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2005.03.04

鳴かぬなら泣かせてやろうカナダ人、詠み人ライス

 またちと旧聞にして話題はまたカナダ。カナダが米国の進めるミサイル防衛構想に不参加を表明したこととその余波について、日本も他人事ではないので触れておく。
 先月24日、カナダのマーティン首相は米国主導のミサイル防衛構想(MD)へ不参加を正式発表した。予想外のことではないし、私もカナダの立場を指示する立場にいたことは過去エントリ(参照)でも触れた。
 それから一週間が経ち、事態の推移を見ながら、ちょっと苦い思いがしてきた。率直に言うと、MDなど技術的に無理だし、だから無駄だという考えだったのだが、それにブレが出てつつある。科学的な評価にはブレはない。問題は政治・軍事としてこれを見た場合の問題だ。このブレは、環境問題への評価にも自分の心の中では似ている。そう自問したのは、恥ずかしい話、私がMDを批判できるのは日本国政府が米国主導のMD推進の立場を明確にしているからだと言える。それって、オレ様、すごい卑怯じゃん。
 28日にウォール・ストリート・ジャーナルにかなり強い論調のカナダ批判の社説が掲載されたらしいのだが、オンラインでは読めないようだ。どっかにコピペでもないかとネットをうろついて、米人からのヘタレ・カナダ人への罵倒をしこたま見た。真性ヘタレの私はノックアウトになりましたよ。そーゆーことだよな。ったく、米国人ってのはこれだものな。もちろん、米国人がそういう輩だけではないのはわかっているさ。
 マーティン首相の今回の発表はカナダの強い反MDの世論を反映したもので、「カナダ紙トロント・スター(十二日付)の世論調査によると、米主導のミサイル防衛への参加に「反対」は54%で、昨年十月から1ポイント上昇。賛成は34%で3ポイント低下」(参照)。他のソースでは、七割近くがこうした立場にあるとも聞いた。この時期には、内政的には、マーティンに選択などないというところだろう。
 米国もそのあたりは、イラク戦争にカナダが不参加の意を示した時のように、多少は意を汲んでやるのかとも思った。クリスチャン・サイエンス・モニター"Don't blame Canada for missile-defense snub"(参照)がこのあたりの機微をうまく代弁している、というか、これを読めば、あらかた事態がわかる。
 だが、ある意味、こっちのほうがウォール・ストリート・ジャーナルより右寄りかもしれない。っていうか、日本も、NO WAY OUT! ということだな。
 その後の米国のオフィシャルな対応は、私にはやや予想外だったかなという展開になりつつある。ライスが露骨にカナダに圧力をかけたからだ。日本の国内報道は少ないようだが、CNN日本版"国務長官、カナダ訪問を延期、ミサイル防衛対立で"(参照)が触れている。


 ロンドン――米政府高官は3月1日、ライス国務長官が4月半ばに予定していたカナダ訪問を延期した、と述べた。カナダが、米国のミサイル防衛構想への不参加を先月下旬、発表したことへの意趣返しの措置ともなっている。AP通信が報じた。
 カナダ訪問の日程は改めて詰めるとしているが、具体的な期日は未定。

 没交渉というわけでもないは、同日ブッシュが動くアナウンスをしているからだ(ってか、ライスって頭いい)。日経"米大統領、カナダ・メキシコ両首脳と同時会談へ"(参照)を引用する。

ブッシュ米大統領は今月下旬、マーティン・カナダ首相とフォックス・メキシコ大統領を同時に米国に招き、3カ国首脳会談を開く方向で調整に入った。マクレラン大統領報道官が1日、記者会見で明らかにした。会談場所はテキサス州クロフォードの私邸になるとみられる。

 この際、マクミラン報道官は、MD不参加問題について触れ、「カナダとは長年にわたり、国防の優先課題について協力的に取り組んできた。今後もそうした関係を期待している」と強調したとのこと。
 クリスチャン・サイエンス・モニターのコラムが指摘しているように、実際のところカナダには選択肢はないに等しい。カナダは、MDを含めたNORAD(ノーラッド:北米航空宇宙防衛司令部)の共同防衛協定に昨年8月合意している。
 話を日本にシフトすると、日本はちゃくちゃくと歩を進めている。昨日の読売"イージス艦レーダー、05年度から日米で共同研究"(参照)などでもわかる。

日米両政府は、ミサイル防衛(MD)システムの要となるイージス艦のレーダー能力向上のための日米共同技術研究を2005年度から開始する方針で大筋合意した。

 私の読みはハズシかもしれないが、日米間のMDの問題は実際は中国原潜の阻止なのだろうと思う。他人事で言えば、米国が中国の核下に置かれてもすでに置かれている日本としては、へってなものだが、そうなったときの中国様とのお付き合いは、ちょっとご免被りたい。ので、この部分のMDっていうのはしかたないか。ああ、ヘタレだな、俺。

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コメント

>日米間のMDの問題は実際は中国原潜の阻止

多弾頭化(MIRV)で、終末フェーズの迎撃が事実上不可能になってしまうため、それならば、
ブーストフェーズで迎撃しよう。そうすれば迎撃した弾頭も、打ち上げ国の領土内におっこっちゃ
うから報復&抑止効果倍増だし、というのがMDの肝です。

終末フェーズではなくブーストフェーズで迎撃するとなれば、当然打ち上げ国の近辺で迎撃ミサイル
を発射せねばならず、対中国のフロントエンドは当然日本、対ロシアはカナダということになります。

もともとMIRVが出てきたのはABMで弾頭を全部撃ち落されそうになったため、それならば一発
の弾道弾で複数の目標に多弾頭をばら撒けば良いじゃん、つうことですね。

投稿: ■□ Neon □■ | 2005.03.04 19:56

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