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2004.11.06

飛行機売ります的なお話

 話は飛行機マーケットについてのありがちな雑談、なのでそれほどのネタではない、と最初におことわりしておく。先日フランスのシラク大統領ご一行がセールスマンよろしく中国で商談を展開したとき(参照)、エアバスの売り込みもあった。この時の詳細は、中国国際航空が6機を購入し来年から引き渡し。残りの20機を中国東方航空が国際専用に買い入れることになっている(参照)。なお、中国のエアバス購入の累計では、1985年からすでに250機を購入しているとのこと。
 フランスと中国って、たいしたもんだと見るか、しょぼいなと見るか、視点が分かれるだろうか。あるいは、エアバスかよ、じゃパス、と見る向きもあるかもしれない。が、いずれにせよ、中国の飛行機のニーズは今後どかんと膨れるらしい。10月21日北京で発表したボーイング社の中国航空市場に関する報告書を伝える新華網"Boeing: China to demand 2,300 aircrafts in next 20 yrs"(参照)ではこうだ。


Boeing released its Current Market Outlook for China here Thursday, projecting that by 2023 the country's air carriers will require nearly 2,300 new airplanes, making China the largest commercial aviation market outside the United States over the next 20 years.

 あと20年以内に中国は2300機の航空機を購入する巨大な飛行機マーケットになるというのだ。売上額もでかい。1830億ドルになるとのことだ。
 というのはボーイング社の話。エアバス社はまた違った皮算用をしているかもしれないが、いずれにせよ、この二社が、フランスとアメリカの代理戦争よろしく、中国市場で戦うようになることは間違いない。
 現状の世界市場を見ると、私のように門外漢にして古い頭には意外なのだが、エアバス社のほうが優勢になっている。日経「米ボーイング・欧州エアバス、シェア競争し烈に」(参照)ではこう。

 ボーイングの昨年の民間機納入数は281機でエアバスに24機の差を付けられた。今年も9月までの納入数は218機とボーイングが6機負けている。エアバスが通年の見通しを年初よりも多い315―320機に増やすなか、ボーイングは巻き返しに懸命だ。

 これはもう、ボーイング必死だな、である。で、まいどながら米通商代表部(USTR)のゼーリック通商代表が出てきて、エアバスに対するEUの補助金は不平等としてWTOに提訴。これを受けて、EUも米国に向けて、政府がらみの補助金を出すんじゃねーというWTO提訴合戦になった。
 EU側からの話は例えば日経「EU、ボーイング向け補助で米に事前協議要求」(参照)のこれ(なお、EU文書のほうはこちら・参照)。

欧州連合(EU)欧州委員会は8日、大手航空機メーカーへの補助金支出をめぐる欧米の通商紛争に絡み、米ボーイングが開発中の次世代中型旅客機7E7に政府補助を行う際には、EU側と事前に協議するよう米国側に求める文書を公表した。

 エアバス社側もシラクを引っ張り出すほど必死なのは、ボーイング社が現在開発中の燃費効率の高い次世代中型機7E7に人気が高まっていることがあるらしい。200機近い注文がすでにあるそうだ。
 日本もこの問題に巻き込まれている。日本もボーイング側に資金援助をしていて、これもEUでは問題視されている。話はInvestor's Business Daily"EU eyes Japan's role in Boeing 7E7"(参照)などにある。

The European Commission has questioned the financial aid that the Japanese government has given to Japanese fims participating in the development of Boeing's 7E7 Dreamliner airplane as a possible attempt to circumvent a 1992 EU-U.S. agreement on subsidies, an EU official said Friday.

 もっとも、日本は全面的に米国贔屓だからボーイング傘下みたいになっているのかというとそうでもない。企業によってはエアバスの開発に関わっている。
 エアバス社もボーイング7E7の売れが良さそうなのを見越して、対抗機種A350の開発を発表している。詳しくはわからないのだが、部品開発メーカーにしてみると、パーツレベルでは双方にある程度互換性があるらしいので、関連産業としては旗色を分けるというより、勝った方が総取りということになりかねない。
 この他、エアバス社には2006年就航予定のA380超大型機(参照)に関心があつまっているようでもある。
 とはいえ、私はこの分野は率直に言ってよくわからない。エアバスと聞くと、中華航空機事故を連想してしまう程である。ま、その後、エアバスの技術は変わったらしく、9.11のテロリストたちも、墜落回避の自動操縦装置が装備されたエアバスを敬遠していたようだ。

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2004.11.05

増税すると労働時間が減り生産力が落ちる

 11月2日の政府税制調査会の答申とやらによると、本当に定率減税をやるのだそうだ。へぇ本気なのかと思う私が呑気過ぎるのだろう。朝日新聞系「『増税路線』に転換へ 政府税調、来年度改正答申で」(参照)の記事で石弘光会長は「減税や公共事業で景気を回復させ、税収増を通じて財政再建するという従来の考えから決別する必要がある」と強調したのことだ。構造改革路線はやめて、ひたすら税負担増ということになる。
 実際には、来年から減税規模を半減し段階的に廃止するらしい。定率減税が全廃されると年間3兆300億円の増税とのこと。と言われてもピンとこない。
 この政策、たしか公明党発だったよなとちょっとネットを見渡すと、赤旗のサイト「公明党が主張する 所得税定率減税の廃止」(参照)に具体的な計算がある。一年前の記事なので状況は違っているのかもしれないが、概ねこんなところなのではないか。

給与収入 現在納税額 増税額 増税率(%)
300 0 0 0.00
400 3.92 0.98 25.00
500 9.52 2.38 25.00
600 15.12 3.78 25.00
700 21.04 5.26 25.00
800 28.48 7.12 25.00
900 41.28 10.32 25.00
1000 55.04 13.76 25.00
1100 69.6 17.4 25.00
1200 84.16 21.04 25.00
1300 98.72 24.68 25.00
1400 116.6 25 21.44
1500 141.2 25 17.71
2000 283.7 25 8.81
5000 689.23 25 3.63
10000 1021.73 25 2.45

 モデル世帯(片働き夫婦、子ども二人の四人家族)で年収800万世帯だと7.12万円の増税になる。それほどたいしたことないとも言える。年収500万円だと2.38万円増。流行の300万円以下だと現状同様税負担なし。高額所得世帯の増税率が小さいので、これならそれほど社会的に文句はでないのではないかなと思う。
 やっぱ日本は増税しかないですか、とも思うが、米国ではブッシュの選挙公約では「減税恒久化、増税は行わず」ということだった。というあたりで、そういえば、今年のノーベル経済学賞受賞(参照)のエドワード・プレスコット(Edward Prescott)(参照)米ミネアポリス連銀エコノミストが先日ブッシュに「けちな減税するんじゃなくどかんと減税せーよ」とアドバイスしていたのを思い出した。"Nobel laureate calls for steeper tax cuts in US"(参照)に10月11日のこのニュースが残っている。


"What Bush has done has been not very big, it's pretty small," Prescott told CNBC financial news television. "Tax rates were not cut enough," he said. Lower tax rates provided an incentive to work, Prescott said.
【試訳】
TV放映CNBCフィナンシャル・ニュースでプレスコットは「ブッシュがこれまでにした減税は十分に大きいとは言えない。かなり小さい」と言った。さらに「減税は十分ではない。税率が低ければ人々はよく労働するようになる」とも加えた。

 プレスコットと言えば実物的景気循環(リアル・ビジネス・サイクル、RBC)理論とか有名なのだそうだがもちろん私は知らない。その理論に基づいての提言なのかとちょいと思って、調べると、へぇな話がある。「ユーロ圏:時間的不整合性」(参照)で、キドランドとの共著"Rules Rather Than Discretion:The Inconsistency of Optimal Plans"(Journal of Political Economy, 1977)をもとにこうなるのだそうだ。

両氏は、この論文の中で、政策当局は低インフレ政策にコミットできないと指摘している。両氏の指摘によると、インフレ期待が低いなら、政策当局は一時的に生産を潜在能力以上に押し上げるために浮揚策を実行するのが好都合と考えるかもしれないが、経済主体は合理的で政策当局の動きを予想して行動するため、経済主体は低インフレを予想せず、生産は拡大しない。経済政策における「動学的不整合性」は、このように「人々が期待を合理的に形成するとき、政策を実行する前には最適である政策が、実際に政策を行う段階では必ずしも最適ではなくなること」をさす。

 誤解かもしれないが、金融政策とかでインフレ期待を高めることなんてできないと言っているような気がする。
 それはそれとして、先のプレスコットの提言だが、こうしたRBC理論と無関係ではないのだろうが、ちょっと違うようだ。というのは、この話は、昨年11月のFRB Minneapolis Researchで公開された"Why Do Americans Work So Much More Than Europeans?(アメリカ人はヨーロッパ人に比べてなぜよく働くのか?)"(参照)につながっているからだ。

ABSTRACT: Americans now work 50 percent more than do the Germans, French, and Italians. This was not the case in the early 1970s when the Western Europeans worked more than Americans. In this paper, I examine the role of taxes in accounting for the differences in labor supply across time and across countries, in particular, the effective marginal tax rate on labor income. The population of countries considered is that of the G-7 countries, which are major advanced industrial countries. The surprising finding is that this marginal tax rate accounts for the predominance of the differences at points in time and the large change in relative labor supply over time with the exception of the Italian labor supply in the early 1970s.
【抄訳】
アメリカ人は、ドイツ人、フランス人、イタリア人に比べて50%も長時間働く。しかし、1970年代前半では西欧の人々がアメリカ人より長時間働くということはなかった。この論文で、私は、収入に対する税率がこの労働時間の差異をもたらす影響について、時系列にかつ国ごとに調査してみた。対象はG7の先進国の人々とした。私自身驚いたのだが、1970年代前半のイタリアで例外があるものの、限界税率こそが労働力と労働時間の推移を決定しているのである。

 え?!である。
 税率を上げたら人は働かなくなるというのだ。欧州で労働時間が少ないのは税率が高いからなのだ、と。とすれば、税率を上げるほど国の生産力は落ちることになるな。
 って、よくわからないのだが、それって経済学の常識なのか? プレスコット大先生が言うのではなく、匿名のブログで書いてあっておかしくないお話のような気がするのだが。
 というわけで、詳細については、この論文をPDFで読むことができる(参照PDFファイル)。ので、気になるかたはそちらへどーぞ。
 この説がトンデモなのか常識なのか、私はわからないし、日本に適用できるのかわからないが、がだ、なんとなくだが、これって本当なのではないか。
 というわけで、政府に国民生活の保証をさらに求めるままにしていくと、日本も税率をじわじわ上げていくことになり、労働時間が減少し、労働力が減少し、生産力が落ちてジリ貧化していくのだろう。
 それって、すでに年収300万円以下の世帯はそういうのの先取りなんだろうか。いずれによ、家庭団欒とか自分の時間が持てるビンボながらも呑気な日本になっていくのかもしれない。それもまたよし、かな。

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2004.11.04

ブッシュが勝った

 ブッシュが勝った。今朝、他の人のブログや日記なりをぱらっと見ながら、今にしてみると、外していた人もいたなとか、予想範囲内だとしながらも敗因可能性の列挙だけだった人もいたなとか思った。私もきれいにブッシュの勝ちを読むことはできなかったが、二日前に書いた極東ブログ「米国大統領選挙の行方」(参照)は概ね外さなかったのではないか。もちろん「俺は最初からブッシュ再選だと言っていた」という人もいるのだろうが、それがただの信念の表明であっては、世界を読む役には立たない。
 今回の大統領選挙で教訓として思うことはいろいろあった。日本のメディアは米国大統領選挙を扱う点ではあまり適していない。重要なのは米国メディアと論説だが、これらに対する自分には違和感があり、自分の感性のほうがいくぶんか正しいのではないかと思っていた。特に、ニューヨークタイムズやサロン・コムは当然として、ワシントンポストもケリー支持にまわったとき、私はそれでもケリー支持に追従できないぞと思った。が、ちょっとこいつらを向こうに回して思考するのにはびびった。反面、ブッシュ支持のメディアといえば統一教会の息のかかっていそうなあたりくらいになり、なおさら俺ってただの右派?とも反省したが、私という人は実際にはそれほどイデオロギー先にありきではなく、小林よしのりが嫌う現実主義者に近い。さてと蓋を開けてみると、自分の感性のほうが正確だったなかなとほっとした。こうした米メディアのバイアスを補正する勘もまた少しついた。

cover
辺境・近境
 事前の各種の推計もけっこう外していたなというのも面白かった。これらはインターネットやメディアから可視になっている部分に過ぎず、アメリカというのもの本体というのが、やはり大統領選挙にもなるとずっしりと出てくるものだと実感した。この感覚はある程度アメリカの生活文化に触れてみないとわかりづらいし、逆に東岸や西岸のような地域に住んでいる日本人だとむしろまわりが民主党的なのでアメリカという国のボリュームを誤解しやすい。
cover
辺境・近境
写真篇
 このずどんと重たいアメリカをマイケル・ムーアのように笑いのめしてもどうにもならない。村上春樹の旅行記「辺境・近境」に「アメリカ大陸を横断しよう」という愉快な、あるいは考えようによってはピンチョン的なエッセイがあるが、あの奇怪な茫漠たるアメリカというものの違和感を、これだけ深く関わるようになった日本人は、より知る必要があるのだろう。
 この重たいアメリカは、ひできさんからこの件でコメントでいただいた指摘も呼応すると思う(参照)。

もしかして、大統領選挙をめぐる共和党と民主党という対立軸っていまだに南北戦争をひきずっているのではないだろうか?、という感じがしてきました。

 必ずしもそうとは割り切れないという言い方もできるだが、現実的には、今回の選挙を見ながら私も「これは南北戦争だな」と思った。南軍の勝ちだな、と。言うまでもなく、米国大統領は基本的に南部から出るのである。
 ただ、この傾向は、今まさに、流れがケリー的な方向に変わろうとしていることを示しているのか、むしろブッシュ的なものに回帰していくのか? 社会学的にはアメリカは今後はケリー的な民主党的な方向になるのではないかと思うが、集団的な意志を持つ集団の分析なり予測は意外と社会学では手に負えないところがある。ブッシュが保守的・復古的とはいえそのブレーンはネオコンのように新しい世界のビジョンをずしんと投げかけてくるやつらもいる。
cover
分断される
アメリカ
 この点では、ハンチントンの「分断されるアメリカ」の推察は今後のアメリカ国内を考える上で重要になるだろう。今回の大統領選挙がらみでいうならヒスパニック系とそれに対する白人主義的な動向だ。このあたりは、今回の大統領選結果の持つ知的にフルートフルな部分だ。
 もう一点、今回の選挙はブッシュ陣営の思惑どおりの進展だったのかというのが疑問に思った。ここまで計画的にできるものだろうか。同じ思いはワシントンポストのコラム"Once Again, Targeting Base Pays Off for Bush"にも掲載された。現在このコラムはリライトされているようだが、私が読んだときはこう切り出していた。

The surprise last night was that there were so few surprises. Just as President Bush's strategists have been predicting for years, it was another breathtakingly close election.
【試訳】
昨晩のサプライズ(びっくりすること)といえば、あまりにサプライズがなかったことだ。まるでブッシュ陣営はこうなることを数年前から見越していたみたいだ。つまり、息をのむほどの僅差になるということ。

 この点について、いろいろ考えたのだが、私の考えではブッシュ陣営はきちんとビジネスをしたのだと思う。州内の選挙区の区分とそこから得られる選挙人獲得の最大メリットをあたかもゲーム理論のように配分して最小限の力で最大の成果が得られるようにしたのだろう。私の認識違いかもしれないが、今回の選挙で無駄な努力と金の投入をしたのはケリー陣営だったのではないか。彼らはビジネスというより、主張に基軸を置く昔ながらの選挙をしたのだろう。たぶん、今回の選挙で、ケリー陣営というか民主党が本当に反省しなくてはいけないのは、どぶ板なのだろう。
 オクトーバー・サプライズもなく、選挙戦を左右させるための陰謀なんてないじゃないか、と思った。ビンラディンもブッシュの友情に応えたただけだし(これは皮肉)、その応援はぼけていた。と思っていたのだが、実は、ケリー支持側がやっていたのでしたね。中国の銭其シン前副首相のブッシュへのクサシ「中国前副首相:ブッシュ・ドクトリンを痛烈に批判」(参照)は失笑を買うだけとして、こちらにはびっくり。日本では産経系「IAEAの爆薬紛失リーク疑惑 事務局長3選阻止へ ブッシュ陣営」(参照)で選挙後に書いていたけど。

米大統領選大詰めの攻防で焦点となっているイラクの「爆薬紛失」事件をめぐって、国際原子力機関(IAEA)が、“選挙干渉”を目的に、この問題を一部メディアにリークしたとの疑惑が浮上している。

 これを取り上げたのは以下。

 IAEAからのリーク疑惑は、十月二十九日付のウォールストリート・ジャーナル、ワシントン・タイムズがそれぞれ「国連の復讐(ふくしゅう)」「エルバラダイの復讐」などとの見出しで報じた。

 とはいえ、これには当方もこの間はできるだけ触れないが吉。というわけで、黙っていたが、この問題はこれからが重要になるだろう。
 ブッシュ再選ということで、個人的に思うことをもうちょっと書いておきたい。ブッシュ再選でまず思ったのは、10月23日テレグラフの"If Bush loses, the winner won't be Kerry: it will be Zarqawi"(参照)というコラムだった。標題は「もしブッシュが負けるなら勝利者はケリーではなくて、ザルカウィだろう」だ。内容はもうちょっと陰影があるが、そういう主張だ。ザルカウィはある意味で象徴でしかない。彼には世界のビジョンはなく、むしろマクロ的にみると陰謀論ということではないがアメリカに利用されているとも言える(日本もまんまとその枠にポチっと収められている)。
 このコラムでザルカウィが出てくるのはイギリスの人質が無惨に殺された怒りが込められている。今の時点になると日本人としてもこの怒りは強く共感できる。
 が、さすがにこのコラムをあの時点で極東ブログのネタにするのも物騒なので控えていたが、私はこの選挙でブッシュが負ければ、テロリストたちの勝利だなという思いはあった。
 筆者のムーアといってもチャールズ・ムーアはこうも言う。

I don't understand what John Kerry or Jacques Chirac think should be done about terrorism. Or rather, I think they think nothing much should be done. Kerry compares terrorism to prostitution - a permanent affliction that can be mitigated, but no more.
【試訳】
私はケリーやシラクがテロ対策でなにをするのか理解できない。それどころか、この人たちは為すべきことをしないのではないか。ケリーはテロを売春に比較している。 つまり売春問題のように永続的なトラブルの元だという以上の主張はないのだ。

 もちろん、ケリーだってうまくやれるというかもっとうまくやるということをそれほど疑うものでもない。ただ、アメリカという国の出すメッセージとしてはそうもいくまいと思っていた。
 結果、有志連合(これがこの体制でいいのかは議論の余地があるとして)は強いメッセージを世界に出すことなり、そして、必然的に日本がぐっと巻き込まれることになった。

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2004.11.03

香田証生さん殺害シーンを語ることの意味について

 香田証生さん殺害シーンの映像がネットを通して流布された。報道メディアでは報道されることはないが、基本的なインターネットのアクセスができる設備がある一般家庭でもこの映像を入手して見ることは容易だ。すでに2chではこの映像とそれを見るべきかが話題になっている。
 私は見たくないなと思う。今回の殺害シーンと限らず、また戦闘シーンの静止画も、事実検証の意図がないときは、私は見ない。見ないについてはいろいろ理屈もあるが、まず、見たくはないという感覚を大切にしている。それはそれでプライベートな領域のことでもあるのだから、このブログにも何も書かずに黙っているべきだろうとも思う。
 だが、今回の問題は、すでに2chで問われているように、「この映像を見つめるべきだ」という問いかけを自分がどう受け止めるかとしても問われている。例えば、次のように問われる(参照)。


この文章は政治的な思想を植えつけたりするものではありません。この文章が言いたいことはただ一つ、「香田さんが殺害される姿を、我々日本の国民全員、、目をそむけないで真剣に見てほしい」ということです。そして、同じ日本人として、同じ世界の人間として「なにか少しでもいいから」感じ取って欲しい。

 この人の意見はこう続く。非難の意図はないが、率直に言うと問題の本質がズレている。

具体的には、これらの拒否反応を起こす人が愚かだとかそういうことを言いたいのではありません。死は人間の本能的に避けたがる側面であるが故、死の瞬間を見ることを本能的に拒否しているだけなのです。我々が共存していくにあたって、乗り越えなければならないいくつもの本能があります。性欲という本能を抑制しなければ強姦だらけで共存しあえる社会が成り立たないのと同じです。死の恐怖、本来これは乗り越えなければならない本能であり、乗り越えてやっとそこから真実を見据えることができるのです。しかし今日のこの国において、死はあまりに敬遠され、隠蔽され、捏造され、死と関わらなくても伸び伸びと生きていける国ができあがってしまっているのではないでしょうか。それは本当の幸せではありません。どうか恐れずに、死の本能的恐怖を乗り越えてください。

 今回の映像を見るか見ないかは、死の本能的恐怖を乗り越えるという問題とは別だ。が、そう問われるうる日本の現状というものもあるのだろう。
 また、2chのスレッドタイトル「殺害動画から目をそむけるバカどもへ 」(参照)にあるように、この映像を直視できないものは「バカ者」であり、根性無し、ヘタレというように、それを見た者が、ある倫理的な優位となって語るというあり方だ。
 そうして見ると、問題のこの側面はそう新しいものではない。ベトナム戦争以来、戦記ルポなどで、死体の山を見てきた経験主義の優位、「あれだけの死体を見てないおまえたちには戦闘の悲惨さ、平和の尊さがわからないだろう」というあれだ。
 当然ながら、この古い問題については、熟考の時間もあり、私などは、それを特定の人間の運命の問題としてとらえている。つまり、私の人生において不可避に避けがたく現れた死の状況を私は受け取る。私の父は私の眼の前で死んでいった。自分の父の身体からぬくみが消えていくその時間を数時間もともに過ごした。
 しかし、他者の死の状況が私の選択として現れるときは、私の決意に関わる。自分の人生の、あるいは運命の意味を問うことになる。
 そうしてみると、香田証生さん殺害シーンという死の状況は、同胞である私に直視を強いる一つの運命なのだろうか。
 そうではないとは言わない。率直にいうと問われているとは思う。
 ただ、先の直視せよという人の意見なり、直視できないものはバカという意見とは異なる。それを直視するとすれば、そうすることが私の人生の意味だからというだけのことであって、それを他者との関係性に持ち出すことではない。
 なお、映像の展開は次のようになっているらしい(参照)。

562 :& ◆QWv3R1XL8M :04/11/03 04:30 ID:???
これを読んでから見るかどうか決めれ

00:00 アラビア文字の白い字幕。背後は黒BGMはオヤジのコーラン。
00:10 アラビア半島を中心とした地球儀に突撃銃が意匠された奴らのマークが浮かび上がる。
00:20 アラビア風の音楽が始まり、アラビア語の字幕が浮かんでは消える。
00:34 小学校みたいな閉鎖された部屋。コンクリ壁には例の黒い旗。一人香田君が正座させられてる。
00:42 3人の執行人が画像処理で現れる。 何か紙に書かれたものを読み出す
02:05 真中の人間が読み終える。即執行開始
02:10 入刀。うごぉ・・・とうめき声

728 :/名無しさん[1-30].jpg :04/11/02 23:35:09 ID:nJLiCo9P
動画落として見たけど、今削除したよ
本人や肉親に申し訳なくて、とても保存できない

729 :/名無しさん[1-30].jpg :04/11/02 23:35:09 ID:dxxp6Het
02:12 アラーアクバルを続ける男たち。首が切られつづける。
02:14 血が噴出す。ピストン運動のように、首にナイフを入れ出しする男。
02:26 最後の「むご」という音とともに、音が消え再びアラビア風BGM始まる。
02:28 視点が変わって、米国旗の上で首を切りつづける。
02:30 切断完了 胴体の上に首
02:33 シーンが変わり、男たちが首を掲げる。背後は例の旗。顔がupになる
02:41 米国旗の上の胴体に首が置かれるjpgと同じ構図になる
02:45 最後に幸田君ドアップ。
02:48 彼らの旗が写る。


 無惨なシーンは人の命を奪う恐怖もあるだろうし(それがテロリストの目的でもある)、その映像が同胞であるということでもある。が、映像は、もしかすると、それが同胞であるという確認の意味しかなく、それに残虐が加味されたとするなら、映像の意義は、同胞が殺されたという事実性にこそあり、残虐さは他国の人の殺害シーンでも同じではないかとも思う。そう言うに、やや小理屈の感はあるが。

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2004.11.02

米国大統領選挙の行方

 たかがブログじゃんか、標題は「私はブッシュが再選すると思う」にしようか、と思いつきのまま放言にしたい気持ちもあったのだが、文章にするとそれなりに言葉を紡いでいくスジみたいなものが必要になりうまくいかない。話スジ立てとしては、私がブッシュを外国の大統領であれ支持するのか、それとも、客観的に見るとブッシュが勝ちそうだよ、というののどっちかになる。両方が揃うと単純でよいのだが、私は台湾の総統選挙の時の陳水扁支持とは違い、強くブッシュを支持してるわけでもない。状況を冷静に見て、ブッシュ勝利の線が見えるかというと、見えない。というわけで、たるい話を手短に書いておく。
 各種の全米世論調査は日本でも報道されているように、拮抗した状態だ。どちらかの陣営が頭一つ出ているようならここから単純に動向がわかるが、現状では各調査でばらつきも大きく、差があっても誤差範囲にしか見えない。大方の言うように世論調査的にも接戦になっている。
 大づかみの世論調査を州ごとに分けていくほうが予想しやすい。米国大統領選挙は米国国民の投票が公平に反映するものではなく、各州ごとの選挙人というのを獲得するという奇妙な方法を取っているためだ。基本的にまず州で勝敗がどう決まるか、そしてその州で何人の選挙人が獲得できるかということが重要になる。
 各州の状況だが、話を単純にすれば、大半の州では実質選挙戦は終わっており、ブッシュかケリーかは固まっている。未決なのは、スイング(揺れている)州と言われる二、三の州だけで、現状では事実上オハイオ(OH)、フロリダ(FL)、ペンシルベニア(PA)の三州が問題になっている。この三州の動向で大統領が決まると言ってもよさそうに見える。他に拮抗しているニューメキシコとニューハンプシャーもあるが両方の選挙人をゲットしても9人なので、この三州ほどの影響力は持たない。が、先の三州でブッシュとケリーのばらつきがあると重要性が増す可能性もある。
 予想サイト"Electoral Vote Predictor"(参照)を見ると、三州ともケリー側に揺れている。なので、このサイトではケリー298対ブッシュ231と最終的にはケリーの大勝を予想している。
 少し情報が古いと思われるニューヨークタイムズの予想(参照)ではペンシルベニア(PA)はケリー側として、スイング州をアイオワ(IA)、ウィスコンシン(WI)を入れている。この点の確認を兼ねて"Electoral Vote Predictor"でペンシルベニア(PA)での推移を見ると、8月ごろまでは比較的ケリー優勢だったのがその後の揺れははげしい。アイオワ(IA)とウィスコンシン(WI)も基調としては拮抗したしているようすが伺われ、現時点での安定した傾向は見られない。こうした点からすると、アイオワ(IA)、ウィスコンシン(WI)の2州もニューヨークタイムズのようにスイング州に換算してよさそうだ。
 前回大統領選挙の経緯(参照)からすると、ブッシュ支持はハイオ(OH)、フロリダ(FL)の二州のみだが、それでもアイオワ(IA)とウィスコンシン(WI)は前回もスイング州だったので、基本的な共和党対民主党の傾向でこれらの州の傾向がわかるわけでもない。
 選挙当日の動向は民主党に揺れる傾向があるとも言われるが、今回の選挙は前例のない選挙とも言えるので、そうした過去の傾向は当てはまらないだろう。
 スイング州がばたばたとブッシュに揺れれば、ブッシュが大勝となる可能性もある。なかなか読めないぞというところだろう。特に、フロリダ州(FL)は前回同様重要にならざるをえないようすがすでに見える。
 こうなると、やっぱ、最後は裁判所で決めましょうというジョークが出そうだが、はたしてそうなのか。私の感じとしては、実は、見えないファクターでバタンと決りそうだ。
 世論調査的な動向は、実は、いくらやってもそのスジのプロのほうが上得手。こんなへっぽこブログで偉そうにするまでもない。ので、搦め手で考えるのだが、そのポイントはなぜオクトーバーサプライズが無かったのだろう?ということだ。終盤になってビンラディンがブッシュ応援に駆けつけたりしたのだが、これもそれほどブッシュのメリットにはなっていない。
 現在懸念されているサプライズはブッシュの都合が悪くなったときの投票中止という措置だが、フロリダ(FL)などスイング州でどかんと無ければこのまま、結局、無かったねぇ、陰謀論っていのも無理目過ぎ、ま、お茶でも…ということになる。そうなるのではないか。
 すると、ブッシュ陣営の選挙のプロはこれで勝てると理解していたということになる。確かに9月以降のスイング州の動向を見ると、ブッシュが勝てそうな推移でもあったので、下手を打ちそうなヤバイ手は出せなかったのだろう。ケリー陣営のほうが結果的にCBSで下手を打ったのは案外ブッシュ側をびびらせたのかもしれない。
 ブッシュ側の見えない勝ち目ファクターは…、ES細胞研究の宗教がらみか、銃規制問題かと考えるにそれらがスイング州への動向を決めるとも思えない。とま、つい冷静に考えると、ブッシュの目は弱すぎかなと思う。
 私自身は言うまでもなく弱くブッシュを支持している。ANYONE BUT BUSH!(ブッシュ以外なら誰で可)といったヴェトー(拒否権)というのでは弱いと思う。英国紙テレグラフは"Bush must be allowed to finish the war on terror(ブッシュにテロとの戦いを貫徹させてやろうじゃないか)"(参照)と言っているが、心情的には私はそんな感じだ。イラク統治は失敗したが、他の面ではブッシュもなかなかの線だったじゃないか、と思う。

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2004.11.01

香田証生さん殺害に思う

 イラクのテロリストグループに拉致されていた香田証生さんが殺害された。この時期にイラク入りした無謀さを責める向きもあるが、若さというのはそういうものだろうと思う。自分も顧みて、無謀さゆえに海外で暴漢に襲われたとき殺されちゃっていたかなと思うこともある。
 私が殺害を知ったのは昨日のことだ。金曜日から土曜日にかけては自分の健康への配慮から、ニュースとブログをオフにすることにしているので、土曜日段階での未確認情報として、メディアに混乱した情報が流れていたのは知らなかった。私としては訂正報道が出た後になってから、ニュース残骸や各種日記・ブログで、すでに殺害されたことを前提に書かれた記事を読んだのだが、随分奇妙な気持ちがした。事実に向き合っているより、この一日の間、この各種の記事は幻想に向き合っていたのかとも思った。
 そうしたあり方を軽率と責めるものでもない。私も土曜日にニュースを見ていたら、殺害方法に疑問は感じただろうが、同じようなことを書いていたのではないかと思う。事実確認とは難しいものだ。今回の事件では、ザルカウィ関与が既定事実化しているようにも見えるが、事実確認は取れていないようだ。犯行後の声明もまだ聞かない。
 今回の事件についてだが、遺体は星条旗でくるまれていたらしく、犯行ビデオでも香田さんに"troops"と言わせていたことからして、このテログループは自衛隊を理解していなかったようだ。
 ザルカウィ関与かは不明だが、それでもグループの指導者はイラク国内というより、その手口から見て、イラク外部のテログループのように思われる。さすがに今回は日本でも「テロではありません、レジスタンスです」といった声はなかったように思う。この日本国内のリアクションも初回の日本人人質事件とは違っていた。
 初回の日本人人質事件については、「自作自演」とまでは言えないものの、狂言強盗が本当の強盗ではないように、本当に殺害するとは思えない狂言的な性格を帯び、人質たちもテログループの行動に心情的に同意していたことが事件途中から察せられ、その分、安否への不安は少なかった。この時の人質だった高遠菜穂子さんの手記「戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない」も読んだが、事件の真相が未だによくわからないものの、人質たちは直接殺害に脅されることなく、テログループに本当の意味で恐怖を持っていなかったようだし、厳しい拘束下でもなかったような印象を受けた。推測に過ぎないのだが、高遠菜穂子さんは先日薬事法違反容疑となった、フセイン体制・スンニ派シンパの「アラブイスラーム文化協会」のジャミーラ高橋千代代表とも懇意なので、その関係もあって、同じくフセイン体制シンパだったと見られるスンニ派の聖職者協会とも話が付けやすかったのではないだろうか。いずれにせよ、あの事件ではのテログループとはチャネルの可能性があった。しかし、今回は早々にスンニ派の聖職者協会もチャネルを持っていないことを明かにしていた。同じような人質事件に見えてもかなり違ったものだった。
 今回の事件ではテログループ側の要求である自衛隊の撤退を支持する声は少なかったように思えた。もともと、今回の手口のグループの活動は反米の政治目的というよりは、狂信的な殺害をしているのではないかと思われるのは、先日のネパール人殺害からも伺える。ネパールは日本とは違い、政府としてはイラク戦争にまったく荷担していない。しかも、殺害されたネパール人はたぶんイラクで働くとも思ってもいない強制労働者だったようだ。テログループの言い分としては米軍に荷担しているというのだが無茶苦茶過ぎるというか、まるでそうした意味では政治的な思想性が伺われない。
 日本では、朝日新聞の論調を初めとして、自衛隊が追米的な行動をやめればこうした問題が解決するかのような議論もあり、これが米国大統領選の反ブッシュ・親ケリーといった流れにも結びついているように見える。しかし、ケリー大統領となれば、彼はイラク問題については、国際協調を呼びかけている分、つまり米軍の負担を各国に分散させるいうことから、逆に日本への軍事負担は多くなるだろうし、それには国連を錦の御旗とせざるをえない。だが、昨年の国連事務所爆破がザルカウィのグループだと見られているように、イラクに流れ込んだこのテログループは国連をも敵視している。この問題に簡単なソリューション(解決策)はない。
 私は、だから自衛隊は撤退してはいけないと言いたいわけではない。日本国憲法からして日本の国是は国連主義と見ていいので、現状のような米国指揮下の有志連合でいいかは、日本国民があらためて仕切り直ししてもいいだろうとは思う。
 ただ、私は、この12月15日に期限を迎える自衛隊の派遣延長問題だけに関心が集まっている世相に違和感がある。というのは、以前からの極東ブログの主張でもあるのだが、自衛隊のイラク派遣は500人規模でありしかも軍事活動の後方支援でもないので、そもそも軍事的な意味に乏しい。これに対して、10月26日の閣議で決定したテロ対策特別措置法に基づくインド洋への自衛隊派遣の延長ほうは、もろに米英軍の後方支援としての軍事的な意味を持つ。しかも、この延長はすでに6回目である。状況が状況だとはいえ、このだらだら感は当初の特別措置法としての性格からすれば、異常ではないのか。しかも、今回の延長では、外国艦艇に搭載されたヘリコプターへの給油と飲料水の提供が追加された。7月に発効した米物品役務相互提供協定(ACSA・参照)からすると、こうした提供は有償が原則のはずだが、なお今回の延長では無償提供を継続するらしい。
 ザルカウィのようなチンピラ上がりのテロリストはこうした世界状勢が読めないかもしれないが、なにも日本人がそのレベルに国際的な軍事見識を同調させることはないだろう。

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2004.10.31

今晩はハロウィーン

 ハロウィーンである。子供たちはこの晩、仮装をして隣近所の家を回り、「トリック・オア・トリート」と言ってスィーツをせびる。"Trick or treat"、魔法によるイタズラを所望かそれとも我をもてなすか。いやいや、お菓子をくれないと困らせるぞ、というのである。「アメリカのハロウィーンはやっぱりすごいぞ」(参照)に米国の雰囲気を伝える話がある。

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スヌーピー
ベストコレクション
 私自身は参加した経験はない。チャーリー・ブラウン好き(そう、チャーリー・ブラウンが大好き。声優は谷啓がいいんだけど)の私は、ハロウィーンには憧れていた。「りんごのにおいと風の国」でもあるな。沖縄に移住してからは米兵とのつき合いもあり、この行事を身近に見ていた。子供たちは、確かに、楽しそうだった。子供のそういう楽しさをできるだけサポートしようとしている米人たちの親心というか隣人愛みたいなものも感じ取れた。
 この手の物まね好きの日本でも最近はハロウィーン行事をする幼稚園やら地域があるようだ。が、夜の町を子供が練り歩くわけでもない。危ないからね。でも、当然、米国だって危ない。だから注意が出るのだが、誰が出すと思う? もちろん、いろいろあるが、日本人には多分意外なのではないか、米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)も出している。米国の小児科医と限らず、米国の医療従事者は日常の安全性への配慮の意識が高い。
 米国小児科学会の今年のハロウィーンへの注意は"AP News Release - 2004 Halloween Safety Tips"(参照)にある。ちょっと気になるあたりを抜き出してみる。

Plan costumes that are bright and reflective. Make sure that shoes fit well and that costumes are short enough to prevent tripping, entanglement or contact with flame.

 夜の祭りなので交通事故に遭わないように光の反射のよいものを身につけろ、と。日本でも夜間塾通いの子供が多いがこういう忠告は見かけない。靴はしっかりさせる。そう、私が子供のころは、貧乏だったせいもあるのだろうが、子供靴っていうのは足がすぐ大きくなるからとか言われておニュー(死語)はいつもだぶっとしていた。これは危険。巻き込まれそうな身支度はダメ。と、連想なのだが、電車のなかで長髪の女性を見るといつも気になる。燃えやすいものもダメ。そりゃね。

A good meal prior to parties and trick-or-treating will discourage youngsters from filling up on Halloween treats.

 行事の前にきちんと食事をさせておくこと。スィーツを無理して集めて食わせないようにするためだ。このあたりは、なるほど小児科医っぽい。

Carry a mobile phone for quick communication.

 ケータイを持たせろ。ほぉ。日本でも新聞だのテレビだの出てくる物を言う人は子供のケータイを目の敵にする傾向があるが、実際、日本の親たちはケータイをセイフティ・グッヅだと認識している。そういうものなのだ。

Only go to homes with a porch light on.

 ポーチライトのある家以外に行ってはダメだよというのが、これは、ハロウィーンのルールでもあるのだが、関連して、ちょっと気になる話題もある。ワシントンポスト"Va. Tracking Sex Offenders On Halloween"(参照)が興味深い。

Virginia is offering probation departments a suggestion for Halloween night: Keep sex offenders home with their porch lights off or have them report to a government office until children in costumes are off the streets.

 性犯罪者はハロウィーンの晩には強制的にポートライトを消させろという規制が社会問題でもあるのだ。子供を性犯罪者から守るというのは、米国ではかなり深刻な状況になりつつある。と、同時にこれは人権の問題も絡んでくる。日本ではこのあたりのことはまだそれほど社会問題化していない。別に、ハロウィーンがないからというわけでもないが。
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ロッキー・
ホラー・ショー
 ハロウィーンは大人もけっこうはしゃぐ。でも、大人の仮装がメインではない。大人の仮装はまたそれは別。「ロッキー・ホラー・ショー」も、できたら、DVDじゃなくて、仮装して、グッヅを用意して行かないと。もっとも、映画館でライターを振るわけにもいかないから、特別の上映会があるみたいだね。はてなの「ロッキー・ホラー・ショー」(参照)の解説がいい。

「米を少々」とか「水鉄砲」とか「クラッカー」とか、なんだかんだ持ってくる物を指定される場合がある。不信がらずに素直に用意して、行こう。行ってみれば何に使うかすぐに分る。

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