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2005.02.22

なにかと兵力が足りない話

 散漫な話になるが、世界情勢の基本部分のシフトで気になることがあるので書いておきたい。なにかと兵力が足りないという話でもあるのだが、ちょっとこみ入っている。
 枕としてはトーゴの問題から。日本国内ではそれほど話題にならなかったようだし、たしかにそれほど話題にするほどでもないのだが、2月5日、西アフリカ、トーゴのニャシンベ・エヤデマ大統領が心臓発作で死去した。69歳なので異常な出来事ではない。むしろ在職38年を迎えていたというほうが異常に見える。大統領というのだから選出されたかというと、これもありがちなクーデター政権による独裁。それでも憲法があり大統領交代選挙規定もあるだが、この機にシカトして軍指名で息子のフォレ・ニャシンベが大統領なった。ついでに憲法のほうを改正した。お笑いみたいな国である。「また、アフリカか」ということだし、宗主国フランスも直接介入するわけでもなさそうなで、ほっとけとなるかと思いきや、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とアフリカ連合(AU)も歩調を合わせて圧力をかけ、フォレ・ニャシンベ辞任という圧力が強まってきている。つまり、アフリカ内部でこの問題の見通しが立つというめでたい展開になりそうだ。むしろ、そっちのほうが事件という印象すらうける。この点で、ワシントンポスト"Africa's 'Huge Blot'"(参照)が指摘するように、南アフリカとナイジェリアの労も評価できるだろう。


The continent's two powerhouses, South Africa and Nigeria, are both democratic and are trying to spread democratic values across the continent. According to Freedom House, 32 African countries are free or partly free; 16 are classified as unfree. The South Africans and Nigerians scored a victory recently by leading a continent-wide denunciation of an undemocratic succession in the West African state of Togo. Their firmness is having an effect: Togo's regime has promised an election within 60 days, as called for in its constitution.

 ワシントンポストのこの記事は、しかし、トーゴについて論じているのではなく、ジンバブエ、そのムベキ大統領に焦点が置かれている。たしかにそちらのほうがやっかない問題であり、アフリカがどう取り組んでいけるのかが気になる。
 話をスーダンにシフトする。日本国内では自衛隊のスーダン派遣があまり問題になっていないように見えるのも不思議なのだが、イラク派遣がただの米国への尻尾振りだったのは違い、こちらはほんとに手(兵)が足りないということではあるのだろう。ダルフール危機について朝日新聞社説などは、AUの取り組みに期待したが兵力が足りず難しかったなどとバックレているが、AUは兵力不足で実際的にはアフリカの各種の危機に対応できない。
 こうしたなかで、昨年度世界ワースト独裁者の栄誉に輝いたスーダンのバシール大統領は、スーダン問題はAUだけの関与にせよとほざいている。笑止なのは、これを中国が事実上後押ししていることだ。というのは、China Radio Internationalの動向なのでもわかる。むかつく例をあげておく。まず"アフリカ諸国指導者、ダルフールへAU以外の軍隊を派遣しないよう呼びかけ(2.17)"(参照)。

 スーダンのバシール大統領を含むアフリカ諸国の指導者は16日声明を発表し、アフリカ諸国がダルフール地区の和平を推し進めるために払った努力が失敗しないようにするため、国際社会はダルフール地区へAU・アフリカ連合以外の平和維持部隊を派遣せず、またスーダンを制裁しないよう、呼びかけました。

 さらにお笑い。"ムバラク大統領とカダフィ大佐、AUの枠組み内でのダルフール危機解決を支持(2.18)"(参照)。

 エジプトのムバラク大統領は、17日カイロで訪れたリビアの指導者カダフィ大佐と会談を行いました。双方は共にAU・アフリカ連合の枠組み内でダルフール危機を解決することを支持し、この問題の国際化に反対する」と表明しました。

 ふざけた笑話を中国が撒いているのも、アメリカが動かないと踏んでことで、現状ではアメリカには動きの動向はアフリカ問題には見られない。いろいろ憶測があるのだが、一番のポイントはやはり手(兵)が足りないということだろう。
 先の大統領選で民主党はブッシュが再選されれば徴兵制が復活するぞとデマを飛ばしまくったが、この問題が難しい。
 兵が足りないからといっても、現代の軍事では徴兵制の素人は役に立たない。むしろ、プロフェッショナルが必要になるのだが、そうした人材が民間に移動するために米軍が細る結果になっている。そして、イラク戦争ではその民間、つまり事実上の傭兵を投入したのだが、結果は、あまり芳しくない。テロとの戦いというのは空言ではあるが、都市部の治安という点では、傭兵の軍はあまり機能できないということなのだろうか。
 こうしたなか21日付のワシントンポスト"Army Having Difficulty Meeting Goals In Recruiting"(参照)で、やがて軍志願が減るよという話が出てきている。これにどういう裏があるのか、どう流れていくのかわからない。が、気にはなる。
 日本ではあまり報道されないが、イラク戦争では、米国市民権が優遇されるこということで移民の志願兵が多く、戦死後に名誉の市民権を与えるというようなこともやっている。ひどい言い方になるが、米国というのは貧富の差とか、移民とかをある程度じゃぶじゃぶさせておくと、こうした時のためのメリットになる。もちろん、そうしたことで底辺の人間も命を張れば教育の機会が与えられるということでもあるのだろう。

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コメント

>現代の軍事では徴兵制の素人は役に立たない。

ミリ屋哲の酷いインターネット
ttp://blog.goo.ne.jp/miritetsu/e/4d6fc5123079b46806a6402a19378174
まあ、こういう意見もありますよ…と参考までにどうぞ。

投稿: ASDIC | 2005.02.22 20:45

トーゴのネタですが、こないだの日曜の朝(ってか未明か)にたまたま聞いたラジオでやってました。

http://www.j-wave.co.jp/original/earlymorley/">http://www.j-wave.co.jp/original/earlymorley/

こういうの見るといつも思うんですが、独裁って楽しいんですかねぇ、やっぱ。

投稿: fgd | 2005.02.22 21:58

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