米国内では州ごとに経済自由度が異なる、で?
先日ラジオ深夜便で米国内の州ごとの経済自由度(Economic Freedom Index)という話があり、ちょっと気になった。しょぼいネタかもしれないが…。
経済自由度というと、国際間での比較は日本経済新聞などにも毎年掲載されて話題になる。例えば、"経済自由度ランキング、日本は36位・米シンクタンク"(参照)によると、今年は、日本は36位だった。
米シンクタンクのケイトー研究所は2004年版「世界の経済自由度ランキング」をまとめた。金融市場の開放度や貿易の自由度などを評価したもので、1位の香港に続き、シンガポール、米国や英国などが上位に並んだ。日本はイタリアなどと並ぶ36位で、前年(35位)からやや後退。主要国ではフランス(44位)に次ぐ低い評価になった。
そう言われてもねみたいなランキングではある。フランスより上というのが妥当かなという感じだ。
この経済自由度という概念が、米国だと各州にも適応できるというわけだ。考えてみると当たり前のことで、米国というのはUnited Statesというように、法制度の異なる国家(state)の連邦制になっている。法制度が違うということは税制やその他の経済規制も違う。私事めくが、10年くらい前だと米国のショップで注文するとき、マサチューセッツ州の場合は税率はどうなるとかいう面倒臭い手続きの注意書きを読まされたものだった。最近では比較的ネットで簡単にできるようになっとはいえ、米国内では州ごとにいろいろ経済的な規制が今でも違う。なるほど経済自由度ということが話題になりうるわけだ。
米国州ごとの経済自由度についての資料は、パシフィック調査研究所(Pacific Research Institute)(参照)にある。調査の概要はPDFファイルで配布している(参照・PDF)。手短にわかりやすくまとっている。
州ごとの経済自由度 |
これを見ていると、なんというか、先日の大統領選挙に似ているなという印象も受ける。つまり、ブッシュ陣営の地域のほうが経済自由度が高いかのようだ。しかし、実際には、この差異というのは、単に都市部かそれ以外ということで、都市部の場合は行政に求められるところが多いのために財源確保に経済規制も多いという単純なことなのだろう。
調査結果によると、最も経済自由度がないワーストはニューヨーク州。なんだか苦笑してしまいそうだ。お手あげかな?(自由の女神がもう一方の手もあげたら独立宣言書が落ちてしまう)。ワースト方面でこれに次ぐのがカリフォルニア州。がんばれシュワちゃん、共和党。先日も日本に来て楽しいセールをやっていた。
ベストはというと、カンザス州。二位はコロラド州。そしてバージニア、アイダホ、ユタと続く。と、見ていきながら、で?、こんなリストになんの意味があるのか?という気持ちにもなるかもしれない。だが、調査概要には面白い模範想定問答もあった。ぶっちゃけた話、経済自由度が高まると手持ちの金(かね)が増えるのか?、と。
Q: If we enact policies in our state that yield more economic freedom, will we have higher personal income?
A: Yes. Based on the economic model, a 10-percent improvement in a state's economic freedom score yields, on average, about a half-percent increase in annual income per capita. If all states were as economically free as Kansas, the annual income for an average working American would rise 4.42 percent, or $1,161, putting an additional $87,541 into their pocket over a 40-year working life.
答えは増えるというのだ。全州がカンザス州並になると収入は4.42%アップするらしい。年間で1161ドル(12万円くらい)の儲けになる。日本だと国民年金をシカトするとこれよりちょっと多い差分になる。米国の場合、この差額を安全な米国財務省証券で40年運用すると8万7541ドルの差になる。ドルは今後下がるだろうが生涯で800万円くらいの差となるのだろうか。多いと言えるのかたいしたことないと見るべきかよくわからないが。
そういえば、ワーストで二位のカリフォルニア州では、現在不動産価格が高騰し同州から逃げる人も増えているという話を聞く。州間であまり経済的な規制の差が出れば、米国の場合直接的な人間の移動が起きるのかもしれない。
企業という点でも、カンザス州など経済自由度の高い州のほうが有利になる。通信と輸送が高度化されればこうした地域での企業はメリットになるだろう。こいうのは、ある程度技術とコスト面が飽和した状態で質的な変化が起きることがある。
調査をぼうっと読みながら、日本のことも思った。日本でも地方行政の独立性が高まれば、県ごとの経済自由度なんていうものもできるのかもしれない。いやいや、そんなはずはないか。
ところで、この報告書の発表者を見ているとYing Huangという女性がいる。漢字だと「黄英」だろうか。こうプロフィールがある。
Ying Huang, born in the Peoples Republic of China, graduated in 2000 with a B.A. in international finance from Shanghai University of Finance and Economics. Before coming to the United States in 2002, she worked in the Shanghai office of an Australian consulting company. Huang received her M.A. in economics from Clemson University in December 2003. Her master's thesis developed the economic freedom indexes used in this report.
ざっと見る限り、国籍は大陸中国なのではないだろうかと思う。M.A.(修士)論文がこの経済自由度であったとのこと。この調査の実質は彼女のM.A.論文なのではないか。
こういう経済自由度を重視するという考えの中国人の人材が、遠くない将来大陸中国で活躍するようになるのだろうか。
| 固定リンク
「社会」カテゴリの記事
- LGBTが子供を育てられる社会を(2018.07.25)
- 誰かと一緒に死にたいけど恋ではない何かについて(2018.07.16)
- 江戸川区ツイッター集団自殺事件で思ったこと(2018.07.15)
- 「平成30年7月豪雨」災害で思ったこと(2018.07.13)
- 文部科学省前局長佐野太容疑者は無罪だろうか?(2018.07.11)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント