« 世界子供白書2005を巡って | トップページ | ヤドリギの話 »

2004.12.24

環境問題をスルーしてしまった人のために

 どうでもいいやと思ってスルーした話題だったのだが、あれだ、先日のブエノスアイレスで開かれてた地球温暖化防止条約(気候変動枠組み条約)の第10回締約国会議(COP10)のことだが、あれって、いったいなんだったのだ? わかる?
 わたし的には、どうせ京都議定書なんて成功するわけもないし、成功したところで地球環境になんかに関係ないし、米国をやりこめる政治的な枠組みとしてしか使えねーと思っていたのだが、どうやら、かなり芳しい方向に爆走していたみたいだ。
 おっと、こんな枠組みが成功しないのは日本くらいであって、EUのほうは、さすがヨーロッパ人、使える道具はとことん使え。マジでやる気のようだ。昨日の共同だが"排出削減目標は達成可能 EU、積極的取り組み強調"(参照)でもその見通しを確認していた。


15カ国の02年までの削減率は2・9%だったが、欧州委は、排出量取引制度の導入など今後予定している削減策を動員すれば、10年までに8・6%まで引き上げることが可能と指摘。10カ国は追加的な削減策で目標を達成できるとしている。

 確かにうまく立ち回ればこれは使える。って対米的に使うのだろうが。それに、ふと思うのだが、これって結局日本はせっせと墓穴を掘っているのではないのか。
 この話題を積極的にスルーしたのは、例えば12月16日の愉快な朝日新聞社説"温暖化会議――次の一歩を踏み出そう"とかがあまりに説得力があったからだ。

 ブエノスアイレスで開かれている気候変動枠組み条約の第10回締約国会議(COP10)の参加者には、久しぶりに笑顔が戻っている。

 そりゃあいい。当然、朝日新聞さんだって環境なんて反米の看板だってことはわかっていらっしゃるからこうなる。

 対立はあっても、世界が一つになって温暖化を防ぐという共通の目標に向かう必要がある。途上国を呼び込むには、まず先進各国が自分たちの削減義務を確実に果たすことだ。  それを考えるとき、最も大きな障害はやはり米国である。


 米政府の代表は会議で「米国は京都議定書とは異なる道を選んだ」と議定書に加わらないことを改めて示した。削減は容易ではないとはいえ、世界最大の排出国が途中で降りるのは身勝手だ。
 先の大統領選挙では温暖化への対応も焦点になった。民主党のケリー氏は京都議定書の批准には反対したものの、国際交渉には積極的にかかわるべきだという姿勢を示していた。
 振り返ってみれば、温暖化研究を引っ張ってきたのは米国である。市場メカニズムを利用した排出量取引など京都議定書の仕組みも米国のアイデアだった。
 国際社会と協調することを求める声も米国内には多い。そうした声を受け止め、米政府は方針を転換すべきだ。

 そうよ、そうよ、米国よ、悪いのは。って、そういう話題かよ。と、こりゃ、スルーしかないよね、と思っていたのだが、どうやら、そーゆーことではない。
 どういうことか。これが個別のニュースを引くとかえってわかりづらいのだが…ちょっとまとめる。

南の島は沈んでしまうよぉと嘆く嘆く
 読売新聞(2004.12.17)"温暖化防止「COP10」閣僚級協議 ポスト京都議定書、各国手探り"より。開催日の花火のようなものだが…。


だが、この日のハイライトは、その直後に演説した太平洋赤道直下の国・キリバスだった。海面上昇で水没の危機を訴える島しょ国代表として、「我々は持続的発展どころか、生存の危機にさらされているのだ」と訴えると、聴衆から、さらに大きな拍手が起きた。

 ナウルなどを考えるに、沈む原因はそれかねとも思うが、話としてはわかりやす過ぎ。ところで、島しょ国って沖縄でよく聴いた言葉だった、あ、次、行ってみよう。

中国はなにかとケチを付けるの巻
 共同"先進国への不満相次ぐ COP10閣僚討論会"(参照)より。


中国は「世界最大の排出国が議定書を批准しておらず、批准しながら排出が増えている先進国もある」と米国や日本などを厳しく批判した。

 ケチをつけないと中国らしさが出ませんし。

EU対米国の対立は当たり前
 共同"欧米間の意見対立が表面化 将来の温暖化防止国際制度"(参照)より。


京都議定書に定めのない2013年以降の「ポスト京都」の国際制度をめぐっては、同議定書をベースに、より厳しい温室効果ガスの削減目標を目指すEUと、議定書と異なる枠組みを求める米国の立場が鋭く対立。

 このあたりは、先にも触れたようにEUってすっかりヤル気でいるし、米国もすっかりソノ気。ついてけないよ。

EU内でも方針が分裂するかも
 共同"イタリア、延長に「反対」"(参照)より。


ロイター通信によると、イタリアのマテオリ環境相は15日までに、地球温暖化防止のための京都議定書の有効期限について、現行の2012年までとし、延長すべきでないとの考えを示した。

 イタリアってEUでしょ、ってツッコミはなし。反対理由は、温室効果ガス大量排出国である、米国、中国、インド抜きで意味があるのかぁ!、であり、このあたりはただのラテンな気質とは言い難い。

ボーランド曰く、環境だけの問題じゃないよ
 京都新聞"「気候変動」対策、途上国と溝深く COP10、閣僚級会議"(参照)より。


ポーランドは「気候変動の影響は環境だけではない。社会や経済への影響を測る手法を共有する必要がある」と提案。

 ポーランドにしてみれば、この問題はEUに日和ったものの、このまま進むといいようにEUにしてやられてEU内の三流国家にされちまうぜ。

産油国は環境なんて儲からん、ゼニをくれぇと吠える
 同じく京都新聞より。


サウジアラビアは「先進国が京都議定書に基づき二酸化炭素などの削減を進めれば産油国は毎年数10万ドルの損失を被る」と、気候変動対策の「補償」を求める従来の主張を繰り返した。

 芳し過ぎ。土台昨今の原油価格つり上げでボロ儲けを出しているのは誰ぇ? それはさておき、中国が北京オリンピック後にシナリオ通りに崩壊したら、世界の石油ってだぶだぶになるのでしょうか。

環境省VS経産省
 読売新聞(2004.12.17)"ポスト京都議定書交渉 環境省VS経産省 足並みの乱れ露呈"より。


 期間中、経産省は米国や中国の政府高官らをゲストに招いた講演会を相次いで開催し、その席で、同省の審議会がまとめた報告書を紹介。ポスト京都の国別の数値目標は補完的なものにとどめ、目標の期間も緩やかな二十―四十年の長期にするべきだとの立場を説明した。
 一方、環境省は同省所管の研究機関が主催する講演会で、「次の枠組みでは、京都議定書の成果を尊重すべきだ」と主張。会場では数値目標を軸にした同省審議会の報告書が配布された。

 アッパレ日本。環境省と経済産業省が相反する内容の報告書を配布していたのだ。

 実際のところ、気候変動枠組み条約第10回締約国会議(COP10)ってなんだったのだろう。
 例えば…環境って大切だよね、それを守らない米国って悪いよね、だから、良い子のEUと日本とロシアが正しい道を進めば、中国やインドもきっと納得してくれるよね…とか言う?
 マジなストーリーで言えば、現代の先進国の経済発展とそれを狙う中国・インド・ブラジルとの縦の覇権争い、それにEU対米国の横の覇権争い。そして、日本は道化。
 それと、EUと日本については、所詮石油をだぶだぶ使うわけにはいかないので、石油に絡んだエネルギー戦略でどうやって優位に持ち込むかということ。
 環境問題っていうのは、環境って考えるからスルーしがちになるけど、以上のような乱闘のリングとして見ると、まだまだ楽しめるのではないだろうか。

|

« 世界子供白書2005を巡って | トップページ | ヤドリギの話 »

「環境」カテゴリの記事

コメント

一時期、地球温暖化説は原子力を進めるための陰謀だと言われいたことを思うと、隔世の感です。

投稿: ひろ | 2004.12.24 21:56

示現流? あんなのザコザコ。示現流の集団が新撰組と戦って勝てるわけねーし。一刀目を外されたら終わりだろーがあんなもんはよ。それにどーがんばっても三人は斬れねーし。剣術は、乱戦において一人あたり三、四人斬れてナンボなんだよ。
ボクサーが強い? K-1に殴りこみかけて全敗したのにか? 飛び道具でしか勝てねぇなんて、机上の空論にもほどがあるぜ。
武術ってのは、武器術と徒手空拳の技術が結びついた総合的な殺人術だ。歴史上、武器を持たないことを前提とする格闘技が武術と呼ばれたことなんて一度もないぜ。現代における最強の武術は、特殊部隊の殺人術をおいて他にないだろーよ。
甲野なんて、ただの手品師だな。経験則からタネを考え出す努力だけは認める。だが実戦は乱雑な状況の連続だ。道場で弟子相手に技かけて自己満足してるあんなジジイは、喧嘩馴れしたヤクザには到底かなわないだろう。古武術の動きがスポーツに応用できるだのとほざいてるが、ヒクソン・グレイシーやマイケル・ジョーダンの動きが古武術で説明できるとか言って古武術の凄さをアピールするのは論外。彼らは別に古武術を参考にしたわけでもなんでもなく、自分の工夫でそうした動きを編み出しただけであって、古武術はなんの関係も無い。全く関係ないものにこじつけて自己満足的なアピールをするのは、カルトの特徴だ。彼は古武術の品位を恐ろしく下げている。

投稿: ういうひぃ | 2004.12.25 09:00

誤爆かなー、とは思うけれど、もしかしたら深遠な意味が籠められているのかもなー、とも思う。新撰組&ヒクソン=アメリカ、示現流=中国、ボクサー=EU、古武術=キリバス、とか?

投稿: (anonymous) | 2004.12.25 09:51

同じく真面目に読みました。
格闘技のほうがわかんないorz

環境イメージ……むー、しゃあないですね。
COP3のほうでしたら、ちょっとだけ身内が関わってますた。

投稿: 紅玉石 | 2004.12.26 08:21

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 環境問題をスルーしてしまった人のために:

» 京都議定書 [New UnderGround Commune Style]
◇随分前から書こう書こうと思ってて、先に極東ブログでエントリーされてしまいました。 ◇ロシアの参加表明で突然進みだした京都議定書。こういう理由が。 ロシア:京都... [続きを読む]

受信: 2004.12.26 17:04

« 世界子供白書2005を巡って | トップページ | ヤドリギの話 »