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2004.12.18

英国風に考えるなら愛子様がいずれ天皇をお継ぎになるのがよろしかろう

 9日のことになるのだが、英国で王位継承権のあり方を変更する法案が提出された。この法案にはいくつかの側面があるが、もっとも重要なのは、王位継承権を持つのは男女を問わず王または女王の最初の子とする、ということだ。従来は男性が優位だったので、王または女王の長男に姉がある場合でも年下の長男が王位を継いでいた。男子がいなければ女子が女王となった。この王位継承のありかたは、従来、毎日新聞"女性天皇:政府内で検討 皇室典範を改正へ"(参照)の記事にあるように、「英国型」と呼ばれていた。


 改正の素案では「男系の男子」と定めている皇室典範第1条を見直す。また、皇位優先順位は、欧州の王室で見られるような兄弟姉妹の中で男性を優先している英国型▽男女にかかわらず長子を優先しているスウェーデン型があり、識者の意見を踏まえながら骨格を固める。

 法案の審議は来年に入ってからだが、おそらく英国の王位継承権は改正されることになるだろう。王室もこの法案を好意的に受け止めている。その意味で、今後は王位継承のあり方として「英国型」というのはなくなる。
 この法案は労働党のダブズ議員(ダブズ卿)が提出したもので、彼は、この法案を出すにあたって次のように主張している。ガーディアン"Bill challenges 'outdated' royal succession rules "(参照)から引用する。

"Anachronistic rules of succession risk preventing the monarchy being acceptable to a full range of 21st-century British society," Lord Dubs warns.

"Support for changes that would reflect modern Britain's values on gender and religious discrimination would be all but universal."
【試訳】
「時代錯誤の王位継承規範には、王室が21世紀に英国社会に幅広く受け入れられることを妨げる、というリスクがあるのだ」とロード卿は警告している。「改正を支援することは、現代英国が掲げる男女平等と宗教差別撤廃が普遍的な価値であることを反映したものなのだ。」


 ここで宗教差別の話が出てくるのは、今回の法案では、従来、王位継承者はカトリック信者を配偶者としてはいけないという規制も廃止するためだ。現実的にはチャールズ皇太子がカトリック教徒のカミラさんを後妻にしてもいいよ、という意味になる。
 同じく、The Heraldの"Time for reason to rule in the outdated royal family"(参照)にあるダブズ卿の発言も興味深い。

"If parliament is unwilling and the monarchy is unable to discuss the issue, then royal reform risks becoming the Bermuda Triangle of the British constitution. Increasingly, the monarchy will suffer from this politics of 'benign neglect'. Most Britons support the monarchy but regard these anachronistic features as unacceptable."
【試訳】
もし議会が気のりしないまま先延ばしの態度でいたり、王位継承権問題は議論できなとするなら、王室改革がはらむリスクは、英国という国家の根幹において、船舶や航空機が蒸発する謎の水域であるバミューダ・トライアングルと化してしまうだろう。しかも、王室は、「慎み深い無視」という政策によって苦しむことになる。英国人は王室を支持しているのだ。この問題について触れるのはやめておこう、といった時代錯誤の誤りをおかしてはならない。

 ダブズ卿の雄弁がまるで指輪物語のシーンようにも思えてる。王室を愛するというのはこうした気迫を持つということでもあるのだろう。
 法案の解説については、ちょっとビックリしたのだが、すでにWikipedia"Succession to the Crown Bill"(参照)に手短にまとまっている。法案全文は英国国会のサイトにある(参照)。だが英国法と歴史の知識が必要とされるのでむずかしいったらありゃしない。
 さて、ダブズ卿が警告しているように、王室が社会に受け入れるには、社会の普遍的な価値を受け入れなくてはいけない。普遍的というのは、このあたりもしかすると日本人にはあまりピンとこないかもしれとも思うのだが、伝統より優先するということだ。日本の文脈で言えば、メディアが愛子様と呼び習わしている敬宮愛子内親王殿下をいずれ東宮とすべきだ、ということになる。
 とはいえ、この手の話は、日本国内だとなんたらかんたら収拾のつかない議論となるのだろう。ふと思うのだが、日本には本来的な意味での貴族制がなくなったために、ダブズ卿のように発言できる人がいなくなってしまったのがいけないのかもしれない。
 日本の皇室については、先日の秋篠宮発言に関連してだろうが、英国系のロイター通信だが、12月7日に"Japan royal succession crisis sparks drama"(参照)という記事があった。

Japan's monarchy is in crisis and, four decades after the last imperial male was born, many royal watchers say it can only be resolved by a decision to let a female succeed to the throne.
【試訳】
日本の皇室は、皇太子誕生後、四十年ものあいだ、危機状態にある。皇室を考える人たちは、この問題を解くには女性の皇位継承しかないと考えている。

 実際のころ、それしかないだろうし、それ意外はあまりに奇怪なウルトラC(死語)にしかならない。
 英国ロイター通信は、2007年には問題になるのでしょうな、としてこの記事を締めている。ま、そうでしょう。そのころまでには、日本の空気ももっと女帝承認になっているだろう。

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「社会」カテゴリの記事

コメント

英国王室には宗教的側面は無いですから……
女帝はいいですが、女系継承という事になると、
配偶者を選ぶ基準が無いから、なかなか難しいです。

投稿: (anonymous) | 2004.12.18 11:53

>英国王室には宗教的側面は無いですから

 気になったので調べてみました。

・イギリス国教会(Wikipedia)
「国王を教会の首長とし、かつては王権神授説を認めていた」
 これだけ見ると現在でも国教会の首長のようです。

・英国国教会(http://www.christian.jp/history/index8.htm)
「イギリス国教会のカンタベリー大主教は教会を統一した歴史があり、国王の戴冠式を始め、王族の洗礼、結婚式、送葬式を司ります。」

 極東ブログ記事の本文でも「王位継承者はカトリック信者を配偶者としてはいけないという規制」に触れられていますね。
現在はよくわかりませんが歴史的には宗教的側面が強かったとも思います。
 もっとも宗教的側面といっても、国教会の成立過程からして政治と切り離すことはできませんが。

 配偶者を選ぶ基準は、そもそも男系継承の場合でも、また皇族以外の一般人でも、なかなか難しいところですね。個人の判断があるわけで。
 天皇の配偶者は生殖能力があることが望ましい、というのが最低限のラインになるのでしょうか。「皇統を後代に引き継ぐマシン」として人間を見ることには違和感があります。

投稿: (anonymous) | 2004.12.18 13:09

日本の場合、表向き
女帝は存在していましたが、女系は存在してなかったわけで。
この「女帝」と「女系」の意味の違いが
無知なオバちゃん主体のワイドショーレベルでは
全くといっていいほど、語られないんですよね。
男女平等だから女帝で良いじゃん!って程度の認識。

つまり、それだけ、国民の大多数にとって
本当の意味での皇室への関心は薄いと思います。

こういうふうにいうと、日本の歴史に疎い欧米のメディアは、
日本の皇室は、国民からの関心が無くなり
危機的状況だ、って面白おかしく書きますけど、
おそらく、明治以前(特に徳川時代)の日本国民の大半は
普段は天皇という存在のことを知らなかったと思う。
天皇という存在を強く意識していたのは、
当時の権力者(徳川家、毛利家など...)の中が殆どだったと思う。
それが明治の代になって、日本の皇室は国民に目立つ表舞台に立ち、
欧州の王室と同じ様な存在になった。
第二次大戦後は、大衆テレビの発達で、ますます国民に見える表舞台に立ち、
動物園に居るパンダのような存在になった。

つまり、現在の日本の皇室は、
本来にあるべき位置(万世一系で長く続いた原因になった場所)から
ずいぶん遠く離れた方向へ進んでしまった感がある。
ちなみに、欧州の王室に近いのは、
徳川家や毛利家などのほうでしょう?

無理して女帝や女系での皇位継承を認めるなら
男系断絶を機に、このまま、
現在の皇室(アメリカに押し付けられた?憲法の枠内での皇室)
の自然消滅が望ましいと思う。
仮に女帝を認めたとして、あの2、3人の内親王が
広い皇居でポツンと置かれるのは、気の毒でしょう?

そして、自然消滅した後、旧皇族の間で
皇統の会(憲法や皇室典範の縛りの無い)
でも結成して、その中で天皇を決めれば良い。
実際、旧大名家などは、そういう一族の会を結成している
ところが多いみたいですし、
多いところは、月に一回ぐらいで集まっているみたいです。

こうしたほうが
世間のお茶の間に天皇が登場することは
少なくなるかもしれませんが
逆に皇統の歴史・伝統・血の掟が
守られるような気がします。
どうでしょうか?

投稿: (anonymous) | 2004.12.18 17:12

上のコメントは「皇室民営化論」の一種と読んでいいのかな?
と、ちょっと考えてしまった皇室民営化論支持者。

投稿: at | 2004.12.18 17:44

天皇の万世一系は、神武天皇以来の男系という意味では続いているんですよね。今回のケースにしたって、継体天皇のケースとまさに同じなんですね。

だから天皇制を伝統と考えるのであれば、継体天皇の例に習うだけで済むはずなのですが…… そうもいかない理由というのは何なんでしょうか?

天皇制という伝統を守るということは、やはり男系の存続という伝統を守るということと同義だと思うのですね。とりあえず系図としては、神武天皇まで遡れる、すなわち二千数百年も前まで遡れるというのは、他の国にはないことです。

そんなわけで旧宮家の復活という路線が、望ましいと思っています。が、先に言ったように、誰も口にしないんですよね。

投稿: (anonymous) | 2004.12.18 22:38

>英国王室には宗教的側面は無いですから

「戦場の小さな天使たち」("Hope and Glory")という映画で、あるクリスマスかなんかの時に、ラジオ放送で国王が宗教的な祝辞を述べるのを、食卓についていたイギリス人家族が全員起立不動の体勢で謹聴しており、アメリカ人にはそれがわからなくて睨まれるというシーンがありました

記憶があやふやなので、こまかな部分が間違っていると思いますが。
ちなみにこの映画、邦題があまり良くないのですが、皮肉が効いていて面白かったですよ。

「戦場の小さな天使たち」
(allcinemaONLINEより)
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=12917

投稿: 西方の人 | 2004.12.19 01:20

天皇制廃止を唱える人って国際政治的センスが決定的に欠けてるんだと思う。

投稿: (anonymous) | 2004.12.19 03:22

このプログを愛読させて頂いている一人です。

多分、私はその国際政治のセンスが欠けている一人だと思うのですが、天皇は日本の重要な外交カードの一つであるとしても、日本の国際政治に絶対的に不可欠だと言える程の重要性ってあるのでしょうか?
白州次郎のように日本の戦後外交に重要な役割を果たした人物でさえ、天皇制の存続には(吉田茂と
違って)否定的であったと思いますが。

全然別の話ですが、このプログにアクセスする度にDownroad.Trojanとかいうウイルス警告が出ます。サーバーがウイルスにやられているのではないでしょうか?ご確認下さい。

投稿: まっつん | 2004.12.20 02:22

現在、日本には憲法上の国家元首は居ない。
天皇は象徴だと規定されているが、
国家元首とは規定されていない。
よって、現在の皇室が男系断絶で自然消滅し、
その後、旧皇族内で私的に天皇が決定されても、
そのまま(憲法で国家元首が規定されないまま)だと、
実質的に旧皇族内で決定された天皇が
現皇室消滅後の国家元首的・象徴的役割を演じるかもしれない。

投稿: (anonymous) | 2004.12.20 18:11

細かいけど「Most Britons support the monarchy but regard these anachronistic features as unacceptable.」の訳がちょっと変。「ほとんどの英国人は王制を支持しているが、これらの時代錯誤な点については受け入れがたいとみなしている」ぐらいでは。

投稿: 欣 | 2004.12.20 21:39

>王室が社会に受け入れるには、社会の普遍的な価値を受け入れなくてはいけない。普遍的というのは、このあたりもしかすると日本人にはあまりピンとこないかもしれとも思うのだが、

とfinalventさんは書いておりますが、日本社会の普遍と愛子さまの皇位継承が合致するかどうかについては少し疑問です。
つまり、愛子さまが即位したとき、はたしてその旦那はあらわれるのか、ということ。2~30年後には「男女共同参画社会」とやらが実現できるのでしょうか?見込みの低い賭のような気もします。
じゃあ誰が継承したらよいのか。憲法1~8条をどう読んでも結論が出なければここを改正すればいいのか、という点に関しては私もうまい知恵がありません。

なし崩し的に愛子さまが皇位継承。それを理論的に補足、てことでしょうか。

投稿: (anonymous) | 2004.12.23 12:09

天皇の歴史は、偽りだよ。
ウソと思う人は、古(いにしえ)の時代に100歳以上生きた天皇が何人いるか?調べたら判るよ。
150歳生きた天皇もいるよ。
まぁ、宮内庁が必死になって古墳を管理している事からも判るね。
天皇は、戦争する時にその戦争を正義にする為の道具なのよ。
可哀想だよね、天皇って、人権も無いみたいだしね。

投稿: 天皇万歳 | 2006.03.25 17:16

日本の皇室と他国の皇室や王室とを比べる必要がどこにあるでしょう。

日本国の皇室は日本国のものであればいいのです。
秋篠宮家に男子がお生まれになった今、なぜ愛子様を担ぎ出す必要があるでしょうか。

なにか私達の想像の及ばぬ力が働き、悠仁様がこの時期にお生まれになったとしか考えられません。

こうして歴史は守られていくのです。

投稿: 朱鷺 | 2008.03.20 14:18

女性天皇には反対です。
理由は、愛子ちゃんが結婚できないと心配だからです。
日本始まって以来初の、「天皇の婿」になり手はいるのでしょうか。
家系に傷の無い人なんて稀です。週刊誌に親類縁者までかき立て
られて、耐えられる一般人がいるとは想像できないことです。
紀子さんだってあれだけ苦労してやっと…

天皇は候補者の中から一人だけ差別によって選ぶ訳です。
性別で差別されるのは理不尽だと考える人は、生まれた順による差別には全く疑問が浮かばないのでしょうか。
なぜ一番先に生まれた子が天皇になるのか。次男、次女には権利がない
というのが、私は「女性に権利がない」ことと全く同様に解せません。
差別に質と量があるなら、女性に権利を与えても、結局候補者から一人
選ぶのですから量は一緒です。質は違いますが。
結局差別なのです。同じ量の。

理念は大事ですが、男女差別撤廃という理念に酔ってしまっている人は
「愛子ちゃん、天皇(皇太子)になんかなって、結婚できるかしら…」
という、現実的で、地に足が付いた疑問は持たないのでしょうか。
理念に酔い、現実感を失っていることに関しては、私は昭和初期の軍人
と同じにおいをかぎ取ってしまいます。そういう思想が日本を第二次大戦に引き込んだのです。だから私はこの問題は見過ごせない。

愛子ちゃんを天皇に と考える人たち。
あなたは、自分のちっぽけな理想(その理想もむちゃくちゃであることは上に書きました)のために、一人の女の子を不幸に陥れて平然としているのですよ。
少し反省しなさい。

投稿: やました | 2009.08.16 19:23

 女性の天皇や女系の天皇に反対する方に
 将来の皇室は人手不足です。
 愛子さまを容認しなければ、将来的に皇族は悠仁さま1人になります。
 また、愛子さまを容認したとしても、皇族は2人だけになると思います。(眞子さま・佳子さまの頃は、まだ皇室典範が改正されていないかもしれないので、結婚して皇籍離脱の可能性が高く、また、他の宮家には男子がいないので、皇女が嫁いで皇籍離脱して宮家は廃絶すると思うので、悠仁さまが秋篠宮をついだとしても、2人だけになるから)

投稿: | 2009.08.24 02:23

本質には関係なく、どうでもいいことかもしれませんが、皇室の方を「さま」ならまだましですが、「さん」や「ちゃん」とお呼びするのはどうかと思うのです。

投稿: 通りすがり | 2010.09.15 16:20

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