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2005.03.09

マイクロダイエットって何?

 先日「はてな」にマイクロダイエットの質問(参照)があって、そういえば、巷でよく見かけるけど、マイクロダイエットってなんだろと思い、ちょっと調べてみたら面白かったので、そんなネタでも。
 その前に、誤解を避けるために最初に言っておくけど、マイクロダイエットの商売を妨害するつもりないし、それやっている人にどうのこうのと健康指導するわけではない。ただのネタ。
 ちょっと調べてみたいなと思った理由は二つ。一つは、私は米国のダイエットに比較的に詳しいのだけど(単純に米国文化ワッチの一環で個人的にはダイエットの必要はない)、知らないな。よってこれって日本発のダイエットの一つでしょ、となんとなく思っていた。ところが、先の質問の回答リンクからでもわかるけど、英国のダイエットらしい。それが二つめの理由でもあって、なぜ英国のダイエット?という疑問からだ。国内の広告的なWebの情報だとなんだか英国お墨付きというか英国の科学者が…というようなので、そんなに権威のあるものなのかというのも疑問に思った。
 英国で重視されているとか有名ならBBCに話題があるはずと思ってみると、あるにはあった。2001年の記事なのでネット・イヤーの感覚からすると古いのだけど参考にはなるのでは、というのがこれ"Web diet warning"(参照)だ。記事の話は、ダイエットについてネットを参考にしている人が増えているがどうでしょうかね、といったもの。そりゃ、そうでしょ。
 この記事であれれ?と思ったのは、ここに囲みのデータとしてちゃんとマイクロダイエットが記載されていることだ。データはどのダイエット情報サイトを見ているかということなのだが、面白い。


Diet site scores from Health Which?
Total Nutrition Technology (US) - 92%
Fitbay (US) - 75%
ediets (US) - 66%
Slimtone (UK) - 55%
Diet Watch (US) - 53%
Total Body Fitness (US) - 44%
Micro Diet (US) - 36%
Top Weight (US) - 36%
Diet and Weightloss (now closed) - 33%
Nourish Net (US) (now closed) - 25%

 リスト見てすぐに二つ思う。一つはマイクロダイエットはずば抜けて有名でもない。もう一つはUSってあるんだけど、つまり、米国。それってどうなってんの? 英国じゃないの?
 英国のGoogleで"Micro Diet"を検索すると、筆頭に出るのは、その名も"Microdiet"(参照)。ドメイン名もそのまんま。

"Microdiet" is a nutrient analysis software system designed specifically for use by professional dietitians to help them in their task of analysing the diets of patients with diet related diseases such as diabetes. The main buyers of the product are dietitians and nutrition experts in hospitals and health services, teachers of medical or dietetic groups at colleges and universities, food companies and freelance analysts.

 このサイトの情報を読むとわかるけど、マイクロソフト社にマイクロが付いているように、マイクロコンピューターで扱うダイエット用ソフトということらしい。いずれにせよ、この情報は日本国内のマイクロダイエットは明らかに関係ない。いくつか他サイトも見ても、そんな感じ。どうなってんの?
 Googleは"micro diet"と二語検索にしたらというのでそうすると、さっきのBBC記事になる。循環。しかもその関連からはまるで情報が掴めない。
 英国の限定を外してみると、二語検索で"Health Defence"(参照)が出る。これもずばりのドメイン名。で、このサイトなのだが、Dr. Paul Claytonなる英国人学者がいて政府とも関連しているので、これですかと思って読んだのだが、どうも日本国内のマイクロダイエットとは関係なさそう。ちなみにこちらのマイクロは、マイクロ・ニュートリエンツ、微量栄養素という意味らしい。
 どうも、政治問題や学問的な情報を扱うようにグローバルに見てもだめかと、国内系からいくつかキーを探してみた。開発者がDr. Jacqueline Stordyらしいあたりを手がかりに探して、ようやくこれですかというのが見つかった。これです。結局国内サイト"MicroDiet"(参照)。

It was developed according to the "Very Low Calorie Diet" by Dr. Jacqueline Stordy of the School of Biological Sciences, University of Surrey in England. While the ultra-low-calorie MicroDietR provides quick and efficient weight reduction, it remarkably contains all the essential nutrients the human body needs. Various medical tests have verified its safety, and Sunny Health has modified MicroDietR for the Japanese market. It has helped more than 1,100,000 users lose weight, and more than 300 medical institutions that treat obesity have taken advantage of it. Ten years after its release, MicroDietR still enjoys the largest share of the meal replacement market in Japan.

 唖然と言うとなんだけど、いくつか驚いたというのが実感。
 まず、Dr. Jacqueline Stordy はたしかに英国人のようだけど、英国でMicroDietとして利用されているのではなさげ。同時にこれって極めて日本向けにアレンジされたものらしい。
 それと明確に、"the meal replacement market"、つまり、食事代替市場とあること。サプリメント(補助)ではないということ。
 一番驚いたのは、"Very Low Calorie Diet"だったのか、ということ。これはVLCDと略されることもあるけど、医学的な用語と言ってもいい。訳語は、英辞郎など見てもわかるように、「超低カロリー食療法」だろう。
 つまり、カロリーを減らせば、痩せます。3+2の結果が3+8より小さいのは当たり前です的な世界だ。
 ということは、医学的にはVLCDとしてみるといいわけだ。で、VLCDの一般的な効果なのだが…という前に、この文脈ですでにダイエットではなく治療にカテゴリーを移しているのだが、一つの参考としては"ワークショップ 肥満症Q & A ワークショップ 肥満症Q & A"(参照・PDF)がある。少し長いけど引用する。

それから体重減少療法を行うと,どの程度の人が体重を維持できるかという,いわゆる減少体重維持率ですが,正直にいいましてこれは非常に悪いのです.かなり以前のことですが,入院治療でVLCD(very low calorie diet)療法を80名くらいの方に行い,約2年後にアンケート調査をしました.VLCD療法によって減らした体重量のうち,その50%くらいまで体重が戻った人,100%以上戻った人,というように区別して結果をみましたところ,体重の再増加が減少した体重の50%以下であった人は約25%しかいませんでした.この25%という数字は回答した人のなかの25%で,アンケートの回答率も50~60%でしたので,治療した人の8人に1人位の割合になります.減量できた体重を維持するのは難しい,おそらく1回体重を減らしても,その維持率は非常に悪いということです.これはわれわれがVLCD療法を入院してやらせることを,積極的にしなくなった理由の一つです.いくら入院して体重を減らしても,退院後の生活習慣が入院前と変わっていなければ戻ってしまうのではないかと思います.ただ患者さんがお医者さんにお任せして体重を減らしていただきましたということでは,肥満症の治療にはならないというふうに思っています.

 私のコメントは、やっかいなことに巻き込まれたくないので控えておくのだが、それでも、この話は治療としての一般的なVLCDであり、VLCDを応用した特定のダイエットではない。なので、後者にはリバウンドしない効果がある可能性については否定しない。それに以上については、「理由は聞くな。大人なら。」といった心情である。
cover
The LCP Solution
 話をわざとらに少しずらしてエントリのケツにしたいのだが、Dr. Jacqueline Stordy にはダイエットについて興味深い一般書「The Remarkable Nutritional Treatment for Adhd, Dyslexia, and Dyspraxia」(US版)があった(英国版)。LCPは、long chain polyunsaturated fatty acids(長鎖多価不飽和脂肪酸)の略で、日本人だとDHAとかで知られているあれだ。話は、ADHDなど脳機能に関連する問題は、DHAなどの脂肪酸をよく摂取するといいということらしい。この手の健康情報大杉の日本人にはそれほど驚くほどの内容でもないのだろうが、こうした面については、日本国内の日本脂質栄養学会の学者などからも同種の示唆が出されている。

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コメント

栄養学ってなんでこう○○○・・・とま伏せ字ですが、歴史的経緯なんですかね。何度か書いてますが、皮下脂肪と脳の巨大化とか、果糖と多価不飽和脂肪酸と食性とか、胆汁と腸肝循環と大腸内環境とか、ネタには事欠かないように思うのですがね。

投稿: Sundaland | 2005.03.09 12:50

macrobiotic dietのことですか?

投稿: むぎ | 2005.03.09 22:24

マイクロダイエットが元々海外の肥満治療の超低カロリー食餌療法から始まっていて、最初は普通の食品で処方されていたのが、その後利便性を考えて粉末を溶いて飲む形式にアレンジされたものであるというのは、割と常識だと思うんですが。ついでに、非常に「不味い」のでダイエットに興味を持ってる人の間では有名のはずです(笑)青汁と似た感じの扱いです。

投稿: 某K | 2005.03.10 06:33

私も全く同じ経路をたどって調べていて、たまたま通りがかりでここに飛んできたんですが、ご自分で検証した軌跡がすごくおもしろかったです。結論がよくわからなかったけど、あとは自分でさらに調べてみます。ありがとうございました。

投稿: 通りがかり | 2005.08.17 03:32

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