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2005.01.08

緋寒桜とタンカン

 琉球新報の昨日7日の記事を見ていたら、すでに緋寒桜が咲いているという話があった。"本部でサクラ色づく 暖冬で見ごろは今月下旬"(参照)より。


【本部】日本一早い桜祭りで知られる本部町八重岳で、サクラの開花が始まっている。入り口から頂上にかけてのヒカンザクラ約4000本の並木が徐々に色づき始めた。

 老婆心ながら、「本部」は「もとぶ」と読む。沖縄本島北部の地名である。八重岳は標高453メートルの山で、東京西部の高尾山よりやや低い。
hana 新報の記事を読みながら、そういえば、新正月のころは沖縄では桜の季節でもあったなと、八年間の沖縄暮らしを思い出した。新報の記事によれば、今年は暖冬なので開花が遅れたそうだ。桜というのは、本土の染井吉野でもそうだが、春が近づくも、寒さがある日数続かないと開花しない。
 本部の桜祭りが始まるのは15日で今年はその頃でも、二、三分咲き程度との予想だ。見頃は一月下旬らしい。と、書くに、緋寒桜の開花期間は長い。また、染井吉野のように花吹雪で散るわけでもない。私が写した写真よりきれいなものがネットにあるだろうと探したら、奄美のものだが、"峠道の緋寒桜"(参照)が見事だった。解説もうまい。

「色が赤い、寒い時期に咲く」以外にも緋寒桜には特徴がある。それは、花がみな下を向いて咲いていること。そして散る時には花ごとポトリと落ちる。

 緋寒桜を私が最初に見たのは、もう十年も前になるのだが、当時南風原のプリマート(現マックスバリュー)前のバス停で(後に「かねひで」が並びにできたところ)、複雑な沖縄のバスの仕組みもわからず、さてどれに乗ったものかと呆然としていたことがあった。沖縄暮らしの日も浅いこともありなにかと戸惑うことが多かった。バス停のベンチに座って、空を見上げると、視界に梅の花があった。低木に紅梅が咲いていた。寒紅梅の季節かと実家の庭のそれを思い出した。が、梅の花ではない。枝振りがまるで違う。私は植物好きの少年であったから、花の仕組みをじっと見て、それが、紛いもなく桜であることがわかった。これが緋寒桜というものかと驚いた。ナイチャー(本土人)には遠目に紅梅に見えた。
 緋寒桜は沖縄だけのものではない。九州や四国にもある。南紀にもあるようだ。どのように伝搬したものか歴史がわからない。沖縄でも南部ではあまり見かけない。沖縄戦の影響もあるのかもしれない。本島北部、本部の緋寒桜は野生化したものだとはいえ、戦後は観賞用に手を入れているはずだ。
 緋寒桜は台湾南部にもあるらしいが、その季節に訪問したことがないので私は見たことがない。原産は事実上台湾と言ってよいのかもしれないのだが、よくわからない。台湾緋桜とも呼ばれるようだ。
 緋寒桜の呼称は、言葉としては「寒梅」や「寒紅梅」の連想から、「寒桜」がベースにありそうなものだが、実際には対比される「寒」がないからなのか、辞書などを見るに「緋桜」の呼称記載されており、こちらの呼称のほうが古そうだ。「緋桜」がベースなら「寒緋桜」と呼ばれそうなものだし、実際、沖縄では「かんぴざくら」という呼称も聞く。「緋寒桜(ひかんざくら)」だと「彼岸桜(ひがんざくら)」と誤解されるのを避けるとも言う。本当だろうか。
 ウチナーンチュ(沖縄の人)は緋寒桜が好きである。この季節の土日は北部への道は桜見で渋滞になる。ナイチャーの私としては、梅みたいな桜のどこがよいのかと思うのだが、まぁ、ウチナーンチュの心情の核のようなものは八年暮らしてもわからない。
 そういえば、以前、青山で仕事をしていたおり、残業で残る一連と墓地に桜でも見に行くかと繰り出したことがあった。同僚の女性が宮古の出身だったが、彼女は桜には関心がなさそうだったので訊いてみたところ、言下に「ヤマトのさくらはうすい」と答えた。沖縄で暮らしてみて、その感性は、多少わかるようにはなった。
 本部のこの季節といえば、緋寒桜に加えてタンカンの季節でもある。タンカンは柑橘類の一種で、これも元来は沖縄のものではないが、沖縄本島北部でよく栽培している(余談だが島バナナも沖縄の原産ではない)。この季節、花見客を目当てに路上でもタンカンを販売している。タンカンは、酸味もしっかしていて、甘みも強く、なにより香りがよい。オレンジ系の果物では一番美味しいのではないかとも思う。が、残念なことにあまり良質のタンカンにはお目にかかれない。
 今年のタンカンの出来はどうだろうかと沖縄タイムを見たら、よろしくないようだ。"タンカン不作農家落胆/台風・鳥害で6割減 風物詩のミカン狩りピンチ"(参照)とのこと。

 JAとは別組織で、約百二十のかんきつ農家が集まる伊豆味みかん生産組合の饒平名知春組合長によると、同地域ではいずみ紅(大紅)の収穫が始まった昨年十一月ごろから鳥害が深刻化した。
 同地区のタンカンは、例年六百―七百トン生産しているが、今回は二百トン前後にとどまり、収益も五分の一に減る見通し。
 同組合長は「鳥害は年々増えており、今年は台風の影響で特にひどい」と落胆した様子。鳥害を防ぐためには畑に網をかける対策が必要だが、「一戸当たり約二千坪(六千六百平方メートル)の畑は覆えない。限界がある。お手上げの状態だ」とため息をつく。

 台風は天災だし、鳥害もその派生ではあるもだろうが、それにしても鳥害かと思う。コウモリは沖縄でよく見かけたが、カラスなんてあまり見なかったように思う。沖縄の自然はどうなっていくのだろうか。いずれにせよ、今年はタンカンを諦めよう。

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コメント

>ウチナーンチュ(沖縄の人)は緋寒桜が好きである。この季節の土日は北部への道は桜見で渋滞になる。

年越しのそばの沖縄そばのように染井吉野の代わりに緋寒桜で花見をしているんじゃないでしょうか。
そばはそばだし、さくらはさくらさぁーという大らかな気分で。
あと、やんばるの立ち後れをどことなく気にしているとか。


投稿: ヤスー | 2005.01.08 09:07

うちでは「カンヒザクラ」と言っていました。花のとっては、きっとどちらでもいいのでしょうが(笑)。
タンカンもよいですが、マンゴーも美味しいですね。最近はマスコミで取り上げられることも多くなって、ずいぶん値がはるようになりました。

投稿: マカト | 2005.01.08 12:44

沖縄人的には、ヤスーさんの言うとおりです。
あれが桜だと思っているだけです。
大学生になって、内地で桜を見たときの感動は忘れません。

投稿: (anonymous) | 2005.01.10 14:35

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