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2005.03.15

トヨタのサンクトペテルブルグ進出は結局どうなったのか?

 今朝のNHKのラジオで、トヨタがサンクトペテルブルグで現地生産へ向けて始動したといった話が流れていて、えっ?とぶったまげて、慌てて報道の検証をしようとしたのだが、これがわからない。話題はトヨタなのだから国内ニュースなのでGoogleニューズやgooでなにかひっかかるかと思ったのだが、どうも混乱しているようにしか見えない。こうした場合は、現地側のニュースを探るといいと思って、Googleニューズをロシアに切り替えようとして、はたと気が付いた。ロシアがない。Yahoo! Russiaというのもないのだね。あれま。
 国内的には11日の産経新聞系"トヨタ、露工場計画を凍結 政府、大統領訪日に影響懸念"(参照)というニュースが流れていた。これは、標題どおり、凍結したよ、というわけである。


トヨタ自動車が検討していたロシアでの自動車製造工場の建設計画が、凍結されたことが十日、分かった。トヨタ側はすでにロシアにこうした方針を伝えている。トヨタのロシア工場建設については、プーチン大統領も歓迎、訪日の際には合意文書の署名式典も検討されていた。このため、今回の計画凍結について、ロシア側は失望感を隠しておらず、日本側も「経済面での大きな目玉がなくなり、大統領の年内訪日断念につながりかねない」(日露外交筋)と懸念している。

 政治マターになるのはしかたがないにしても、この産経の報道にはちょっと変な印象を受ける。率直に言うと、なんか産経が情報操作に出ているのではないかという懸念すら感じるのは、翌日付、ビジネスi"露への大型投資ご用心、日系企業乗っ取り画策?"(参照)の記事があったからだ。

ロシア政権がシベリアで成功を収めた日系木材加工企業に、税務面での攻撃を強化している事実が11日までに明らかになった。恣意(しい)的な追徴課税を課すことで倒産に追い込み、企業の乗っ取りを画策している可能性がある、とみられている。ロシアでは、日本たばこ産業(JT)の露子会社など有力日系企業への圧力が強まっており、大型投資などは今後、一層の警戒が必要となりそうだ。

 時期的に考えて、それってトヨタを視野に置いているでしょと読み進むのだが、それがトヨタのトの字もない。なんか、産経新聞ってこういうところ朝日新聞と実はそっくりなんだよなとかちょっと思う。
 11日同日の日経系"トヨタのロシア工場、サンクトペテルブルクで2007年稼働"(参照)では、ご覧のとおりイケイケで書かれている。

トヨタ自動車が新設を検討してきたロシア工場の概要がほぼ固まった。建設地はサンクトペテルブルク市で主力セダン「カムリ」を生産する。年産5万台を目標に2007年に稼働する。投資額は150億円程度になる見込み。トヨタは自動車需要が拡大しているロシアを有力市場と位置付けており、現地生産で本格的に開拓する。

 ロシアでは新興財閥への高級車のニーズが高いので、カムリあたりかという感じはわからないではないが、それにしても、この産経と日経のズレってどうよ。と思っていたところ、Responseというサイトに"【新聞ウォッチ】トヨタのロシア工場計画報道、日経と産経の信憑性"(参照)の記事があった。どうなってんのということだ。

概要を明らかにした日経、凍結を報じた産経、信憑性の是非を含めてこの先の続報を注目したい。

 というのが今朝のNHKラジオでびっくりした背景なのだが、さて。
 なにより、トヨタ側のアナウンスが気になるのだが時事"ロシアでの現地生産、引き続き検討=「凍結」報道を否定―トヨタ"(参照)によれば、一応同日中に凍結報道を否定している。

*トヨタ自動車 <7203> は11日、ロシアでの現地生産をめぐる報道に関し「市場動向を踏まえつつ、さまざまな角度から検討している」とのコメントを発表した。報道の一部は「検討を凍結した」としていたが、これを否定した形だ。ただ同社は「時期を含めた具体的な内容は決まっていない」と強調した。

 凍結は否定されたとなると、やってくれるじゃんか、産経新聞という感じではある。先の記事に至っては、ごりごりに政治マターでもあった。

 日本政府は、十一日にも行う町村信孝外相とラブロフ外相との電話会談で日本側の事情を説明すると同時に、ロシア側に大統領訪日に向けた考えを改めてただす構えだ。

 とはいえ、このネタはあながちガセとも思えないので、その電話会談はどうだったのか知りたいのだが、ようするに、その結末が今朝のNHKのラジオの話だったのか。
 産経が政治マターでやってくれたかなという感じだが、この報道はAFP側でも11日に"Toyota scraps plan for Russian plant: report"(参照)に反映している。

TOKYO : Toyota Motor Corp has suspended a plan to build its first auto factory in Russia due to a disagreement over the location of the plant, a Japanese daily said.

Japan's top auto maker was planning to build the plant in Saint Petersburg, but Russian authorities demanded Toyota set up factories in various parts of the country in a bid to boost regional economies, the Sankei Shimbun said, quoting Japanese and Russian diplomatic sources.


 で、結論は?
 そこがよくわからない。問題も錯綜している。まず、具体的にトヨタのロシア進出はどうなっているのかが重要。次に、この政治マターはどう動いているのか。そして、この問題における産経のビヘイビアってどうよ?である。
 総じて言えば、日本側でロシアの足を引っ張るようなのは、やな感じぃ~である。

追記(2005.4.27)
 四月二六日付で、トヨタ自動車はサンクトペテルブルク市郊外に約四〇億ルーブル(一五〇億円)の投資により自動車工場の建設を発表。会社設立予定は六月。生産開始は〇七年から。

 ”トヨタ、ロシア・サンクトペテルブルクに新工場”(参照


トヨタ自動車は26日、ロシアのサンクトペテルブルク市に新たな自動車工場を建設することを決めロシア政府、同市と基本合意した。2007年末までに乗用車「カムリ」を年2万台規模で生産開始し、1―2年内に5万台に引き上げる。投資総額は約40億ルーブル(150億円)。ロシア市場の拡大に対応したもので、日本企業の現地生産は初めて。

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コメント

なんか、3Kの後ろの政界やその向こう側の意向が透けて見えそう。
てか、現代でも日本人はまだ「小村寿太郎」の行動を許さない気がしますね。
特に拉致問題や領土問題にそういう空気を感じます。
(決してどうでもいい問題だとは思ってませんけど。)
昨日のエントリとも繋がった話だと思うけど
3Kも浅卑も両極端だけど兄弟という感じですよね。
先祖還りならまだしも、歴史は繰り返す、なら嫌だなぁ。

投稿: kaze | 2005.03.15 23:31

トヨタとロシア政府との確執以前に、今のトヨタは兵站が延びきってるわけで、ナポレオンや第三帝国じゃあるまいし、ここでロシア進出というのはマジでシャレにならんです。ゴーン改革でリストラしたところにアメリカ市場好調で品質下げまくりの日産の轍を踏みたくはないだろうけど、そうなりかけてる。

ただ、BRICSの将来を考えるとロシアにつばつけないわけにもゆかず、非常に悩ましいだろうなぁ、とご同情申し上げます>トヨタ

その意味では産経の報道は、トヨタの時間稼ぎのための援護射撃かなぁ、と思ってみてたりして。最終的にはロシアに進出するんだろうけど、今はなんともタイミング悪い。

投稿: ■□ Neon □■ | 2005.03.16 10:22

トヨタの工場建設中止は当を得てる。このまま建設を続けても、採算が取れるようになれば難癖をつけて国有化だ。

投稿: ロシア | 2005.04.15 21:24

トヨタのロシア進出が決定したので、極東ブログ「トヨタのサンクトペテルブルグ進出は結局どうなったのか?」(2005.03.15)に追記しました。
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2005/03/post_11.html

投稿: finalvent | 2005.04.27 10:00

URLは、2ちゃんのスレ「プーチン大統領「日本の常任理入りに完全に賛成なんですぅぅ!!」です(このスレのレスは、ニュー速らしいゴミですがw)。さすがですね>finalventさん。
今後もこのブログで勉強させていただきます。
ここからはこの話と間接的に関係のあることなのですが、finalventさんは、佐藤優著「国家の罠」(ASIN:4104752010)を読まれましたか?数週間前の週刊誌で結構紹介された本ですので、ご存じであればおせっかいなことをすることになり、申し訳ありません。
finalventさんが書評を1月にお書きになった「雷のち晴れ 」はロシアサイドからの日露外交の話でしたが、それと同時期の日本サイドから見た日露外交の話が「国家の罠」です。それに加えて、日本の「ヒューミント」(human intelligence)として活躍した佐藤優氏の様々なエピソードを通して、ロシア外交の「本質」を見い出すことができると思います。
ぜひ、ご一読を。

投稿: ペペロンチーノ | 2005.06.15 02:12

肝心の、ニュースのurlを貼り忘れました。追記です。

トヨタがロシア工場起工式 大統領も異例の出席 (共同通信) - goo ニュース
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/keizai/20050614/20050614a2890.html?C=S

プーチン露大統領、11月来日を表明 (読売新聞) - goo ニュース
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20050615/20050614i216-yol.html?C=S

投稿: ペペロンチーノ | 2005.06.15 02:39

ペペロンチーノさん、こんにちは。ご示唆ありがとうございます。

佐藤優の本はよく話題になったので少し間おいてから扱おうかなとも思っています。「雷のち晴れ」はあまり話題にならかったみたいだったので、取り上げてみた経緯もあります。

投稿: finalvent | 2005.06.15 11:12

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