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2005.01.23

国連がハマスに資金供与の疑惑?

 22日付のウォールストリート・ジャーナルの寄稿にちょっと気になる話があった。"The U.N. at Work"(参照)がそれだが、標題のヒネリは今ひとつわからないのだが、副題"The world body gives financial support to Hamas."はわかりやすい。つまり、国連がハマスに資金援助をしている、というのだ。
 ハマスは、Wikipediaの説明を借りると「パレスチナのイスラム主義団体で、パレスチナ解放運動の諸派のうちいわゆるイスラム原理主義と呼ばれているものの代表的な組織である」(参照)ということになる。極東ブログの過去エントリでは「アハマド・ヤシン殺害」(参照)でハマスについて少し触れた。いずれにせよ、イスラエル側からは、ハマスはテロリストに見える。
 ウォールストリート・ジャーナルの話のポイントは一応書き出しにある。


In 2003 and 2004, the Israel Defense Forces captured documentation showing how the U.N. Development Program was regularly funding two Hamas front organizations: the Tulkarm Charity Committee and the Jenin District Committee for Charitable Funds. The donations varied--sometimes $4,000 and sometimes $10,000. Receipts and even copies of thank-you notes to UNDP were discovered.

 イスラエル国軍が入手した文書によると、2003年と2004年に、国連開発計画(UNDP)がパレスチナのハマスに4千ドルから1万ドルの資金供与を行っていたというのだ。
 本当かなと思って、例によってGoogle Newsを軽く当たってみたのだが、この話はそれほど話題にはなっていない。また、話題になっていたとしても、どれも、この記者ドーアー・ゴールド(Dore Gold)に関わるものばかりなので、その意味ではそれほど信憑性はない。ニューヨークタイムズやワシントンポストなどでもこの話題は扱われていなさそうなので、現状では、ここから愉快なストリーを仕立て上げる気にもならない。が、それはその程度の話だとしても気にはなる。
 記者ドーアー・ゴールドは、イスラエルの元国連大使でその意味で国連の内情に詳しいと言えるだろう。私は読んでいないのだが、国連の不正をテーマにした"Tower Of Babble: How The United Nations Has Fueled Global Chaos"(参照)という著作もある。
 ものの書きようともいえるのだが、イラク石油食糧交換プログラム不正と同等に国連には問題がある、として話を仕上げるあたりは、関心をそそられる。

Besides getting to the bottom of the Oil-for-Food scandal, it is equally vital to get the U.N. to halt its backing of recognized international terrorist groups.

 ただ、ここでちょっと注意したいのは、彼がハマスをそのまま国際的なテロ組織だとしてしている点だ。
 というあたりで、さて私の感想なのだが、私としてはこのニュースの信憑性は確かなものだとは思えないこともあるが、ハマスを最初からテロ組織に同値して話を進めるのには、ちょっとひくものがある。ハマスはパレスチナの福祉的な組織でもある。Wikipediaの解説はそれほど偏ったものではない。

ハマースはパレスチナ解放の大目的のイスラエルとの妥協を拒否し、自爆テロなどの過激なテロ行為をも辞さない過激派組織とのイメージが強いが、パレスチナ住民にとっては、医療・教育などの福祉を、機能不全に陥っている自治政府にかわっておこなっている自助組織の意味合いが強い。

 とするなら、国連がこれに資金供与するのもそれほど不思議なことではないのではないかとも思える。もちろん、それがイスラエル攻撃の過激な活動の資金ともなっていた可能性があるとしても、現状の国連ではそこまで管理はできないだろう。
 その意味で、記者ドーアー・ゴールドの結論を私はちょっと皮肉に読む。

True, the U.N. is a huge complex of many sub-organizations--and it may be difficult to monitor everyone. But the U.N. has a duty today to clean up its act before it asks for the trust of Israel or any law-abiding member of the international community again.

 今日の国連の組織は下部などが特に複雑にあり十分に管理できない、というのはそうなのだろう。だが、現実問題、そう簡単に是正されるわけもないのだし、さらに現実問題でいうなら、イスラエルが多少手を汚してでも、正常に機能できるように関わっていくしかないのだろう、あるいはそれが無理なら別の仕組みで対応する…と言うに、他人事のようだが、この問題は実務レベルの問題になりうる。
 この話、右派のウォールストリート・ジャーナルに掲載されたということは、なんらかの米国でのロビー活動と結びつくのだろうか、というあたりも気になる。大筋でいうなら、イスラエル軍部が意図的にリークしているのだから、次ステップの動きがあるのだろう。
 なんとなくだが、この記事でイラク石油食糧交換プログラム不正にからめて書いているわりには、そのスジではなく、イランとイスラエルの関係のスジに流れていきそうな気はする。
 それでも、現状ではどうなるのかよくわからない。というか、それ以上の読みをする能力が私にはない。あると思っている人もいるみたいだけどね。

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コメント

ハマスは米国から(日本からも)テロ団体として認定されています。国連の機関がハマスの執行部に資金を流すことになれば当然スキャンダルになります。
ゴールド氏の指摘についてはご提示いただいた記事以外に承知しませんが、かつて、UNRWAからハマスに資金が渡ったという疑惑がありました(詳細は覚えていませんが、検索すれば色々記事が出てくると思います)。結局帳簿上の証拠がそろわなかったためか、大きな問題にはなりませんでした。
ハマスの民生的側面については、ハマス執行部と事実上の関係を有するが、名義上はハマスと同一視されないNGOが多く存在していることを述べておられるのだと思います(ハマスの執行部と民生部を切り離せるか、という議論もあります)。それが疑惑を解明できない一つの要因となっています。

投稿: やじゅん | 2005.01.25 09:03

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受信: 2006.01.27 05:22

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