ファルージャの戦闘についての感想
ファルージャの戦闘について、まだ考えがまとまっているわけではないのだが、この時点で思うことを少し書いておきたい。まず、この戦闘の是非については、国連からの示唆もあるように、いろいろ議論があることだろうと思う。特に反米的な立場の人はこの戦闘には頭から批判的にもなるだろう。ただ、この問題はイラクという単独の視点で考えるより、コートジボワールで現在進行している問題などとも併せてより一般的にな地点で、今後は考察したほうがいいようにも思う。
今回の戦闘は、たとえ肯定するにしても肯定しやすくはない。戦闘を推し進める第二期米国ブッシュ政権としても、さすがに再選前には実施できないと判断しただけのことはある。かなり手を汚すことになるだろう。
それでも取り敢えずアフガニスタンの大統領選挙の形がつき、また有志連合のつなぎ止めを長期化させるわけにもいかないとなれば、無理矢理にでもイラクで総選挙を実施するしかない。そのためにはかなり犠牲を出してもテロの拠点となりつつあるファルージャを処置しておかなければならないだろう。つまり、事実上壊滅させることになるのだろう。
戦闘が開始されれば、日本へはなんの情報も来ないだろうと思い、準備段階での米軍の動きを見ていた。意外に周到に準備を行っているようだった。むしろ今回の戦闘での敵は国際世論なりアラブ世界側のメディアであかもしれない。各国の報道陣もパージされているはずだ。
私は、米国政府お抱えの報道機関であるが、VOA(Voice of America)などをメインに読むことにした。VOAは経緯を見るとそれほど大本営でもなく、ソースもそれなりにしっかりしている。そのあたりを追って見るしかあるまいと思ったわけだが、戦闘が始まってみると、他のソースからも戦闘報告がある。なかでもメディアとして衝撃的だったのは、米国海兵隊員がファルージャのモスク内に残されていた戦闘不能と見られる負傷者を射殺した映像だった。朝日新聞系"「モスクで殺人」衝撃、負傷者殺害 反米強めるアラブ "(参照)ではこう伝えられた。
米NBCテレビのスタッフが撮影した映像では、モスクに踏み込んだ海兵隊員が13日、横たわる負傷者に銃を向けて「こいつ、死んだふりをしている」と言い、射殺した。NBCによると、この負傷者は武装勢力に加わっており、モスクに運ばれて治療を待っていたという。
朝日新聞はNBCのテレビスタッフと書いている。間違いだとも言えないが少し違う。ニューヨークタイムズ"Marine Set for Questioning in Wounded Iraqi's Shooting"(参照)によればこうだ。
Senior military officials and human rights advocates, including those often critical of the armed services, cautioned that the graphic videotape of the shooting, taken by a pool correspondent, Kevin Sites, a freelance cameraman working for NBC News, left many questions unanswered and underscored the confusion of urban warfare.
映像を撮ったのは、"a pool correspondent, Kevin Sites, a freelance cameraman"、訳すと共同的な通信員でフリーランスのカメラマンであるケヴィン・サイトだ。彼は以前CNNと契約していてもめた事がある。反戦的立場と言ってもいい(参照)。
このニュースを聞いたおり、私は、どうしてそんな映像を撮ることが可能なのか、かなり疑問に思った。また、その後の反響も毎度の反米パターンだったので、率直に言って、なんらかのヤラセのようなものがあるのではないかと疑った。結論からいうと、ある種従軍の報道は可能になっているようだし、今回の映像は仕込んだものというより偶然っぽい印象はある。ただし、映像と日時の経過はわかりづらい。
併せて、そのヤラセなりの可能性を日本のジャーナリズムがどう扱っているか気になっていくつか日本での報道を読んでみた。率直に言うと、AP通信などを経由して二次情報になっているせいかあまり要領を得ない。事実認定についてはあまり疑問を持っていないのではないだろうか。
そうはいっても、映像については疑問が残る。先のニューヨークタイムズの記事でも疑問が投げかけられている。
It is unclear from watching an unedited version of the videotape whether the prisoner was moving before the shot. A senior Pentagon official said Tuesday that an autopsy might be required to help determine whether the man was dead or alive when the marine shot him.
つまり、事実認定には検死も必要だろうとしている。
その後の報道の流れを見ていくと、それでも海兵隊側に問題があったとの認識が強まっている。ヤラセとまでする線は消えた。そして、すでに政治のレベルに乗せられている気配はある。先の朝日新聞系の記事にもあるように、この事件はアラブ諸国に反米の気運を高める結果にはなっているからだ。
この事件をもって、米軍は非人道的と言えるのか、というと、言える。詳細にはまだ疑問が残るとはいえ、負傷者を殺害することは、近代戦では許されない。
だが逆に言えば、今回の問題が内包していることは戦闘の否定ではなく、ルールを元にした戦闘は肯定される、ということでもある。なので、いわゆる反戦論者や反米主義の主張には、今回の事件は、本質的には都合がよいものではない。
また今回の事件は海兵隊の教育の不備を明確に露わにしてしまったとはいえ、戦闘の全体を伝えるものではない。ひどい言い方をすれば、かろうじて映像として見えるところが問題になっただけだ。依然、戦闘の全体は見えない。
今回の事件で、海兵隊側には落ち度があったとはいえ、あの戦闘という文脈では海兵隊としても言い分がありそうだ。特に"booby trapped bodies"が問題になったようだ。死者に見せかけて地雷のように爆破させたりするようだ。例えば、FOX"The True Story About the Fight in Fallujah"(参照)ではこう問いかけている。
You know, I hate to see stuff like that. And again, we don't know exactly what happened. We do know that a lot of incidents are occurring where these so-called insurgents are waving white flags and then shooting, booby trapped bodies, people feigning death. And when the Marines come up, they turn around and they shoot. So we are not making any judgments here about what happened, but the video is there. And we decided to just play it. What do you think about it?
白旗を掲げたかと思うと撃ち込んで来る敵に近代戦を強いられるのが海兵隊の運命でもある。死者に見せかけて撃ち込んでも来る。近代戦であることが弱みとして付け入れられる隙となる。
"What do you think about it?(これをどう思うか?)"と問われて、この件については、ネットで映像を見た。海兵隊はグループで行動しており、敵がブービートラップだとしてもそれほど強い戦力にはなりえないと思った。やはり、海兵隊の行動は間違っているという印象をもった。
もっとも、だから海兵隊を弁護はできないというものでもない。むしろ、海兵隊の戦闘訓練をより現代化せざるをえないのだろう。
| 固定リンク
「時事」カテゴリの記事
- 歴史が忘れていくもの(2018.07.07)
- 「3Dプリンターわいせつデータをメール頒布」逮捕、雑感(2014.07.15)
- 三浦瑠麗氏の「スリーパーセル」発言をめぐって(2018.02.13)
- 2018年、名護市長選で思ったこと(2018.02.05)
- カトリーヌ・ドヌーヴを含め100人の女性が主張したこと(2018.01.11)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ファルージャで「負傷者」を撃つ映像、そんなに衝撃であり、問題の行為なのでしょうか?
と、あえて疑問を呈してみます。
そもそも、ファルージャという街は「街をあげてテロリストを支援している」といわれる街だそうですし、そこに立て篭もる「テロリスト」は戦時国際法の保護対象ではない「戦争犯罪者」のはずであり法的保護を求めうる立場ではありません。
また、身に寸鉄も帯びぬ異国の旅行者、しかもイスラムの法で保護を明記されている筈の経典の民である旅行者の首を切って抵抗したのなんのと喜ぶたぐいの輩であり、人道の保護を求める資格は、自ら捨てています。
彼等は、力が総ての世界に自ら生きる以上、より強いものに何をされようと、今更眉一つ動かすことはない、と思えてなりません。
それに、あの映像、憎悪は沸きたたさせたでしょうが、裏返しに恐怖も植えたのではないでしょうか?
支配というビジネスの手としては、失敗とはいえない、と思います。
私も酷いこと書いているなぁ、とは思いますが。
投稿: K.UO | 2004.11.18 22:27
私もK.UOさんに同意です。
今回のテロリストは国際法で定義される
交戦者および捕虜の資格を持っていないと思われます。
投稿: m | 2004.11.18 22:47
K.UOさんに言われてみればその通りです。とはいえ、一旦マスコミに出てしまえばどちらが有利になるか、明らかです。少なくとも、このような状態が続けば、ベトナム戦争や旧日本軍の南京でのような自体を誘発するかもしれません。それが現地の人々にどのような影響を与えるかはなおさら明らかです。
投稿: 大怪人 | 2004.11.18 23:20
些細なことかも知れませんが、
>朝日新聞はNBCのテレビスタッフと書いている。
>間違いだとも言えないが少し違う。
は、いつもの気の利いたイヤミにはならず、こればかりは、finalventさんらしくない、勇み足ではないでしょうか。
ニューヨークタイムズによっても、朝日新聞同様、Kevin Sitesは
れっきとしたNBCのテレビスタッフです。フリーのカメラマンがNBCと契約してEmbeded記者として従軍してたのでしょう。因みに、日本の民放テレビ局でもニュースカメラマンの殆どは、下請け製作会社を通して派遣されたフリーランサーです。フリーであっても、例えば「TBSのスタッフ」と称します。「フリーのTBSスタッフ」とはいいません。アメリカでも同じでしょう。
また、a pool correspondent は、「代表取材者」ではないでしょうか? つまり、収録した videotape は、コピーして各社に配る。それが、pool video。各社の WEB Page に、pool video からの静止画が載っていましたね。
彼が、a pool correspondent であったために、full映像がヨーロッパで放映されたのかもしれませんね。これは私の推量ですが、彼がフリーランサーだったから、Tape が流出したのでないことだけは確かでしょう。
finalvent さんの匂わしで誤解が起きないことを願います。世の大多数のフリーランサー・スタッフのために。
投稿: pippo | 2004.11.18 23:52
(追記)
"a pool correspondent, Kevin Sites, a freelance cameraman"、を訳すのではなくて
"a pool correspondent, Kevin Sites, a freelance cameraman working for NBC News" を訳してくださいね。
Kevin は NBC と契約しているんですから。
なお
検死のことは、生きた人間を撃ったのか死体を撃ったのかということですから、問題の本筋ではないでしょう。問題は、負傷した敵として既に確保しておきながら、つまり管理下に置きながら射殺したかどうかということです。
死んだフリ云々んのことは、まだ確保してない敵兵にはいえますが、この場合は無理でしょう。Kevin Sites は、前日の状況も見ていて報道したわけですから。
もちろん、海兵隊員個人の恐怖感には情状酌量の余地があるでしょう。しかしその分、兵士個人の問題から戦闘のルール訓練や指揮官のマナーの問題に焦点が移ります。finalvent さんご指摘のポイントに行き着きます。
憎悪論、感情論で、海兵隊員を擁護しようとするのは、全くの筋違いです。曰く、相手がテロリストだから・・・イスラム原理主義だから・・・野蛮なジャップだから・・・鬼畜米英だから・・・、こういう議論は、結局また、さらなる暴力以外に解決策がなくなります。
「治安維持」
「イラク人によるイラク人のための選挙」
という米軍のタテマエ自体が崩壊します。
ランセット所収論文によれば、サンプリング調査の結果、ファルージャでは、今年4月、8月、そうして9、10月と、7~8千人の市民が攻撃と空爆で死んでいると推定されます。そこに今回の侵攻による犠牲者が加わります。
家族を失ったファルージャの人たちの、米軍に対する血の憎しみは、私たちの想像を絶するものがあろうかと思います。1週間にわたる抵抗が、一介の無法者の仕業でとうていできるものでない、と私は思います。確固たる道義的正当性を自覚した『抵抗』であることは否めません。
今から思えば、
「生活インフラ復興」と「政治インフラ選挙」とを、駐留米軍はなぜ急がなかったのか? どうみても敢えて遅らせた、私はそれが不思議でなりません。武装抵抗組織を孤立させるには、これが最も有効で、これしかないにも拘わらず、どうして?
戦争目的に大義が無いからでしょうか。
いずれにしても、駐留米軍にとって、軍規が維持できるかどうかが、占領を持続できるかどうかの、試金石となったようです。
投稿: pippo | 2004.11.19 00:55
最近のイラク進駐米軍の動きを見ているとどうしてもパレスチナでのイスラエル軍との近似が気になる。
“テロリスト”抹消のためあらゆる手段をとる。(したがって一般市民の殺傷は避けられない)
“テロリスト”に対しては国際法などの適応は必要ない、と考える。
市街では米軍が狙撃される危険があるため一般住居の壁を破壊して目的地にいたる。
シャロンの“対テロ戦争”はいったいイスラエルに平和をもたらしたかどうか、考えてみる必要があるだろう。
“テロリスト”撃滅のためにテロリズムを行使することが有効だとは思えない。
投稿: ねこ仏少年 | 2004.11.19 20:22
外人の首を切ることを歓ぶようなイラクの民衆が道義的な正義を
胸に抱いているとは、ちょっと考えられないように思いますね…。
ブラックウォーターの社員たちが殺されて橋に吊るされた時、
周辺住民たちが喝采していたのを見て、道義的レベルの差を
強くかんじましたよ…(事件が起きた時のニューズ・ウィークより)
余談ですが、先の事件のときニューズ・ウィークは見開き2ページに
橋に吊るされた死体の写真を載せていて、かなり衝撃を
受けましたね…。個人的には、あまりよくない
(センセーションを煽る)やり方で、ニューズ・ウィーク
らしくないなと思いました…。
投稿: kagami | 2004.11.19 21:05
おそらく道義のレベルと共に、道義の質が違うのでしょう。
異質な人間をも見つめ、冷酷に見える人間がもつナイーブさも、探し出さなくては、永遠に中和点が求められないということになります。
『殉教戦士たちとの対話:Ghaith Abdul-Ahad@ファルージャ』
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2004/11/post_14.html
>この記事に出てくる人たちは,おそらく,この先生きることは,まずないでしょう。記事を書いたGhaithに,感謝と祈りを――宗教とか関係なく,人間としての祈りを。シンボルの要らぬ思いを。
・・・翻訳者:nofrillsさんの言葉です。(記事11/09,翻訳アップ11/11)
投稿: pippo | 2004.11.19 21:57
>外人の首を切ることを歓ぶようなイラクの民衆が道義的な
>正義を胸に抱いているとは、ちょっと考えられないように
>思いますね…。
イラクではありませんが、しばらくイスラム文化圏で暮らしていたので、そういう意味でイスラム社会への思い入れみたいなものが気持ちから消えません。なので、この箇所を読んで「そうじゃないんですよ」と言いたい。言いたいけど9/11の映像に拍手を送る人たちを覚えているだけに、きちんと説明できるほど頭の整理がついていません。
pippoさんのいうことに賛成です。でもやっぱり複雑です。
投稿: 西方の人 | 2004.11.19 23:01
一言だけ言わせてもらえばイラクの場合、テロリスト=民衆という訳ではない。
その中の一定数は外国からやってきたテロリストで、その行動をイラク民衆が皆支持していると考えるのは危険です。
投稿: エフ | 2004.11.20 00:22
>“テロリスト”撃滅のためにテロリズムを行使することが有効だとは思えない。
まずテロリストの掃討はテロリズムでないという事実を確認したいのですが、それ以前の問題として、パレスチナ紛争の構図を考えておく必要があります。そもそもその出自からしてPLOなどの組織はテロ組織上がりです。そしてそれをまともな組織と仮に認定しても、ハマスやイスラム聖戦といった団体は、そもそも現在のような「紛争が継続すること」によって存在価値があり、平和になると困る団体です。和平が成立しそうになると、「イスラエルが反撃せざるを得ないように」ひたすら殺し続けるわけです。当然、反撃されたときに極力民衆が巻き込まれるように考えてあります。
つまり、パレスチナ自治政府が、普通の国家のような武力の一元的な管理能力を持っていないことが全ての原因です。そしてイスラエルともども当事者に解決する能力は無いと見るべきです。
米国の元駐イスラエル大使が、国連の信託統治を提案した論文を読んだことがあります。国連のお墨付きの下、強力な治安維持部隊を送り込み、パレスチナ自治政府の強化にフォーカスし、目標を示して「ここまで出来ればこの主権を渡す」というやり方で、政治が成熟するまで粘り強く継続するという内容でした。私も唯一に近い解決方法と思います。
結局それは、国連の認知が無いことを除けば、今アメリカがイラクでやっていることと大差無いのでしょう。
投稿: カワセミ | 2004.11.20 00:48
>“テロリスト”に対しては国際法などの適応は必要ない、
そうでしょうか?。国際法を適用した場合こそ、
一般市民を装いゲリラ活動をする"テロリスト"は即刻処刑が
許されるのではないでしょうか?私は国際法の専門家では
ありませんから詳しいことはわかりませんが、すくなくとも
ヴェトナム戦争での頭を打ち抜く映像のキャプションには、
そう書いてあったようにおもいます。
もちろんイラクで戦時国際法を適用することが妥当かどうかは
議論の余地があると思います。ただより事実を正確に理解するために
コメントしてみました。
投稿: 猿小玉 | 2004.11.20 01:54
前提となる思想的スタンスはともかく、事実認定を巡るfinalventさんの歯切れの悪さに「朝日的」なものを何となく感じたりします。だから誠実だとか無責任だとかといいたいのではありませんが。
知的な議論というものはめんどくさくてかっこわるいものだと思うのですよ、本来。結論からスタートしている人たちはそのへんをパスできるからいいよね、と思ったりするのです。
投稿: サリム | 2004.11.20 02:16
今回のファルージャで起きたの米軍兵士によるモスク内での負傷者殺害ビデオに限って書きます。
・米政府が許可したembeded 報道陣のみが激戦地での報道が出来る。
安全が確保できないイラク国内の状態では残っている数少ない米軍とは別枠ジャーナリストはバグダッドのホテル周辺からは離れられない状態にある。
言って見れば米政府お墨付きのはずの軍付きジャーナリストが今回の事件を撮影報道した事実に注目する必要があるだろう。
イラク住民のサイドから見た映像はアラブ諸国報道陣が取っていると推定されるが、それらは私の居るヨーロッパでも目にするチャンスは極めて少ない。
イラク国内で実際に起っていることを我々は知りえないのだ。
米政府の発表によれば、ファルージャ攻撃以前に“45歳以下の男子をのぞく全住民”に避難勧告を出している。
しかし、いったん避難した住民達に攻撃終了後の帰還は保障されていないため、多くの住民はファールージャに留まっている。
こういった現在のイラク情況を考慮に入れて提供される映像なり情報を分析する必要があるだろう。
一方サイドからの報道・情報のみによって判断をせねばならない、という点でもパレスティナで起きていることとイラクには近似点が多いと感じています。
(45歳以下のイスラム教徒はすべてテロリストになる可能性があるから殺傷してもかまわない、のであればもう何も言うことはありませんがね)
投稿: ねこ仏少年 | 2004.11.20 03:44
>45歳以下のイスラム教徒はすべてテロリストになる可能性があるから殺傷
攻撃続けいれば自然にそうなるでしょうね。
45才以上になる以外に生き残る道がないのであれば。
それを非難することは、私にはちょっと出来かねますかも。
投稿: 紅玉石 | 2004.11.20 14:46
「外人の首を切ることを歓ぶようなイラクの民衆」というのは、
前段にニュアンスが置かれているのであって、そういったこと
(法に基かない暴力行為)を嘆き批判するイラクの理知ある
民衆のことは含めませんよ~。そういった理知的な民衆とは
諸外国の民がみなで協力共同して社会を作ってゆけると思います。
エドワード・サイードは私が心より敬愛する人物ですが、
法に則さない残虐な暴力行為を、
いかなる理由があろうとも肯定することは、
自らを破滅に招くとして、アメリカも、反米諸勢力も、
両方とも批判しましたし、これこそ真実、道義的な
立場だと私は思いますね~。
投稿: kagami | 2004.11.20 16:19
ありゃ、ちょっと不謹慎でしたかも。
どんな状況化においても正道によって事を成そうとする人たちがいることは、人間の一端としてなんだか嬉しいです。
無責任な言い方ですが(;´∀`)
ただ、私は、ただ大人しく搾取されて、ただ殺されなさいと言われた時に、反撃してしまう人たちが存在していても。
それを責める気にはなれません。
ましてや相手が弱者などではなく、世界一の強者であるのならば、必要がない人間が、本当に反撃など喜んでするなんてこと、ちょっと信じられない。
他に道がないとしかどうしても思えない。
出来れば、上段の人たちの希望が、下段の人たちにも届きますように。
投稿: 紅玉石 | 2004.11.20 21:00
>そういったこと(法に基かない暴力行為)を
>嘆き批判するイラクの理知ある民衆のことは
>含めませんよ~。
「9/11の映像に拍手を送る人たち」の中に友人がいたので、そういう定義でもやっぱり複雑な思いがぬぐえないのです。
彼には本当にお世話になったという個人的な事情の他にも、その一点を除けば彼が概ね尊敬できる人間だったということがあるかもしれません。
ボスニア・ヘルツェゴビナでの内戦の時「それまで親友だった人たちが突然殺し合いを始めた」という話を聞いたことがあります。それを思い出すと恐くなるのです。(「そうなったら自分はどうするのか」ということも含めて。)
投稿: 西方の人 | 2004.11.20 23:42
ファルージャの、吊るされた死体ですが、あれは傭兵で、イラク各地でかなりひどいことをしていたようです。
いきなり捜索と称して乱暴に家に押し入る、勝手に物を盗む、乱暴を働く。
やったこと自体はよくないことですが、そうしたことがここで何も語られないのはいかがなものか。
赤十字も今回の攻撃の犠牲がほとんど民間人と言っているし。
洗えばまだまだ戦争犯罪は出てきそうな。
投稿: 木 | 2004.11.21 19:14
結局、アメリカによる「テロリスト」の掃討によって民間人の犠牲が出て、そのことが「テロリスト」の勢力を増やす、という悪循環は止められないのではないかという気がします。
この悪循環が永遠に続くか、あるいはアメリカがこの悪循環にうんざりしてイラクを見放し、残されたイラクは内戦で荒廃するという未来しか、イラクには残されていないんでしょうか?
投稿: Baatarism | 2004.11.21 21:22
以前finalbentさんが、「争乱は局所化されてきたのではないか」と書かれていましたが、私も同様な感想を抱いています。
昨年段階では米軍兵力は本当に足りなかったと思います。伝統的に米軍は社会科学的なアプローチを取る事が多いのですが、まさに限られた兵力で悲劇の最小化を図る方策に動いたのではないでしょうか。つまり、これは大声では言い辛い事なんでしょうが、バクダッドのためにファルージャを犠牲にしたのではないでしょうか。そしてその種のアプローチの結果が実を結び始めたのが今年の夏前後の時点ではないか、と私は思っています。
先にも述べたように、統治能力のある開明的な政府の成立こそが全てです。ソマリア、パレスチナ、旧ユーゴ諸国など、すべての紛争の結果がそれを示しており、米国の政策がそこにフォーカスしているのは容易に見て取れます。もちろん、統計的に悲劇が最小化されたとしても、その悲劇の当事者が納得しないことは自明ではあるでしょう。
投稿: カワセミ | 2004.11.22 21:59
カワセミさん>
>伝統的に米軍は社会科学的なアプローチを取る事が多い
確かにベトナム戦争の時はマクナマラが費用便益分析に基づいた戦力投入という軍事学の観点からは悪い冗談のようなことをしてましたが、その後暫くはベトナムの反省に立って伝統的な軍事学に即した兵力派遣をしてきませんでした?要するにPowell-Weinberger Doctrineのことですが。
まあイラク戦争に関してはラムズフェルドの提唱するRMA化による戦力の効率的投入というのがまんまマクナマラとダブって見えますが・・・。
投稿: だい | 2004.11.23 13:09
それは単純に軍事作戦の効率の問題に過ぎませんよね。ベトナムでは苦戦でしたがイラク戦争は成功でしょう。その意味でマクナマラは誤りましたがラムズフェルドは優秀でした。現在問題になっているのは政権打倒以降の占領統治です。これは本質的に兵力数の問題です。物理的に派遣出来る部隊が無ければ無理という単純な問題です。そこで現地の米軍は、拘束条件下での最適解を選び取ってきたのではないかと思っているんですけどね。旧ユーゴ紛争や朝鮮戦争後のフィードバックのように思います。
米国の伝統なのか、早速この教訓に対する対応を始めています。「安定化部隊」とでもいう、治安維持を専門とする部隊を創設しているようです。そしてこの安定化部隊をG8諸国にも参加して欲しいという案があるようで、サミットでも話題が出ていたようです。この方向が国際的に支持されそうになれば日本の課題にもなりそうですね。その場合はP5の代替をG8でということでしょうが、中国の反応がどうか。G9になるかもしれません。
投稿: カワセミ | 2004.11.23 19:23