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2005.03.13

ブッククロッシング(bookcrossing)

 先週の話になるが、英国の公共放送BBCがブッククロッシング(bookcrossing)の支援を始めた。ブッククロッシングは、書籍を共有物として社会のみんなで読み回すという試みだ。たとえば、駅のベンチに本を意図的に置いていく(あたかも置き忘れたかのように)。それを別の誰かが拾って読む。読んだらまたどこかに置いておく。別の人が拾って読む…。こうしてみんながその本を読む。これがブッククロッシング。本のほうにもそういう意図のラベル(あるいは電子タグ)を付けておく。インターネットなども連携して、拾った本の感想などを書き込む。国際的にはbookcrossing.com(参照)が有名だ。
 BBC主導のブッククロッシングの試みについては、インディペンデント"Bookcrossing scheme puts paperbacks into the 'wild'"(参照)が詳しい。ここに、英国のブッククロッシングで放流されている書籍の人気リストがあった。参考までに邦訳を主にアマゾンでリンク付けておく。


  1. The Da Vinci Code, by Dan Brown 719(参照参照
  2. The Lovely Bones, by Alice Sebold 707(参照
  3. Angels & Demons, by Dan Brown 626(参照参照
  4. A Painted House, by John Grisham 599(参照
  5. Divine Secrets of the Ya-Ya Sisterhood, by Rebecca Wells 542(参照
  6. The Firm, by John Grisham 529(参照
  7. The Pelican Brief, by John Grisham 529(参照
  8. A Time to Kill, by John Grisham 513(参照参照
  9. The Secret Life of Bees, by Sue Monk Kidd 487(参照
  10. Jurassic Park, by Michael Crichton 477(参照参照

 ブッククロッシングは、日本でも一部実施されているのだろうか。新聞などにも話題が取り上げられているようだが、まだそれほどの広がりはないようにも思う。というか、日本では、なにかとちょっと無理かなという感じもする。スタバとかが賛同してくれたら、ローカルに広がるかもしれない。BBCが推進しているからと言っても、同じ公共放送であるNHKにはそんなセンスなさそうだ。
 そういえば、私事だが、10年以上も前になるが、成田から”リムジン”に乗って東京に戻るとき座席に村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の文庫本があって、なにげなく読みふけった。へぇこの本って文庫があるんだという感じでつい読んでしまい、気が付くと新宿だった。ああいう感じっていうのは面白いなと思う。
 そういえば話のついでだが、沖縄暮らしでなにかとホテルのお世話にもなったのだが、ロビーに置いてある本とも奇妙な出会いみたいのが何度かあった。沖縄というところは出版が独自なこともあり、地域の本の状況がわかりづらい。意外と町村史なんかが面白い。そうしたものが意外なところで読めたりする。
 さて、社会風俗としてのブッククロッシングだが、考えてみると、公共と書籍というもののある本質的な意識も込められているようにも思えてくる。
 書籍というのは、当然、現在の世界の枠組みでは商品なのだが、歴史を俯瞰するに、つねに商品というものでもなかった。むしろ、歴史上では書籍はある種の公共物でもあり、権威でもあった。聖書など西洋の中世では実際には読まれはしなかった。
 書籍の歴史では、言うまでもなく印刷技術というのが大きなエポックになるのだが、そうした視点は、あまりに西洋的なものかもしれない。日本でも江戸は出版物に満ちていたのだから。
 それ以前の日本の歴史を見ても、大蔵経の書写の歴史などを知ると、いろいろと考えさせらるものがある。先日柳田聖山の話を聞きながら、日本の仏教や仏教学はけっこう朝鮮の寺刹の恩恵も多く受けているなと思った。
 前近代の書写というのも、広義のブッククロッシングなんだろうと思う。その意味で、ブッククロッシングというのはパブリッシングより根の深い本の読まれ方なのかもしれない。

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「書評」カテゴリの記事

コメント

近所の郵便局にも同様な目的の、持ち出し・寄贈自由な本棚が置いてあります。
残念ながら私の興味を引くような書籍はありませんでしたが…。

投稿: 名無しさんだよもん | 2005.03.13 12:29

始めてお邪魔しました。勉強不足で良く分からない記事もありましたが・・・。この、ブッククロッシングと言う試みは面白いなと思いました。米国でもこんな試みはあるんでしょうか? NYの地下鉄の座席なんかに本が置いてあったら? ああ、そういえば、新聞とか雑誌なんか読んでそこにおいて下りて、次の人がまた読んでるなって言う光景良く見かけますね。

投稿: カズ姫 | 2005.03.13 12:43

近所の銀行では漫画本をこうしていますね。あと、JR両毛線だったでしょうか5~6年前に本棚を見たことがあります。佐野駅だったかなあ…うろ覚え。
網棚の新聞は日本でもありふれた光景かと思いますが。少年ジャンプとかも。

投稿: mori | 2005.03.13 12:46

ご存知かもしれませんが、日本だと、cow booksというところが一応支援しているようですね。
http://www.cowbooks.jp/ (our projectより詳細ページ)

移動本屋のようなことをやっていたりちょっとアートっぽい、インスタレーションぽいことをやっている本屋のようで、日本で取り入れられるならこういうところからなのかなあという気はします。(スタバというのもちょっとそれっぽいですね)
そのままでは一般化はしなさそうですが・・・・・・。

投稿: zey | 2005.03.13 18:42

私は昔、海外長期旅行にいっていたのですが、一人で持てる本の数は限られています。
それにすぐに読み終えてしまうので、日本人の旅行者と知り合う度に、本を持ってないかどうか聞いては交換して、ということを繰り返してました。
日本では絶対読まないであろう本も目を皿のようにして読んだ気がします。
多分、何千冊という文庫本が現在も世界を旅していると思われます。

投稿: (anonymous) | 2005.03.14 02:17

はじめまして。ブッククロッシングについて調べていたらこちらにたどり着いたのでトラックバックさせていただきました。
ブッククロッシングの発想はとてもおもしろく感じています。
が、おっしゃるとおり日本ではなかなか根付くまでにはいたらないようですね。
「シェア」という感覚が少ないからでしょうか。

投稿: innerculture | 2005.11.20 20:40

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