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2004.12.25

ヤドリギの話

 日本でクリスマスにツリーを飾ることが多いのは米軍占領下の文化の名残だろうか。オーナメントとしては最近ではそれに加えてリースも見かける。しかし、クリスマス・クリブは見かけない。キスィング・ボールもなにげで目立たない。そういえば、ヤドリギ(mistletoe)も見かけないなとふと思った。
 ヤドリギ、知ってますよね?(参照
 ヤドリギといえば、あれだ、松原のぶえの「宿り木みたいな人だけど」…違う。漢字で書くと「宿木」。「寄生木」「桑寄生」とも書くか。ちなみにアマゾンをひいたら、大林幸二「宿り木情話」川江美奈子「宿り木」も出てきた。知らないなぁ。シングルだったらダウンロード販売のほうがいいのでは。話が間違った方向にずれた。
 西洋ではクリスマスにヤドリギを飾ることもある。「トイ・ストーリー」の最後のシーンでボー・ピープがウッディーに無理矢理キスをするのだが、あれはヤドリギの下だから…ということ。欧米ではヤドリギの下にいる相手にキスをするというクリスマスの風習がある。ヤドリギのキス(Mistletoe Kiss)とも言うようだ。ネットをちょっとひいたら"Why people kiss under mistletoe"(参照)というページに由来の考察があった。


Ancient Europeans thought mistletoe was sacred. Druid priests used it in sacrifices, thinking it brought good luck. Perhaps the kissing started with the Norsemen when Frigga, the goddess of love, shed tears of joy over her son Balder, god of the sun, when he was restored to life after being shot with an arrow.

 ここで、古代のヨーロッパではヤドリギは聖なるものと考えられていたとあるが、そうなのだろうと思う。
 ここからトリビア的な話なのだが、先のヤドリギのリンク(参照)で薬用植物を引いておいたのは、これが伝統薬にも利用されるからだ。漢方(というか本草)では「桑寄生」をソウキセイとそのまま読む。カネボウの独活寄生丸にも配合されている。
 ヨーロッパで聖なるものといえば、担当はルドルフ・シュタイナーでしょ、というわけで、彼は、ヤドリギは癌の薬だと霊的に理解したのである。なぜか…。
 シュタイナーはわかっているのである…彼によれば、癌とは、人間の身体を形成する低次元の組織力と高次元の組織力という二つの力の不均衡によるもので、高次元の組織力が弱くなると細胞の低次元な組織力のよって腫瘍が形成される。これは、魂の混乱によっても引き起こされるのである…。だから、この均衡を変える非地球的な特性をもったものの力が援用されるうるのではないか…地上なるものは地に立ち、重力に支配され、季節の循環に屈服する…しかしがそうではないもの…そ、それはヤドリギではないか!!
 彼の電波、いやいや直感、いやいや霊的洞察力によってできた薬がイスカドールというので、これはけっこうドイツなどで利用されている。またまた米国人にもこういうのがお好きでたまらない人がいるので、数年前だったか癌になった女優がイスカドールを使うとマスコミで吹聴してちょっと話題になった。
 イスカドールはこんな文脈でおちゃらけで書くとお笑いの対象のようだが、ヨーロッパではある程度の効果をもたらしたとする歴史があり、薬学的にも研究が進められている。注意したいのは、じゃ、とかいって、ヤドリギ茶とか作らないように。イスカドールの原料となるヤドリギはクリスマスなどのヤドリギとは違って特定された種類だし、製法は難しい。特殊な方法でミネラルを配合するのだが、単純にはできない。
 最近はイスカドールの話題はどうかなと思ったら、一昨日のタイムのオンライン版に"Kissing plant has dubious reputation(キスの木の評判は疑わしい)"(参照)という記事があった。

A good source of information on mistletoe is the USGS site (www.usgs.gov/mistletoe) where you will learn that there are over 1,300 species of mistletoe worldwide, 20 of which are endangered. Quoting from the Web site: "In fact, says Rob Bennetts, a USGS research scientist, some animals couldn't even survive without mistletoe, including some birds, butterflies, and insects."

And we thought it was only for kissing!


 結論が常識的なところだろうか、曰く、私たちが思うに、ヤドリギはキスの口実にだけ使うのがよろしかろう、と。
 それでも、ヤドリギって、出会いヲタこと栗先生(参照)のアイテムには使えねーでしょうかね。あるいは、れいの帰国子女とかだとよいかもしれませぬが。って、イブは終わったけど、米人などが騒ぐクリスマスパーティは今日。

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コメント

始めまして。いつも興味深く拝見させていただいております。ドイツでの田舎ではほとんどの家庭でクリスマスの第一アドベントから玄関のドアにヤドリギを飾ります。ヤドリギは神聖な木であり、幸福を呼ぶのだそうです。キスというのは初めて聞きます。きっと後からきたのでしょうね。ヤドリギについてはこのページが少し詳しいです。
http://www.wiese.co.jp/germancare_f/german_f/yadorigi_f/yadorigi.html

投稿: えり | 2004.12.26 20:58

20年ほど前、富士山麓の樹海青木が原あたりの氷穴に寄ったとき、宿り木(だったと思う)の看板を見た。説明は、本来の木とは別の木が生えているといったような説明で、ネットほどには詳しくなかったね。ネットは偉大だ。

今でもあるのかなぁ。

投稿: やまざる | 2004.12.27 23:46

ヤドリギでパッと思い浮かぶのはJames Frazerの金枝偏でしょうか。
フレイザー(1854-1941)、シュタイナー(1861-1925)何だかこの時代はヤドリギブームでも起こってたのかな。
ヨーロッパにはヤドリギを題材にした絵画がたくさんあるし興味深いですね。
 来年も極東ブログ、楽しみにしています。良いお年を。

投稿: sk@sf | 2004.12.30 07:22

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