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2005.01.21

春節限定、中台直行便

 今朝の読売新聞社説"中台直行便 対話再開の糸口となるのか"(参照)で、春節限定(今月29日から来月2月20日まで)の中台直行便の話題について触れていた。同社説には特に論点もないし、このエントリでもたいしたネタがあるわけではない。が、気になる話題なので触れておく。
 来月になるが2月9日、春節(旧正月)の帰省に合わせ、大陸中国と台湾の双方の航空会社が直行チャーター便を運航することが実務協議で決まった。中国旅客機の台湾乗り入れは、1949年の中台分断後としては初めてとなるが、すでに一昨年に同種の春節期間限定の台湾人帰省のチャーター便が飛んでいるので、その意味では今回が二度目になる。中台間の政治的緊張緩和が望まれるということでは、ある意味で来年以降の継続も望まれるところではある。
 特に、大陸中国側では、この三月に予定されている全国人民代表大会(全人代)で、台湾独立を武力でも阻止するというとんでもない「反国家分裂法」が制定されることになるので、今回の直行便が和みの話題にもなればということもある。まあ、それとこれとはまた別の話というのが中国のわかりづらさでもある。
 このあたりに関連して、どういう意図なのか、あるいは特に意図もないのか、共同が流した"台湾住民の大陸離れ警戒 中国、圧力と融和使い分け"(参照)も興味深いといえば興味深いものがあった。直行便には政治的に大陸中国側のメリットも大きいという読みである。


【北京16日共同】中国が春節(旧正月)休暇期間中の直行チャーター便運航で台湾と合意した背景には、台湾住民の「大陸離れ」に対する危機感がある。独立志向の強い陳水扁政権への圧力をかけ続ける一方で、融和姿勢も打ち出すことにより、台湾の反独立勢力を後押しする狙いがある。

 こうしたやりとりはいかにも中国人らしい面があり、私にはよくわからない。ただ、現実の要請というものもある。
 読売新聞の社説でも触れているが、政治・軍事の反目とは裏腹に、経済の一体化というか、台湾は日本同様中国市場への依存を深めている。台湾の大陸中国への累計投資額は300億ドルを超えるとのことだが、それが大きいのか小さいのか私はよくわからない。しかし、台湾からは家族を含め百万人規模の台湾人が大陸に在住しているというのは事実で、今回の春節チャーターはこの巨大なニーズを背景としている。
 話がずっこけるのだが、中華の鉄人陳建一のエッセイを読んだとき、父健民の古里と墓を訊ねるというくだりがあったことを思い出す。彼は日本人なので、外省人ではないのだが、それでも台湾の外省人の心性をちょっと伺い知る感じはした。台湾人のアイデンティティは簡単には理解できないようにも思う。が、いずれにせよ大陸とのつながりは心性としても切りづらいだろう。民間レベルの交流は取り敢えず維持されるべきだろうとは思う。
 今回の直行便なのだが、沖縄に長く暮らした者としては、航路のディテールが興味深かった。あまりこの話題に触れているニュースはなかったようだが、沖縄の管制にも関連している。産経ビジネスi"中国、台湾と「直行便」合意 29日から香港経由せず48便"(参照)が伝えている。産経は台北で新聞を発行できるだけあって、こうした情報に強いようだ。航路の違いを前回との差で説明している。

 しかし、今回の場合、チャーター機は香港には駐機せず、香港上空を通過するだけ。さらに、台湾側は迂回ルートとして、香港のほか、韓国や沖縄の管制空域の通過を主張したが、中国が拒否した。中国としては、迂回地を香港だけにしたことで、「中国の国内事務」として処理できるからだ。
 仮に、韓国、沖縄の迂回ルートを認めれば、「中台問題は中国の国内問題」との原理原則が崩れてしまうことになる。しかも、前回では、中国内の乗降地点は上海の1カ所だったが、今回は上海のほか、北京と広州の2地点が加わり、中国が主張する「直通」に近づいている。

 私の関心を端的に言えば、ほぉ、共産党は沖縄の管制を外国だとしてくれたのかである(国民党も同じだが)。
cover
この厄介な国、
中国
 こんな話、当たり前といえば当たり前だが、当たり前が通じないのが中国人である。なんとでも言う。「てめーで言っていて言葉に酔っているのかお前、本音はどっちだ」と日本人は思うが、中国人に本音などない。あれだ、ジョージ・オーウェル「1984年」のダブル・シンク(二重思考)というのがマジで別に矛盾を起こしているわけでもない。それでいて道徳心がないとか情熱がないわけでもない。日本人とはおよそかけ離れた心性だというだけのことだ。逆に彼らから見れば日本人は愚か者にしか見えないだろう。
 この国内便か国際便かの話で、邪推に近いのだが、沖縄の管制が外国になっているのは、もしかすると米軍の手前かもしれないとも私は思う。これが全面的に日本人に帰還されると、中国側としては小日本(シャオリーベン)が剥き出しになるので、さて、どうなることやら。
 誰もが知っていることかもしれないが、現在沖縄では那覇から毎日上海へ直行便が出ている。そして、以前から那覇と台北には直行便がある。だから、那覇でトランジットすれば台北と上海は簡単につながるし、乗り継ぎ客は多いといえば多いのだが、政治化する可能性もあり、現状では細い。稲嶺知事はさらにオリンピックを当て込み北京直行を期待しているが(参照)、それよりも、この台北上海を太くしておいたほうが利益が上がっただろうという感じもする。トランジット中にちょっとギャンブルでもできれば、博打好きの中国人のことだからカネががんがん落ちるのにな。しかも、日本人や沖縄人からは隔離できるから社会問題にもならないのに。
 そういえば、私が利用していたころは那覇の国際便は実にローカルな感じで空港使用料もなかったが最近はどうだろうか。運び屋がと米人が行き交う昔の那覇の国際空港が歴史の風景になったのかなと感慨深い。

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コメント

>日本人とはおよそかけ離れた心性だというだけのことだ。

本当にそう思います。本来、外国とはそういうものかもしれません。
日本は偶然にも、欧州と似たような社会形成の道を歩んできたのですが、
欧米の多くが自分たちの文化を特殊と自覚してないように、
日本人もその点に関しては実は同じなのでしょう。

投稿: カワセミ | 2005.01.22 11:37

http://www.jca.apc.org/keystone/K-ML200002/2366.html

>沖縄の管制が外国になっているのは、もしかすると米軍の手前かもしれないとも私は思う。これが全面的に日本人に帰還されると、中国側としては小日本(シャオリーベン)が剥き出しになるので、さて、どうなることやら

歴史的経緯はさておき、2007年にはこの空域の管制は日本に移管されます。
これに「反対」と中国が表明したらコメディ以外の何者でもないと思えます。


投稿: F.Nakajima | 2005.01.22 19:35

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