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2004.12.10

少女コマンドーまゆみは16年前に言っていた

 まとまりのない話だが…。一昨日、日本政府は、北朝鮮側が「横田めぐみさんのもの」とする遺骨について、DNA鑑定した結果、別人だと発表した。率直に言うと私には多少意外感もあった。これが残念なことに横田さん本人のもので一連の幕引きの始まりというストーリーになるのかもしれないとも多少思っていたからだ。もっとも、そうしたストーリーはなんとはなしに流布されていたこともあって、訝しいとも思ってもいた。幕引きを願う一群の人々の情報操作があるのかもしれない。
 そして昨日毎日新聞系で政府関係者の話として"田口さんが金賢姫に日本語指導 地村さん証言"(参照)という記事が出た。


北朝鮮による拉致被害者の地村富貴恵さん(49)が、田口八重子さん(行方不明時22歳)は大韓航空機事件を実行した金賢姫(キムヒョンヒ)元死刑囚の教育係の「李恩恵(リウネ)」であることを示唆する証言をしていることが、政府関係者の話で分かった。

 もちろん、この話自体はある意味ですでに知られていたことだが、拉致被害者からの証言となると格段に真実性が増す。とはいえ、どういう「政府関係者」なのかも気にはなる。
 この証言の意味は同記事にもあるが、横田めぐみさんの安否に関係している。

 大韓航空機事件への関与を否定している北朝鮮側は、先月の日朝実務者協議でも、田口さんが横田めぐみさん(行方不明時13歳)と81年から84年まで一緒に生活していたと説明。金元死刑囚が「李恩恵」と同居して教育を受けたとされる期間と重なることから、家族会などは、横田さんの履歴を捏造(ねつぞう)して李恩恵を否定したと批判している。

 ある年代以上の人には当たり前の話かもしれないが、私なりに少しまとめてみたい。
 北朝鮮の言い分では、81-84年、田口さんと横田さんが一緒に暮らしていた。そして、金賢姫の言い分では、81年7月-82年3月まで金と李が同居していた。田口さんが李と同一人物でないなら、北朝鮮の言い分も成り立つ。
 だが、地村さんの証言によって、田口さんが李と同一人物であることがわかった。この証言は金の証言に矛盾しない。矛盾するのは北朝鮮の言い分だ。北朝鮮の言うような、81-84年、田口さんと横田さんが一緒に暮らしていた、ということはありえない。北朝鮮は嘘をついている。
 なぜ、そのような嘘を北朝鮮がつくかと、李恩恵=田口八重子を否定したいためであり、その理由は、北朝鮮が大韓航空機事件を起こしたということを否定したいためだ。そして、そのために、田口=李さんとペアにされた横田さんを出すわけにはいかないという、ということになったのだろう。なお、ネットの世代は若い人も多いので、もしかして大韓航空機事件を知らない人がいるかもしれない。その場合は、とりあえずWikipedeiaの同項目を参照されるといい(参照)。
 さて、しかし、と、ここで多少物思いにふけるのだが、すでに大韓航空機事件については、まさにその事件を起こした本人である金賢姫の証言が存在しており、その信憑性は高い。つまり、北朝鮮の大韓航空機事件の関与は疑いえない。なのになぜ、未だにそれを疑う人がいるのだろうか?
 先のWikipediaもつい両論併記のつもりだろうが次ような記載がある。

朝鮮民主主義人民共和国との関係を悪化させるべく韓国国家安全企画部(2004年現在の国家情報院)が仕組んだ謀略ではないかという声も一部にある。


金賢姫の自白には矛盾点が多く、また解放の後行方不明となっており、真相の究明が待たれる。

 Wikipedeaの記載を非難したいわけではない。が、私にしてみると、そういう次元じゃないよと思う。それでも、世論のなかにそういうトーンが含まれていることを知らないわけではない。単純に、大韓航空機事件を曖昧にする情報のあり方を奇妙に思う。
 過去を顧みる。大韓航空機事件から数ヶ月後の、1988年2月8日読売新聞"大韓機事件 金賢姫への日本側聴取内容の全文/韓国発表"に、李恩恵について次のような聴取内容がまとめられていた。

◆身の上話を語った恩恵◆
 〈8〉北朝鮮に拉致された経緯
 ○高等学校を卒業後、結婚したものの離婚し、東京で息子(当時三歳)と娘(同一歳)を養っていたとき、
 --海辺を散歩中に拉致され、船で北に連れて来られた。
 --日本には親戚多数が居住している。
 ○拉致当時、船酔いが激しく、何日間も食事がとれず、こん睡状態になった。
 --拉致直後は牡丹峰(モランボン)招待所に収容されたが、その際、子供と家がなつかしく泣きわめき、環境に適応するのに大変だったという。
 ○なかんずく、金正日誕生日(二月十六日)の夕食に日本人女性として特別に招待されて行ったことがあると言い、そこで自身の境遇のように拉致されてきた日本人夫婦にも会ったと話し、この事実は絶対にだれにもしゃべってはいけないと口止めしたことがある。
 ○酒に酔えば、子供に会いたい、家に帰りたいと言っては苦しがり、泣くことがよくあり、ぼんやりと座っては身の上苦労話を聞かせることもあった。
 ○「李恩恵」という名前は北朝鮮で金日成と金正日の恩恵をたくさん受けて生きているという意味から北朝鮮から与えられた名前だと説明し、日本の名前をたずねたら回答を避けて「統一されれば日本に帰る」と語った。

 この「拉致されてきた日本人夫婦」はすでに判明したと言っていいだろう。それにしても、これが1988年のことである。
 今読めばどうということもないのだが、この証言の重みはその後10年以上もほったらかしにされていたに等しい。と、私はぼんやりと自分の思考を取り巻く、情報の空気の重さというか臭いというか、それはなんだったのだろうかと思う。
 ここから話がずっこける。というかちょっと支離滅裂になる。
 1987年と言えば、17年前のことである。17年前と言えば、随分昔のようだが、47歳の私にしれみると30歳。まだ20代の気分でいたし、「スケ番刑事」の後続、「少女コマンドーいづみ IZUMI」とか熱中して見ていた。五十嵐いづみには役柄もだが奇妙な暗さもあって、ファンの私としては、今でいうところの萌え、だっただろうか。
 番組を解説している「allcinema ONLINE 映画データベース」の解説を借りるとこういう話だった。

身に覚えの無い殺人の汚名を着せられ、住み慣れた街を追われた少女、五条いづみ。彼女は最終兵器として生まれ変わる為、謎の組織で秘密プロジェクトに参加させられる。実験途中で脱走したいづみに対して謎の組織は抹殺指令を発動。“バイオフィードバック”という能力を得たいづみは、謎の組織の正体を暴き、奪われた青春を取り戻すため、激しい戦いの中に身を投じていく……。

 笑うっきゃない設定だが、さて、この番組が始まったのが1987年11月5日。第4回「おかしな2人、潜入」の放映が1987年11月26日。その3日後、大韓航空機爆破事件が起きる。犯人の金賢姫は日本人名「蜂谷真由美」を名乗っていた。「少女コマンドーまゆみ」である。おい、洒落にならねーよ、ということで、「少女コマンドーいづみ IZUMI」の打ち切りが早速に動き出した。
 それでもなんとか番組改編の3月まではひっぱり、2月18日の15回最終回を迎えた。スケ番刑事麻宮サキ編全25話、少女鉄仮面伝説伝説編全42話、風間唯=浅香唯編全42話に比べれば、尻つぼみ感ありありだった。ま、中だるみなしでよかったかも。
 ところで、世間的には「いづみ」と「まゆみ」の駄洒落みたいなオチが付くのだが、私は、1987年「少女コマンドーいづみ」のバイオフィードバックの設定に奇妙に心がひっかかっていた。というか、今も奇妙に心にひっかかったままだ。1980年代後半から1990年だにかけての世界の状況とバイオフィードバックの関係はただの物語の設定というより、なにかの象徴、あるいは暗示だったようにも思うのだが、…考えがまとまらない。

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コメント

日本のWikipedia運営陣はかなり偏向してますから。
とくに北朝鮮がらみとなると・・・

例:大江健三郎氏の北朝鮮礼賛発言が当該ページから執拗に
削除されつづけ、しかも運営陣がそれを後押ししている図。
しまいにゃページ編集を凍結。なんのためのWikiかと。

Wikipedia ノート:大江健三郎 北朝鮮発言問題
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E5%A4%A7%E6%B1%9F%E5%81%A5%E4%B8%89%E9%83%8E

投稿: eizotokuten | 2004.12.10 10:12

こういうの好きです。年代的には「少女コマンドーいづみ IZUMI」の事は全く知らないのですが、ストレス性疾患の患者が、自分の体の情報をモニターする事で、正常を取り戻すように、同時に現れた2人の少女コマンドーは、お互いがモニターとして、いずみもまゆみも消えてしまった。なんつって。

投稿: eda | 2004.12.10 20:41

>朝鮮民主主義人民共和国との関係を悪化させるべく
>韓国国家安全企画部(2004年現在の国家情報院)が
>仕組んだ謀略ではないかという声も一部にある。
確かテレ朝ワイスクのコメンテーター川村某が、
昔この謀略ネタで番組作っていましたねぇ

投稿: いやはや | 2004.12.11 00:01

私は田口さんと同じ市に住むフリーターです。
北朝鮮関連の記事を読みと思い出す個人的な経験があります。
ある日職探しにハローワークに行き、建物からでてきた所を、「保険の外交をやらないか」と○井生命おばちゃんに声をかけられ、車に乗せられ、事務所に連れて行かれたことがありました。
幸い、それは本当にただのスカウト(?)だったのですが、(断って帰らせてもらえました)大の大人を誘拐するのって案外簡単なんだなと思ったものです。

投稿: 大人子供 | 2004.12.15 00:22

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