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2005.01.12

未婚男性急増といったことから

 SPA(1/18)の特集「独身オトコの肖像」をめくりながら、昨日しばしぼんやり考えた。副題に「マジで急増中!!」とあるが、身の回りを考えると、それがある意味フツーなので、それほど違和感はない。それでもSPAとしてはこれがネタになるなと踏んだのだろう。煽りを追うとこうだ。


Over35
紀宮さま&黒田さん(39歳)婚約内定で考える
35~39才男性の26%にのぼる未婚者の「彼女いない歴」からオナニー頻度までを本邦初調査!

 内容は、企画先にありきの取って付けたような出来合いの仕上がりなので、特に読み応えとか新奇性はないように思えた。というか、違和感が残った。実態がこの特集ではよく見えないというのもあるし、そろそろマーケットのシフトということかなという感じもした。単純な話、SPAという雑誌のターゲット層をそのまま5歳くらい上にシフトするのだろうか。他も同じく。
 話題を当の「独身オトコの肖像」という点に戻すが、私には特に結論のようなものはないといえばないし、あると言えばある。と言った手前、その結論を言うと、これって単純に所得の問題ではないのかということだ。これは、特集でインタビューされている、れいのパラサイ用語を出した山田昌弘東京学芸大教授の結論でもある。

 まず、35~39サイで独身なのは、どういう男性なんでしょうか。
「ズバリ、収入が低い人ですよ」
……二の句も継げぬシビアなお答え。実際、下のグラフのとおり、年収と未婚率はきれいに相関する。

 というわけで、いかにもという棒グラフも記事には掲載されている。そして、これはこれで終わりという感じはする。
 晩婚化とか少子化とかあるいは二子目をなぜ産まないのか…というのは、ワークシェアというような女性参画社会の問題というより、単に男性の所得の問題か? このあたりからちょっと迷路に入る気がする。
 当然ながら昔のほうが収入が低かった。しかし、結婚はしていた…と書き出すにこの話題はなにか全然外している感じがする。そういうことではないのだろう。
 単純なところ、というか、ごく当たり前に、幸福なりは可処分所得に比例している社会になったのだから、それを長期的に可能にする状態への希求が起こるのは当然のことだろう。
 露骨な感じでいうと、「人並み以下の生活はいやだな」という感じだろうか。その人並みはもちろん幻想といえば幻想だが、そこから抜け出せない現実といえば現実でもある、ということだ。
 話はずれるのだが、最近では私も引きこもっているせいなのか、周りで新興宗教の人々と会う機会はない。ものみの塔の人と愉快な神学論争をする機会も減った。が、ああいう共同体の中で半分隔離された現実的幻想あるいは幻想的な現実があれば、所得とかに比例した幸福みたいな基準からはかなり解放される。そういうものなのだと思う。
 もう10年以上も前の話題になるのだが、当時は原理教やオウムからどう子供を奪回させるか、マインドコントロールを解くかという話が賑わっていた。私は、違うよ、そういう思い込みというか思想の問題ではない、コミュニティの問題なのだ…と説得した。そう、そんな相談にそう答えたことがあったなと思い出す。帰るべきコミュニティがなければ帰れないものだ。もともと擬似的にですら帰属するべきコミュニティをそこに見た人々は、なんというか、私には外人みたいなものだ。私の所属する社会とは関係ない幸せを持つ人々…。
 話がだいぶずっこけたが、子供の教育費を含め、幸福なりが可処分所得と消費に構造化された世界のなかでは、そこから落ちこぼれていく人がいるというのは、まさにその構造の特性なのだろう。で、終わり、という感じがする。そこを出るということは、マイルドであれそうした構造に対立するという意味でカルト的なコミュニティへの所属希求になるのだろう。が、それが上位の一般社会を覆うことはない。
 そして、たぶん、人は自分の死をリアルに観念するまで社会的なありかたと自分の人生とは違うものだ、という精神的な自立というのはない。
 なにも自立せよというような偉そうな話ではない。精神的な孤立などたいていの人はできない。それでも、人は現実的にはどういう状況であれ自分の死を受け入れるという意味でみな孤独に死んでいくものだ。
 なんか臭い言い方だが、そうした中で自分の生を繋ぐ幻想に過ぎないとしても、子供でもいたらなぁという幻想はたぶん、かなり、社会依存よりも強固なものとしてあるようには思う。まぁ、家族ってやつですか。希望的に言えば、というか、今の私の生活感からすれば、都市部では、静かにそういう家族を大切に生き始めている人々が弱く社会正義を支えているように思う。それがメディアから、つまり、消費社会の側から可視になる契機があるのだろうか、よくわからない。

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コメント

>>ものみの塔の人と愉快な神学論争

見てみたいw
近所のものみは土曜の夜賑わってますよ。

投稿: Cyberbob:-) | 2005.01.12 10:02

こんにちは。
所得の高低の問題と言ってもいいのでしょうが、雇用形態の問題としてきれいな相関データがあるそうです。「年齢別有配偶率(男性)」というデータが、1/11付けの「エコノミスト」(日本の)に出てました。
それによれば、年齢層20-24, 25-29, 30-34のいずれにおいても完全失業者から、短時間臨時雇用、普通臨時雇用、短時間常用雇用、完全常用雇用の順に右方への急な曲線となっていました。なるほど、としか思わなかった。

投稿: Soreda | 2005.01.12 10:37

>>そこを出るということは、マイルドであれそうした構造に対立するという意味でカルト的なコミュニティへの所属希求になるのだろう。

んー。ここ、ちょっと違うんでないですかね。
現在宗教に傾いている層はいわゆるおちこぼれというより、お金持ちだけど心が満たされない60代以上のお年寄り、という感じがします。

投稿: Cyberbob:-) | 2005.01.12 16:42

なんかよく分からない話だったなぁ。
五回ぐらい読み返したら一週間ぐらい
漬けておいて考えてみたいような気がする。

投稿: (anonymous) | 2005.01.12 21:13

結局、生む生まぬは金次第の世の中ということかな?
もし18歳以下の子供一人当たり年100万円の補助金を親に支給したら、出生率は爆発的に上昇するんだろうか?

投稿: Baatarism | 2005.01.13 00:56

 Baatarismさん,100万なんて話にならないですよ。500万はくれなきゃ,子どもを増やそうだなんて思えない。家賃から食費から光熱費から何からなにまで,急上昇です。
 このように,「お金」の点から,出生率をどうこうしようと言うのはトンでもない資金が必要です。
家族を維持する・つくるかどうかは,氏が述べているように,「お金を超えた価値」を見いだせるかどうかにかかっていると思います。
   幼稚園児を抱え,今後の資金計画に途方に暮れている父より。

投稿: ひろつぐ。 | 2005.01.13 01:25

わたしも、人が子供を産まない理由の一つとして、個々の人生価値というものが高まる中、適齢期の人間がその環境に溺れ、自分の老いと死を実感できずにいることが挙げられると考えています。ただ、まだ子供を産みたい人は多い。けれども、2人目はない。必要がない。その答えを探しているのに、逆立ちしても出てこないです。
幸福についてですが、意外に人間の幸福度の差異が可処分所得や消費に左右されにくくなってきているのではないかと思います。そこが広告の効力が薄くなってきている原因の1つに繋がるのではないかと思います。

投稿: えり | 2005.01.13 05:28

初めまして、いつも愛読させていただいております。今回の貴エントリーに対し、失礼を省みず「批判」を試みました。的外れかも知れませんが、是非、ご一読願えればと思い、お知らせいたします。よろしく御願いします。

投稿: やぶ猫 | 2005.01.13 10:27

「家族を持つ事」と「幸福になる事」に因果関係を見出していない人が増えたのかな、と思いました。家庭に対する幻想が壊れた時代以降に育った世代といいましょうか。

投稿: (anonymous) | 2005.01.13 11:21

>二子目をなぜ産まないのか
は統計をある程度読めば分かる。
結論から言うと別段そういった問題は無い。
既婚者の出生率は50年前と比較すると確かに減ってはいるが、80年代からは回復傾向にある。

>女性参画社会の問題というより、単に男性の所得の問題か
は、後者の方が広く一般に認知された少子化の要因であるが、統計を見る限りでは前者が正しい。

幸福については、どうやら娯楽などへの支出が高い地域ほど出生率は低い傾向にある。結婚して子作りよりも、シングルで遊んでいた方が楽しいということか。

投稿: mor | 2005.01.14 13:23

自分も「当事者」であるため、「SPA!」1/18号の記事を読んでみたが、35歳以上に特長的らしき事実というものも見当たらず、いまどきの独身オトコは年代によらず、こんなもんだろうという感じ。記事の中に登場する山田昌弘センセイの新著「希望格差時代」は、さっそく政府の21世紀ビジョンで避けるべき事態として取り上げられるなど、「パラサイトシングル」に続き影響力を行使中。小生の感想を恐れながらトラックバック申し上げます。

投稿: 中年単独者 | 2005.01.25 22:23

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