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2005.02.16

環境税(温暖化対策税)はしばらくやめにしたらどう

 というわけで、今日、めでたく、地球温暖化を防ぐための京都議定書が発効した。で、どうしようか。問題は、けっこう深刻に見える。というのも、温室効果ガスの排出について、日本は、3年後の2008~12年の5年間に、基準となる1990年に比べ、6%削減が求められている。だが、2003年度時点では8%増加していた。つまり、あと8年以内に温室効果ガスの排出を14%%も減らさなければならない。これまでも努力してきたのにそんなことが可能なのか? ざっと考えても、日本の社会の根幹部分で変更が迫られることになる。
 で、こうした大問題があるとあらぬ方向に火の手があがるものだが、その一つの動向は昨日の極東ブログ「ブルガリアといえば、ヨーグルト、琴欧州勝紀、そして…」(参照)でふれたグリーン投資スキーム看板下の企業の奇怪な動きだ。おちゃらけで書いたがまず笑っちゃうしかないでしょ。
 もう一つの爆走が環境税(温暖化対策税)だ。え? 環境税の何が悪いのか? 温暖化対策の一環として欧州ではすでに導入されているではないか。しかし…。
 いろいろ考えてみたのだが、単純に反対はできない。また、現状、日本政府がこの問題についてどこに向かっていくのかもよくわからない。時事的には財務省側では"環境税は全体の政策の中で位置付けて議論=京都議定書発効で谷垣財務相"(参照)では今後の課題としている。


谷垣財務相は、閣議後の記者会見で、温室効果ガス削減のための環境税について、「税の観点からだけ考えるわけにはいかない。京都議定書達成のための基本計画をこれから作成する。全体の政策の中で税をどのように位置付けていくかの議論だ」と述べた。

 言っていることはとりあえず正論。環境税は税の観点からだけ考えるわけにはいかないものだ。
 いくつか原則がある。第一に通常環境税は石油など温暖化ガスを排出を抑制するという意図がある。こうした税による使用の抑制としては、たとえば、欧米などではたばこは有害なので国民が吸わないように重税にしたところ喫煙者が減ったことなどがある。しかし、日本のガソリン価格がいい例だが、リッターあたり二、三円上がってもほとんど意味がない。昨年後半からの原油価格の高騰にもほとんど動じないほどの事実上の重税が課せられている。また、まさに原油価格の高騰などでこうした税は抑制という面では見えなくなる。ま、どさくさで税金取っちゃえというなら話は別だ。
 第二に、その税収がどう使われるのか。これは、端的に、どのように温暖化ガスの抑制に効果を持つのかが、見えない。誰か見えている人がいるなら教えてほしい、まじで。少なくとも、その税は、環境対策の施策の全体のなかで生きるものだが、日本では欧州に比してそういう政策はまだ存在してないとしか見えない。
 第三に、先の点にも関係するのだが、税制中立という題目だけではないにせよ、ドイツの例をみても環境税は税のための税ではなく、例えば企業への課税としても社会保障面でのバーターの援助にもなっている。だから、総合してみれば、減税とも考えられる。というか、そういう方向がまず打ち出されなくてはならない。でも、そうではないのだろうというあたりが、経団連の反応からわかる。
 話を経団連の動向に移すのだが、これはもう一年以上前だが"「環境税」の導入に反対する"(参照)という面白い意見書を出している。アウトラインはこうだ。

1.「環境税」は本格的な景気回復に水を差し、産業活動の足枷となる
2.国内空洞化を促進する一方で地球の温暖化をかえって進行させる
3.エネルギー課税は既に過重である
4.自主的取り組みを尊重し、実効ある民生対策に取り組むべきである
5.全ての国が参加できる新たな枠組が不可欠である

 一見すると真面目なように見えるが、読むとちょっと笑える。というか、一昨年の時点ではまだこんな呑気なものだったのだろう。単純にいえば、まるで環境問題が理解されていない。
 余談にそれがちだが、類似の頓珍漢は今朝の産経新聞社説"京都議定書発効 新たな国際体制が必要だ"(参照)にも見られる。

 日本の〇三年度総排出量は九〇年比8%増で、日本の義務となった6%減には14%の削減が必要になる。政府は従来の温暖化対策の評価・見直しを行い、近く「京都議定書目標達成計画」を策定する。だが「乾いたタオルを絞る」ほど省エネ努力をしてきた日本にとってこのハードルは厳しい。
 産業部門にはさらに削減を求められるが、排出が急増している運輸・民生(事務所、家庭)部門が一層の省エネ対策を担うべきだろう。風力や太陽光など自然エネルギーの比重を高めるべしとの論もあるが、効率や供給量、品質など不安材料は多い。やはり高度情報化社会を支えるのは原子力エネルギーであると認めねばならない。

 ぷっと吹いてしまうのだが、排出の最大のセクターである産業部門の抜本的な転換こそが問題なのだが、産経新聞はまるでわかってない。ホリエモンなんとかしてよ。また、「排出が急増している運輸・民生(事務所、家庭)部門」とまとめるのもなんだかなだではある。民生部門では産経には素敵な奥様くらいの発想しかないのだろうが、むしろ重要なのは、省エネ装置の買い換えの強い行政的なインセンティブだろう。さらに公共部門での構造的な省エネ対策が必要になるのだが、そのあたり、運用の問題(蛍光灯をこまめに消すんじゃねー)とシステムの問題(採光の見直しと、省電力照明にしろよ)が理解されづらい。運輸はけっこうな問題だが、このあたり、ディーゼル問題で日本国民がいつまで騙されているかでもある。ま、この手のディテールはいろいろある。
 いずれにせよ、繰り返すが、産業のセクターが大きく変わらなくてはならない。だが、ここで、多少、私も譲歩して考える。昨日の経団連のアナウンスは気がかりだ。オリジナルがまだ経団連のHPにないので日経の記事"経団連、温暖化防止で政府統制の排除求める"(参照)を引用する。

日本経団連は15日、京都議定書の発効を前に「(環境税など)経済統制的な温暖化対策には反対」とする文書を発表した。温暖化ガスの削減目標を定めた自主行動計画が効果を上げ、「産業界の2010年度の温暖化ガス排出量は1990年度を下回る見込みだ」と指摘。経団連が業界や企業への働き掛けを強めるとして、政府には企業の創意工夫を引き出す施策を求めた。

 重要なのは、「産業界の2010年度の温暖化ガス排出量は1990年度を下回る見込みだ」というのがどう科学的に裏付けられているかだ。だが、これまでの推移を見ると、また、この記事の後半を見るに、どうも、ハズシっぽい。
 しかし、経団連の言い分にも理があるようにも多少思う。というのは、エントリを起こすにあたり、14%削減!というスローガンの実態をデータや、日本の温暖化ガスの排出状況の他国との比較を見たのだが、これって年金問題やヤクザ問題みたいに手が付けられない問題ではなく、まだなんとかなる範囲にも思えた。というか、日本人は、まだまだ大丈夫なんじゃなか、と、印象を書くようだが、このあたり、14%増というスローガンと怪しい爆走を冷静に見直していいように思える。

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コメント

僕は日本が京都議定書の目標を達成するのは難しそうな気がするんですが、もし達成できなかった場合、どんなペナルティがあるのでしょう?
達成できない場合の日本としてのデメリットが、どうもよく分からないんですよね。

投稿: Baatarism | 2005.02.16 12:28

>昨日の経団連のアナウンス

う~ん。企業倫理をもりあげる秘策でもあるのでしょうか? それとも、ガス排出量を一気に下げることのできる汎用可能な技術を持っているということなのでしょうか?

投稿: むぎ | 2005.02.16 19:01

近年の経済情勢を背景とした企業のコスト削減努力の一環としての光熱費削減=CO2削減は、産業界では相当行われたと思います。ソース無いけど、工場などの現場を見る限りでは。だから彼らがこれ以上雑巾絞りさせるのか、と言うのは理解します。
でも個人的には環境税はかけて、その税収をコージェネレーションとかハイブリッドとかの補助金に当てて更なる環境改善と内需拡大に役立てりゃいいじゃないかと思いますけどね。
これ達成できたらかつての「公害、石油ショックを克服した日本」みたいにちょっとは鼻高くできると思うんで、本気でやってほしいです。

投稿: BMP | 2005.02.17 12:33

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