すごいぞ、中国国際ビジネス
APニュース"China Finds Widespread Cheating on Reports"(参照)がちょっと気になった。中国の国際ビジネスでは不正会計がかなり横行しているだろうなというのと、先月の中国航空油料集団のその後の話題なのかという、当方の予断があるからなのだが。
該当記事はAP系のニュースでもあるし、新華社もかんでいるので、国内にも情報が入っているだろうとサーチしてみると中国情報局というサイトに類似の記事"中央企業80社不良資産比率10%超、不正行為も"(参照)があった。邦文のほうが読みやすいから、こちらを引用する。話は、中国の国有資産監督管理委員会(国資委)統計評価局の孟建民局長が、直属(国営ということだろう)181社の内、80社で不良資産比率が10%を越えていたというのだ。
孟・局長は、180社のうち、120社が一部の財務データを会計監査報告書に記載していなかったことや30社でずさんな会計監査が行なわれている現状を指摘。さらに13社では、企業が発表した財務データの監査報告結果と現状が大きく異なること、13社で会計監査報告に技術上の問題が生じていることが判明した。
企業の会計監査報告の質的レベル低下の原因として挙げられるのが、監査法人による不正行為。直属企業181社は、300社あまりの監査法人に会計監査を委託しているが、「利益至上主義」である監査法人は、監査の段階で企業の不正行為に手を貸すこともあるという。
というわけで、国際ビジネスにおける中国企業の会計監査の不正はかなり深刻なようだ。というか、国際ビジネスが分かっているのだろうか、中国?という印象もある。
このページからは関連ニュースのリンクがあり、"中央企業の資産損失計3000億元、管理強化へ"(参照)ではこう伝えている。
中国の国有資産監督管理委員会(国資委)は、直属する中央企業181社の資産損失が累計で3177億8000万元にのぼり、資産総額の4.2%を占めていることを明らかにした。今後は各企業に対して、予算管理やリスクマネジメント、内部監査などの強化を求めていく。16日付で中国新聞社が伝えた。
この損失額に、これまで中国財政部が審査して認可した約1000億元を含めると、中央企業による不良資産比率は5.4%に膨れ上がる。
率直にいって私にはこのニュースの意味がよくわからない。が、時系列に見ると、シンガポールでの中国航空油料集団のデリバティブ問題の派生であるようには思う。
この事件は日本で報道がないわけではなかったが、10年前のベアリングス社事件ほどには、それほど注目されなかったのが不思議な感じがした。規模がベアリングス社事件の三分の一ほどだし日本もかんでいなかったからということかもしれない。いちおうニュースとしては日経"中国航空油料、石油デリバティブで560億円の損失"(参照)をひいておく。先月の2日のものだ。
【香港2日共同】中国の航空燃料を扱う国営燃料供給大手、中国航空油料集団の子会社で、シンガポール証券取引所に上場する中国航空油料は2日までに、石油のデリバティブ(金融派生商品)取引などで約5億5000万ドル(約560億円)の損失を出したことを明らかにした。
一部メディアはインサイダー取引の疑いもあると伝えている。シンガポールを舞台にした投機的取引で英国の名門投資銀行旧ベアリングズ社が破たんした1995年以来の金融スキャンダルに発展するとの見方も出ている。
類似のニュースだが、共同系"中国企業の不正発覚相次ぐ 容易でない体質改善"(参照)もクリップしておく。
【北京28日共同】中国で大手企業トップの不正行為発覚が相次いでいる。中国政府は企業統治の重要性を再三訴えているが、同族経営による私物化など問題の根は深く、不透明な企業会計の改善は簡単ではなさそうだ。
続いて国営の航空燃料大手、中国航空油料集団のシンガポール子会社、中国航空油料が、石油のデリバティブ(金融派生商品)取引で約5億5000万ドル(約567億円)の損失を出したことが明るみに出て、陳久霖・前最高経営責任者(CEO)が12月8日に逮捕された。
日経が触れていたインサイダー取引問題だが、本国側がどうなっているのかが気になる。関連の話としては旧聞だが産経系"シンガポールの中国系企業で経済事件相次ぐ 上場誘致に影響も"(参照)がある。
親会社の中国航空油料集団が10月20日、CAOの持ち株15%を機関投資家に売却したが、その10日前にCAOから巨額損失の報告を受けていたとされ、インサイダー取引や情報公開規定違反の疑いが浮上している。
その後のこの問題の経緯の報道がよくわからないが、昨日のNHKのラジオを聞いていたら、インサーダー取引問題はその後も継続的に調査が進められているようだ。
ところで、5億5千万ドルの損失をするのかだなのだが、中国本土側の補填はないらしい。つまり、債権者は放棄を迫られることになるようだ。すげー。
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コメント
われわれ日本人は、いい意味でも悪い意味でも歴史上も、本当に中国に関心がある。本当に文化は中国から朝鮮半島を伝わってやってきたのだろうか。本当にわれわれは中国文化の一部を担っているのか。単に顔が似ているとか戦争をしたとかそういうことで、中国に親しみや興味を持つのはもうやめにしたらどうだ。冷静に今の中国を見詰めたらどうなんだ。何かを隠して、中国をアジアのリーダーなんぞにするのか。
投稿: (anonymous) | 2005.03.02 07:33