私のお気に入りのクリスマスソングCD
この数年自分の定番になっているクリスマスソングのCDの紹介でも。
Christmas Singers Unlimited
このクリスマスソングCDがないと私のアドベント(待降節)…クリスマスは始まらない。クリスマスのための完璧なBGMだと思う。すごく美しい、って大げさだけど、そう実感している。
1972年の作品というから、30年以上も前なのだけど、古さをまるで感じない。アカペラだからなのかもしれない。
リンク先のアマゾンのサイトで全曲の冒頭がリアルプレーヤーで試聴できる。ちょっと聴くとわかると思うけど、シンガーズ・アンリミテッドのこのクリスマス・アルバムを知らない人でも、きっとどっかでなんとなく聴いているから、あーこれかと納得すると思う。
レコーディングの音質も、デジタルマスターからハンス・ゲオルク・ブリュナー・シュヴェア(Hans Georg Brunner-Schwer)からリマスターしているので、かなりよい。
Christmas Harmony Inner Voices
こちらもアカペラ。女性四人のグループ。ジャケットを見るとわかるように黒人二人と白人二人、なので、声質のバランスも面白く、リズム的なノリもいい。リンク先の米国アマゾンのサイトで曲の試聴ができる。1990年の作品だが、古さを感じない。
日本のアマゾンでは販売していないが、米国アマゾンでは売っているのでそっちにリンクを張った。
米国アマゾンの素人評を読んでいたら、最初はカセットテープで買ったのだけど擦り切れたのでCDで買い直したというエピソードがあった。わかる気がする。なんどもなんども聴きたくなるハーモニーだからだ。
特に、White Chiristmasは、彼女たちの歌が最高だと思う。
Billboard Top Christmas Hymns
これを勧めると、音楽のセンスを疑われて当然、といったシロモノなのだが、ようするに米国の大衆的なクリスマスソングの定番集だ。アンディ・ウイリアムスやジュリー・アンドリュースとかね。
アマゾンのサイトで試聴できるので聴いてみると、一定以上の年代の人なら、あ、これねという感じがするはず。というか、実に、アメリカンなクリスマスの雰囲気が漂う。
こういうのもいかがなものかとは思うが、荒井由実的戦後の米軍基地文化というのは私などにも郷愁を呼ぶものがあって、嫌いにはなれない。っていうか、そもそもクリスマスなんてものが米軍文化だった。
Christmas Collection The Carpenters
カーペンターズのクリスマス・アルバム。78年の「クリスマス・ポートレイト」(78)と「オールド・ファッションド・クリスマス」(84)の二枚組。1984年なんてついこないだのことかと思うのだがもう20年も経つのか。
マジで恥ずかしながらカーペンターズのファンだったので(キング・クリムゾンとかもファンだったが)、カレンの声は懐かしくてたまらない。だが、カレンの曲を聴けるよういなったのは、数年前からだ。彼女が死んだのは1983年2月4日のこと。直接の死因は心臓発作だが、そこに至った原因は神経性食欲不振症(Anorexia nervosa)、つまり、拒食症だった。彼女の死については、「カレン・カーペンター―栄光と悲劇の物語」が詳しい。同時代の人間としてはやりきれないような悲しさを覚え、私は10年以上もカレンの声を聴くことを拒んだ。
昔ギリシア語を学んだとき、ギリシア語で覚えた格言があるのだが、それも忘れたのに、意味だけはなんとなく覚えているのだが、曰く、時はすべてのものにとって薬となる、だったか。かくしてクリスマスには懐かしくカレンの声を聴く。
Celebration of Christmas
考えようによってはこいつもちょっと悪趣味。ジャケットを見るとわかるように、脇の男性はカレーラスとドミンゴ。そして、女性はナタリー・コール。ナット・キング・コールの娘だ。何? パバロッティがいない? いや、パバロッティがいるクリスマス・アルバムのあるのだが、お好きですか?
当然だが、これは「世界3大テノール’94夢の競演」と似たようなもののクリスマス版。ところで、この3テナのDVD版ってもう在庫なしですか(ってCDももう無くなりそう)。
Favorite Christmas Hymns
私の好きなマリアン・アンダーソンのクリスマス讃美歌集。古いレコードから起こしたらしく、録音状態は悪くノイズがかなり入っている。歌もマリアン・アンダーソンの代表的なものとは言い難い。それでも、不思議に彼女の魂のようなものを感じさせる。
マリアン・アンダーソンをトスカニーニは「百年に一度聴くことができる美声」と評した。彼女は、美声と信仰と強い心の他には何もない、貧しい黒人として生まれた。もし、クリスマスの伝説のように神が存在するなら、その天才的な声と歌唱力は、アメリカの人種差別を打ち砕くためのものだっただろうとも思う。
Messiah (Arias and Choruses)
ヘンデルのメサイア。当然、全曲ではなく、アリアを集めたもの。これ以外にもヘンデルのメサイアのCDはいろいろある。だが、このCDだとソプラノがキリ・テ・カナワ、演奏・合唱はシカゴ交響楽団・響合唱団、指揮はゲオルグ・ショルティ、なので安心して聞ける。ちなみに音楽史的にはこれは「トービン版」。
Byzantine Music, Vol. 3: Hymns of Christmas Eve
「ビザンチン音楽:クリスマス・イヴの讃美歌」というものだが、ギリシア正教のもの。アマゾンではすでに在庫切れ。米国アマゾンも覗いてみたが、売っていないようだ。いろいろ手を尽くせば入手可能だろうが、そこまで強く勧めるものではない。
それでも、リンク先の在庫なしページから試聴ができる。なので、ものは試し、"2.Doxastikon-Troparia"を聞いてみてほしい。ギリシア語で讃美の詩を朗詠しているのである。日本人には、多分、コーラン朗詠とグレゴリオ聖歌の中間のように感じられるのではないだろうか。ギリシア正教ではこのような朗詠で新約聖書も朗詠するものなのだ。
このCDには思い出がある。ちょうどクリスマスの日、アテネのプラカで買ったのだった。
ちょっと早いが、メリークリスマス! 最近のニューヨークでは、ハッピー・ホリデーズ!というのが流行っているらしいけど、混ぜずにもう一つ、ハッピー・ハヌカー!
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コメント
finalventさま、はじめまして。こちらに書いていいものか迷いましたが、ブログにあまり慣れておらず失礼いたします。
わたしはボブ・ゲルドフのファンサイトを運営する、めいすんという者です。弊サイトで「バンドエイド20とダルフール紛争」に関するページを作成したのですが、その際に貴サイト「スーダン・ダルフール危機情報Wiki」を何度も参照させていただきました。事後ではありますが深く御礼申し上げます。
わたしはダルフール紛争を最近になって知り、たいへん衝撃を受けました。元々スーダンに対してほとんど知識がないのにもかかわらず、ネット情報を元に勢いだけで下記ページを作ってしまいました。そこで内容的に未熟な点が多々あるかと思います。もしどうしても見苦しい点などありましたらご指摘いただけると幸いです...と、初めておじゃましてずうずうしいのですが、お気が向いたらで結構ですのでお願い申し上げます。
http://www.h3.dion.ne.jp/~bananarp/topics8.htm
ps- わたしの好きなクリスマスソングはベタですが、ポーグス&カースティ・マッコールの「フェアリーテイル・オブ・ニューヨーク」です。
投稿: めいすん | 2004.12.19 16:43
めいすんさん、こんにちは。サイト読みました。よくまとまっていると思います。
ダルフール問題は依然解決の方向に向かっていません。現状では、ダルフール側の反乱勢力が停戦になかなか応じませんし、また、この勢力が民衆に危害を加えているようで、問題が複雑化してきています。あるいは、南北内乱のような構図に持ち込んで考えるのは間違っているのかもしれません。
いずれにせよ、難民は支援しなければなりません。ミュージシャンとしてボブ・ゲルドフが声上げたことは重要なことだ私も思いました。
関心を持ち続けてください。
(事後ですが、便宜上、めいすんさんのコメントをこちらのエントリのコメント欄に移動しました。ご了承下さい。)
投稿: finalvent | 2004.12.19 16:53
finalventさま、
拙文を読んでいただき光栄です。本当にありがとうございます!!
> 現状では、ダルフール側の反乱勢力が停戦になかなか応じませんし、また、この勢力が民衆に危害を加えているようで、問題が複雑化してきています。
それほど複雑化しているとは知りませんでした...。今回調べていて南北の対立の構図は比較的早く飲み込めたのですが、西部や東部の方は複雑で未だに判然としておりません。単純にアラブ系対キリスト教系という図式ではないようですし、むしろ西部の黒人はイスラム教の方が多いのでしょうか。ひとえに石油利権の分け前について、西部の反抗勢力は未だ納得しておらず、停戦を頑なに拒んでいるということでしょうか。
> 関心を持ち続けてください。
最後の文章は「常に関心を持ち続けることに越したことはないだろう」と記していましたが、「常に関心を持ち続けたいと強く思う」と自分自身の想いに書き直しました。
それとコメントの場所が間違っていてすみません!!ブログについても勉強します(苦笑)。今後も貴ブログにおじゃまさせていただければと思いますのでよろしくお願いします。
投稿: めいすん | 2004.12.19 18:51
はじめまして!
singers unlimitedのCDが紹介されていたので懐かしくなりました。
約10年前の学生時代によく聞きました。
アメリカのクリスマスといえば南加のそれしか知らないのですが、このCDは寒さの厳しい東部のクリスマスに似合いそうですね。
私の部屋でこのCDのなかの1曲"Oh come All ye faithful"を聞いた当時の友人が、"oh come let us adore him"を「おお、カメラはドイ」(中国地方の有名なカメラ店のCMソングらしい)と歌っていたのを思い出します。
俗っぽいけれど、Beach Boys のクリスマスアルバムもいいですよ。
ジュディ・ガーランドの歌う"Have Yourself A Merry Little Chiristmas"もおすすめです。
投稿: tuna | 2004.12.19 18:55
ご紹介の作品は、みな持っております(^^)
先日、リガ少年合唱団のクリスマス・コンサート
に行き、次回はウィーン少年合唱団の方に行く予定
なのですが、いやあ…西欧の声楽のレベルの高さには、
ほとほと感嘆の吐息が漏れます。
それに比べて、日本の燦燦たる現状を思うと……orz
西欧の人々の音楽的才能がずば抜けて素晴らしく、
日本は逆に非常に弱い…これは、
遺伝子的肉体的な差異なんですかね…。
投稿: kagami | 2004.12.20 00:11
この季節はヘンデルの「メサイア」(全曲版)がデッキに入ったままで大掃除とかしながら(オケ部分まで)歌ってます。ずっとクワイアに入っていたので、街でクリスマスソングが流れるとつい歌ってしまい何度も恥ずかしい思いをしました。(キャロリングの名残です)
チャイコフスキーの「くるみ割り人形」もクリスマスの定番です。子どもの頃は自分もお屋敷に住んでいるお嬢さまだと空想しながら聞いていました。
あと、15年くらい前にでた「A Very Special Christmas」というコンピレーションアルバムは学生時代の思い出がいっぱいで懐かしいです。The Pretendersの"Have Yourself A Merry Little Chiristmas"もけだるくてステキですよ。
投稿: あさ | 2004.12.20 15:35
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投稿: deco | 2004.12.21 12:54
decoさん、こんにちは。文字化けを修正しようと試みたのですがうまく行きません。再コメント、いただけませんか。その後、文字化けは消去させてください。
投稿: finalvent | 2004.12.21 13:09
finalventさま
うわあ、文字化け、ご迷惑をおかけして申し訳ありません!
自分でも覚えている範囲で再度書かせて頂きます。
記事を拝読して、
> Byzantine Music, Vol. 3: Hymns of Christmas Eve
が猛烈に聞きたくなりました。でも在庫切れで試聴だけできるなんて、何だか微
妙に
くやしいですね!でもとりあえず早速試聴だけでもしてみようと思います。
クリスマスソングというと、いろいろ物思いつつ語り出したくなってしまいます
が、
とりあえずクリスマスソング繋がりという感じのトラックをさせて頂きました。
では、ハッピー・ハヌカ!
投稿: deco | 2004.12.21 17:22