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2004.06.26

青色一号

 最近流行もあってか、食品添加物の合成着色料である青色一号を多めに摂っている人が増えているようだ。この合成着色料は、通常は人間の消化器官から吸収されにくいため、大半は排出される。ってことは、便が着色されることになる。概ね黄銅色の便であれば、絵の具の三原色の加色混合により、緑便となる。ふふふ。
 青色一号は、その名称が鉄人28号に似ていることもからも推測されるように、戦後間もない昭和23年に食品添加物に指定された。といって、命名は英語の"Blue No. 1"のベタな訳語に過ぎない。英語では、長野県知事が好みそうな"Brilliant Blue FCF"という名称で呼ばれることも多い。そのスジでは、コード名E133で済ませている。
 青色一号は合成着色料だというと、健康に悪いんじゃないかなと気になる人もいるだろう。どうだろうか?
 「と」かと誤解もされかねないジャーナリスト渡辺雄二だが、その著作は概ね正確で、「食卓の化学毒物事典―安全な食生活のために(三一新書)」の同項目を見るとこうある。


お菓子や清涼飲料水などに使われている。青色一号は発がん性の疑いがもたている恐いタール色素である。そのため、ヨーロッパ諸国では使用が認められていない。飲料水やお菓子など子どもが好む食品に使われてことが多いだけに、その悪影響が心配される。

 とある。「恐いタール色素」といっても、近づいても噛みつかれる心配はない。毒性(ADI)も低い。1969年のFAO/WHOの正式報告"FAO Nutrition Meetings Report Series No. 46A WHO/FOOD ADD/70.36"(参照)を見ると、こうだ。

Estimate of acceptable daily intake for man
                     mg/kg body weight/day
  Unconditional acceptance -----------------------
                       0-12.5

 つまり、70kgの体重の人なら毎日0.875g摂り続けていても健康で緑便が観賞できることになる。この手のお粉1gって、けっこう多く感じられるものだが、その位は大丈夫なのだ。
 なーんだ、たいしたことないじゃん、というわけで、青色一号のお仲間赤色一号も摂ってみようかと酔狂な人もいるかもしれないので、ご注告するのだが、赤色一号はすでに添加物としては日本でも禁止されている。発がん性が高いからだ。じゃ、赤色二号はというと、米国では禁止されているが、嬉しいことに日本ではOKだ。狙い目ってやつか。
 話を青色一号に戻す。「食卓の化学毒物事典」によると、青色一号はヨーロッパ諸国では使用禁止、とあるが、これはちょっと曖昧で、現状EUでは禁止されていない。禁止されているのは、ベルギー、フランス、ドイツ、スイス、スェーデン、オーストリア、ノルウェー(参照)である。イギリスやイタリアなら大丈夫。だが、EU統一を考えると、多分、禁止の方向になるのだろう。
 アメリカには、青色一号を気にしない人と、とっても気になる人がいる。後者が医学関係者だろう。というのも、権威ある医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」(New England Journal of Medicine October 5, 2000; 343; 1047-1048.)に、ちょっと気になる記事"Systemic Absorption of Food Dye in Patients with Sepsis"(参照)が掲載されたからだ。標題を試訳すると「敗血症患者における食物着色料のシステマティックな吸収」となるだろうか。つまり、健康体ならいざ知らず、疾患のある人の場合は、合成着色料も吸収される…身体も青くなるということだ。
 身体が青くなるっておもしれーじゃんとか思う人もいるかもしれないが、まあ、冒頭を読め。

To the Editor: Critically ill patients who are receiving enteral feeding are susceptible to pulmonary aspiration of gastric contents. Measures to enhance the early detection of aspiration include the tinting of feedings with the food dye FD&C blue no. 1. During sepsis, gastrointestinal permeability increases because of enterocyte death and loss of barrier function at intercellular gaps. Thus, substances that are otherwise nonabsorbable may be absorbed during sepsis. We report two deaths associated with the systemic absorption of blue dye no. 1 from enteral feedings; in both cases, the absorption was heralded by the appearance of blue or green skin and serum.

 難しいこと言ってじゃんと読み過ごす人もいるかもしれないのだが、ポイントは、青色一号の摂取で死者が二人出たということ。死んじゃったわけだ。シャレじゃないんだよ。一人は54歳の女性。もう一人は12か月の赤ちゃん。「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」にはこの赤ちゃんの写真が掲載されている。
 もちろん、健康な人は青色一号で死ぬわけはないので、誤解なきよう。あくまで敗血症などの患者に限定される。

We encourage judicious use of this food dye in patients with sepsis or other illnesses associated with increased gastrointestinal permeability.

 ただ、ちょっくら医学・薬学に関心持つ人は次の話も覚えておいてもいいかもしれない。よくサプリメントなんかで、飲めば疲労が取れるというのがあるが、青色一号はその逆っぽい印象がある。

Artificial food dyes can inhibit mitochondrial oxidative phosphorylation in vitro by acting as uncouplers (as does 2,4-dinitrophenol), by blocking electron transport (as does cyanide), or by inhibiting energy transformation by blocking the generation of ATP. Blue dye no. 1, a triphenylmethane dye, is a potent inhibitor of mitochondrial respiration in vitro4 and reduces oxygen consumption by a factor of eight in mitochondrial preparations in vitro.5 It appears to inhibit energy transformation by blocking the adenine nucleotide translocator (as is the case with atractyloside).5

 それでも、死者は出た。米国の厚労省にあたる食品医薬品局でも、人が死んだたぁ黙っているわけにもいかねーかってことで、公式なアナウンス"FDA/CFSAN - FDA Public Health Advisory: Subject: REPORTS OF BLUE DISCOLORATION AND DEATH IN PATIENTS RECEIVING ENTERAL FEEDINGS TINTED WITH THE DYE, FD&C BLUE NO. 1"(参照)を出した。もちろん、出来レースっぽいので、結論は安全ということになる。

While we are not able at this time to establish a cause-and-effect relationship between the reported serious and life-threatening patient outcomes and the use of the dye, nonetheless, given the seriousness of the potential complications, we believe health care professionals should be notified of these reports.

 とはいうものの、ヘルスケアの専門家は注意せーよと言っている。が、日本にヘルスケアの専門家なんているのか? いたら、なんかこの件で発言してましたか?

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2004.06.25

欧州では子どもの3人に1人が環境汚染などにより死亡している?

 ニュース自体としては専門者の間ではけして最新とも言えないのだが、現在ブダペストで開催中のWHO閣僚級会議(Europe's ministers of health and environment gathering )に併せて、「欧州児童・青少年における、環境要因が特定される疾病と怪我」(Burden of disease attributable to selected environmental factors and injuries among Europe's children and adolescents)が検討課題となった。詳細は、欧州WHOサイト"Burden of disease attributable to selected environmental factors and injuries among Europe's children and adolescents"(参照)及び、"One in three child deaths in Europe due to environment. New WHO study details devastating effects"(参照)にあたるといいだろう。日本語で読める情報としては、日経エコロジー"WHO、欧州では子どもの3人に1人が環境汚染などにより死亡と報告"(参照)がある。元になった調査は、Lancetに掲載された"Burden of disease attributable to selected environmental factors and injury among children and adolescents in Europe "(参照)もので、これも公共性が高いことから無料で閲覧できる。
 日経エコロジーの標題については、やや不正確に思えるが、欧州の児童・青少年の死去の1/3が環境要因によるというのは、先進的と見られる欧州においてそうなのかという点で、ショッキングな問題提起ではある。欧州に限定しなければ、すでに2002年南アフリカのヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)」でも扱われていた。当然ながら、こちらでは、途上国的な問題に焦点が当てられていたが、今回のWHO欧州の発表では、日経エコロジーが煽るような標題として、環境汚染に着目したのも頷ける。環境要因としては、屋外の大気の汚染、屋内空気の汚染、水の衛生状態の悪さ、鉛中毒、事故が特定されているからだ。もっとも、原報告を見るとわかるが、怪我の要因がもっとも大きい。
 WHOでは、次のように問題の要点を打ち出している。なお、DALYはDisability-adjusted life yearsの略で、定訳語はわからないが、とりあえず疾病と理解していいだろう。


According to this study, approximately 100 000 children deaths and 6 million DALYs in Europe are attributable to four main environmental risk factors and to injuries. Among children 0 to 4 years of age, the five factors contributed between 22 and 26.5% of all deaths and to 20% of all DALYs. Among those 5 to 14 years of age, the risk factors contributed to 42% of all deaths and to 31% of all DALYs. In the 15 to 19 year age group, they were responsible for 60% of all deaths and for 27% of all DALYs.

 つまり、欧州では毎年、環境要因によって19歳以下の未成年10万人が死亡、6億人が疾病している。0-4歳児に限定すると死亡の22-26.5%、疾病の20%。5-14歳では死亡42%、疾病31%。15-19歳では死亡60%、疾病27%になる。
 また、もう一方のWHO欧州報告ではこうある。

Injury is the leading cause of death among children and adolescents from birth to 19 years across the WHO European Region, with the highest proportion of deaths among teenagers (15-19 years). Up to 13 000 children aged 0-4 years die from particulate matter outdoor air pollution and 10 000 as a result of solid fuel use at home. In the same age group, lead poisoning is responsible for over 150 000 DALYs. In children aged 0-14 years, 13 000 deaths are due to poor water and sanitation. The table below shows the share of health impact from deaths and years of healthy life lost for each environmental risk factor, among children aged 0-4 years and 0-14 years.

 数字の上では、大気汚染と鉛害が注目される。欧州においてこれほど問題なのかというと、実はLancetの原論文にあたるをわかるが、この欧州にはトルコやカスピ海沿岸国も含まれている。もっとも、それによって統計が操作されているという意味ではない。あくまで事態は深刻だ。日本は少子化もあって子どもの問題に関心が向いているかのようだが、こうした問題はあまり取り上げられていないように思う。また、環境問題も特定の住民被害や温暖化など、企業ターゲットであったり、庶民生活の束縛など、政治的に偏向しているようにも思われる。
 私自身が今回の報告で特に気になったのは、一般的な大気汚染の問題ではなく、子どもの鉛害についてだ。この問題は米国では非常に大きな課題となっているのだが、米国民一般としては、漫画のシンプソンズでも皮肉っていたが赤ペンキやクレヨンなど画材色素の問題として見られがちで、ガソリン内の鉛についてはあまり言及されていないようだ。しかし、今回のWHO欧州では、ガソリン側に注目している。
 米国での他調査を見る限り、子どもの脳はかなり鉛に汚染されているようだが、私は日本でこの問題を重視しているケースを知らない。2ちゃんねるでも馬鹿にされるようなパソコンの弊害といったしょーもない話題が注目されているように見える。
 余談だが、そして、批判を含めている意図はないのだが、「通販生活」が最近、シーガルフォーを前面に出さなくなった。なぜなのだろうか? 代わりに出てきた浄水器の売り文句では有害ミネラルの除去が上げられているが、これに関係するのだろうか。私が簡単に調べた範囲では、シーガルフォーでは有害重金属を十分に除去していない。私の了解間違いであるかもしれない。また、シーガルではマシなのかもしれないが、簡易浄水器では銀が使用されている。銀の安全性については、異論や電波も多いのだが、このあたりの安全基準も気にはなる。

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2004.06.24

電子書籍が読書を変える?

 昨日のクローズアップ現代「電子書籍が読書を変える」(参照)は標題からも連想されるように、電子書籍と出版の状況について扱っていた。番組として面白かったかというと、よくわからない。つまらないわけでもない。コメンテイターとして出ていた佐野眞一も何が言いたいのかよくわからなかった。骸骨みたいな森村誠一が、携帯電話を使った読書を、ゲリラ的、とか言っていた。お笑い?
 番組を見てからいろいろ考えたのだが、考えがまとまらない。が、気にはなる。だから、今の自分の気持ちみたいなものを、たらっと書いておこうかと思う。
 クローズアップ現代では、話は電子書籍の技術革新というだけではなかった。それに絞ったほうがよかったのかもしれないとも思うが、それだと一般聴衆者の関心はひかないだろう。SONY愛好家の私としては、LIBRIe〈リブリエ〉(参照)が気になるが、最近は出不精なのでまだ現物を見ていない。自分の目で見ると、どんなものだろうか。松下のΣBook(シグマブック)(参照)にはあまり関心はないが、イカ・ディスプレイ(参考:「IBM ThinkPadの液晶に食べ物の 'イカ' を使用しているか」)も見てみたい気はする。
 リブリエはけっこう解像度も高く紙に近いんじゃないかと期待していたが、番組で見ていて、ふと思ったのだが、ちと持ちづらそうだ。Palm(参照)のようにはいかないのか。iPod(参照)でもそうだが、落としそうだなというのも、気になる。
 電子媒体のディスプレイについては、私はこれまでもいろいろ試してきた。Palmにも縦書きのソフトなどをインストールしたりした。で? なのだが、率直にいうと表示が汚くてあまり使う気にならない。だめなんじゃないか、この手の流用は、というのが私の印象だった。のだが、あれ?である。そうでもないか。
 番組で、携帯電話で読書というのをやっていた。冗談じゃねーよと思っていたのだが、試しに自分のN505iでやってみると、そう悪くない。それが、あれ?という感じだ。このしょうもないディスプレイで夏目漱石とか読むのだが、それはそれなりに夏目漱石だ。ちょっと退屈なおりには、こんなので暇つぶしというのはゲームなんぞするよりいい。使ったのは、「携帯書房」(参照)だ。テキストだけなら、FOMAでなくてもなんとかなる。試してミソ。
 ついでに、最新のT-TIMEでも買うかと該当ページ(参照)に行くと、T-TIMEはバージョン変わらずで、新しくazureというのがあるので試用したが、T-TIMEとの違いがわからん。青空文庫だけを読むには便利かもしれない。
  というあたりで青空文庫を見ていて、ふと新美南吉とか読んでしんみりしてしまった。クローズアップ現代でも言っていたが、電子書籍では、夏目漱石だのといった古典のニーズが高いそうだ。なるほどねとも思う。
 たらっとした電子読書の話のついでなのだが、私はSmartVoice 4 XP(参照)をよく使う。声質はNHKの水谷アナっぽい。朗読としては実用レベルになっている。MP3化もできる。
 クローズアップ現代では、電子書籍は出版の危機の対処というストーリーにしていた。たしかに、今の出版はすごいよなと思う。


『世界の中心で愛を叫ぶ』306万部、『バカの壁』350万部。歴史に残るベストセラーが相次いで生まれる一方で、出版界は未曾有の不況に見舞われている。売れ行きの悪い新刊は3ヶ月で店頭から消え、『収容所群島』や『出発は遂に訪れず』といった古典も次々と絶版となっている。

 「世界の中心で愛を叫ぶ」や「バカの壁」なんてどうでもいいけど、「収容所群島」「出発は遂に訪れず」はなかなかいいところ突きますな。このあたりの本は絶版といっても、古本でまだ買える。どっちも読んでおいたほうがいいぜと思う。「収容所群島」は長くてだめというなら、せめて「イワン・デニーソヴィチの一日」は読めよ。と、こういう本の価値っていうのをきちんと伝える人がいねーのが問題かもしれない。え?松岡正剛? そいつは、島尾敏雄とソルジェニーツィンを読んでいるのか? 
 出版は危機だとは思う。「世界の中心で愛を叫ぶ」や「バカの壁」が売れるっていうこと自体が危機だ。出版界が、本のマーケットをやめて音楽のマーケットを真似したのだ。が、そう嘆くこともないと思う。本に魂を奪われた畜生たちは意外にしぶとく地獄で生きるのだ。まずは貧乏地獄か。しかし我らが牧師、古本屋を信じよう。もっと古ければ青空文庫でなんとかする社会にしよう。「新潮」に連載されていた「本居宣長」だっても図書館に行けば、なんとか読める…はずだ。

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2004.06.23

「慰霊の日」に思う雑感

 今日は「慰霊の日」である。慰霊の日のことは書くのをやめようと思っていたが、なんとなく書く。
 小泉首相は、今日、国立沖縄戦没者墓苑で献花し「私たちはこの歴史を後世に語り伝えるとともに、2度と悲惨な戦争を起こしてはならない責務を負っています」とあいさつしたそうだ。カート・ヴォネガットふうに言えば、他に何を言えばいい?
 慰霊の日は、日本軍の組織的戦闘が終結した日だと言われている。嘘である。組織的な戦闘はその後も続いた。沖縄戦が終結したのは本土より遅れて9月に入ってからだ。琉球列島守備軍が嘉手納米第10軍司令部で正式に降伏文書に調印したのは、9月7日。沖縄の慰霊の日はこの日に移すべきだと思う。
 じゃ、この23日って何よ?であるが、日本軍第32軍司令官・牛島満中将と同参謀・長勇中将が糸満の摩文仁で自決した日だと言われている。嘘くさい。22日じゃないのか? 私は沖縄でいくつか資料を読んだ。23日であるかは疑わしいと思った。こうした儀礼的な史実はかなり疑わしいものが多いのではないか。広島原爆投下が8時15分というのも本当なのか? (「原爆は本当に8時15分に落ちたのか」
 22日説が強いのに、なんで23日が「慰霊の日」となったのか? 答えは、ちょうど6月23日が本土の安保デーだったからだ。本土左翼の運動デーを沖縄に持ち込んでいたので、それに近い日付をかぶせたのだ。それ以前の沖縄では本土から分断された4月28日を沖縄デーとして社会運動をしていた。
 いったい、慰霊の日というが、23日以降も沖縄の民間人は殺され続けた。なのになぜ本土の軍人への慰霊が先行するのか、私はまるで理解できない。節目? それは間違った節目じゃないのか。
 沖縄戦では二十数万人が戦死したと言われている。どうやって推定したのか知って私は唖然とした。戦前の人口引くことの戦後の人口である。私が間違っているのかもしれない。しかし、私は、どの戦闘で何人死んだというのが積み上げられて、つまり、加算によってこの数値に至っていたのだと思っていた。そうではなかった。どこでどのようなかたちで沖縄の人間が殺されていったのか、いまだにきちんと調べられいないのだと思った。そう知ったとき、なんか、泣けた。おかしいじゃないか。二十数万人が死んだというなら、万単位の人が死ぬ戦闘、千人単位の人が死ぬ戦闘などが、具体的どの地区の戦闘で、どこの聚落の人であったかなどが推定されるべきではないか。もちろん、私が無知なのかもしれないとも思う。だが、沖縄で8年暮らし、折に触れて調べたがわからなかった。それどころか、未だ遺骨が収集されていないガマの存在を知って驚いた。
 先日(3/16)、NHKの「その時歴史が動いた」の「さとうきび畑の村の戦争~新史料が明かす沖縄戦の悲劇~」(参照)では、23日以降の沖縄戦を描いていた。


●その時を、「昭和20(1945)年9月7日 沖縄戦が公式に終結(沖縄戦降伏調印日)」としたのは?
「沖縄戦終結の日」は、牛島満司令官が自決し、日本軍の組織的戦闘が終了した6月23日、アメリカ軍の沖縄戦終了宣言がなされた7月2日、そして日米両軍の司令官が調印をおこなった9月7日、の3通りが考えられます。
国際法上は、両軍の調印をもって戦争の公式な終結としますが、6月23日は「沖縄慰霊の日」ともなっており、この日が「沖縄戦終結の日」という印象が強いかもしれません。
今回の番組では、以下の理由から9月7日を「沖縄戦終結の日」とし、「その時」としました。
①沖縄県が、9月7日の降伏文書調印を、「沖縄戦の公式終結」としていること。
②同様に、沖縄県の施設である「平和の礎(いしじ)」では、沖縄戦の期間を「昭和20(1945)年3月23日から、9月7日」としていること。
③取材した中に、8月の末まで戦闘を続行していた方がいらっしゃいました。牛島司令官は自決する前に、最後まで戦うよう訓令していたため、「組織的戦闘」は終了しても、部隊ごとに抵抗を続けていたのです。
この方の所属していた部隊などが武装解除に応じた結果、9月7日の降伏文書調印となったので、この方のご体験を描く意味でも、9月7日をその時としました。

 基本的には正しい。そして、新資料をもとに23日以降の沖縄戦を描いてたのだが…。

●新たに発見された日本軍の作戦文書とは?
アメリカ国立公文書館(新館)に所蔵されています。一般閲覧も可能です。
請求番号は、RG407/ENTRY427/BOX5352です。
アメリカ軍が戦場で入手し、翻訳した物です。発見したのは、関東学院大学の林博史教授です。
史料名・内容は以下の通りです。

① 「日本軍の防衛召集計画」(中部地区、昭和20年3月6日)
日本陸軍第62師団が、管轄している村ごとの割当数を示した召集計画表。
待機者6940名に対して、5489名を召集する「根こそぎ動員」だったことが判明した。
② 「西原地区における戦闘実施要領」
奇襲攻撃の際の注意事項が記されていた。
例として「服装においても話し方においても現地住民のように見せかけることが必要である」(放送)、
「住民の服を借りてあらかじめ確保せよ」(放送)、「一案として方言を流暢に話す若い兵を各隊に一人割り当てよ」(放送せず)、「攻撃の案内として現地住民を連れて行け」(放送せず)など。


 沖縄戦というが、この番組で描いたのは「西原地区における戦闘実施要領」のみであり、史実としては、そこに限定されていた。

●西原村の犠牲率47%
人口10881人の内、5106人が犠牲になりました(「西原町史第3巻 西原の戦時記録」より)。

 約五千人についてはわかった。でも、他はわからない。他も積み上げていかなくてはいけないのだと思う。
 なお、番組を見ながら思ったのだが、NHKの取材班は西原町の資料だけを当たっていて、他の南部住民の動きを総合的には理解していない。私は現地の人から実際に聞いて、この番組とは違う住民の動きなども知っている。
 話を少し戻す。先にNHKではこう触れていた。

沖縄県の施設である「平和の礎(いしじ)」では、沖縄戦の期間を「昭和20(1945)年3月23日から、9月7日」としていること。

 では、そこに刻まれている戦死者はこの期間の戦死者だろうか? 違うのだ。また、戦死者名は地域分類と役職分類があり、オーバーラップはどのように排除されているだろうか?
 私はたぶん、その真相を知っているが、ここには書かない。「平和の礎」に行って調べれば誰でもわかる。
 沖縄戦は知れば知るほどわからなくなる。
 話は少しそれるが、先日の、6月7日、宮城悦二郎元琉球大学教授が肺癌で亡くなった。米留組で、米軍「星条旗」の記者となり、73年に大田昌秀現参院議員に誘われて琉球大に来た。90年に法文学部教授に就任。英語の授業は新聞英語が主体だったという。学問的には沖縄の米軍占領史を専門とした。なんどかお会いしたことがあるが、私は、うかつにも彼が名護の生まれであることを、訃報で初めて知った。名護んちゅうだったのか。だったら、訊きたいことがあったに…、いや、まだ生きていて欲しかったと悔やまれた。

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2004.06.22

米国会議員が統一教会文鮮明の戴冠式に参加していた

 事件と言っていいのかよくわからない。話は、統一教会(正式名世界基督教統一神霊協会、国内団体呼称は統一協会)創始者文鮮明(Sun Myung Moon)とその妻韓鶴子(Hak Ja Han)が、3月23日に米国ダークセン下院オフィスビルで、米国下院議員を集めて戴冠式を行っていた、というのだ。
 なんだそれ?という感じがしてもしかたがない。なにより、戴冠式ってなんなんだ? ということなのだが、写真を見れば、まず感覚として、その異様さはわかるかと思う。

Moon_Crowned_by_US_Congressmen
文鮮明戴冠式
 話のネタ元はsalon.comの記事"Hail to the Moon king"(参照)だが、これを書いたジャーナリストJohn Gorenfeldはこの問題を自身の課題としているらしく、そのサイトに特設ブログ"Where in Washington, D.C. is Sun Myung Moon?"(参照)を設けている。Wiki"Sun Myung Moon"の項目(参照)にこの写真を提供したのも彼で、また今回の件を追記したのも彼のようだ。ことの詳細を知りたい人は以上のリンクを当たってもらいたい。
 Salon.comの記事"Hail to the Moon king"だが、このタイトルがふるっているので、私がわかる限り少し補足しておきたい。"Hail to"は古い英語の言い回しならHail to you.(ようこそ)とかHeil a waiter(ウエイターを呼べ)みたいなのもあるが、現代的に連想されるのは、"Heil Hitler"(ハイル・ヒットラー)だろう。つまり、the Moon kingに忠誠を誓うということだ。で、the Moon kingだが、直訳すれば「月の王」だが、これは文鮮明の文(Moon)を月に見立てた洒落だ。月のラテン系の語彙lunaticには「精神異常」の意味があるがMoonにも多少その含みは反映しているだろう。まとめると、タイトル"Hail to the Moon king"には、文鮮明を王として忠誠を誓う下院議員(衆議院議員相当)のおぞましさのトーンが秘められている。
 余談めくが、私が大学生のころ、同級生の米人は米国の統一教会員のことをMoonieと呼んでいた。今でもそう呼んでいるだろうか? この語もmoonyの洒落で、moonyには、夢見がちな、酔っぱらった、という意味合いがある。蔑称だと言ってもいいだろう。
 前フリが長くなったが、記事はこう始まる。

Hail to the Moon king
The deeply weird coronation of Rev. Sun Myung Moon in a Senate office building -- crown, robes, the works -- is no longer one of Washington's best-kept secrets.

By John Gorenfeld

June 21, 2004 | You probably imagine your congressman hard at work in the Capitol debating legislation, making laws -- you know, governing. But your newspaper probably didn't tell you that one night in March, members of Congress hosted a crowning ritual for an ex-convict and multibillionaire who dressed up in maroon robes and declared himself the Second Coming.


 リードでは、奇っ怪極まる文鮮明の戴冠式について、ワシントン(日本で言ったら永田町)は、もう隠しておくことはできないだろうとしている。米国の立法を担う下院議員が、カルト宗教とも見られる統一教会の総裁に忠誠を誓うという、そんな奇っ怪な儀礼に参加したということ事体、スキャンダルじゃないのか、というのだ。
 しかし、馬鹿はどこにでもいるし、日本の衆議院議員にもいる。そういう話なら、たいしたことでもない。1992年当時自民党副総裁だった金丸信も北朝鮮問題がらみなのか文鮮明と懇意にしていた。おぞましいやつはどこにも一人や二人はいる。私の当初の印象としては、今回の戴冠式というのも変な話だな、まるでインドの天才少年が癌の治療薬を発明したというようなビザールだな、というものだった。ビザールという線でいうなら、この記事にも引用されているが、文鮮明のこんな説教が最適だろう。

In a 1994 speech, he asked: "Do you like the smell of your husband's semen? Answer to Father. Does it smell good or bad? You may not like the smell of your wife's stool, but do you smell your own? Why don't you smell your own but you smell your wife's? Because you are not totally one."

 極東ブログはgooキッズでもフィルターアウトされていないという名誉もあって、この説教は、ちょいと訳せたもんじゃないが、これが真実の夫婦愛なのかスカトロなのかよくわからん。
 と、まるで笑い話のようだが、話を読み進めて驚いた。

What, exactly, drew at least a dozen members of Congress to Moon's coronation? (By the Unification Church's estimate, 81 congressmen attended, although that number is probably high.)

 下院議員が10人以上も参加していたようだ。ちょっとした一大勢力であり、また、この戴冠式が表のメディアでは隠蔽されていたことを考えに入れると、そりゃおぞましいという印象もあるだろう。
 このおぞましさは、もしかすると日本では、合同結婚式や霊感商法とかの問題に結びつくのだろうと思う。確かにこれも問題だ。メディアでは忘れ去れたようになっているが、いまだに社会問題ではある。「全国統一協会被害者家族の会」を元信者の家族らが設立したのは、昨年の11月のことだった。詳細は、「統一協会(統一教会)被害者家族の会Homepage」(参照)を参照してほしい。
 米国のジャーナリズムで今回の件がおぞましく受け取られるとすれば、その根にあるのはUPIの買収だろう。2000年5月15日UPI通信社は、その社名、ロゴ使用権、財産の一部を統一教会配下のメディア「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ」に売却された。UPIは独立性を持つ報道機関として維持されることにはなったが、名物記者ヘレン・トーマスは義憤と共にUPIを辞職した。この他、メディアと統一教会の関連は興味深いことがいろいろあるのだが、いずれせよ米ジャーナリストたちの統一教会への警戒感は強い。
 さて、冒頭、私はこれは事件なのかよくわからないと書いた。実際、事件だとは言い難いように思う。統一教会というものの最近の動向を日本社会にも喚起しておきたいという思いもあるが、率直に言うと、今ひとつわからないなという印象はある。
 私としては、統一教会という問題もだが、文鮮明の強力な支援者である下院議員Danny K. Davis, D-Illが関わる"Ambassadors for Peace"によるエルサレム・ツアーに関心を持った。まだ十分に調べていないのでハズシかもしれないが、先日NHK特集「エルサレム」で見た、米国エバンジェリック(福音派)のエルサレム・ツアーはこれではないのか? だとすれば、こいつらが、パレスチナ問題を一層複雑にしているように思えるのだが。

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2004.06.21

米軍はドイツからも撤退する

 どうも世界情勢がきな臭い。なにが起きているのか、なにが起きつつあるのか。うまくとっかかりが見えないのだが、まず、イラク状勢から。
 日本ではイラク状勢を「泥沼化」と見る向きが多い。が、泥沼化議論者は、サドル派がイラク国民の反米感情に乗っていっそう過激化するというようなスジだったのじゃないか。はずれ。
 イラクの主権委譲を前にして、パイプラインへの破壊が烈しくなった。もちろん、これも泥沼化と見ることもできるが、とりあず冗談としておこう。事態について、産経系「アラウィ首相 石油施設の防衛宣言 パイプライン相次ぐ破壊 部族に監視を要請」(参照)をひく。


【バグダッド=加納洋人】イラク暫定政権のアラウィ首相は十九日、北部や南部の油田地帯で、石油パイプラインへの破壊活動が頻発していることに関し、「これまでに十億ドル(約千百億円)の被害が出ている」と述べ、「石油施設攻撃はイラク人に対する攻撃に等しい」として、石油施設の防衛を宣言した。全国の部族にパイプラインの監視を要請するほか、二万人以上のイラク人治安部隊を動員して警備にあたる。

 記者はパイプライン攻撃の背景は不明としながらも、石油産業に攻撃し、暫定政権への復興資金の流入を阻止することがテロ組織の狙いと見ている。妥当な見解だろう。日本人としては脊髄反射的に世界市場の石油はどうなるかと不安になるかもしれないが、地政学リスクが投機に拍車をかけるとしても、現状のイラクの石油産出量では世界市場に大きな影響力を持たない。
 また、テロ組織というと、日本人には、例のズッコケ三人組に顕著だがイラク国民のレジスタンスだとか戯けた意見もある。暫定政権は傀儡だとしても、石油は国富なのだからそれを潰すことがレジスタンスになるわけもない。むしろ、イラクの地に民主国家ができることは近隣中東諸国にとって脅威であり、その意味で、イラクの混乱を起こすテロ組織と各国政府は意外にグルっぽい。例えば、salon.comで読んだAP系"Al-Qaida site says Saudi police helped in abduction"(参照)では、最近のサウジの米国民ターゲットのテロの裏をほのめかしている。

June 20, 2004 | RIYADH, Saudi Arabia (AP) -- Al-Qaida militants disguised in police uniforms and cars provided by sympathizers in the Saudi security forces set up a fake checkpoint to snare the American engineer they later beheaded, according to an account of the operation posted on an Islamic extremist Web site Sunday.

 これがサウジ政府の遠隔部分での問題なのか中枢に関わるのかまではわからないが、胡散臭さにはたまらないものがある。こうした問題を機に、米国はサウジ在留の米人の帰還を勧告し、サウジ政府側はそれはやめてくれ、とすったもんだしているようだが、このあたりも胡散臭い。米国はサウジに対して、そっちがテロを下っ端で使うなら、それ相応の圧力を上からかけてやろうということではないか。
 話を少し戻して、アラウィのスラップスティックも奇妙だ。ここに来て、急にパイプラインがやられるというのは、単純な話、米軍がさっと手を抜いた結果ではないか。とすれば、この事態は米軍の思惑通りのはずだ。陰謀論臭い展開になってしまうが、そういうことなんじゃないか。ついでにもう一つ言うと、イラクの石油は北部と南部に分かれるのだが、ここに来て北部攻撃があるのは、反クルド勢力であり、アラウィとしてもクルドはこの機に少し潰しておきたいということではないのか。というのもクルドは事実上独立の軍事力を持ちつつある。
 たるい話をひっぱったみたいだが、こうした背景にある米軍は何を志向しているのだろうか。
 話をイラクや中東から少し外し、NATOをめぐる先日のブッシュ・シラクの会談に移す。この会談はなんとも後味の悪いものだった。10日のロイター系「イラクへの介入、NATOの任務だとは思わない=仏大統領」(参照)をひく。

 [シーアイランド(米ジョージア州) 9日 ロイター] フランスのシラク大統領は9日、イラクに介入することが北大西洋条約機構(NATO)の任務だとは思わないと語った。

 シラクは米国の先手を打ったつもりだろうが、これはスカをくらうことになった。ニューヨークタイムズ"THE REACH OF WAR: SUMMIT POLITICS; BUSH DOESN'T SEE NATO SENDING IN TROOPS FOR IRAQ"(参照)をひく。

AVANNAH, Ga., June 10 - President Bush said Thursday that after two days of consultations with the leaders of France and other nations, he did not expect NATO to provide troops to bolster or replace American forces in Iraq. But he continued to press for a more limited NATO role in training Iraqis to take on the burden of security in their own country, if the new Iraqi government requested the help.

 ブッシュは逆にシラクのツラをひっぱたいて見せたわけだ。が、この米軍の強気の意味はなんなのだろう、と気になっていた。日本と限らず、米国でもそうだが、イラク戦争はついに米国の手に余るようになったので国際世界の援助を求める、というストーリーがマンセー状態になっていたからだ。だとすれば、日本自衛隊のような微々たる投入かつ戦力にもならんものよりもNATOの協力を仰ぎたいと見るべきではないか。ブッシュはただの馬鹿な強気か?
 このあたりの問題はロサンゼルスタイムズの記事"Bush: NATO Should Help Train Iraqis"(参照)の記事のように、ブッシュの本音はNATOを出してほしかったはずだ。

SAVANNAH, Ga. President Bush said today that any NATO role in Iraq's security would involve training rather than a deployment of troops to carry out operations there, and that the Iraqi government would have to request the training mission.

 だが、ここに来てこの裏の動きが見えてきたように思える。まず、切り口はガーディアン"3,000 more UK troops for Iraq"(参照)が示唆深い。

・Nato force to be deployed to bolster new government
・ Bloody career of al-Qaida's leader in Gulf

Richard Norton-Taylor and Ewen MacAskill
Saturday June 19, 2004
The Guardian

A Nato force including up to 3,000 British troops will be deployed to Iraq to support the vulnerable new government as it takes over the running of the country, under a plan being drawn up in London and Washington.

The force would consist of Nato's Allied Rapid Reaction Corps, based in Germany under the command of a British general, Sir Richard Dannatt, reinforced by a British battle group.


 ここでは話の主人公は英国ではあるのだが、NATOの看板を掲げないものの、英軍を中核とする三千人の部隊を主権移譲後のイラクへ派遣する計画を立てているというのだ。しかも、この部隊は、ドイツに駐留するNATO緊急展開部隊だ。
 事実上、米英だけでNATOを動かすというのもなんだが、まずドイツからNATO軍を引っこ抜くのだ。ピクミンじゃないがNATOは引っこ抜かれても、「あなたのもとについていくわ」ということだ。
 話が前後するが、14日のニューヨークタイムズ"Military Bases in Germany"(参照)の話が、一連の動きにとどめを刺している。

The Pentagon is proposing sharp cuts in U.S. forces in Germany, which for more than half a century has been America's biggest military outpost in Europe. It's a bad idea, particularly at a time when the United States is struggling to rebuild its relations with its NATO allies.

Washington is hoping to cut its military presence in Germany - a little more than 70,000 soldiers - roughly in half. Two heavy divisions now based there, and the soldiers' families, would return to the United States. They would be replaced by a much smaller light combat brigade, while other units would be rotated in and out, at considerable cost, for short-term exercises. The Air Force is also thinking of moving some of its F-16 fighter jets from Germany to Turkey, where they would be closer to Middle East trouble spots but subject to restrictions by the host government.


 ドイツから米軍を大量に引っこ抜くというのだ。もちろん、冷戦後という理屈は大筋ではあるが、これは、ようするにドイツへの報復だ。

Many Germans, remembering Defense Secretary Donald Rumsfeld's scornful "old Europe" put-downs of their country last year, will see these withdrawals, and the accompanying German job losses, as payback for Berlin's diplomatic opposition to the invasion of Iraq. Washington denies that. But the Pentagon does seem to have a growing preference for stationing troops either at home or on the territories of allies ready to embrace President Bush's notions of unilateral preventive war.

 やるよな、ラムズフェルド。ちょっと暴言のようだが、フランスがいくらEU帝国の冠たらんとしても、ドイツの協力がなくてはやっていけない。シラクがNATOを仕切るようなそぶりを見せるなら、誰が主人か教えてやろうというのが、ラムズフェルドの思惑なのだ。
 まいったな、である。もちろん、以上のような話はそれほど陰謀論でもないし、日本の外交筋はさっさと読んでいるのだろう。これじゃ、純ちゃんブッシュの尻舐めてください外交になるよな。韓国も米軍撤退でキンタマ縮んだし、というか、現状の人質事件でその縮み具合がわかる。
 このストーリーというのは、イラク戦争前のネオコンのビジョンと何か変わりがあるのだろうか。ないんじゃないか? ネオコンっていうのは、ある種の思想集団であり、その思想はつまりは、黒幕がどうたらというと言う問題ではなく、まさに米国の思想なのだろう。
 私は、糞!と言いたい。八つ当たりである。

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2004.06.20

日本ではハイジャックされた飛行機は撃墜されるか

 もう少し考えてから書くといいのだが、取りあえず気になるので書いておきたい。9.11テロを検証する独立調査委員会が開催した公聴会報告書に関連した話だ。
 この報告書について、日本での報道を見ていると、イラクとアルカイダは無関係で、いかにブッシュが極悪なやつか、みたいなことに論点が置かれていたように思う。しかし、いくら阿呆なブッシュでも、また直接的なつながりがあると確信しつつも、その事実認識の部分まで誤ったものではない。彼の弁解はそう嘘でもない。なにより、イラク攻撃はあくまで米国の国策であり、この国策の是非は大統領に任されていると考えるのがまず大筋だろう。
 と書くと、私がブッシュを弁護しているかのごとく誤解されるが、そういう左翼的な空気にはうんざりする。ついでなので言うが、NHKと朝日新聞は一貫して国連疑惑にはほとんど触れていない。おかしいんじゃないか。イラク戦争がなければ、仏露はいかがわしくイラクを搾取し続けたのであり、しかも国連ですらグルだった。名目上であれ、石油歳入権がイラク国民に戻ったことは、米国には皮肉な、また課題の残る結末だっただろうが、自由世界にとっては意義のあることだったと私は思う…と書いても、陰謀論か米国支持にしか聞こえないのだろうか。なお、まったくこの問題に触れていないわけでもないのは、朝日新聞系「国連のイラク支援不正疑惑でエクソンモービルを調査」(参照)でわかる。しかし、とりあえずその問題はどうでもいいとしよう。まだ本丸である仏露を締め上げているわけでもない。
 今回の報告書のニュースを読みながら、あれ?と思ったのは、乗っ取られた飛行機を撃墜できたか云々のくだりに関連した部分だ。18日のロイター系「米同時多発テロの独立調査委、防空態勢の不備を指摘」(参照)では、こう伝えている。


 報告書によると、チェイニー副大統領は一時、自身が下したハイジャック機撃墜命令により、数機を撃墜したものと勘違いしていたという。
 ハイジャック機が最初に世界貿易センターに激突した7分後に、戦闘機が飛び立ったものの、軍幹部らは他のハイジャック機を阻止するための十分な通告を受けていなかったという。
 特に非難を受けているのは、連邦航空局(FAA)で、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)司令官は、FAAが知りえた情報全てを即座に軍司令部に報告していれば、戦闘機はハイジャック機を撃墜できた可能性があるとしている。

 このニュースは日本でもよく報道されたので記憶に残っている人も多いと思うが、私が、あれ?と思ったのは、「それって、じゃ、撃墜すればよかったのか?」ということだ。
 日本の状況に即して考えると、このあれ?感がわかってもらいやすいだろう。つまり、日本で飛行機が乗っ取られ、国会などにつっこみそうだ、というとき、日本の首相は撃墜命令を出すのか?
 ものごとのスジで考えていえば、そうするしかないだろう。しかし、日本の首相にそれができるのだろうか。また、安全とは、そうすることなのだろうか?
 あれこれ考えてみるのだが、というか、自分がそういう立場にあったとき、日本人的な心情でどういう行動を取るかとすれば、南国から鉄人28号を乗せたロケットのときと同じように(冗談)、つっこみそうな所の人を待避させ、あとは、乗っ取り飛行機とひたすら「対話」を試みる…フリをするだろう。撃墜しても乗客は死ぬのだし、万一で説得できれば、乗客は救えるという賭けと見れば、こっちのほうがリターンの確率が高い。で、いいのか?
 報告書と自分の感覚のズレは、朝日新聞系「同時多発テロ、4機目墜落後に撃墜命令 調査委報告書」(参照)にも感じられる。

 報告書は、連邦航空局や北米航空宇宙防衛司令部が、かつてない事態に有効な対応ができなかったと指摘。また、4機目は、テロリストが占拠した操縦席に乗客が突入していなければ、ホワイトハウスか米連邦議事堂に突っ込んでいた可能性があり、「米国は彼らに助けられた。彼らの行動が大勢の人命を救った」と称賛した。

 すらっと読むと、自分の命を犠牲にしてまで行った英雄的行為のようだし、また、スジを通して考えればそうだ。しかし、日本人大衆としての自分の感性からすると、そこまでの正義感はない。以前、少年がバスジャックした事件などはこのまったく逆だった。男が三名も意を決すれば少年など叩き潰せるだろう、というか、米人ならそうするだろう。が、日本では、いい大人がこっそり抜け出したりということすらする。
 VOAニュース"9/11 Commission Says US Air Defense was Overwhelmed on Day of Attacks"(参照)では、こうした事態に米国は対処できるとした発言を掲載している。

Air Force General Richard Myers is chairman of the military Joint Chiefs of Staff and had this to say.

"And as you know, our posture today is quite a bit different as we look at this threat and other potential threats," he noted. "So we have improved our communications and we have refined our procedures, both with the White House and with the FAA and those procedures are in effect and are exercised."

And the commander of the North American Aerospace Defense Command, General Ralph Eberhart, said the changes made in communications, preparation and training would mean a different outcome if the same attacks were attempted again. "Because of the fixes, the remedies put in place, we would be able to shoot down all three aircraft, all four aircraft," he said.


 つまり、今度は、乗客一蓮托生で撃墜できますよ、と。だから安心してくださいということなのだ。で、私はなにに逡巡しているのかと自分を疑問に思う。このあたりの答えがうまく出てこない。ばっくれて言えば、所詮、他人ごとである。
 話が少しずれる。こうした撃墜命令以前に、日本ではこうした事態を察知できるのだろうかと疑問に思う。話がうざったいので、端的に言えば、こうした事態の際、「横田空域」はどのような意味を持つのだろうか?
 現状の横田空域はどの程度なのか調べ損ねているが、10年前は、横田空域は、「羽田空港の空域の西側に接する形で、北は新潟県内から南は伊豆半島、西は長野県・松本まで広がる高度二万三千フィート(約六千九百メートル)以下の広大な空間で在日米軍第五空軍司令部が管轄」(読売1992.3.3)だったが、これが1割程度削減された。ということはあまり削減されていない。その後、削減された話も聞かない。
 常識的に考えれば、在日米軍第五空軍司令部がまず初動するはずだ。そして、それは基地攻撃の可能性を含むから、米国流に撃墜するしかないだろう。ということは、官邸ではすでに撃墜是認のストリーができているはずだ。
 なお、同じ話は嘉手納ラプコンにも関係するがこちらは北朝鮮も絡んでいてさらに難しい。なにかの機会に書きたいのだが、というか、嘉手納ラプコンを知らず観光沖縄に浮かれている日本人は恥ずかしいと思う。

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