1944年12月7日マグニチュード7.9の地震が発生した
12月7日は何の日?みたいなのはブログのネタが切れたときの定番のようだが、1944年の今日12月7日マグニチュード7.9の地震が日本列島の太平洋岸側で発生した。現在では東南海地震と呼ばれている。死者は全国で1千223人に及んだ。
「今日は何の日」というとき、Wikipediaがネタに使えることがある。日付がそのままキーワードになっているからだ。12月7日はこんな感じだ(参照)。
できごと
1787年 - デラウェア州がアメリカ合衆国憲法を批准した第1の州になる。
1941年 - 真珠湾攻撃(米国時間)
1954年 - 吉田内閣総辞職
1997年 - 介護保険法公布。
1999年 - 年金改正法成立。
2001年 - 文化芸術振興基本法施行。
真珠湾攻撃(大詔奉戴日)が米国時間で掲載されているのはあまりよいジョークとはいえない。チョムスキーや古舘伊知郎の誕生日というのが記載されているのは面白いのか苦笑すべきことなのかよくわからない。いずれにせよ、Wikipediaのこの日の項目には東南海地震については記載されていない。
「東南海地震」についてはWikipediaでは別途項目を立てている(参照)。
太平洋戦争の末期でもあり、大々的な報道が控えられたこと、記録自体が消滅・散逸していることなどから、被害の全体像がなかなかつかめない地震である。
Wikipediaのこの項目は書き込み途中らしく十分な情報はない。
地震災害東南海地震のページ(参照)に掲載されている「昭和19年12月2日東南海地震の震害と震度分布」(愛知県防災会議編)や手元の情報をまとめると、東南海地震はこの日、1944年12月7日午後1時36分に発生した。マグニチュード7.9。震源は尾鷲市沖南東海底(南海トラフ)。海溝型地震だった。津波による被害を含めて、全国で死者1千223人。負傷者2千864人。家屋全壊3万4946戸、家屋半壊6万993戸。海溝型地震なので被害が広範囲に及んでいるのが特徴的だ。
多少なり地震に関心のある人なら、この戦争末期の東南海地震について知ってはいる。なにより、この震災の経験者はまだ存命なので当時の被害を今に伝えている。私もいくつか読んだが、その中に、当時東洋一と言われた石原産業四日市工場の煙突がこの地震によって崩壊した話もあった。
地震発生当時は、Wikipediaにもあるように、日本は戦争中の報道管制のため、被害状況はほとんど報道されなかった。もちろん隠蔽するには被害は大きすぎたのでとりあえずベタ記事扱いにはなった。また、この地震は海溝型地震だったこともあり海外でも察知されていた。米国ではこの震災による被害をかなり正確に推定してようだ。
東南海地震の被害のなかでも特に際立つのが、零戦などで航空機製造に男女学生が多数勤労動員にされていた名古屋地域の状況だ。彼らに多くの死者が出た。米軍はこの弱り目を狙ってさらに空襲を強化したようでもある。
さらに名古屋地域では、翌年1月13日午前3時38分、三河湾中央部を震源とする直下型の三河地震が発生した。手元の資料ではマグニチュード6.8とある。深夜ということもあり死者2千306人と東南海地震の倍にもなった。
Wikipediaの「三河地震」(参照)の項目では次のように伝えている。
震源が浅くマグニチュード7.2と非常に規模が大きかったにも関わらず、被害報告はごく僅かでしか残されていない。地震が発生した当時は戦時中で戦意を低下させないように報道管制がしかれ、国は一切三河地震のことを報道するなと圧力をかけたからである。
戦時はこうした地震被害を隠蔽してしまうものなのだろうか。昨年12月26日イランのバムで発生した地震では死者約4万1千人、負傷者約2万650人。両親を亡くした子どもは約1800人、片親を亡くした子どもも約5000人とのこと。しかしイランと言えば、核開発疑惑だのというニュースのほうが先行して伝わってくる。
それでもよく耳を傾ければ、各種の情報が伝わる時代になった。イラン地震救援プロジェクト(参照)などで支援者からの声を聴くこともできる。
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コメント
真珠湾攻撃(大詔奉戴日)という書き方は正しくありません。真珠湾攻撃は1941年12月8日で、大詔奉戴日はそれを記念して、翌1942年1月2日の閣議決定で、以後毎月8日と定められたものですので、真珠湾攻撃の日=大詔奉戴日ではありません。
投稿: ロシ | 2004.12.07 12:41