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2004.11.24

米国ドル安をもってEUと中国を撃沈

 ちょっとスジの悪い話を書く。最初から冗談・洒落を狙っているわけでもないし、ましてそうまじこいているわけでもない、と最初に弁解。が、失笑を買うのを承知の上で、四の五の言わず、書いてみることにする。話は昨今の円高というかドル安と米国の世界戦略だ、いや、ユーロ高問題とも言える、とキーワードを並べただけでスジの悪さが際立つ。
 まずファクツからだが、23日のニューヨーク外国為替市場でユーロ買いが先行し、一時1ユーロが1.3108ドルと、ユーロ導入以来市場最高値が付いた。ユーロ高はドル安ということでもあり、円も対ドル102.87円と板子一枚下は地獄かというか、黙示録のように介入喇叭が鳴り渡るか…というところ。でも、冷静に見れば、たいした話ではないとも言えるのだが…。
 今朝になってドル安傾向は少し持ち直しているようだが、大筋での流れは変わらないし変わるわけもない。ドル安原因についてはあらためて言うまでもなく、米国の財政・経常収支の巨額赤字がドル売り圧力になっている。これに先日のグリーンスパンFRB議長やスノー財務長官の発言への思惑がいろいろ絡む、というか、悪いスジの読みが炸裂する。
 先日のG20(20カ国・地域の財務相・中央銀行総裁会議)でもドル安阻止連携の話題はない。米国は無意味な強さを吹いているだけでドル安協調をとる気はない。ということはそれ自体が一つの米国の対外的な政策でもある。なので、これを一つの国際戦略として読むことも可能だろうという悪魔の囁きは絶えない。
 てなことを思いつつ、別の関心でサロン・コムを見ていたら、変な話"Unilateralism in a different guise"があった。サロンのオリジナルではなくガーディアンがオリジナルらしいので、ガーディアンを見ると、ある。標題はサロンとは違って"US risks a downhill dollar disaster"(参照)と単純だが内容は同じ。ふざけた書き出しで始まる。


George Bush's foreign policy is simple: don't mess with America. The same, it appears, applies to economic policy as well. On Friday, the dollar fell sharply against the euro. That was unsurprising, since the downward lurch followed comments from Alan Greenspan which - by his own cryptic standards - were unambiguous.

 曰く、アメリカって国がどうなっているのか複雑でわからないものだが、ブッシュの国際戦略は単純極まるし、経済戦略でも同様、とくる。対ユーロでドル安が進行しているが、さして驚くべきことでもないのは、まいど言語明瞭意味不明のグリースンパンも曖昧には言ってなかったじゃん、と。つまり、グリーンスパン彦左衛門もブッシュへのご奉公をしているのだろというわけだ。スジ悪な前奏である。
 日本でそろそろ介入ですかの空気だが、EUもそうなりつつある。このままでは輸出が息絶え、各国の国内経済が干上がるからだ。

Joaquin Almunia, Europe's monetary affairs commissioner, said last week: "The more the euro rises, the more voices will start asking for intervention. It has to be a coordinated effort but it seems that our friends across the Atlantic aren't interested."

 EUから見て大西洋対岸のお友だちは介入の気配はない。というわけで、プラザ合意のようなことはないし、そもそも歴史状況が違うのでというか日本がダメダメなので国際的な協調はハナから無理。
 ここで、面白い二つの仮説が提示される。一つはそれほど悪くはない。単に経常収支の改善でしょ、と。

There are two reasons why the Bush administration is not willing to play ball with the Europeans. The first is that it sees a lower dollar as inevitable given that the US current account deficit is running at $50bn-plus a month. A lower dollar makes US exports cheaper and imports dearer.

 山場は第二の理由だ。米国がイラク戦争がらみでEUに報復戦を始めたというのだ。わくわく。

The second reason is that the Bush administration has neither forgotten nor forgiven France and Germany for the stance they adopted over Iraq. Jacques Chirac and Gerhard Schroder weren't interested in helping the US to topple Saddam, and now it's payback time. If the European economies are suffering as a result of the weak dollar, why should the US care? What's happening in the currency markets is simply American unilateralism in a different guise.

 ドル安をもってEU撃沈が真相。爆笑な陰謀論か。陰謀論というのは一度スジが通るとあとはネタは集めやすい、お話も作りやすい。そりゃね。
 かくして二つの理由にさらにもう一個理由が追加される。中国撃沈だ!、というのだ。まじかよ。

Washington may have another reason - apart from getting its own back - for allowing the Europeans to suffer. The US is desperate for the Chinese to revalue the yuan, but has so far utterly failed to get Beijing to agree to abandon its dollar peg. The Chinese, for political as well as economic reasons, are determined to resist American pressure.

 元の調整をする気がないなら、無理矢理やってやるぜというのがドル安だと言うのだ。もちろん笑うっきゃないのだが…と、ここあたりで、我ながらいかんなとも思うのは、スノーはその気かもという疑いは拭えない。
 いずれ、中国経済のバブルはソフトランディングするかハードランディングするしかない。で、エコノミストたちはソフトランディングでしょ、でなきゃ困るでしょ、ハードランディングするメリットはないでしょ…という蛙の歌が聞こえるような輪唱となるのだが、が、そこがわからない。
 ガーディアンの記事でも、ハナからおふざけではなく、ソフトランディングでしょとはしている。が、歴史を見れば、経済はそう統制できないよとも言う。実際のところ、エコノミストも経済学者もその二つのシナリオがあるといい、可能性の提示はするが、現実の政策と結果の見通しだとも言えない。
 誰か私の身代わりにハードランディング説を言っている蛮勇はいかないかと思ったら、思わぬ所にあり。朝鮮日報"SCBチーフ研究員「中国はハードランディングの可能性高い」"(参照)だ。

 ライアン博士は「米国は大統領選以降、再び下降曲線を描いている」とし、「中国政府も現在の過剰投資に対し適切に対処できず、ハードランディングする可能性が高い」と悲観的な見通しを示した。

 へぇ。
 いや、へぇ、で済まされることなのか、よくわからないのだが、ちょっと気になるのは、こうした話のなかですでに日本は存在していないということ。関係ないのか。では、お茶でも一服。

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コメント

finalventさん、こんにちわ、

私が聞いた話ではごくごくミクロもいいところですが、110円を切って少しドル安が進んだところで日本人のお金持ちが一気に外貨預金に走ったため、ドル安が加速しているということです。

finalventさんが焦点としていらっしゃるのはどちらかというとブッシュ陣営の発言と対応なのだとは思いますが、付加的な情報としてコメントさせていただきます。

投稿: ひでき | 2004.11.24 13:31

米国の双子の赤字解消は、いつでも出来る、赤字の分だけドルを、
印刷する。今、米国でコカコーラ50セント以下で買える、
日本では、100円以上。株の倍額増資で、株価が半分になっても
会社の業績良ければ、株価は直ぐ元に戻す、それとおんなじだ。
米国は、輸入しなくても、今と同じ生活が出来る国だと思う。
                              東ヨーロッパ、アフリカ、アラブ、アジア、シベリア、中米、南米
等では、100分の1、から1000分の1以下の年収で、生活している国が70%以上ある、米国も日本も失業率50%でも楽しく暮らせる、2家族1単位、一緒に暮す、主人同士で相談し1カ月おきか半年おきに働く、お互いに年休も半年。景気の悪い会社ぜひ
社宅があればなお良い、官庁、国会議員にも是非。

投稿: hironimo tomity | 2004.11.24 14:32

ブッシュ政権なので、「市場に任せる」だけの話かと思いますが。これに関しては無茶苦茶単純だと思う。

投稿: カワセミ | 2004.11.24 23:11

ヨーロッパでは2004年末には1㌦=135から140ユーロの線で見てるそうだ。

シュミレーションは面白いが、あまり深入りしないように御注意の程=田中ウの線になてしまうよ。

投稿: ねこ仏少年 | 2004.11.25 08:38

>110円を切って少しドル安が進んだところで日本人のお金持ちが一気に外貨預金に走ったため、ドル安が加速しているということです。

あの~^^
外貨預金が増える場合は「ドル高」になるはずですが。

私個人としてはあの古きよき1ドル=80円の再現を期待しています。私個人はあのとき、かなり儲けることができましたから。
但し、いっても90円までしょうね。今の日本の経済の実力から考えれば。しかもそれ以上だと多分米国債の金利上昇がちょっと怖いことになるでしょうから。

投稿: F.Nakajima | 2004.11.25 20:17

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