Mac MiniとiPod Shuffle
こんなネタを私が書くのはどうかなと思うが、古いMacユーザーでもあるし、とりあえず歴代のMacを使いながらAppleを見続けてきたし…、昨日付のニューヨークタイムズ"Apple Tries to Break Out"(参照)などでも話題にはなっていたし、というわけで、ちょっと思うことでも。
![]() Apple Mac mini 1.42GHz,80G |
The $499 is misleading because it does not include a monitor, keyboard, mouse and other needed items, but the sticker price may get the attention of some Microsoft users, particularly the millions of people who have been introduced to Apple through iPods.
でも、こういうマシンを作り出すのはジョブズだけの英断だろう。要は技術の問題ではない。こういうマシンが必要だと見なすところがすごい。Mac miniは、iPodだのiPhoto、iMoveだのをファミリー・ユースで使うためのセンター・マシンとして最適だ。ニューヨークタイムズも、iPodから入るアップルユーザーに視点を置いているのは頷ける。
現状のiMacではあまりにもパソコンめいているし価格的にも高すぎる。Mac Miniなら、リビングに置いておくのにもいいだろう。ディスプレイは液晶TVとの兼用でもいけるか。いずれにせよ、OSだのを意識させないで用途に徹しているマシンというのがなによりいい。
対照的に、家電志向とはいえ日本のAVパソコンにはこういうのがない(あっても売れないのはわかるが)。あまり言われなくなったが、昔のシャープのX68000のように自社でパソコンを作るということも日本から消えてしまって久しい。嘆かわしい。
Mac Miniのコンセプトで気になるとすれば、日本人の感じからすると、どうしてもテレビとの統合というのがあるだろう。つまり、AVパソコンならハードディスク・レコーダーとの融合というのが日本ではニーズとしては高いように思う。
しかし、そこも考えようで、Mac Miniでも思うのだが、コンテンツというのが基本的にCDやDVDのようにセルのパッケージになるのだと割り切りがある。そのうえで、こういうMac Miniみたいな割り切った作りにすれば、逆に今の日本のAVパソコンに求められるTV番組HDレコーディングからDVD焼き、そしてレンタルDVDのリッピングからエンコードみたいな泥臭いニーズを覆い隠してしまうメリットもある。コンテンツ市場的にもさすがジョッブズ様という感じなのではないか。
![]() iPod 40GB |
![]() iPod mini 4GB |
私なぞ一時期までのユーミンの全曲を持っているのだが、さすがに今は聞きたくもない。そういうちょっとまだ聞くのはねというのを除いても、CDとしては100~200枚といったところをすでに持っている。そのあたりが取りあえずのユーザーのモデルとなるだろう。CD一枚に各10曲として概算すると2000曲を聞きこなすわけだ。それがフツーのiPodのユーザー層の持ち曲の数とすると、容量的には10GBもあれば足りる。実際にはこの半分でもけっこう大丈夫だし、年期の入らない若い層なら、4GBのiPod miniでもいいだろう。先のニューヨークタイムズの言葉を借りるとこんな感じだ。
But an iPod with a two-digit price tag has a lot going for it. And perhaps there are actually lots of potential iPod users out there who have been discouraged from entering this market because they just don't feel a need for 5,000 songs.
コンテンツ側の視点に立つと、CDを一枚2500円とすると100枚で25万円。200枚で50万円くらい。そんなものかな。年間20枚買って10年のライブラリーということでもある。単純にいえば、年間5万くらいCDを買えよ、ということでもあるし、あるいはダウンロード販売でもその程度のカネを曲に使えよということだ。iPodはCDコンテンツ販売のインフラでもあるわけだ。
だから、iPodはその本体の価格帯というより、CDの価格帯とその保有の問題になる。200枚を越えるCDを実際に聞き回わすテクノロジー(そのためにカネを叩かせる)としては、iPodはまさに画期的な製品だった。実際に使ってみて思うのだが、耳に白いイヤホン突っ込む以外に、オーディオ装置に接続して半日聞いているということも多い。カーオーディオのニーズも高いというのも頷ける。
![]() iPod shuffle |
でも、私などは、ラフマニノフと宇多田ヒカルがシャッフルされても困るし、そう音楽ばかり聴いているのも疲れるので、iPod Shuffleの魅力は感じない。このタイプの小物で欲しいとすれば、マシンを介さずにダイレクトでエンコードできてかつFMチューナー付きのD Cubeみたいのがいい。これにAMがついて操作が簡単なら老人にも向くと思うのだが。
エントリとしてはそういうこと。つまり、こういうマシンをジョッブズ様が創造してくださったおかげで(洒落の敬語だよちなみに)、コンテンツ側のインフラが整備された、と。ま、それでいうなら、PSPにDVDが入るといいのかもしれないのだが…(だめだめでしょう)。
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コメント
ジョブズ復帰以降のAppleはテレビとパソコンの融合については否定的で、絶対にMacにTVチューナーや録画機能を追加しようとしませんね。
ジョブズ復帰以前にはMacTVなんてのがあったけど。
もっとも今頃はいくつかの周辺機器メーカーで、Mac miniにデザインを合わせたUSB接続チューナーユニットの開発企画が出てるでしょう。
投稿: Baatarism | 2005.01.14 14:52
文中、10MB、4MBになってます。
投稿: (anonymous) | 2005.01.14 18:58
ご指摘ありがとうございます。修正記録を残さす修正しました(と、このコメントが修正記録代わり)。
投稿: finalvent | 2005.01.14 19:12
まーね。そうかもね。(なんて)
横槍いれると、X6800ぢゃなくて、X68000だね。68kは優れていたように感じるけど、巨大な渦に飲み込まれて消えた。タダより高いものはない代償を、今みんなでせっせと支払い続けている。
投稿: きち | 2005.01.14 20:58
>そうしてみると、iPodのユーザー側の最大のタスクは、
>自分の持っている全CDを整理するということになる。
というのはあくまでも現状の日本におけるiPodの位置づけだと思いますね。ジョブズの本当の狙いはiTMSの端末という位置づけだと思います。現在北米に住んでまして、iTMS愛用してますが、iPodとの相性はばっちりで本当に便利です。
投稿: (anonymous) | 2005.01.14 21:33
Mac Mini、という発想が好きです。
なんというか、夢があります。
次はどんなシリーズを出すのかとても気になります。
投稿: ken | 2005.01.14 22:39
脈絡ないですが、この手の装置にAMチューナーは必須ですね。技術的に難しいかもしらんけど、誰かどうにかしてくれないですかね。というより、AM放送をFMでも送信してくれないのだろうか…。
投稿: Dr. Pease | 2005.01.14 22:51
こんなのもあるんだな
三洋、携帯機器向けラジオチューナーIC“Easy Radio ICシリーズ”を開発――5mm角の1チップにFMラジオを集約
http://ascii24.com/news/i/tech/article/2004/08/02/650902-000.html
投稿: romの人 | 2005.01.14 23:14
iTuneじゃなくてiTunesでしょう。細かいところが気になる・・・
投稿: tan | 2005.01.15 12:54
>昔のシャープのX6800のように自社でパソコンを作るということも日本から消えてしまって久しい。
独自アーキテクチャの存在余地自体がなくなってしまいましたね。
その少し前、FM-7とかX1あたりの頃が実質ラストでしょうか。
思えばあの時期はAV製品を含め、日本の工業力の絶頂期だった気がしますね。
投稿: カワセミ | 2005.01.15 19:20