傾向が強まる可能性の高いことが示唆されます。
さらに、コラム記事ということもありこういうオチが付く。
男女間のコミュニケーション・スキルをどう高めていくか。このあたりがセックスレスの解消と少子化からの脱却への近道ではないかと結ぶのは乱暴でしょうか。
そりゃ乱暴でしょう。でも、読売新聞の記事も同じ。
日本家族計画協会の北村邦夫常務理事は「行政になじみにくいテーマかもしれないが、少子化対策としてセックスレスの問題にもっと真剣に取り組むべきではないか」と話している。
ようするにセックス回数が少ないから、少子化だよと小一時間。と笑いを誘うが、それでも、デュレックス社が行った2004年の調査"Global Sex Survey 2004 results"(参照)では、世界平均は年間103回なのに対し、日本は46回と少ない。というか、平均からかなりはずれている。オリジナルデータから抜き出してみるとこんな感じ。
フランス 137回
ギリシア 133回
セルビア・モンテネグロ 131回
ハンガリー 131回
マケドニア 129回
ブルガリア 128回
イギリス 119回
ニュージーランド 114回
米国 111回
タイ 103回
スイス 103回
ドイツ 98回
フィンランド 98回
中国 90回
ベトナム 87回
インド 82回
台湾 79回
香港 79回
日本 46回
フランスダントツ。オスマン帝国ってなんか独自な文化なのか。コモンウエルスもそうか。やるなぁ…はいいとして、日本だけがダントツに少なく。むしろ、こうした側面が日本国民というものを特徴付けているとしか読めない。それってなんだと考えていくうちに頭痛がしそうだ。わからない。
直感的に思うのは統計が間違ってんじゃないの?だが、そうでもないのだろうか。こうした数値上は、日本人が性交に非常に消極的な国民ではあると言えるのだろう。
なので、それに既婚者のセックスレスのネタをまぜて厚生労働科学研究班と日本家族計画協会が少子化みたいな問題に絡め、さらに、夫婦のコミュニケーションみたいな話に持っていくというお話もできそうではある。
が、そういえば、先週まで週刊文春で三回シリーズで「中高年の性生活をまじめに考える」という特集をやっていて、一応全部読んだのだが、これも関連して気になった。
率直に言うと、このシリーズの元になる調査というのがわけのわからないシロモノだったのだが、それでも、この調査では中高年だとセックスレスが55%とかある。基本的なところで統計にあまり信頼が置けそうにないのだが、大筋で言うなら、デュレックス社調査をさらに推し進めたような感じにはなっていた。気になるのは、この調査では、セックスレス夫婦でも中高年の場合は結婚の満足度が高いという結果にはなっていたことだ。そうなのだろうとも思うし、それの意味について、あるいは、やりまくりのグルーバル・スタンダードから見るとどういう像になるのだろうか。
いずれにせよ、日本のこの分野の状況というのはそういうもので、なのでそれが日本の文化だと言えないこともない。だが、どうもこうした調査からは見えない重要な要素がありそうだと気になる。なんとなく思うこともあるのだが、そのあたりを書くとまずい雰囲気になるかもなので、別途なにか数値的に見える兆候があったら、また考えてみたい。
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コメント
セックスもコミニュケーションのひとつでしょう。『あ・うん』もマンネリ化すると通じたつもりでも通じてなかったり。
世界統計のプロテスタント地区はやっぱり回数少ない気がします。逆にラテン系はマッチョがほら吹いてるところもあるだろう。ちなみに私のアパートの1階上の御夫婦は、床のきしみ方からして週2。60歳台です。まめですね。労働時間、通勤時間、休暇の長さも関係しているでしょう。ちなみにこっちの子供も80パーぐらいは春に生まれます(ヴァカンス仕込み)。
投稿: ねこ仏少年 | 2005.04.29 08:47
8日に一回ぐらいですから、週末に。。ってことかな?
投稿: kidd | 2005.04.29 13:08
歳を重ねての睡眠欲と性欲を比べたら睡眠を取りそうなので睡眠時間とセックスレスの相関関係。
あと夫婦間がギスギスしていえば遠ざかりそうなので年収ではなくて月々自由に使えるお金との相関関係。
あと子供や隣へ聞こえてしまう恐れがあると気になってしまうだろうので部屋数、もしくはマンションと一軒家との相関関係。
これらの数字があればまた違った見方が出るかもしれないですが。
どっちにしろ「セックスレス=悪」って事ではないだろうけど何かの社会的か文化的なサインにはなるんでしょうか?
投稿: lba | 2005.04.29 21:34
長時間の通勤でヘトヘトになった体にそんな余力はないから駅前で一発抜いて帰る、っていうようなオトーサンをどのように調査しているのか興味があります。そうでなければ、世界に冠たる歌舞伎町や池袋の説明がつかないです。風俗も少なく職住接近の地方だと夫婦愛も深まるってことで。
投稿: von | 2005.04.29 21:58
前、どこかの新聞記事で見たのですが、女性が「ズロース」をはいていた頃(時代)に比べて現代はやはりセックスの回数が減っているそうです。たしか、「(私たちに比べて)グラニーのほうがもっとしていた~~」とかいう様な流れだったと。夜遊びするところもほとんど無かった頃のほうが案外健康的だったのね~と思いました。
性交回数年間46回(ほんとに少ないですよね)って、セックスレスの増加も気になりますけど、イコール、マスターベーションの増加でもあるのかな~、とふと思ったりして。
投稿: むぎ | 2005.04.29 22:28
>性交回数年間46回(ほんとに少ないですよね)
少ないんでしょうか?私は20歳の「性欲が服を着て歩いている」時代に、ひと目見て「やりたい」と思った先輩と付き合っていたのですが、そのときでも年に100回くらいだったと思います。結婚したカップルが46回もしてたら凄いと思うんですが..
投稿: wonda | 2005.04.30 00:49
>wondaさん、
レスありがとうございます。またあとでね。
投稿: むぎ | 2005.04.30 01:27
結婚相手になにを求めるかによっても違うんじゃないでしょうか。
ユーロでは「肌が合う人と結婚しなさいよ」と母親から言われてるらしいです。
結果的に、肉体的な男性女性が有利になりその子孫も・・・みたいな流れかなあ。日本は精神を求めるので、子孫も真面目だけど肉体は貧相、ロリでベビーフェイス。
倫理が先か肉体が先か、おそらく共闘してますな。
となると、昨今の少子化は倫理と肉体のアンバランスにありそうです。
投稿: Cyberbob:-) | 2005.04.30 08:47
以下、ちょっと一面的なコメントになります。
>日本は精神を求めるので、子孫も真面目だけど肉体は貧相、ロリでベビーフェイス。
日本の中でも、社会的なグループごとに傾向はまた違うのでしょうけれど(というのはちょっと乱暴な表現)意外とそうでもないと思いますよ。現に日本人の肉体も向上していますし、あはは。
肉体的なものを望む気持ちを識域下に押し込めているから、ロリを目指したりロリを性の対象としたり。その鬱屈がセックスレスにつながるのかなとも。
ただ逆にそれが暴発して、セックスを求めての海外旅行(男女ともに。ただし男性は買春が多い印象)につながったりするようにも思えます。
最近ネットでよく見かけるのは肉体的な欲求に対する社会的な抑圧・制約への過度の反発ですね。倫理などくそくらえ、みたいな。
いずれにしても
>昨今の少子化は倫理と肉体のアンバランスにありそうです
には(おっしゃる意味でも、また逆の意味でも)共感します。
投稿: 左近 | 2005.04.30 09:37
日本人はSEXに非日常性や緊張感などの「情緒」を求めすぎるのかもしれません。だから、結婚して一緒に暮らしたりすると急激に「レス」になる...私は子供のころから、「新婚さんいらっしゃい」を見て、何の緊張感もなく初夜の話しをするカップル&それを喜んで聴く人々に吐き気を催していたので、ある意味典型的な日本人なのかも。
投稿: wonda | 2005.04.30 11:05
はじめまして。3swsといいます。
日本って農耕民族で割りとセックスには寛容な風土があったはずなのに、最近は風紀の規制みたいなとこから、セックスが悪いことのようなイメージが強まってるかもしれませんね。
確かに子供への教育上や犯罪の増加傾向があることを考えると仕方ないのかな?
でもホントに外国と比べると少ないですね。
それでは。
投稿: 3sws | 2005.04.30 14:06
私の場合は、夫婦が子作り以外でもセックスをするというのが、普通なのだと知ったときは結構驚きました。
私の両親は子作りのとき以外していなかったので、どこの家庭でもそういうものだと思ってましたから。
祖父母とかに聞いてみても、やるのはせいぜい30代までで、40や50をすぎてからも性交をするのは、よほどの変わり者だという感じでした。
不倫とか恋愛とかドラマや映画の中の特別な出来事だとずっと思っていたんですが、
そういうわけでもないようですね。
投稿: ● | 2005.04.30 22:51
>wondaさん、
すみません、遅くなりました。
で、あの、年間46回って数字なんですけど、多分セックスレスの人が結構な割合でいるから、本当はみんなもっとしてるんだけど平均値が下がってしまったってことかな、と思うんです。10年前の数字があると便利かもしれませんね。
けど、ひと月3.8回という数だけに注目してみると、う~ん、やっぱり少ないと思う。私のまわりは、まあ、子作りの時期でもあるのですが、既婚者のコはほとんど毎日ってカンジですよ。でも、もともとあまり性欲を意識しない人もいますよね。きっと個人差だと思います。
もし、結婚する前と後とで比べて、セックスの回数がかなり減ったとかじゃなくて、横ばいだったら問題は無いような気がします。元々あったのに、ほとんど~全く無くなったって場合は、男性も女性もそれぞれのパートナーに聞いてみた方がいいかもしれませんが。。セックス以前に、お互いの関係(思いやりとか、ちょっとした言葉やスキンシップが無いとか)に原因がある場合って多そうです。見ていて。日本人同士のカップルは、結婚を境にお互いを役割化する傾向があるようにも思うし。。。例えば、妻と夫、父と母。なんか、パートナーとして気持ちもシェアすることが少ないように見えるんですよね。
私が今不思議だなあと思って見ているのは「不倫」です。いろいろな理由で(セックスの回数も)、結婚相手に対して「なんかヘン」と感じて調べてみると、結果として相手に別の女性・男性がいたって分かって、最後は離婚で終わってしまう。要は、他でエネルギーを使ったから、本来の相手とセックスする機会が無くなっただけで、そんな事情を全く知らないパートナーが、うちはセックスレスだと思っている。。
私のまわり、不倫も多いんですよ。。。
投稿: むぎ | 2005.04.30 23:10
1週間に1回は多いと思います。私の場合は6年間全くセックスレスでした。新婚の頃は毎日していいましたが、時間とともにしなくなりました。みなさんそんなものではないのかなと思っていましたが、そうでもないようですね。原因は私にあるのですが、その原因を取り除いていったんレスが解消されると、今までのレス期間を取り戻すかのように、しています。セックスレスが解消されると、今までギスギスだった関係も、すごくスムーズになり、本当に解消できてよかったと思っています。やっぱりスキンシップって大切なんだと、心底実感しています。
投稿: 古代@セックスレス解消 | 2012.01.08 04:12