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2005.03.05

ホリエモン・オペラ、間奏曲

 ホリエモン話の第三話。ってか、素人の私なんぞが口出しするこっちゃないが考えようによっては国民のお茶の間の話題なのでその分際くらいで枯れ木も山の賑わいもよかろうか。特にまとまった意見はない。ただ個人の勝手なブログなので勝手に賭けに出ると、裁判所沙汰について言えば、ホリエモンの勝ちでしょう。
 前回極東ブログ「負けたのか、ホリエモン」(参照)を書いた時点では、フジ主導と言っていいだろうが、ポイゾン・ピルもどきの新株予約権構想が繰り出されると私は思ってもいなかったので(ポイゾン・ピルというのは事前の意思表示)、ニッポン放送はホリエモンのものだろう、でも、本丸らしきフジは当面防御できたようなので、それだとホリエモンの「負け」っていうことかな、というくらいに考えていた。が、局面は変わったというか、より複雑になってきた。
 私の率直な印象は、フジテレビがなぜこんな策を繰り出してきたのか理解に苦しむというものだった。こんな手ありかよ? あまりこの問題のメディアでの反応を見ているわけではないが、そうした意見は、常に喧嘩両成敗的に緩和されるようだった。なんか、そーゆーことかぁ?
 ニューズウィーク日本語版(3・9)"フジ「毒薬」騒動の勘違い 敵対的な株買い占めや防衛策に驚く「M&A後進国」のお粗末"も、外人記者が書いた割に、どっちもどっち的なまとめになっているが、次の指摘は真っ当だろう。


 日本の一部のマスコミが「日本初のポイズンビル」と呼ぶニッポン放送び買収阻止策は、「フジテレビ以外のすべての株主を罰するものだ」と、スタンフォード大学法科大学院ロナルド・ギロソン教授(会社法)は言う。「どこからみても自己利益の追求で、日本の裁判所も認めないだろう」

 こうした問題で私はテクニカルな議論に立ち入るだけの知識はないのだが、大筋ではそういうものだと思う。であれば、裁判所の判断は案外単純に出るだろう。
 このあたりは国際的なビジネスセンスがどう捕らえるかかなとちょっとニュースを見ていると、朝日新聞"フジTOB トヨタ、応じぬ方針"(参照)が興味深い。

 フジテレビジョンとライブドアによるニッポン放送の株式取得合戦で、トヨタ自動車は4日、フジが7日を期限に実施している株式公開買い付け(TOB)に応じない方針を固めた。トヨタは、フジが提示している買い付け価格の5950円は市場価格(4日の終値は6500円)を下回っており、トヨタ株主への説明が難しいと判断した。また、市場での売却も「一方(ライブドア側)を利する」(首脳)として当面は見送る。


 フジの提示価格が市場価格より高ければ、TOBに応じても余計な観測を招きにくい。しかし、現状でTOBに応じればトヨタの株主利益に反する恐れが出てくる。事業展開、資金調達ともにグローバル化を進めるトヨタにとっては、透明性も確保した形だ。

 政治マターはやめてよねというところだろうか(電通はTOBに乗り気だよ、うひゃ)。そういう文脈で言うなら、外資も困ったなぁの顔色である。共同"過剰な外資規制に懸念 在日米商工会議所代表が"(参照)からも伺える。

 在日米国商工会議所のロバート・グロンディン代表は4日の記者会見で、ライブドアによるニッポン放送株取得に関連し「(外資が)お金を貸したから(放送局に対する)間接支配だというのはどう考えても過剰。ラジオ局やテレビ局の資金調達にも悪影響を及ぼしかねない」と述べ、外資による放送局への間接支配規制が行き過ぎた形になることへ懸念を示した。

 そういえば、これだけ日本が騒いでいるし、ホリエモンの外人向けの質疑もあったようなのでと海外のニュースを見ると…、粗方、スカポンです。海外では、それほど重要な問題でもないと見ているようだ。傑作はフィナンシャルタイムズ"Horimon plays his cards well"(参照)で、極東ブログなみのおちゃらけで飛ばしていた。

Horie's nickname, Horimon - after the cartoon monster, Pokemon - has become synonymous with brash and outrageous behaviour. An icon of youth, teenage girls are lining up to buy shares in his company. (Well, that's what he says at least.)

 「ホリエモン」って馬の名前の洒落かと思ったら、ポケモンですかぁ。そうですか。そういえば、ブログで「ホリエモン」とか書くなよみたいな意見もどっかで目にしたが、フィナンシャルタイムズがこれですよ。
 ガーディアン"Japanese whiz kid vows to win radio bid"(参照)も標題からすでに笑いを取っているし。ただ、この記事はなんか日本人が書いたのを訳したみたいな感じだな。
 れいの時間外取引云々についてはブルームバーグ"Japan Regulators Want Off-Floor Trading Law in Force by June 19 "(参照)から察せられるように外資的には終わったよ話でもある。
 さて、今後の展開だが。つまり、裁判ではホリエモンが勝つ、と、ニッポン放送はゲットする、と。で、フジの鉄壁の前で踵を返すかだが、毎日新聞"<堀江社長>総会で委任状含め過半数達成に自信 本紙と会見"(参照)でホリエモンが、また、また、面白いこと言っている。

ニッポン放送の株式を大量取得したライブドアの堀江貴文社長(32)が4日、毎日新聞のインタビューに応じた。フジテレビジョンとの同放送株争奪戦で議決権の過半数を獲得できなくても「6月の株主総会でプロキシファイト(委任状獲得合戦)になるだろう。自信がある」と述べ、経営権の獲得は可能だとの見通しを示した。

 面白いなぁ、ホリエモン。
 で、フジ側はどうするかというと、週刊文春(3・10)にも噂が飛んでいるように、「メディア初の共同持ち株式会社を作って上場し、他を未上場会社にする」という手に出てくるのだろうか。フジ側としては、なんか、すごい躍起なのだが、産経新聞をそのままオモテに立てないようにはするのだろう。
 いずれにせよ、前回このバトル、「穴熊」かぁ、と思ったが、こうして見るとなるほど長期戦になりそうだし、プロキシファイトみたいなものになれば、世間の空気の問題ということになるのだろう。
 というわけで、そろそろ各種の空気が絶妙に醸し出されている、っていう感じですかね。ただ、空気で経営はできないわけで、ホリエモン、どっかで豪快に滑るのだろうな。

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コメント

Financial Timesの記者はDoraemonをご存知ないのですね。アチラの知識階級では仕方のないことでしょうが。

投稿: haruhico | 2005.03.05 13:39

horimon…爆笑です(笑)

投稿: kagami | 2005.03.05 13:47

段々、あの不健康に太った顔も見飽きてきました。
最近思ったのですが、ポータルサイトとしてもライブドアの価値=結局堀江社長のブログだけじゃないですか。それ以外にあそこで興味を引くサイトって他にありましたっけ?
つまり堀江社長がマスコミに飽きられた瞬間が彼の最後だという、非常に危ういことになってませんか?彼は経営者なのかそれとも芸能人なのかって私は思っているのですが。

投稿: F.Nakajima | 2005.03.05 23:35

>> F.Nakajima氏
> マスコミに飽きられた瞬間が彼の最後だ

??
彼は芸能で食ってるわけじゃないですよね?
何が「彼の最後」なんですか?
飽きられたら消される?
本業が立ち行かなくなる?
マスコミが注目する前からふてぶてしさは変わってないわけですが...。

投稿: at | 2005.03.06 03:06

>彼の最後

具体的な構図を明らかにしておきたい。
ライブドアがここまで急成長できたのは本業の稼ぎによるものではありません。これまで何十社というIT企業を買収してきたからです。
そしてその方法はほとんどライブドアと自社株との株式交換という形であり、資金を出しての買収というのは今回のニッポン放送ぐらいのものです。

そこで問題とのなるのがそのライブドア株の「価値」です。私はライブドアの株式はさまざまな手法、(例えば大量の分割を繰りかえして投機的資金を集める)を使って株価を市場価値以上にかさ上げされていると思います。そのかさ上げされている株式の価格を使って企業買収を繰り返すのですから、相当割安な価格で企業買収を行っているといえます。

彼を私が「芸人」であると評したのは彼がテレビに出演することは自社株価の高値維持策の一環なわけです。媚を売っているのは視聴者ではなく自社の株主ですからふてぶてしさも必要なわけです。

ここで私は「マスコミが飽きたら彼も終わり」と表現したのは正確には「視聴者=株主が疑問を抱いたら彼も終わり」と言うべきでしょう。その瞬間、割高である株価は本来の企業価値まで暴落し、その時点で割高株な自社株を使って買収するライブドアの成長パターンは使えなくなります。

「豪快に滑る」としたらここですね。暴落した時点で自分の手元に残っている企業にどのくらいの価値があるのか?私は彼が集めた企業はかなりガラクタが混じっていると思っています。ここで実際に利益が出ていなければ本当に経営危機に陥ります。

投稿: (F.Nakajima)atさんへ | 2005.03.06 10:40

atさんへ
↑失礼しました。
操作をあやまり、なぜかatさんが名前覧に入っていました。

投稿: F.Nakajima | 2005.03.06 10:42

> ライブドアがここまで急成長できたのは本業の稼ぎによるものではありません。
> これまで何十社というIT企業を買収してきたからです。

最近の一般的認識では、ライブドアの「本業」は企業買収です。
投資家(投機家?(笑))達も、その認識で金を出しています。

「媚を売っているのは視聴者ではなく自社の株主です」し、
その大半は彼がマスコミにちやほやされ始める直前に、
彼のファン(信者?)になった人達です。
だから、

> 「マスコミが飽きたら彼も終わり」
> 「視聴者=株主が疑問を抱いたら彼も終わり」

にはならないでしょうね。
マスコミが彼の生命線ではないと言うか、
彼の生命線はマスコミとは全く別次元にある
(どちらかと言えばもっと危うい)ラインだと思います。

投稿: at | 2005.03.14 10:46

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